あなたは阿良々木暦と一緒にあの『何か』に出会った道へ行った。しかし結局何の手掛かりも得られず、今日は解散となった。
「僕の方でも知ってそうな人に聞いてみたりして調べてみるよ。なんかあったらすぐに連絡してくれ」
あなたは彼女の優しさに打ち震え、友達でよかったと心から思った。
次の日、阿良々木暦がアロハの怪しい男を紹介してきた。
正直胡散臭い。
「いやー阿良々木ちゃんに聞いてはいたけど、ホントに悪魔なんだね」
「僕の言ったこと信じてなかったんですか」
「それっぽい別物とか、勘違いとかあるし、他のものとかも考えてたんだよ。まあいいじゃないか。ボクの力は必要なさそうだし」
「?必要ないってどういうことですか?」
「言葉通りの意味さ。正確に言えばボクの力じゃどうにもできないね」
「どうにもできない?」
「そう。どうにもできない。これは彼自身の問題だからね。キミもわかってるでしょ?『朝霧正人』クン?」
薄々気づいてはいたが、やはりか。しかし原因くらいは教えてほしいものだが。
「まあそれくらいは教えよう。キミが出会ったのは『ヤンガンイタン』。旅人の進む道を間違えさせたり、正しい道を進ませたりする悪魔だ」
「なるほど、その悪魔のせいで朝霧は人じゃなくなったんだな?」
「そういうこと。ヤンガンイタンは小さな金貨の袋や金の鎖を置いておくことで遠ざけることができると言われているね」
「じゃあそれをすれば朝霧は元に戻るのか?」
「残念ながらそう簡単にはいかない。それはあくまで遠ざける方法だ。道をどうにかするものじゃない。」
困った。どうすればいいのだろうか。
「毎日おんなじ道を通って、ヤンガンイタンに元に戻してもらうしかないよ」
それくらいのことならできるが──
「『心渡』ならどうだ?羽川の時は上手くいったぞ」
「あれは怪異が取り憑いていたからできたんだよ。今回は憑依ではなく変質。『心渡』を使えば彼自身も切れてしまう」
上手くはいかないものだな。なるべく早く人間になりたいのだが。
「被害者ヅラは気に食わないぜ?」
「被害者ヅラじゃなくて俺は被害者なのだが」
ひどい言い草である。
「······その、ごめんな。力になれなくて」
そんなことはない。相談出来ただけでも心が軽くなった。
「今日も、あの道を通るのか?」
ああ。人間に戻してもらえるまでは続けるつもりである。
「なんかあったら言えよ。人じゃなくなるって、結構心にくるんだ。知らず知らずのうちに人を傷つけてしまうかもしれない。そういう恐怖があるんだ」
そうなったら必ず言う。あなたは阿良々木暦を信頼しているのだ。
「そっか。良かった」