「なあ、何か、僕に隠していないか?」
突然どうしたのだろう。暦は貴方に聞いてきた。
隠していること·········ある。
「あるのか!?」
ある。おそらくあの“ヤンガンイタン”なる悪魔に関することであり、貴方がこんな姿になった事にも深く関係している隠し事が。
「·········話して、くれないか?」
·········しかし、恥ずかしい。それに、怖い。
「怖い?何がだ?」
暦と友達で無くなってしまうかもしれないことが、何よりも怖い。
「·········頼む。言ってくれ」
·········しょうがない。暦を、信じる。
「俺は、嫉妬していた」
「灰色の毎日。退屈で、変化が無く、何も進まないような毎日だった」
「しかし、楽しんでいる者がいる。否、俺以外の殆どが、楽しんでいた」
「お前達人間は、絶えず変化し、成長し続ける」
「どうしてもお前達のようになりたかった。何を犠牲にしても、お前達のように楽しみたかった」
「だが、俺は悪魔だった」
「悪魔、すなわち怪異。俺は人になる事は出来ない·········はずだった」
「道を、踏み外した」
「悪魔としての道を、踏み外したんだ」
「俺は、人になっていた」
「楽しもうとした。かつて見たように」
「だが·········うまくいかない」
「俺に家族がいないのが原因だったのか?いや、違う。親がいない子でも楽しむ事は出来る」
「俺に、問題があった」
「正直に言おう。絶望した」
「やっと、やっと人になれたのに」
「俺は、楽しめない·········」
「だが、お前が現れた」
「なあ暦。お前が友達になってくれたんだ」
「お前のおかげで、楽しむことができた」
「だが·········ああ」
「あの悪魔のせいで、踏み外した悪魔の道が元に戻ってしまった」
「俺はまた、楽しめなくなる」
「··················」
暦は何も言わない。まあ、そうだろう。
「俺は、お前がいてくれたから楽しかった」
「なあ暦。俺と一緒に悪魔にならないか?」
「え·········?」
「悪魔になれば人の生活は出来なくなる」
「でも、お前がいれば、きっと楽しい」
「お前も、悪魔にならないか?」
「·········僕にとっても、お前はいい友達だった」
「でも·········悪い。僕は人として生きるよ」
·········そう、か。そうだろうな。
「でもさ、朝霧。人として生きていく努力を、してみないか?」
·········?どういうことだ?
「道、踏み外したんだろ?じゃあ、また出来るんじゃ無いか?」
·········!
「それに·········」
「僕は、お前とラーメン食いに行きたい」
俺も行きたい。
「ゲームもしたい」
マリオカート8DXやりたい。
「ははっ。今度は負けないぞ?」
何を。俺にボコボコにされたくせに。
「言ったなー!·········」
「·········なあ、一緒に生きようぜ」
··················。
「絶対、楽しいぜ?」
「·········言ったな」
後一話