クロスオーバー世界 Knockers:Arc-en-ciel   作:おろさん

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『DONBROTHERS The Future -宵闇喰らい、少女ムラサメ-』プロローグ


DONBROTHERS The Future -宵闇喰らい、少女ムラサメ-
プロローグ:ひとあばれまえの


『ヒトツ鬼』。人間の欲望を依り代とし、憑りついた人間を自らの姿へと変え、暴走させる鬼。

 

 その出どころや正体などはかなり謎が多い。というか、細かい部分に誰も触れようとしないというのが正しいと言えばそう。

 

 

 そのヒトツ鬼は、『王苦市』と呼ばれる町を中心に出現していた。色々とモラル面で問題のある人が多いというのが理由の1つと推測される。

 

 

 とにかく不透明な部分は多い存在だが、ある者達……『脳人』と呼ばれる異邦の住人にとっては、依り代にした人間の欲望を暴走させるヒトツ鬼の存在は厄介極まりない存在だという事は確かだった。

 

 脳人は、ヒトツ鬼と戦っては、依り代にされた人間ごとヒトツ鬼を消去していた。

 

 

 それに対し、ヒトツ鬼化した人間を消去することなく倒し、元の人間に戻していく存在も王苦市では確認されていた。

 

 

 ここで話すと色々と長くなるが、とにかくヒトツ鬼との戦いと言うのは長く続いているものだった。

 

 

 

 

――しかし、ある時。今から11年前。その戦いに『変化』が訪れる事となる。……それは、『ヒトツ鬼』と言う存在が、余計にタチの悪い事に利用される。そのきっかけだった。

 

 

 

さらに言えば、それは同時に……

 

 

*****

 

 11年前。深夜。王苦市某所。この日、この町では雨が降っていた。

 

 

 その時は、妙な現象が数時間をかけて発生していた。空に『地球』が見えた、世界各国の一部地域にそれぞれとんでもない地震が発生した、突如として人が怪物になった、など、そう言った現象が。

 

 極めつけには、日本にて周囲にガラスが割れた事による空洞のようなものが出現し、中から人ならざる存在が流出した、などの話まで出ていて、世界中大混乱だった。

 

 

 

「これは……一体どうなっているんだ……?」

 

 

 港にて。上空を見ている者が1人。変わった剣を持った、紫色の戦士が立ち尽くしていた。この世界のバランスが歪む、奇妙な気配を彼は感じたのだ。

 

 

 と、その時。

 

 

「っ!?……誰だ!!」

 

 

 突然銃声や、それを弾く金属音が聞こえて来たと思えば、路地裏から誰か出て来る。1人は、槍を使う脳人。

 

「一体全体何なんだこのヒトツ鬼はっ!今までのと何かがおかしいぞ……!!」

 

 もう1人は、鬼だ。2つの拳銃の間に機関銃がついたような頭部の、上半身が黒く下半身が赤い鬼。ヒトツ鬼『銃鬼』が出現したのだ。

 

 

「ハハハハ!!!素晴ラシイ!!素晴ラシイ!!コノ力!!コノ力があれば!!!俺は無敵にナレルンダアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 一瞬元の人間の状態を挟んで、『繝ェ繧ウ繝ェ繧ケ(リコリス)』の文字化けと何かのクレストが男を包み、再びヒトツ鬼『銃鬼』へと変貌。

 

 

「あいつらが来ないのもおかしい……何か『違い』のせいか……!?」

 

 

 銃鬼の攻撃に、槍を使う脳人は苦戦しているようだ。

 

 

「あの気配は……さっきの現象の一端か……!!」

 

 その様子を目の当たりにした紫色の戦士は、背負っていた剣を手に取り銃鬼の方に。

 

 

「ムラサメ!?良いところに来た!!」

 

 

 紫色の戦士の姿を見て、槍を使う脳人は手伝うよう促す。

 

 

「何ダ貴様!!!貴様モハチノ巣ニシテヤラアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 銃鬼は、頭部や両腕の銃器を乱射していく。対し、紫色の戦士は軽く避ける。

 

 

「お前のその力は、お前とは無関係の力……引き剥がさせてもらう!!!」

 

 

 そう言うと紫色の戦士は、剣についたディスクを2回回転させる。

 

 

二鮫(にシャーク)暴鮫(はやさめ)!!】

 

 

 剣にエネルギーを溜め、4つの光のアンカーを放出。不意打ちでソレを銃鬼に撃ち込んでいく。

 

 

「ナッ!!?何ガドウナッテッ、取レナ――」

 

 

「はぁっ!!」

 

 アンカーを引っ張り、銃鬼を引き寄せる。そしてその剣で、すれ違いざまに銃鬼を切り裂いた。

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?」

 

 

 そのまま銃鬼は爆散した。

 

 

 

「今の、は……」

 

 

 一方。さっきのと同じの港に出る位置の路地裏にて。誰かが歩いてくる。ボロボロの身体でよろよろと歩きながら、今の光景を見ていた。

 

 

「……!!」

 

 

 何を感じたのか、その誰かは、紫色の戦士の方に近づこうと、ボロボロの身体で歩いていく。

 

 

 

 

 

「すまない、俺とは相性が良くなかったみたいでな。」

 

「気にする事じゃない。今のヒトツ鬼は、何かが違う。」

 

 

 槍を使う脳人は、変身を解いて人間と同じような姿に戻り、紫色の戦士の元に駆け寄る。……その同タイミングで、紫色の戦士の足元に、歯車型のアイテムが転がり落ちた。

 

 

「これは……」

 

 

 それを拾った紫色の戦士。その歯車型アイテム『アバタロウギア』には、先程倒した銃鬼の元になったような力が記憶されている。

 

 

「あいつらが使ってるのと比べると、これも少し毛色が違うな……」

 

 

 槍を使う脳人は、紫色の戦士が手に取ったアバタロウギアを同じく見る。

 

 

 

「う……うう……強くなった……はずなのにっ……」

 

 

 

 と、その時。元に戻った男が立ち上がってきた。

 

 

「何で使えなくなってるんだよっ、俺の力っ……返せ……返せよっ、返せえええええええ!!!!」

 

 

 男は発狂し、此方に突っ込もうとしてきたその時。

 

 

「返せ返せ返――がっ!!?」

 

「っ!!?」

 

 突然、男が転倒する。横の方からゆっくり歩いて来ていた誰かにぶつかってしまったようだ。

 

 

「っ……いた……」

 

 その誰かは、6歳くらいの少女だった。ぜぇぜぇと息を切らしながら、ボロボロの身体で立ち上がっている。

 

 

「何だ?そんなボロボロの身体で大丈夫なのか……?」

 

 槍を使う脳人が、その少女に近寄ろうとしたが、どういうわけか紫色の戦士に止められる。

 

「ムラサメ……?」

 

 

 

「いてぇ……いでぇ……何しやがるっ……あの力さえあればっ、俺は……オレは!!俺はアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 

 一方、男の方は逆上し、少女をぶん殴ろうとする。……その時だった。

 

 

「うるさい」

 

 

 少女の目の色が変わり、それと同時に少女は口を開く。

 

 

 

「うっ!!?なっ、がっ、何だっ、力が抜けて……」

 

 

 男から黒い靄のような物体が出て来て、少女はそれを、口内に吸い込んでいる。

 

 

「ああっ、がああっ……力……俺の力っ……」

 

 

 それを吸われ切った頃には、男は無気力になったようにぐったりと倒れ込んだ。

 

 

「あう……」

 

 

 そして少女も、そのまま倒れこむ。

 

 

「今のは……人の悪意を喰らったのか……?」

 

 

 その光景を見て、槍を使う脳人は驚愕している。

 

 

「そう、か……この子も、今起きている異変の一端を背負ったのか……」

 

 

 紫色の戦士の方は、何かを察したかそう呟いて、少女を抱きかかえる。

 

 

「……ムラサメ?」

 

「一つ、やってみたいことが出来た。」

 

 

 困惑している、槍を使う脳人に対し、紫色の戦士はこう言った。

 

 

「俺は……この娘を『育てて』みたいと思った。俺を育ててくれたマザーのように、導きたくなった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は流れ、11年後。現在20XX年。都内某所に存在する、華やかな施設が1件。

 

 その名は『聖スカーレット女学院』。有名な家柄やお金持ちの娘が通う、絵に描いたような超名門お嬢様学校。昔よりはちょっぴり校風が緩やかになっている部分はあるが、それでもなお数々のエリートを育て上げて来た、由緒正しき乙女の園である。

 

 

 そんな学院の生徒が1人、そこそこ朝早い時間帯に、品格のある立ち振る舞いで通学路を歩く。

 

 

 長い金髪をロープ編みにした、スラッとした(後割と発育の良い)体形のその少女。名は『琴月・ミカエラ・聖羅』。大企業『琴月グループ』こと『功倫堂』の社長令嬢で、聖スカーレット女学院の生徒会長なのだ。

 

 

 彼女の朝は早い。朝早くに起床し、朝食や着替えなど家での物事をスムーズに行い、学院へ向かう準備を万端にする。学院では生徒会長として書類整理や、生徒による自治活動の統括や風紀の取り締まりなど、早い時間帯から様々な活動を行う必要がある。

 

「(今日は理事長の推薦という事で、転校生が来ると言う話でしたわね……一週間前の件を早い段階で片付けておいて正解でした。)」

 

 そんな彼女は、教師から見ても生徒の模範。品性方向、文武両道。まさに優等生なのだ。

 

「(さて、早い所、転校生を迎える準備を――)」

 

 そう言うわけで、何やらプランを脳内で練りつつ、聖羅は聖スカーレット女学院へと辿り着く。今日もその立ち振る舞いを崩すことなく、有害に校門をくぐる。そうする事で、今日もまた、彼女の一日が始ま――

 

 

「ブッシュドノぉぉぉエルっ!!」

 

「くぎゅっ!!?」

 

 

 突然、何故か(これ投稿した時はとっくのとうにクリスマス過ぎてるけれど)クリスマスケーキの名前が聞こえて来たと同時に頭部に何かがクリーンヒットした。誰かの足が、聖羅を踏んづけたのだ。

 

 建物やら木々やらを跳び越えてきた誰かが、ものの見事に聖羅の頭部に着地……などという事はどう考えたって出来るわけがなく、聖羅共々転倒した。

 

 

「い……一体全体どうなって……って……!?」

 

 

 すぐに起き上がった聖羅の視界に移ったのは、少女だ。聖羅より濃いめの金色でショートヘアの、何だか幼い風格のある少女。その子が聖羅を盛大に踏んづけたのだ。

 

 そして何より、聖スカーレット女学院の制服を着用している。しかし聖羅にとっては見覚えのない容姿の娘であるため、つまり彼女は……

 

 

「あう……しくじった……」

 

 

 と、少女が起き上がる。

 

 

「そ、それはそれとしてそこの貴方!!何堂々と人の頭を踏んづけてくれてるんですか!!?見る限り転校生のようですが、だとしたら転校初日にとんでもない問題起こしてま――」

 

 

「ん……ああ、あー……」

 

 聖羅が指さして少女を説教し出すが、少女の方は聖羅を見つめる。と言うかちょっとずつ近づく。

 

 

「って、聞いてますの貴方!?え、あの、ちょっと?何近づいて――」

 

 そして聖羅の顔にすごく近い距離に近づいた少女は――

 

 

 

「はむ」

 

 

 聖羅の結ばれた髪を食み始めた

 

 

「ん?」

 

 

 髪をもぐもぐされている聖羅。一瞬フリーズした後……

 

 

 

「……って、ひゃああああああっ!?!?え、いや、えっ、何してますの!!?ヤギじゃないんですから!?」

 

 

「ヤギじゃないよ」

 

 聖羅が盛大に慌てだすと、少女は一旦髪を食むのを止めて喋り出す(尚髪は掴みっぱ)。

 

 

「『村雨ルミ』。それが私の名前だよ。」

 

 

 少女は、自らの名をそう名乗った。

 

 

「む、村雨……ルミ……さん……?」

 

 

「もぎゅもぎゅ……あぐあぐ……」

 

 

「え、ちょっ、何故再開を!!?えっ、あ、やめっ、歯を立てないで!!?え、ほんとやめっ!!いやっ、い、や……いやあああ↑あああ↓あああ↑あああ↓あああ!!?」

 

 

 

 

 

―――――

 

 

こうして、聖スカーレット女学院のい突如として現れた、転校生の奇妙な少女『村雨ルミ』。そしてその行動に振り回されそうな感じが満々な生徒会長『琴月・ミカエラ・聖羅』。

 

 

これは聖羅が、ルミに日常を引っ掻き回されていくと同時に、少しずつ精神的に成長していく。そんな物語である。

 

 

 

 

 

続く。




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Writing in Succession『DONBROTHERS The Future -宵闇喰らい、少女ムラサメ-』
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