箭吹シュロ怪聞録   作:イッセ

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弐話

 

“最初に導かれるは砂の町

 

 

過酷な現状に先の見えない厳しい現実

 

 

その学び舎はまさに砂上の楼閣

 

 

されども青春はそこにあり

 

 

それを謳歌する生徒もそこにある

 

 

彼女たちを救えますか?手前様?

 

 

私はひとり・・・・・・怪談候補に目を付けましたよ?

 

 

 

 

 

「さてさて、手前様の初仕事はアビドスですか・・・・。あそこはある意味、キヴォトスで最も幽世に近い場所ですよ?」

 

 

砂漠化した町を、ひとりの少女が歩いている。

 

『箭吹シュロ』

 

百鬼夜行の花鳥風月部に所属する生徒?なのだが、その情報はあやふやであり。

 

現にシュロ自身、百鬼夜行の自治区にすら、ここしばらく帰ってなかった。

 

 

 

では、そんな彼女がここしばらく何をしていたのかというと・・・。

 

 

「かの先生の動向を探るのに、やはりこれ程便利な怪異はありませんね・・・あの一件のおりに出向いたかいがありました♪」

 

 

自身の怪談の主役にと見込んだ先生をずっと監視していた。

 

とはいえ、シュロ自身がずっと見張っていたわけではなく、そんなに暇なわけでもない。

 

自身の持つ怪異物『稲生物怪録』より生み出した怪異を、先生に取り付かせていたのだ。

 

 

『壁に耳あり障子に目あり』・・・やっぱりお前は優秀ですねぇ♪眼だけでなく耳も出せるようになったのが、大変結構。」

 

 

一般人が見るとシュロが独り言を言っているようにしか見えないが、霊感がある人が見れば、彼女の隣に浮かぶ『いくつもの目玉』が見えたことだろう。

 

 

シュロに『壁に耳あり障子に目あり』と名付けられたこの怪異は、現代に語られる「目目連(もくもくれん)」と言う怪談である。

 

障子に浮かぶ無数の目という話が元となっているのだが、彼女はこれを壁に耳あり障子に目ありという諺で縛ることにで、目と耳をどこでも出せる怪異としてこの世に顕現していた。

 

情報収集の要として、重宝しているペットでもある。

 

 

「今時、メールではなく手紙でシャーレに助けを求めるとは、このアヤネという人物も風流ですねぇ♪まあ、そんな余裕はないでしょうが・・・」

 

 

盗み見た内容からも、アビドス高校がどれほど切羽詰まった状態かは理解している。

 

それは先生も感じており、手紙を確認してすぐにアビドスへと向かっていた。

 

 

「かの一報から数日たってますしぃ、そろそろ新しい情報でも入ってくる頃でしょう♪『壁に耳あり障子に目あり』先生は今どうして・・・・・・・」

 

 

先生に付けている目に同調してもらい、同じくアビドスに居るはずのかの人を見る・・・のだが・・・・。

 

 

「・・・・・住宅街のど真ん中で倒れてますね(-_-;)」

 

 

肝心の先生は、まだアビドス高校にすら辿り着けていなかった。

 

 

 

「・・・ハア?!いや一体何故ぇ?!そもそもアビドスに向かうなら電車とバスを利用するはず!こんなところで行き倒れてるなんて、道に迷ったとしか・・・・!!」

 

 

あまりの予想外に、一瞬で冷静さを失う。

 

しかし、送られてくる映像には変化があり、おちついて観察を続けることにした。

 

 

「砂狼シロコ・・・ですか、狼の神格を纏っている少女。あの制服はアビドスですね。」

 

 

自転車を止めたその少女は、アビドスの制服を着ている。

 

『砂狼シロコ』

 

記憶を無くしているようだが、狼の神格を放つその少女に、シュロは心当たりがあった。

 

 

・・・・とはいえ、今は先生だ。

 

一体どうしてあのような場所で倒れていたのか・・・・。

 

 

『大丈夫?』

 

『“コク”』頷く

 

『強盗に遭ったとか?もしくは事故?』

 

 

 

 

「そう!やっぱりそうとしか考えられませんよね!!外の世界とは常識が違いますし!」

 

 

仮にも大人で先生である。

 

きっと何らかの問題に巻き込まれて、あのような場所で倒れていたとしか・・・・

 

 

『“・・・・・・”』

 

『え?お腹が減って倒れていた?ホームレスじゃないってこと?』

 

 

 

 

「なんでだー!!!」

 

 

違った。

 

只々迷った末に、空腹で倒れただけだった。

 

 

『ただの遭難者だったんだね。』

 

 

 

 

「先生?これで先生?!・・・というか下調べ位すべきでしょう!連邦“捜査部”シャーレでしょう!!捜査しろよ!!!」

 

 

こちらからの言葉が届かないのは承知しているが、それでも苦言をこぼしてしまう。

 

 

「・・・て、手前の見込みちがいですぅ?い、いやぁ、せっかくの主演候補。もう少し観察を続けるべきで・・・・」

 

 

映像の中で、シロコの差し出したエナジードリンクを直接口づけて飲み干している。

 

 

 

 

「ま、まあ?あれだけ余裕がなかったわけですしぃ?目の前の水分に飛びつくのは仕方のないことですよねえ!うんうん!なにはともあれ、これで役者が舞台に向かえるというものです!」

 

 

しょっぱなから不安でしかないが、まだこの章の導入前段階。

 

結論を出すには、早すぎるだろう。

 

 

「まずは観察を続けましょう。舞台の現状も探らなければ、物語の全容も見えてきませんし。」

 

 

何せ、シュロ自身。アビドスで何が起こっているのか理解していないのだ。

 

あの地は、シュロが把握しているだけでもいくつもの厄介ごとが埋まる土地である。

 

せめて現状を把握するまでは、観察を続けるべきで・・・・・・・・

 

 

 

 

「・・・・・・・・・生徒におぶられて、汗の匂いを嗅いでますね。・・・・なんかもう、見るの嫌になってきたんですが。」

 

 

観察を続けるべきなのである!!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「なるほと、学校の襲撃ですかぁ。ですが・・・後者の状態や彼女たちの現状を見る限り、既に学校としての体裁をとれていないような?」

 

 

先生に付けている怪異から、アビドス高校に到着したとの報告を受けて、再び観察を開始する。

 

先生の現状のみならず、アビドス校舎や市街地の状況など、『壁に耳あり障子に目あり』の無数の目を各地に放って、この舞台設定を把握していく。

 

 

「しかし、『廃校対策委員会』ですか、なぜ生徒会を名乗らないのでしょう?これでは別組織として認識され行政権の移行などが面倒でしょう・・・。」

 

 

キヴォトスという地において、学校というのはその土地の行政を司る施設であり、生徒会は政治家と役所が合わさったような役割を持っている。

 

その行政権を別組織に移行するとなると、その手間はとてつもなくめんどうなのだ。

 

 

「・・・まあ、行政活動自体ができるような状態じゃなさそうですし(-_-;)いずれにしてもこれは詰んでますねぇ。」

 

 

このアビドスの状態では、連邦生徒会に仲介を頼んで一度学校組織の解散を行い、転校もしくは別組織への行政権委託くらいしかできないだろう。

 

 

「・・・今出てきた3年の小鳥遊ホシノが元生徒会所属ということで、かろうじて体制を保っているようですが?・・・・・・・・・おや?・・・・おやおやおや♪」

 

 

後輩に連れられて現れたピンク髪の少女、小鳥遊ホシノを観て・・・その姿に興味がそそられた。

 

 

「壊れかけてますねぇ♪ア・レ・♪」

 

 

自信のことをおじさんと呼び、のんびり屋な性格を演じてはいるが・・・

 

それが上辺だけのものなのは、他ならぬシュロにとって文字通り『一目瞭然』である。

 

 

「普通あの手の輩は自己保身のための仮面なんですがぁ、どういうわけか小鳥遊ホシノはそれが逆効果になってますねぇ♪死者のまねでもしてるんでようかぁ?」

 

 

自分を守るためのペルソナが、逆に自分を追い込んでいる。

 

ただでさえ余裕が無さそうにもかかわらず、更なる追い打ち。

 

 

「先生を認識したとたんに、警戒心を跳ね上げましたよぉ♪後輩の黒猫ちゃんもですが、あっちは素直なだけですね・・・・・・で・す・がぁ♪小鳥遊ホシノ・・・いえ、ホシノちゃん♪はガチですねぇ!」

 

 

セリカという1年も、いきなり来た大人に疑いの眼を向けているが、あんなものは警戒していると言えず、只々素直な感情を剝き出しにしているだけである。

 

 

「警戒していることを悟らせないように♪疑っていることを匂わせないように♪♪少しでも相手の懐に入って情報を引き出さそうとしている♪♪♪手前様も違和感を覚えてそうですが・・・分かりやすい黒見セリカの方に意識が行ってますねぇ♪」

 

 

何て楽しい舞台だ!

 

至る所に爆弾が仕掛けられており、それがいつ爆発するかわからない!

 

ここから先は綱渡りより質が悪い、地雷原での目をつむりながらの全力ダッシュともいえる状態だ!

 

 

「いいな、いいなぁぁぁ!!これこそ主演にふさわしい!!キヴォトスにきてしょっぱなからこんな舞台に出迎えらえられるなんて!やはり手前様は持っているお人です!」

 

 

調子を取り戻したシュロは、ひとり砂漠の中で飛び跳ねるのだった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

場所は変って、アビドス高校。

 

 

「“よし!持ってきた支給物資はこんなものかな!手持ちはこれだけしかないけど、シャーレ名義で申請すれば、明日にでも追加の物資がくるからね!”」

 

「わあー!助かりました!もう弾薬が限られてたんですよ♪」

 

「ん!これでまた、襲撃に耐えられる。」

 

 

廃校対策委員会の部室で、持ってきていた物資を下す。

 

急を要しそうな手紙だったので、アビドスへと発つ前にカバンに詰めるだけ物資を詰め込んでいたのだ!

 

・・・・そのせいで、食料や水がすぐに尽きたが、可愛い生徒の為なら些細な事である!!

 

断じて準備不足でマヌケな大人ではないのである!!(必死)

 

 

「いや~助かったよ~先生、流石に弾薬が尽きたら、おじさん達もやばかったからさ~。」

 

「先輩、いい加減シャキッとしてよ!流石に寝すぎ!」

 

「え~?ほら、おじさんももう年だからさ~。」

 

「そんなに変わらないでしょう!!」

 

 

アビドスのみんなにも、喜んでもらえたようだ。

 

・・・さっき起きたばかりらしいホシノ先輩と呼ばれていた少女はまだ眠そうだけど(汗)

 

 

「“・・・・・・えっと、手紙にも書いていたけど、武装集団に襲撃を受けてるんだっけ?”」

 

「・・・はい、カタカタヘルメット団という集団が、何度も襲撃をかけて(ダダダダダダダダダダッ!!)じゅ、銃声!?」

 

 

どうやら繰り返し襲撃を受けているというのは本当らしい。

 

校門の方向から、銃声と複数人の声が聞こえてきた。

 

 

「あいつら・・・・!!性懲りもなく!」

 

「あーもう!またなの!!先輩!出動だよ!装備持って!学校を守らないと!」

 

「ふぁあ~・・・・むにゃ。おちおち昼寝もできないじゃないか~、ヘルメット団め~。」

 

 

物資を手早く補充して、4人が迎撃に出ていく。

 

 

「私はオペレーションに回りますので、先生は「“私が指揮をとるよ!”」・・・はい!お噂は聞いています!是非サポートをお願いします!」

 

 

アヤネが通信機と支援ドローンを準備する傍ら、私も自身の用意を進める。

 

 

(“シッテムの箱起動”)

 

 

このキヴォトスに赴任してから手に入れた力。

 

先生として、頼りになる相棒をおこす。

 

 

『戦術指揮モード、起動します!先生!いつでもOKです!』

 

 

(“行くよアロナ、情報分析開始!”)

 

 

脳内に広がる周辺情報。

 

普段目視で確認し、脳内演算で算出していた戦闘エリア情報が、俯瞰風景として自動で脳内に広がる。

 

 

『味方戦力・敵戦力の情報解析開始・・・・完了。戦闘エリア情報に反映します!』

 

 

俯瞰的に展開されている戦闘エリアに、味方と敵の位置や武器種、装甲などの情報がアップされる。

 

 

(“これで今まで戦況分析に割いてた脳内リソースを、戦術指揮に集中して使える!全く、どういう理屈か知らないけど、とんでもなく助かるよ!!”)

 

 

自身の準備が終わり、アヤネが通信を開いたタイミングで全員に声をかける。

 

 

「“みんな!準備はいい?私が指揮をとるから、指示に従って欲しい!安心して、絶対勝たせるから!”」

 

 

「えっ?先生?」

 

「ん、指示に従う。」

 

「そうですね~、先生の指揮は噂になっていますし、お任せします~。」

 

「お手並み拝見かな?」

 

 

よし!みんなの了解が取れたので、早速戦術を組み立てる。

 

 

 

頭を冷やして・・・・

 

全ての情報を分解・・・・

 

敵の動きを予測・・・・・

 

情報の再構築・・・・

 

シミュレートによる検証をして・・・・・

 

 

 

(“みんなにアウトプット!”)

 

「“迎撃編成!前衛をホシノ、中衛をシロコとセリカ、後衛をノノミに編成。アヤネはサポートドローンをノノミのやや後方に!”」

 

 

「「「「「!!!!」」」」」

 

 

私の雰囲気が変わったのを感じたのか、生徒たちが驚きの表情を浮かべる。

 

体の芯が冷え切っているのに、頭の前が沸騰するような感覚。

 

この状態になった私に、こと戦術指揮で右にでるものなどいない!

 

 

「“ホシノ!前から2つ目の遮蔽にまで移動後、楯を展開!その後2発撃って牽制!当てなくてもいい!シロコとセリカは左右に展開!セリカは移動中射撃で敵を牽制!シロコ!5m地点にドローンを隠して!その後更に2時方向へ移動!ノノミは11時の方向にある高所に移動!セリカと同時に動いて!”」

 

 

矢継ぎ早に支持を飛ばす。

 

最初は戸惑っていたようだが、皆すぐに対応して動いてくれた。

 

思った以上に動きがいい。

 

 

「“シロコ!ホシノの前方3人への射線が通ってるはずだ!左の奴は確実に仕留めて!ホシノは楯を右に構えながらシロコに合わせて迎撃!セリカは身を隠しつつ残りの連中を牽制!右に抜けられない様にだけ注意!”」

 

 

シッテムの箱とアロナの力で、脳内に戦局の俯瞰風景がリアルタイムで流れ込む。

 

こんなの、負ける方がどうかしてる!!

 

 

(“これで左右に回り込まれるのを防げた!このまま左は制圧・・・と行きたいところだけど、頭の切れる奴が居たら・・・”)

 

 

「ヤバイ!固まるな!弾幕が薄い所がある!数的有利をとれ!」

 

 

(“って、くるよね♪”)

 

 

「“シロコ!ドローン起動!前方に撃って!アヤネ!サポート準備!”」

 

 

その動きは読んでいる・・・・・というより、そう動くように誘導した。

 

戦術というのは、一種の陣取り合戦だ。

 

射線や飛距離、戦闘スキルの差といった要素こそあるものの・・・

 

 

(“勝負の結果は、基本、立ち回りで決まるんだよ!”)

 

 

シロコのドローンから掃射された小型ミサイルは、セリカの方へと合流しようとしていた2人に、クリーンヒットした。

 

 

「“シロコ!セリカ!残りを挟みこめ!アヤネ!ホシノに回復!ホシノ!そのまま牽制を続けて!”」

 

 

射線が広がったことにより、残ったヘルメット団たちは限られた遮蔽に追い詰められていく。

 

左のシロコ、右のセリカ、正面のホシノ。

 

この攻撃を防げる遮蔽は限られていて・・・・しかしその場所は。

 

 

「“ノノミ、掃射!連中を一掃して!”」

 

 

ノノミの射線がもろに通っている!!

 

 

 

 

 

「じ、状況終了しました。カタカタヘルメット団、撤退していきます。」

 

 

アヤネの通信により、戦闘の終了が告げられた。

 

 

「・・・・・・戦いやすい、なんてもんじゃないね。戦闘の流れを全部掌握してる感じ・・・かな。」

 

「ん、私たちだけの時とは全然違った。これが大人の力・・・大人ってすごい。」

 

「いやいや、大人がどうとかってレベルじゃないんじゃ?」

 

「さすが先生☆ってことですね!」

 

 

攻めてきたヘルメット団達を撃退して戻ってきた皆が、口々に戦闘指揮について評価してくれる。

 

生徒達に比べて力の弱い私が、唯一誇れる能力である。

 

それが評価されるのは、とっても嬉しい。

 

 

「“いやいや、皆が頑張ってくれたからだよ!予想以上に皆強かったし!”」

 

 

これは、リップサービスではなく本心だ。

 

初日のシャーレ奪還以外にも、何度か戦闘指揮をとらせてもらったが、アビドスの戦闘力は生徒たちの中でも上澄みだった。

 

 

「・・・でも、多分また攻めてくる。」

 

「あー、確かに。しつこいもんね、あいつら。」

 

「こんな消耗戦を、いつまで続けなきゃいけないのでしょうか・・・・。他にもたくさん問題を抱えているのに。」

 

 

確かに、一時的に撃退できても、それで襲撃が止むわけではない。

 

私も、ずっとアビドス高校にいるわけにもいかないのだし。

 

 

「それなんだけどさ、おじさんちょっと計画を練ってみたんだ~。」

 

 

少し暗い雰囲気になっているところを、ホシノが明るく提案をしてくれる。

 

 

「え!?ホシノ先輩が!?」

 

「うそっ・・・!?」

 

「いやぁ~その反応はいくら私でも、ちょ~っと傷ついちゃうかな~。」

 

 

最も、1年生組の反応はこのようなものだが。

 

 

「・・・で、どんな計画?」

 

「このタイミングでこっちから仕掛けて、奴らの前哨基地を襲撃しちゃおかなって。今こそ奴らが一番消耗しているだろうからさ~。」

 

 

・・・悪くない手だ。

 

先ほどの襲撃部隊は、結構な人数と装備があった。

 

それを撃退した今なら、相手も浮足立っていることだろう。

 

「い、今ですか?」

 

「そう。今なら先生もいるし、補給とか面倒なことも解決できるし。」

 

「なるほど。ヘルメット団の前哨基地はここから30㎞くらいだし、今から出発すれば・・・」

 

「あちらも、まさか今から反撃されるなんて、夢にも思っていないでしょうし・・・良いと思います。」

 

 

彼女たちも、大体が同意見の様子だ。

 

 

「先生はどう思われますか?」

 

「“良いと思うよ。相手が立て直す前に攻めるって言うのは、セオリーだしね!”」

 

 

彼女たちの練度や、補給物資が充実したことも合わせると、結構ベストな作戦だろう。

 

私たちは、弾薬類の補給を済ませて、ヘルメット団の前哨基地へと向かうのだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「・・・・・・マジですかぁ。強くなってる。」

 

 

最初こそハイテンションに、アビドスの監視をしていたシュロだったが、迎撃作戦が始まってからは、真剣な表情で考え込んでいた。

 

 

「以前の指揮に比べて、戦地の情報を把握するまでが圧倒的に早くなっていますねぇ。それに、先読みの深さや精度もあがっている感じ。戦術と指揮に完全集中しているのでしょうか・・・」

 

 

別人のよう・・・とまでは言わないが、すべての指揮能力が2・3段階アップしている。

 

ただの成長というには、あまりに異常だ。

 

 

「・・・・・『箱』のアシスト機能ですかね?もうちょっと見てみないと何とも・・・・ただ・・・これ下手すると、手前の能力を使ってもきついかも・・・。」

 

 

額から冷や汗が流れる。

 

以前の先生ならば、手玉に取る自信があった。

 

自分が用意した物語に沿わせて、その登場人物として操作するつもりだった。

 

 

「手前様の指揮能力にアビドスの戦力・・・こっちにも手駒が要りますねぇ。」

 

 

ヘルメット団の基地を襲撃する先生たちを観察しながら、シュロは今後の方針に考えを巡らせるのであった。

 

 

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