箭吹シュロ怪聞録   作:イッセ

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参話

 

“拝啓、父上、母上。

 

私がこのキヴォトスに赴任して、そこそこの時が経ちました。

 

数多くの生徒でにぎわうこの土地ですが、銃火器が当たり前にある日常にも幾分か慣れてきて、少しずつ先生としても活動をできています。

 

今は、アビドス高校という所からの救援要請を受け、粉骨砕身で皆のサポートを・・・・

 

 

・・・・・・ふんこつさいしんで・・・・・・・一生懸命に・・・・・・”

 

 

 

 

(“猫耳少女をストーキングしています(汗)・・・どうしてこうなった?”)

 

 

「ああもう!あっち行ってよ!ダメ大人!!ストーカーなの?!」

 

 

「“いや、バイト先がきになって・・・”」

 

「だからってついてくるな!!」

 

 

いやはや、おっしゃる通りです。

 

大の大人が女子高生を付け回しているなんて、警察・・・いや、ヴァルキューレ案件ですね(汗)

 

しかし、生徒から信用を得る為には、少しでも長くお話をしたいところさん・・・・・な・の・で☆

 

 

「“待ってセリカ、重要な。とっても重要な要件があるんだ!!”」

 

「ふ、ふえ?一体何よ?」

 

 

いきなり真剣な顔をした私に、セリカは驚いた表情をする。

 

どうやら、少しだけ時間を貰えるようだ。

 

 

「“セリカ・・・”」

 

 

彼女の目をしっかりと見て・・・腕の裾を少しつかみ・・・ゆっくり顔を寄せる。

 

 

「な、な、なによ。」

 

 

彼女は、少し顔を赤く染めて。

 

 

「“・・・・・・猫耳。ふにふに!やわっこい!!”」

 

 

「・・・死ねええええええええええええ!!!」

 

 

ぶっ飛ばされてしまった(´;ω;`)

 

 

「“まって!冗談、冗談だから!!”」

 

 

「ついてくるなあああああああ!!!!」

 

・・・・完全に怒らして、逃げられてしまった。

 

なぜこうなった(-_-;)

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・・で、逃げられちゃったんだ?」

 

「“コク”」

 

 

セリカを見失い、渋々アビドスに向かうと、他のメンバーたちは皆登校していた。

 

何とかセリカと仲良くしたいのだが、こうも避けられては難しいものがある。

 

「ん、先生は変態。・・・それに猫耳よりも狼耳の方がいい。」

 

「あはっ、花の女子高生にボディータッチはだめですね~☆」

 

「いや、それ以前に付け回すのがどうかと思うのですが(汗)」

 

 

セリカのことを皆に相談すると、3人にどん引かれた・・・。

 

猫耳、好きなんだもん・・・ぐすん。

 

 

「まあまあ、アヤネちゃんその辺で・・・。そんな先生に朗報だよ。セリカちゃんのバイト先に心当たりがあるから、皆で食べにいこっか!」

 

 

同じく相談にのってくれていたホシノが、皆に提案をしてくれる。

 

どうやらセリカのバイト先を知っている用だ。

 

 

「ん、確かにお腹減ったけど・・・セリカのバイト先って飲食店なの?」

 

「おじさんの感が正しければね♪お昼は期待していて良いよ!」

 

 

私も朝からセリカを追い回していてお腹が減っている。

 

是非とも同伴させていただこう。

 

 

「だから追い回してって・・・・・皆さん、ツッコミ無しですか。」

 

「気にしたら負けですよ~アヤネちゃん!」

 

 

・・・・ただ心配をしているだけなので、セーフということにして欲しい。

 

 

 

 

ところ変わって紫関ラーメン。

 

 

「いらっしゃいませ!紫関ラーメンで・・・・わわっ!」

 

 

「あの~☆5人なんですけど~!」

 

「あ、あはは・・・セリカちゃん、お疲れ・・・。」

 

「ん、お疲れ。」

 

 

扉をくぐると、ラーメン屋の制服を着たセリカが驚いた様子でこちらを見ている。

 

・・・・うん、可愛らしくて大変よろしい。

 

 

「先生まで!やっぱりストーカー!?」

 

「“ごっ誤解だ!”」

 

 

いや、誤解なのだろうか?

 

自分で言っていて怪しく感じる。

 

 

「うへ、先生は悪くないよ~。セリカちゃんのバイト先と言えば、やっぱここしかないじゃん?だからきてみたの。」

 

「ホシノ先輩かっ!!ううっ・・・・!」

 

・・・ホシノのフォローで、何とかなった。

 

ありがたい限りだ。

 

 

「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれくらいにして、注文受けてくれな。」

 

「あ、うう・・・はい、大将。それでは、広い席にご案内します・・・こちらへどうぞ。」

 

 

入り口で止まっているのも良くないだろう、案内されるままに奥の座席へと向かう。

 

 

 

 

 

「セリカちゃん。バイトのユニフォーム、とっても可愛いです☆」

 

「いやぁ~、セリカちゃんってそっちの系か。ユニフォームでバイト決めちゃうタイプ?」

 

「ちちち違うって!関係ないし!こ、ここは行きつけのお店だったし・・・。」

 

 

席につくなり、先輩2人がセリカをからかいにいく。

 

確かにバイト服のセリカは、大変可愛らしい。

 

 

「ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮っとけば一儲けできそうだねー。どう?一枚買わない、先生?」

 

「変な副業やめて下さい、せんぱ「“データごと言い値で買います!等身大ポスターにする!!”」・・・先生?!」

 

 

・・・しまった、つい本音が。

 

 

「バカやってないで、さっさと注文してよ!」

 

「『ご注文はお決まりですか?』でしょ~?セリカちゃ~ん、お客様には笑顔で接客しなくちゃ~?」

 

「あぅぅ・・・ご、ご注文は、お決まりですか・・・。」

 

 

メチャクチャにらみつけられる。

 

今回は私、とばっちりでは??

 

 

「私はチャーシュー麺をお願いします!」

 

「ん、私は塩。」

 

「えっと・・・私は味噌で」

 

「私はね~、特製味噌ラーメン!炙りチャーシュートッピングで!」

 

「“醤油の大盛り、煮卵トッピングを”」

 

 

メニューから、ラーメンを選ぶ。

 

通常のものでも野菜盛りがついてくるうえに、お値段がお手頃価格だ。

 

アビドスにいる間は、ひいきにさせてもらおう。

 

 

「・・・ところで、皆お金は大丈夫なの?まさかまたノノミ先輩に奢ってもらうつもり?」

 

 

・・・そういえば、アビドスには9億の借金があったのだった。

 

先の戦闘後に聞いた話だが、昔のアビドス生徒会が結構ブラックな金融会社に融資を受けたらしく。

 

毎月の利息分をギリギリ返済していると言っていた。

 

 

「はい~☆私のカードなら大丈夫ですよ~!限度額ってなんですか?」

 

 

“ピカー!!”

 

 

ノノミが取り出したそのカードは、実にゴールデンな光を放つ。

 

 

「ちょっとノノミちゃん!それは使わないお約束でしょ~!!」

 

 

「“えっ?なにそのカード?!大人の私でも見たことないんだけど(汗)”」

 

「ノノミは意外とお嬢様やってるから。」

 

 

シロコから聞くと、ノノミはかのネフティスの一人娘らしい。

 

それが何故、アビドスに通っているのかは疑問だが・・・・

 

 

「ここは先生が出してくれるでしょ~?大人のカードもあるみたいだし??」

 

「“まあ、普通に私が出すよ・・・・・・・給料を使う暇がないし。・・・・・・超合金カイテンジャーフィギュアはユウカが買うの許してくれないし”」

 

 

悲しきかな。

 

社会人は、お金があっても使う暇がないのである。

 

・・・・・なにより、生徒に出させるのはあまりにもなさけなゲフンゲフン。

 

 

 

 

 

「「「「「“ごちそうさまでした。”」」」」」

 

 

皆がラーメンを食べ終わる。

 

・・・・実に・・・実に美味かった。

 

食べ応えのある量に濃厚なスープ。

 

油が多かったのは、コーティングで冷めるのを避ける為だろう。

 

この美味しいラーメンが、通常は580円というのだからありがたい限りだ。

 

 

「よし!みんな食べたし、いこっか!」

 

「早く帰って、二度と来ないで、仕事の邪魔だから!!」

 

「“そんな!セリカの可愛い姿をもっとみたい!”」

 

「うっさい!死ね!」

 

「うへ~、また来るね~。」

 

「もう来るな!!」

 

 

憤慨しているセリカを店内へと見送り、それぞれが帰路につく。

 

 

「ふぁあ~、それじゃあおじさんも帰るねぇ~、もうねむくてねむくて。」

 

「うん、それじゃあ、また明日。」

 

「はい!また明日ですね☆」

 

「私も、今日はこれで。」

 

「“あ、じゃあアヤネ、途中まで一緒にいこう。”」

 

 

空を見上げると見事な夕焼けが目に入る。

 

もう少しすれば、日が完全に落ちて暗くなるだろう。

 

それぞれが見えなくなるまで見送り、私もアヤネと共に、帰路につくのであった。

 

 

 

 

「“・・・・・アロナ、シッテムの箱起動”」

 

 

とある準備だけ、しておいて。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

砂漠のとある廃ビルにて。

 

 

「くっそ~~!あいつら!好き勝手にやりやがってー!!」

 

「いてて、結構派手にやられちゃったよね。」

 

 

そこは、カタカタヘルメット団の基地の1つ。

 

前哨基地がアビドスの襲撃でやられてしまったものの、とある理由から資金は潤沢にあり、彼女たちはいくつかある基地の1つに、逃げ込んでいた。

 

 

「おいリーダー!!あいつらの物資、尽きかけてたんじゃねえのかよ!」

 

「・・・そのはずだったんだけどね。どっかから補充したのか、融資でも受けれたんでしょ。そうじゃないと、前哨基地まで攻められない。」

 

 

全員がヘルメットをかぶっていて見分けにくいが、アビドスの襲撃にも参加していた赤いヘルメットをかぶっている少女がリーダーのようである。

 

彼女は部下たちの不満を抑えて、次の襲撃作戦について話していた。

 

「・・・とにかく、基地をつぶされたのは痛かった。ここは前に話した通り、1年の誰かを人質に取る形で「おやおやおや、敗北や失敗に学ばないおバカさんですねぇ~♪それじゃあ、また失敗するのがオチですよ~。」誰だ!!!」

 

 

そんな話の最中に、どこからともなく和服姿の幼女が現れた。

 

 

「手前が誰かはどうでいいでしょう?そうですねぇ~、ちょっとした情報を持ってきてあげた・・・」

 

 

いきなり現れた・・・としか言えないような、その不気味な幼女は。

 

 

「とっても親切な、妖精さんですよぉ♪」

 

 

ぞっとするような笑みを浮かべていたのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「セリカちゃんと連絡がつかないんですか?!」

 

「・・・はい。数時間前から電源が入ってないみたいで・・・。」

 

「バイト先では定時に店を出たみたい。その後、家に帰ってないってことかな。」

 

 

夜の対策委員会室では、アヤネと先生による緊急招集を受けて、セリカを除いたアビドスの面々が集合していた。

 

 

「・・・ヘルメット団の仕業・・・かな?それで?先生はなんて?」

 

「それが・・・私もいきなりセリカちゃんの安否を確認するように言われて・・・“ガチャ”!!先生!」

 

 

緊迫した状態で話合っていた所、先生が入室してきて皆の視線が集まる。

 

 

「“・・・セリカの現在地が分かったんだけど・・・此処ってどこか、心当たりある?”」

 

 

シッテムの箱を起動して、端末を机の上に置く。

 

画面には、アビドスの地図情報が表示されており、赤い点がセリカの居場所を示しているらしい。

 

 

「ここは・・・砂漠化が進んでいる市街地の端の方ですね?」

 

「住民もいないし、廃墟になったエリア・・・治安が維持できなくて、チンピラばかりが集まってる場所だね。」

 

 

バイト先からもセリカの家からもかけ離れた、彼女がまず行かない所。

 

ますます嫌な予感を覚えつつ、アヤネがあることに気付いて声をあげる。

 

 

「あっ!このエリア、以前危険要素の分析をした際に、カタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です!!」

 

「・・・なるほどね~、帰宅途中のセリカちゃんを拉致して、自分たちのアジトに連れて行ったってことか・・・。」

 

 

ホシノの話し方こそいつも通りだが、目の奥が危険な光を放っている。

 

 

「学校を襲うくらいじゃ物足りなくて、人質をとって脅迫しようってことかな。」

 

「考えていても仕方ありません!急いでセリカちゃんを助けに行きましょう!」

 

 

シロコやノノミも、後輩を誘拐されて気が気でないのだろう。

 

いつになく焦った様子だ。

 

 

「“そうだね、急いで出発しよう!”」

 

「ヘルメット団から奪った車があります!」

 

 

各自武器をとり、急ぎセリカ救出へと急ぐのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・・ねえ、先生。・・・1つ・・・聞きたいんだけどさ。」

 

 

セリカ救出へと向かう車の中で、ホシノが静かに声をかけてきた。

 

 

「“・・・?どうしたの、ホシノ?”」

 

 

ただならぬ様子に少し身構えてしまう。

 

セリカがさらわれたのだから当然ではあるが・・・・どうやらそれとは別に、私に対して疑いを持っている様子だ。

 

 

「なんでこんなに早く、セリカちゃんが拉致されたってわかったの?アヤネちゃんから、先生が真っ先に安否の確認を指示されたって聞いたよ?」

 

 

その疑問は他のメンバーも持っていたのだろう。

 

各自で武器の点検をしていたみんなも、こちらに意識を向けた。

 

 

「セリカちゃんの現在地もすぐに分かったみたいだし・・・・いくらシャーレの権限でも、個人端末の位置を勝手にチェックするとかはできないでしょう?そもそも電話の電源も落とされているみたいだしさ。」

 

 

・・・まあ、この質問内容は予想していた、謝りついでに種明かしといこう。

 

 

「“・・・うん、ゴメンね?アヤネとセリカには発信機をつけてた。アヤネ!制服の襟の所、もう外していいよ!”」

 

「え、ええ?!あ、ほんとにある!?いつの間に!!」

 

 

運転席のアヤネから、驚きの声が上がる。

 

 

「セリカちゃんが誘拐されるの、わかっていた・・・・・ってことかな?」

 

「“まさか。”」

 

 

流石に確信はなかった。

 

あくまで、相手が取ってくる可能性の1つ。

 

ただ、幾つかしていた対策が、たまたま役に立っただけ。

 

そう、ただ・・・

 

 

「“ただ、相手が取ってくるだろう次の手は、アヤネかセリカの誘拐な可能性が高かっただけだよ。”」

 

 

人質、対策委員の各個撃破、誰もいなくなった校舎へのトラップ、シロコのロードバイクや所有車両に仕掛け、etc

 

 

私であれば使うであろう、アビドスを攻める“次の策”。

 

その中から、特に厄介そうなモノの対策を、10個ほどしていただけである。

 

 

「“その中に偶々、セリカの誘拐が含まれてた・・・ってだけ。私に対する態度で、彼女の性格はなんとなく理解できてたし、この中で狙われやすいとなると・・・”」

 

「・・・バイトなんかで単独行動が多いセリカちゃんと、非戦闘員のアヤネちゃん・・・ってことか。・・・・・ごめん。おじさんの認識が甘かった。」

 

「・・・・セリカちゃんを追い回していたのも、それとなく委員会室にメンバーを集めていたのも、私と一緒に帰ったのも、全部対策の一環だったのですか。先生には謝らないとですね。」

 

「“気にしなくていいよ。”」

 

 

万が一を考えるのは、大人の役目である。

 

・・・最も、こうやってセリカを拉致されているあたり、私の対策もまだまだだ。

 

 

「“すべては、ちゃんと助けてから・・・・だからね。”」

 

 

助けれないと・・・・意味がない!

 

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