箭吹シュロ怪聞録   作:イッセ

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肆話

 

 

“ガタンガタン”

 

「う、うーん・・・・・・・・へ?」

 

 

体に感じる揺れで、目が覚める。

 

セリカが目を覚ましたその場所は、一切の見覚えが無く、どうやらトラックの荷台のようだった。

 

 

「・・・・えっと?なんでこんな所に??・・・・・!!」

 

 

意識を取り戻したばかりで、少し現状が理解できていなかったセリカだが、だんだんと意識を失う前のことを思い出してきた。

 

 

「私・・・・さらわれた!?」

 

 

やっと理解が追い付いたものの、辺りは暗く、トラックが何処を走っているのかが分からない。

 

 

「スキマから少し光が漏れてる・・・・ここから外を確認できるかも?」

 

 

外からの光が漏れているところを発見し、何とか体ごとのぞき込むことで、外の様子を確認する。

 

しかし・・・・・

 

 

「ここって、砂漠に・・・・・線路!?ってことは、アビドス郊外の砂漠!?」

 

 

想像以上に遠くへと連れられたことに、絶望を覚えた。

 

・・・それは、純粋に距離が遠い、というだけではなく・・・・。

 

 

「そ、そんな。ここからじゃ、どこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、対策委員会のみんなにどうやって知らせれば・・・・。」

 

 

アビドスという地域は、数年前から砂嵐の被害が出ている。

 

それは郊外に行くほどひどくなり、通信機器などはほとんど役に立たなくなるのだ。

 

 

「どうしよう、みんな心配してるだろうな・・・。」

 

 

既に外は日が登り、明るい時間になっている。

 

何時間意識を無くしていたかはわからないが、既にアビドスの皆には姿を消したことが伝わっているだろう。

 

 

「・・・このままどこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように・・・。」

 

 

仮に脱出を成功させたとしても、アビドスへ帰る手段がない。

 

運よく逃げられたところで、自力で砂漠を超えるのは不可能である。

 

 

「連絡も途絶えて・・・私も他の子たちみたいに、街を去ったって思われるんだろうな・・・。」

 

 

死ぬのは怖い。

 

これから降りかかることにも不安はある。

 

・・・でも、それ以上に。

 

 

「裏切ったって・・・思われるのかな・・・。」

 

 

大好きな仲間たちに、誤解をされたまま死ぬことが・・・何よりも恐ろしかった。

 

 

「・・・そんなの・・・ヤダよ。」

 

 

暗い荷台に、止まる気配の無いトラック。

 

外の景色は、みるみるアビドスから離れていく。

 

 

「・・・う・・・うぐぅ・・・。」

 

 

この絶望感を一人だけで耐えるのは・・・・・

 

 

「うっ、ううっ・・・・。」

 

 

まだ幼さが残る少女には難しかっ。

(ドカーーーーーーン!!!)

 

 

「う、うわあああっ!?」

 

 

更なる絶望感に襲われそうだったその時、凄まじい衝撃に襲われる。

 

 

(ドゴーーーーーーン!!!)

 

 

セリカが乗せられていたトラックは横転して、動きを止めた。

 

 

「カハッ、ケホッ・・・ケホッ・・・。」

 

 

衝撃とそれによる土煙によって、思わず咳が込み上げる。

 

 

「な、何っ!?爆発!?トラックが爆発した!?」

 

 

いきなりの事態に混乱するが、何とか荷台から脱出する。

 

 

・・・・散乱する荷物を押しのけて、なんとか這い出た先で、見慣れたフォログラムによる通信が入った。

 

 

『セリカちゃん発見!生存を確認しました!』

 

「・・・あっ、アヤネちゃん?!」

 

 

入学してから、毎日のように顔を合わせていた同級生の姿に、安心感を覚える。

 

 

「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」

 

「!?」

 

「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!」

 

 

続いて現れたシロコとホシノの姿に、それどころじゃなくなる。

 

 

「う、うわああ!?う、うるさいっ!!な、泣いてなんか!!」

 

「嘘!この目でしっかり見た!」

 

「泣かないでください、セリカちゃん!私たちが、その涙を拭いて差し上げますから!」

 

 

畳みかけるようにシロコとノノミがからかってくる。

 

一気に安心すると同時に、泣き顔を観られたことで恥ずかしくなる。

 

 

「あーもう、うるさいってば!!違うったら違うのっ!!黙れーっ!!」

 

 

でも、そのおかげで、いつもの調子を取り戻すことができた。

 

そんな中、いつものメンバーの中に、最近会った大人の姿を見つける。

 

 

「“うん、無事みたいだね。安心した。”」

 

 

「な、何で先生まで!?どうやってここまで来たの!?」

 

 

「“さらわれたお姫様を助けるのは勇者の役目!”」

 

「バ、バ、バッカじゃないの!?」

 

 

あれだけ目の敵にした自分を、まさか助けに来てくれるだなんて、考えてもみなかった。

 

・・・・とはいえ、ふざけた態度についきつい反応を返してしまう。

 

 

「うへ、元気そうじゃーん?無事確保完了―。」

 

『よかった・・・セリカちゃん・・・私、セリカちゃんに何かあったんじゃないかって・・・。』

 

 

ホシノは相変わらずの様子だが、アヤネは泣きそうな顔で心配してくれる。

 

 

「アヤネちゃん・・・。」

 

 

さっきまで感じていた心細さや絶望感を思い出し、セリカもまた目がうるむ。

 

かくして・・・セリカの救出は無事に果たせたのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・救出は。

 

 

 

 

 

 

「まだ油断は禁物。トラックは制圧したけど、ここはまだ敵陣のど真ん中だから。」

 

 

セリカの救出に喜びを示すメンバーに、シロコからの激がとぶ。

 

そう、確かにここまでは敵に見つからずに接近できたが・・・。

 

 

「だねー。人質を乗せた車両が破壊されたって知ったら、敵さん怒り狂って攻撃してくるよー。」

 

 

ホシノの言う通りである。

 

流石に今の襲撃で、敵の主戦力にも気づかれたことだろう。

 

可能な限り迅速に、この場から脱出すべきである。

 

 

『前方にカタカタヘルメット団の兵力、多数確認!巨大な銃火器も多数・・・・え??』

 

 

 

アヤネの言葉が途切れる。

 

一体どうしたというのだろうか?

 

ヘルメット団の兵がこちらに来るのは、事前に想定していたはずである。

 

 

 

『先生!!』

 

・・・・・その答えは、手元のシッテムの箱とアヤネの悲鳴染みた報告で、同時に知らされた。

 

 

「『既に包囲網が完成しています!!重火器多数!!完全に囲まれました!!』」

 

「“!!!”」

 

 

絶望的な撤退戦が、今、はじまった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・あれが、シャーレの先生か。」

 

 

見晴らしのいい砂丘の上で、赤いヘルメットをかぶったカタカタヘルメット団のリーダーがぽつりとつぶやく。

 

ほとんど独り言のつもりだったのだが、それを聞いていた部下たちが反応を返してきた。

 

 

「本当に噂のシャーレがアビドスに協力してたんですね。」

 

「しかし、トラックの奴ら。まんまと制圧されやがって・・・後でとっちめなきゃな。」

 

「そう言ってやるな、結局は作戦通りに進んでるんだ・・・流石にこの包囲網は突破できないさ。」

 

 

そう、この一連の流れは、全てヘルメット団の作戦通りに進められていた。

 

・・・とはいっても、当初の予定ではアビドス1年の誘拐、それを交渉材料にした立ち退きの脅迫が目的だったのだが。

 

 

(あのガキの言う通り、当初の作戦じゃ下手すると人質を取り戻されてたな。一体何者だったんだ?あいつは・・・。)

 

 

思い出すのは昨日のこと、ヘルメット団の基地に現れた、不気味な少女のことである。

 

 

 

 

 

 

 

「連邦捜査部シャーレ?それがアビドスに味方してるのか?」

 

 

前哨基地から撤退して、別の基地で一息ついた所に現れた少女は、名乗ることもせずに私たちが配送した原因だけを教えてきた。

 

 

「ええ、不思議に思わなかったんですかぁ?アビドス校舎へ襲撃した時、前哨基地で襲撃を受けた時、どちらもこれまでとは比べ物にならないほど強かったでしょう?」

 

 

・・・見られていたのか。

 

いや、確かにこれまでのあいつらとは動きが違うことには気づいていた。

 

攻撃指示を出す前にこちらの出鼻をくじかれて、逃げ込んだ先にはこれでもかというタイミングで追撃がくる。

 

それはまるで・・・・

 

 

「『まるでこちらの考えが読まれているようだった』・・・ですかぁ?」

「!!!」

 

 

こちらの考えを予測していたかのような言葉に、悪寒が走る。

 

目の前にたたずむ少女がこちらを見る目から、視線を逸らせない。

 

 

「連邦捜査部シャーレ。噂くらいは聞いたことがあるでしょう?・・・そしてぇ、それが敵に回った際の厄介さもぉ、想像がつく・・・はずですよねぇ?」

 

 

こちらをバカにするようなその話し方にカチンとくるが、かの連邦生徒会長が招いたという大人の化け物染みた指揮能力は、ヘルメット団の間でも確かに噂になっていた。

 

 

「そう!外の世界の大人!そこがポイントですよぉ?」

 

 

テンションが上がっているようだが、またしてもこちらの考えを読まれたかのように言葉を紡いでくる。

 

・・・しかし、外の世界の大人だから、一体何なのだというのだろうか?

 

 

「・・・あきれるくらいおバカさんですねぇ。つまり、私たちキヴォトス人みたいな変な能力ではなく、純粋な作戦指揮能力の高さから来る予測行動だと言ってるんです。」

 

 

?だから何だというのか?

 

指揮能力が高い人物が味方に付き、直接戦闘が敵わないのなら、人質をとるような搦め手を実行するしかないだろう?

 

 

「あなた達ごときが策を講じても意味がないと言っているんですよぉ?どうせアビドスの1年でも狙うんでしょう?対策されて取り戻されるのがオチです。」

 

「・・・だったら!どうしろって!「2重の罠を張るんですよぉ、取り戻される前提で、迎え撃つのに有利な状況を」!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ま、それでもヘルメット団では限界があるでしょうけどねぇ♪」

 

 

人気のない場所で、シュロは怪異を通してアビドスの現状を観察していた。

 

昨日にヘルメット団へと情報を与えて、間接的に先生を追い詰めることに成功する。

 

 

「とはいえ、この人数で囲めばある程度は追い詰められることでしょう。・・・そして。」

 

 

懐から古い書物、『稲生物怪録』を取り出す。

 

 

「来なさい、『窪い所に水溜まる』・・・ちょっとだけ、邪魔しちゃいましょう♪」

 

 

彼女の呼びかけに答えるかのように、シュロの隣に大きなハマグリが姿を現した。

 

『窪い所に水溜まる』と呼ばれたこの怪異は、蜃(しん)または迷い神と呼ばれていた妖怪である。

 

元は蜃気楼などを出して人を迷わせる妖怪なのだが、『窪い所に水溜まる(くぼんだ所に水が自然に溜まるように、条件の備わったところは自然によい成り行きになることのたとえ)』という諺で縛ることで、相手の無意識を操る怪異へと昇華していた。

 

 

「・・・まあ、あくまで無意識に干渉するだけでぇ、細かい指示はできないのですが・・・・まあいいでしょう♪」

 

 

そうシュロが言うや否や、大きなハマグリは姿を消して、戦場が軽く霧がかった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ダダダダダダダダダダッ!!

 

 

「くっ、あーもう!うっとうしい!」

 

「うへ~、流石にこの人数差はきびし~ね~。」

 

 

無事にセリカは助け出せたものの、多数のヘルメット団に包囲され、アビドスの面々は窮地に陥っていた。

 

 

 

当初の予定ではセリカの救助後、反撃してくるヘルメット団にひと当てして、ひるんだ隙に撤退する予定だったのだが、まるで予測されていたかのような部隊展開に実行できず。

 

また、包囲網の1点突破を先ほどから狙っているのだが・・・・

 

 

(“集団戦闘が格段に上手くなっている!攻撃の起点を作れない!!”)

 

 

反撃をことごとく邪魔されていたのだ・・・・

 

 

 

 

先の襲撃で、先生はカタカタヘルメット団の練度をおおよそ予測していたのだが、今回はレベルが違った。

 

 

(“言っては何だけど、襲撃時の戦術は素人染みていた・・・。狙いやすい人間や近い生徒を攻撃する、いわば数任せの戦法。”)

 

 

リーダーはそこそこ考えて動けていたが、訓練された組織に比べれば戦術面はお粗末なものと言えただろう。

 

しかし・・・・

 

 

(“対して今は、1人に対して2人以上の銃撃を徹底している。・・・しかも位置取りが絶妙だ!互いがターゲットから見て、90度以上の角度を意識して位置取りしている!”)

 

 

銃撃戦において、前方からの攻撃というのは対処がしやすい。

 

それは単純に弾を撃ち返せたり、構えることで正面からの照射面積を狭くしたりできるからだ。

 

 

対して、銃を構えた状態は真横からの攻撃に弱い。

 

弾の当たる面積が大きいうえに、特に広い角度をとっての同時攻撃は撃ち返しにくいのだ。

 

 

(“いくら丈夫なキヴォトス人でも、撃たれた時の衝撃は通る。耐えている間は狙いを定められないし、ただでさえ人数が劣るのに、個人での手数も止まってしまう!”)

 

 

これは、高い防御力を誇るホシノであっても通じる手だった。

 

その上に、ホシノの獲物は近距離用のショットガン。

 

今回のように距離を維持されている上に、包囲網を敷かれての戦闘は、相性最悪と言える。

 

 

(“打開方法として使えそうなのは、ノノミのマシンガンとシロコのドローンによる小型ミサイルだけど・・・・相手もわかっているのか、2人の身動きができない様に立ち回ってる・・・セリカとシロコのアサルトライフルじゃ、押し返すほどの火力が出ないし・・・。”)

 

 

こちらの戦力にスナイパーでもいれば、ホシノの影から狙ってもらい、ちまちま削ることもできたのだろうが・・・・まあ、無いものねだりだろう。

 

 

「“大人のカードを使うか?・・・・いや、ヘルメット団も生徒、生徒相手に使うわけには・・・”」

 

 

『大人のカード』

 

大人である先生が持つ、一種の反則、チートと言ってもよい力である。

 

その代償は大きく、具体的には分からないものの、使用後には自分の中の大事な何かが消費される感覚があった。

 

その分、発揮できる力は大きく、無から有を生み出せる強力な能力を持つ。

 

故に、その力を生徒に使用するのは、自身の中で禁じていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・切り札は・・・見せませんかぁ。そう易々と使わないのか、生徒相手には使えないのか・・・。まあいいでしょう。」

 

 

怪異に指示を出し終えてからは、今回シュロにすることがない。

 

怪異『窪い所に水溜まる』の力は、他者の無意識に干渉して、大雑把な命令をできるというものである。

 

なので、戦況に合わせた指示をとばすことはできず、細かい命令も守らせることができない。

 

 

「今回連中にできた干渉は、『横を向いている相手を優先して撃て』と『安易に距離を詰めるな』の2つだけ。なんとも心許ない指示ですがぁ・・・・これだけでもやりにくいでしょう♪」

 

 

勿論こんなことで、アビドスや先生を打ち取れるとは思っていない。

 

先生の更なる手札や、運が良ければ切り札の様なものを確認できれば、御の字だと思っている。

 

 

「ほうら、そろそろセリカちゃんあたりが、危なそうですよぉ?手札はまだあるでしょう?  だせ♪ だぁせ♪

 

無邪気に、そして楽しそうに、シュロは先生たちのピンチを観察していた。

 

 

 

 

 

 

「きゃっ、くぅぅぅ。」

 

『セリカちゃん!大丈夫ですか!!』

 

 

戦闘が続く中。最初に被弾が増えだしたのは、誘拐されていたセリカであった。

 

 

長時間の拘束により、動きが本調子とは言えず。

 

持ち前の機動力が発揮しにくい包囲戦・・・ここまで持ちこたえているだけでも、優秀と言えた。

 

 

「“ホシノ!セリカの所まで下がって!ノノミ!10時から1時方向に掃射!アヤネ!ホシノが到着後、回復!”」

 

 

素早く指示をとばして、対応する。

 

幸いにも、セリカ自身はまだ戦闘継続が可能であり、もうしばらくの戦線維持は可能だろう。

 

 

(“・・・でも、このままじゃジリ貧だ。思った以上にホシノの動きがいいから、重火器さえ何とか出来れば、無理やりの突破は可能だろうけど。”)

 

 

アビドス対策委員会の戦闘能力は、皆高い。

 

中でも、ホシノの動きやとっさの判断力には目を見張るものがあり、タンクにもかかわらず機動力も高かった。

 

理由はわからないが、普段の迎撃戦では手を抜いているのだろう。

 

もしくは、戦闘スタイルを変えていたのかもしれない。

 

 

(“それでも、重火器を何とかしなくちゃ、盾持ちのホシノを上手く動かせない。”)

 

 

絶えず攻撃の手を緩めない、多数の重火器をにらみつける。

 

おそらくは最新の兵器なのだろう、その大きさに対して操縦している人数は少ない。

 

 

(“おそらくは、ある程度の電子制御で運用できて、最低限の人員で使えるように・・・・・電子制御?”)

 

 

ふと、思いついた一手。

 

自分や、アビドスの皆ではどうしようもない兵器だが・・・

 

ずっと頼っている、己の相棒なら、このピンチをどうにかできるのではないか?

 

 

「“・・・ねえ、アロナ。あの重火器なのだけど、何とかできたり・・・する?いや、あの距離からこっちを正確に狙うのに、多分電子制御でやっていると思うんだけど。”」

 

 

アビドスの面々に聞こえない程度の声で、手元のシッテムの箱に問いかける。

 

それに合わせて、戦術サポートによる演算処理をしていたアロナは、対象の重火器を解析し始めた。

 

 

『あのタイプは、最新式の電子制御で動いているタイプですね。GPS機能を用いた衛星情報を元に狙いをつけています・・・・・はい!あれならネットワークに繋がっているので、シッテムの箱でハッキング可能です!!』

 

 

最高の返事である。

 

ダメもとで確認してみたが、一番重要な対象の狙いを電子制御でつけている上に、ネットワークを介しているときた。

 

 

「“なら!GPS機能をハッキングして、火力を右舷のヘルメット団に変えてくれる!?最悪こちらを狙いから外してくれればいいから!!”」

 

『はい!やってみます!!』

 

 

あの重火器さえどうにかできれば、このピンチもどうにかできる。

 

アロナが兵器へのハッキングを開始するのを横目に、反撃の準備としてアビドスの面々に指示を飛ばす。

 

 

「“ホシノ!重火器の攻撃を何とかするから、攻撃が途切れる瞬間に前に出て!シロコ!ドローンの準備!狙いは2時方向にある装甲車!セリカ!まだ動ける?車が爆発すると同時に、装甲車の右側から爆炎に紛れて走り抜けるよ!!ノノミは左舷への掃射後に付いてきて!!アヤネはそっちに車を回しといてね!!”」

 

 

各自に指示を出してからきっかり15秒後。

 

多数の重火器は

 

一斉に同士討ちをしだすこととなる。

 

 

「“走れ!!”」

 

 

シロコのドローンで装甲車を爆発させると同時に、重火器と車の爆発に紛れてその場から退避する。

 

 

まさに、ギリギリの撤退劇と言えた。

 

 

 

 

 

 

「う~ん、確かに“箱”の底力は確認できましたがぁ、手前新しい技術には明るくないんですよねぇ。とりあえず、手前様と対峙する時には機械系統を使わないようにするべきでしょうか?」

 

 

怪異を通して見た今回の戦闘は、予想していたよりも収穫が少なかった。

 

できることならば、先生の懐から感じる“カード型の不気味なアーティファクト”を見たかったのだが、生徒相手には使ってくれなさそうだ。

 

 

「けど、箱の性能は予測できましたねぇ、と・く・にぃ♪」

 

 

戦場にいる際に、先生を覆っている力場。

 

その力場がシッテムの箱を利用する際には揺らいでいた。

 

 

「多分、あの“箱”には情報処理や電力に限りがあって、それが尽きたら手前様は無防備になるのではぁ?」

 

 

これはまだ、予測に過ぎず。

 

あの守りを突破するには、多くの検証が必要だろう。

 

・・・・・しかし。

 

 

「み・つ・け・ま・し・た・よ?手前様ぁ!手前様の殺し方♪」

 

 

先生はシュロに、良くない情報を握られたようである。

 

 

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