Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜 作:短号司令官
第1話
西暦2202年
12月24日- ガトランティスが太陽系の第十一番惑星に攻撃を開始する。
12月25日 - ヤマトが地球を発進する。
同日-海軍軍令部より日本武尊発進が命ぜられる。
26日深夜
富士鎮守府 司令室
キリト「そんな……古代さんが…⁉︎」
大石より古代進の乗艦したヤマトが無断発進し、反逆罪を言い渡されたことを知りキリトは驚愕する。
大石「…だが現在では総長の計らいで追認という形ではあるが、正規の命令として第十一番惑星への救援へと向かっている」
キリト「そう…ですか……」
大石「……まぁ気を落とすな。それと総長から命令が下った」
俯きかげんだった彼は頭を上げて話を聞く。
キリト「高野さんから…どんな命令ですか?」
大石「…ヤマトの援護に向かってくれ……という事だ」
キリト「…!」
大石「紺碧会の予想によると、敵は250万隻の敵を派遣すると推測されている……」
キリト「に……250万…⁉︎」
大石「それをヤマト一隻でやれると思うか…?」
大石の質問に一瞬詰まるも直ぐに返答する。
キリト「無理…でしょう……」
大石「そういう事だ」
キリト「それでいつ…?」
大石「明日だ。出港準備は整ってるし、後は我々が乗るだけだ」
キリト「相変わらず手際いいですね」
大石「ところで、結城君たちの制服はどうなった?」
キリト「あー……アスナ達、やっぱり"あんな"制服は嫌だって…」
大石「やっぱりな……」
翌日 早朝
集合場所の談話室ではキリトが先に待っていた。
キリト「それにしても…まさか俺のまで新調するなんてな……」
彼らが正式に日本武尊に配属されるにあたって、格好にも問題があるメンバーもいる為特注の制服を仕立てられたのであった。
ユージオ「おはようキリト、今回は寝坊しなかったみたいだね」
キリト「あぁおはようユージオ」
二人の制服は昔ながらの「ジェントルトレンチM」*1という海軍服のような格好でユージオが水色、キリトが黒を基調としていた。
ユージオ「僕とキリトのは色以外はお揃いみたいだね。それにしても…なんだか慣れないな……」
アリス「そのうち慣れますよ、ユージオ」
ユージオ「アリス」
アスナ「おはよう、キリトくんにユージオくん」
キリト「おはよう、アスナ」
彼女達は「ワンダーサーコート」*2と呼ばれる女性用の物を着用している。
キリト「うん、流石だ。皆かっこいいな」
アリス「ふふん、こればかりは私も気に入ってます」
ユージオ「そうなのかい?」
リズ「なんだか気が引き締まるわね」
リーファ「いつもとは違って新鮮な感じもしますし、なんだかワクワクします!」
シノン「そうね。
シリカ「確かに……」
ユイ「私も反対です」
正規の女性用制服はあるのだが、あんなボディラインが強調されるような物は着たくないと強い反対にあった為、急遽アリスと同じ物を色違いて仕立てたという事である。
アスナ「本当よ。あれを抵抗無く着れるあの人達も凄いと思うわ…」
ユウキ「本当凄いよ」
キリト「慣れってやつさ」
ふと腕時計に目を向けて見ると乗艦時刻が迫っていた。
キリト「やっべ!皆行くぞ、時間がない!」
アスナ「えっ⁉︎ちょっとキリトくん‼︎」
ユージオ「キリトとい居るとついゆっくりしちゃうな…!」
ロニエ「せんぱぁ〜い!」
キリトを追って走り出した一同は地下にある日本武尊専用ドックへと一路急ぐ。
エレベーターを降りて一本道の通路を足早に行き、突き当たりのゲートを身分証をタッチして開く。
ユウキ「おぉ〜!」
セルカ「おっきい……!」
アスナ「キリトくん、もしかしてこれが……」
キリト「俺も見るのは初めてだけど……間違いないよ」
視線の先には、あらゆる艦艇を一撃で沈めるうる破壊力を秘めた超精度の51cm三連装砲、異様に大きく張り出たバルジ、無数の対空光線砲、そして城のように高く聳える艦橋を備えた戦艦、宇宙超戦艦日本武尊が出撃の時を待ってひっそりと佇んでいた。
ふと視線を逸らすと日本武尊を眺める人影が一つあった。
キリト「大石さん!」
大石「!…ようやく来たか。待ちくたびれたぞ」
リーファ「遅くなって御免なさい。後は私達だけですか?」
大石「そうだな、来たまえ」
大石に促されて一同はタラップから艦内へと入る。
あらゆる設備・装備が備えられた艦内は快適で、ある程度の人員も削減してある為全員に個室が与えられている。
第一艦橋
艦橋内へ入るとそれぞれの指定された座席へと座っていき、パネルや機器の電源を入れる。
※一部メンバーは別所。
富森「綾野さん、乗組員各員の状況はどうですか?」
シリカ「あっえっとー…欠員無し……全員乗ってます!」
富森「感謝します」
原「結城君、各種レーダーシステムはどうか?」
アスナ「対空・対艦・対戦、各レーダー異常ありません」
原「結構、そのまま頼む」
シノン「主砲塔へのエネルギー伝達回路異常無し、誘導システム良し…」
富森「長官。全艦発進準備よろし」
それを受けた大石は立ち上がって話し始める。
大石「諸君、その場で聞いてくれ。これから我々はヤマト救援に向かうが、相手は白色彗星…通称:ガトランティス帝国と呼ばれる未知の相手だ。君達が対峙してきた相手とは何もかもが違う……そして、より酷い現実を目の当たりにするだろう。だが俺は君達の命を預かる者として、この場に居る全員を…必ず生きて返すと約束する」
原「敬礼ッ!」
一同は立ち上がって大石に敬礼をし、彼も応礼で返し座席に着く。
大石「機関始動!」
号令と共に富森艦長が慣れた手つきで作業を始める。
富森「補助エンジン内圧力上昇、始動10秒前」
ユージオ「補助エンジン動力接続」
富森「動力接続、スイッチオン」
補助エンジンが始動、回転数を上げて出力を増していく。
リズ「ドック注水っと!」
排水口から海水がドック内へ入り量と共に水位を上げていく。
そして遂にドック内全てが水で満たされた。
原「ガントリーロック解除」
アスナ「ガントリーロック、解除します」
ロックから離された日本武尊は水中にそのまま浮遊した状態になる。
富森「微速前進0.5」
彼の指示に合わせてユージオは少々おぼつかない様子だがスロットルを操作して補助エンジンを点火させ、ゲートへ向けてゆっくりと進む。
原「篠崎君」
リズ「了解!」
パネルを操作してドックを閉鎖していたゲートをリズが開ける。
富森「波動エンジン内、エネルギー注入。始動5分前」
大石(さてここまではうまくいったが……)
原「訓練中の身とはいえ、皆やりますな」
原の意見に大石は静かに頷く。
水路内を進むにつれて、外洋に出たのか周りが明るくなった。
富森「波動エンジン始動2分前」
キリト「海面へ出ると同時に波動エンジンに点火しジャンプだ。できるなユージオ?」
ユージオ「うん……なんとかやってみるよ……!」
富森「落ち着いてやればできます。教えた通りの事をやれば」
ユージオ「はい…!」
富森「頼みます。フライホイール始動10秒前、現在補助エンジン最大戦速」
アスナ「海面まであと30秒です」
富森「波動エンジン内エネルギー充填120%、フライホイール始動!」
フライホイールが始動と同時に回り出し、回転数と共に出力を上げていく。
キリト「波動エンジン点火10秒前………5…4…3…2…1…」
秒読みと共に水飛沫が左右へ飛び散り、黒く塗装された日本武尊の鋭利な艦首が、波動砲の発射口が、そして甲板のカウルが、海上へと姿を現した。
富森「フライホイール接続、点火!」
2つ並んだ補助エンジンのノズル、その上に置かれたメインエンジンのノズルから勢いよく炎が噴き出した。海水を押し流し、吹き飛ばすほどの勢いで日本武尊の船体を一気に加速させていく。
大石「日本武尊 発進‼︎」
船体を微かに斜めに傾けながら、日本武尊はどんどん上昇していく。船体にへばりついていた海水を払い落し、朝日へと向かっていく。
ユージオ「主翼 展張します」
大気圏内航行の為、離水後日本武尊はメインウィングを展開する。
朝日に照らされる建物が段々と小さくなっていくのが見える。
そして目の前の空が徐々にグラデーションになっていき、漆黒の星々が瞬く宇宙へと変貌を遂げる。
キリト「おぉ…!」
シリカ「わぁぁ…!」
アスナ「綺麗……」
目の前に広がる光景を目に焼き付けようとキリト達は釘付けとなっており一瞬我を忘れていた。
富森「…ユージオさん、大気圏外へ出ました。主翼を収納してくれますか?」
ユージオ「……えっ?…あっあぁすいません!」
艦長の呼びかけで我に返って慌てる彼の姿に笑いが起こる
キリト「全くユージオ、頼むぞ〜?」
ユージオ「うぅ……」
大石「はっはははw」
大石も笑って見せているが、彼の胸中は締め付けられるような思いで一杯だった。
大石(必ず……彼らは………誰一人として死なせはせん………!)
密かに決意を新たに大石はまだ見ぬ敵に対して静かなる闘志を燃やす。
地球を発ち、遂に大宇宙という海へ航海に出たキリト・大石一行。
彼らは無事ヤマトの救援に行けるのか…?
第2話シュトラバーゼへの道