Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜   作:短号司令官

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西暦2202年
UWよりこの世界へと降り立ったキリト・アスナ一行はヤマトの窮地を救うべく大石蔵良が駆る日本武尊と共に宇宙という名の大海原へと旅立っていった。

イメージOP:逆境スペクトル


第2話 シュトラバーゼへの道

 

第十一番惑星 軌道上

 

米第七艦隊 旗艦スペリオール:艦橋

 

大石「そうですか、ヤマトは既に」

 

大石が少し残念そうに言う理由としては、ここ十一番惑星からヤマトは既に離脱したということだ。

それに至る一連の話を聞くため、一足早く来ていた米第七艦隊旗艦に大石は乗艦していた。

 

リーガン「あぁ、侵攻してきたガトランティスの艦隊は何とか食い止められたそうだが、見ての通りの有様だよ」

 

第七艦隊司令官のリーガン提督は艦橋の窓から外を仰ぎ見た。

そこには操作を失いそこら中を漂う無数のカラクルム級戦艦があった。

 

話によるとヤマトの救援要請を偶々付近を遊弋中だった第七艦隊がキャッチし急行、ヤマトと共闘し敵を撃破したと言うのが大凡の流れであった。

 

リーガン「それにしてもすまんな、君らの仕事を我々が横取りしてしまって」

 

大石「いえ、構いませんよ。ヤマト引いては十一番惑星を救う事ができたのですから…」

 

リーガン「さてどうかね…十一番惑星は確かに住人自体は無事だったが、人工太陽は敵の攻撃で破壊された。これでは人は住めなくなる」

 

大石「……」

 

確かに諸手を挙げて勝利を喜べそうにはなかった。

十一番惑星を周回する人口太陽はガミラス製の物で生産・メンテナンス等の一連の行為は全てあちら側に委ねてある為、再び作り出すのに時間がかかる。そしてそれまでに十一番惑星は開拓前の過酷な環境へと逆戻りする運命が待っていた。

 

リーガン「我々は現状で避難できるだけの市民を揚陸艦に収容しとる…が全員は無理だ」

 

大石「収容した市民らは何処へ?」

 

リーガン「そうだな…まぁ我々の根拠地月面か、周辺のコロニー辺りに避難してもらう他ないな、最も詳しい事は国防総省が決めるから私の口からは何とも言えんが…」

 

 

 

日本武尊 展望デッキ

 

場面は変わって日本武尊へ移る。

展望デッキにはキリト一行の姿があるが、彼らが見ていたのはスペリオール・ヒューロン、アパラチア・ロッキーと言った第七艦隊であった。

 

ユージオ「凄いね…まさかこの船以外にも似たようなのがたくさんいるんだ」

 

シリカ「見た目や形状は大分違いますけど、なんていうか雰囲気は似てる気がします」

 

シノン「私達が生きてた頃のアメリカも凄かったけど、未来でもそれは変わらないのね…」

 

キリト「いつの時代もトップはアメリカってな」

 

 

 

 

スペリオール級戦闘空母

諸元

全長:350m

搭載機:通常60機・最大90機

 

武装

艦首次元波動爆縮放射機×2基

40.6cm三連装ショックカノン砲×3基

12.7cm連装ショックカノン砲×2基

艦首亜空間魚雷発射管×8門

対艦グレネード投射機×2基

40mm三連装対空パルスレーザー砲×2基

127mm連装対空パルスレーザー砲×2基

 

概要

外観からも見て分かるようにガルマン帝国が保有するゲルバデス級戦闘空母をベースを地球風に建造した艦艇、艦橋はアンドロメダ級のものを流用している。本級はMSと波動砲を効率的に運用すると言うコンセプトの元建造が勧められた背景を持つ。

元となったゲルバデス級とは決定的に異なる点が存在する、それは戦闘甲板の有無である。戦闘時には非常に役に立つが、建造・整備・メンテナンス性を考慮するとその複雑な機構にどうしてもコストを掛けてしまう為この点はオミット、その代わり主砲口径を増して対艦戦能力の向上を図ると同時にMSの運用も可能としている。戦闘甲板をオミットしてある為生産性も良くアメリカに於ける主力空母の座を確立しつつある。

搭載機はRGM-89ジェガン各仕様・MSΖ-006ZプラスA1・C1を搭載している。

 

同型艦

スペリオール

ヒューロン

エイブラハム・リンカーン

ロナルド・レーガン

以下7隻が建造中。

 

 

 

 

カタパルトデッキには避難民を乗せた上陸用舟艇が忙しなく行ったり来たりしてそれをジェガンが見守っている様が見えた。

 

リーファ「可哀想……あの人達は何もしてないのに……」

 

レックス「確かに、同情する。だが敵側にとってみればそんなのはどうでもいいんだ」

 

コーディ「戦争ってのはいつどこで始まって、自分らが巻き込まれる可能性はそこら中にある。始まってしまえば安全な場所なんて無いのさ」

 

キリト「……」

 

前にも大石に言われた事がキリトの頭をよぎる。

また旅の前にも「酷い現実を見ることになる」と言っていたがこれがまさにそうだ。

自分らが経験したアレ(異界戦争)とはまた違ったものを感じる。

何もできない無力感はそうだが、綺麗事だけでは守り切る事は不可能であると言う事、全てを守るにも無理がある。一行は僅かながらそう理解した。

 

 

しばらくして大石を乗せた100式空間試偵が戻り出港してしばらく、中央作戦室で目的地が言い渡された。

 

中央作戦室

 

シノン「シュトラバーゼ?」

 

大石「そうだ」

 

目的地の発表がされて初めて聞く地名にアスナ達は頭に疑問符を浮かべる。

 

大石「ヤマトはここでの任を終え、収容した一部の避難民をそこへ運んで現地の定期便に引き渡すべくそこへ向かったそうだ」

 

原「だが、付近にもガトランティスの艦隊が多くはないが確認されてね。その護衛の為に我々も向かうんだ」

 

アリス「目的は理解しました。ところで、そのシュトラ…バーゼとはどういった場所なのですか?」

 

同席していたテクが足下の画面を表示させて説明をする。

 

テク「太陽系から約1800光年の位置に存在する表面を鉱石と溶岩で覆われた星だ、2方向へ遠目からでも視認できるほどの巨大な結晶が伸びた、物理学的に不可思議な形状をしていてとても興味深い。古代アケーリアス文明の遺跡が残ってる数少ない星さ」

 

ロニエ「溶岩で……覆われた…⁉︎」

 

リズ「鉱石…ね……」

 

エコー「溶岩で覆われたと言ったが、実際のところは人がいる分には何の問題もない星だ」

 

ティーゼ「どういう…事ですか?」

 

ジェシー「外気温、つまりが気温が地球と何ら変わらないんだ。おかしいだろ?溶岩があるのに」

 

アスナ「もう一つ気になったんですけど、さっき言ってた"古代アケーリアス文明"って?」

 

キリト「太古に宇宙の各所へヒューマノイド種族…つまりは人間の種を蒔いたとされる大昔の文明さ。でも分かってるのはそれくらいで後は物凄い文明だったってことぐらいかな」

 

アリス「こちらの世界で言う"ステイシア神"のような存在なのですね?」

 

アリス「存在……まぁそんな感じでいいよ」

 

大石「話が逸れたようだが、我々の目的は避難民の受け渡しを行うヤマトの護衛だ」

 

リーファ「でも避難民も大勢いるんですよね?」

 

原「そうだが」

 

アリス「敵がいつどこから、どれくらいの数で襲って来るか分からない以上、私達だけでは…」

 

彼女がほぼ全て言ってしまったがまさにそうだ。敵の攻撃を受けてしまえば日本武尊といえど相手によっては守り切れない。

しかし大石は()()()をやりつつ答える

 

大石「そうだな…中々鋭い点を突いてきたが、問題ない。その事は既に手を打ってある」

 

不適な笑みを浮かべて耳たぶを触る大石の姿を見たキリト達はなんの事か分からなかったが、その答えはすぐに出た。

突然艦橋から富森艦長の通信が入る。

 

富森『長官、亜空間ソナーが付近に次元潜航艦を多数確認しました』

 

キリト「?」

 

大石「"待ち人来る"……か。艦長 ツ連想を送れ、そうすればあの幽霊も顔を出すさ」

 

アスナ「"幽霊"…⁉︎」

 

命令を受けた艦長はソナーマンに言ってツ連想を周囲に発した。

 


 

???

 

「司令、日本武尊からの合図を受信しました」

 

薄暗い室内では計器や液晶パネルが灯っているだけであった。

 

「よし。艦長」

 

「はッ」

 

「浮上だ」

 

"司令"と呼ばれた人物は横に立つ“艦長"なる人物に何やら命令を発する。

 

「分かりました。全艦に通達、浮上せよ!全多次元バラスト放出‼︎」

 

 


 

 

不気味な薄緑の水中のようなこの空間は『次元断層』と呼ばれる3次元空間と異次元との結節点に存在する次元空洞である。

レーダー・スキャナの類は全く反応しなくなり、超空間通信も空洞内で反響してしまうため、空洞外とは交信できない。さらに、3次元空間とは時空の性質が反転しているため、本来真空から無限にエネルギーを汲みあげる特性を持つ波動エンジンが、逆にエネルギーを外部に放出してしまう。

多数の宇宙船や宇宙機がこの空洞に落ち込んだまま脱出できず漂流しており、『宇宙のバミューダ』と呼ばれている。

 

そんな空間の中を進む7つの艦影があった。

そのフォルムは旧海軍が開発した『伊400型潜水艦』を彷彿とさせるものがある一方で、半三胴型のような船体を持つ艦もいた。

 

突然それぞれの艦から泡のようなものが放出されたと思うと船体は徐々に天上の水面のような場所へと浮き上がり始める。

 

 

日本武尊

 

「付近に次元潜航艦の浮上を確認!」

 

浮かび上がってくる次元潜航艦を見ながらと報告を受ける富森は何も言わず黙って頷く。

浮上を見届けた富森は再び大石に通信を入れたのとほぼ同時に、一際大きな次元潜航艦が日本武尊の真下に潜り込み、セイルと第三艦橋を接続させた。

 

 

第三艦橋

 

アスナ「ねぇ…キリトくん、う…宇宙でも幽霊って出るの?」

 

キリト「うーん、艦内で一応それらしい影は見るって偶に聞くな。あっもしかして大石さんがさっき幽霊って言ったからか?」

 

アスナ「べべ別に怖いわけじゃないからね⁉︎幽霊なんていない幽霊なんて居ないのよ!うん!」

 

大石「はっはははw怖がる事はない、これから会う幽霊はそんな怖いヤツではないよ」

 

アスナ「やっぱり幽霊なんですね⁉︎」

 

怖いものが苦手なアスナはさっきから大石が言った「幽霊」というワードが引っかかって仕方がない様子だった。

 

大石「ところでキャップと桐ヶ谷君は()のことは知ってるか?」

 

キリト「俺は話だけは、高野さんや大高さんから聞きました。実際に会うのは初めてです」

 

レックス「自分は一度だけ」

 

大石「結構、彼も喜ぶだろうな」

 

そう言って視線をやった先にはハンドル付きのハッチがあるが、突然そのハンドルがゆっくりと回り出した。

 

アスナ「なになになに……⁉︎」

 

怖がる彼女を他所にハンドルは回り続ける。

回し切ったのか回転が止まりハッチが開くと中から人の手がいきなり現れた。

 

アスナ「ひっ…‼︎」

 

恐怖からアスナはキリトの背後に身を隠す。

 

しかしハッチから出てきたのは◯子でもなければ妖怪でもなく、大石と同じような宇宙海軍服を着た碧眼の日焼けをした人物であった。

 

大石「よく来たな」

 

彼が声をかけた人物は敬礼をする。

 

「前原一征、只今参りました。お久しぶりです長官」

 

前原一征

新型次元潜航艦:須佐男号とその他艦艇の稼働試験の事故で消息不明とされたその人であった。

 

大石「元気そうで何よりだ。それにしても貴様、また焼けたんじゃないか?」

 

前原「各国の海軍基地の視察で世界中・太陽系中を飛び回ってますので、いやでも焼けます」

 

大石「はっはっはははwそうかそうか」

 

前原「おぉ君も居たか」

 

レックス「ご無沙汰です。コマンダー前原」

 

前原「あぁ久方ぶりだな」

 

前原は差し出された手を握りしめる。

 

前原「君達の活躍も高野総長から聞くが、目覚ましいものだな」

 

レックス「ありがとうございます。しかし自分らまだまだこんなものではありませんよ」

 

それを聞いた彼は安心と期待が入り混じった笑みを浮かべて頷く。

そしてふと横に居たキリトに気がつく。

 

前原「長官、もしや彼が噂の…」

 

大石「あぁそうだ。紹介するよ桐ヶ谷和人だ」

 

キリト「桐ヶ谷和人です。大石さんの下で戦術長としてやらせてもらってます」

 

前原「紺碧艦隊司令の前原一征だ。以前から君には会ってみたいと思っていたよ」

 

キリト「俺もお会いできて光栄です」

 

彼と相対した前原は背後に隠れるアスナに気がつく

 

前原「そちらのお嬢さんは?」

 

キリト「アスナ」

 

アスナ「あっ…うん。えっと結城明日奈です、一応訓練生ということで…この船に乗ってます……」

 

前原をまだ幽霊と疑っているのか少々怯えている。

 

アスナ「えっと…前原さん…?」

 

前原「何かな?」

 

アスナ「前原さんって……生きて…らっしゃるんですか…?」

 

突然何を言い出すんだと唖然とするも、瞬時に事情を理解した彼は声を出して笑った。

 

前原「はははw大丈夫さ、ほら見たまえ。足はちゃんと2本とも着いているよ」

 

アスナ「よかったぁ〜」

 

ちゃんと生きた人間であることを確認できたアスナは胸を撫で下ろすのだった。

 

キリト「お前まだ疑ってたのかよw?」

 

アスナ「だってぇ〜」

 

二人の仲睦まじい様子見て、微笑ましくもくすぐったい感覚に見舞われた大石・前原は帽子を被り直し、レックスはヘルメットを被る。

 

前原「ところで長官、自分がここに呼ばれた理由は?」

 

大石「……貴様、分かっているだろう?」

 

前原「長官の口から聞くまで確証が…」

 

わざとらしく答える自身の教え子に少々呆れた様子の笑みを浮かべつつ大石は答える。

 

大石「良かろう……貴様をここに呼んだのは我々の援護の為だ。いくらこの日本武尊と言えど相手の数によっては不利になる。そこで貴様らが呼ばれた訳だ。前原」

 

前原「承知しました」

 

軽い打ち合わせとリーファやシノン達とも顔を合わせた前原は自艦:須佐男号に戻り、再び艦隊と共に次元断層にその姿を没したのであった。

 

そして影を加えた日本武尊はその足を再びシュトラバーゼへと進めるのだった。

 

 

 





イメージED:宇宙戦艦ヤマト (スキャットver)

予告bgm:元祖ヤマトのテーマ

惑星シュトラバーゼに到着した日本武尊・紺碧艦隊。
問題無く進む避難民の受け渡しに突如として危機が訪れる。
ヤマト・日本武尊が駆け、紺碧艦隊が忍び寄る。

次回:第3話 愛を護れ
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