Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜   作:短号司令官

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惑星テレザートを解放することに成功したキリト達。
だが時を置かずして、白色彗星は遂に太陽系へと侵攻を開始した。



第5話 煉獄・悪魔の選択

 

 

テレザート解放後、地球への帰路に着いた日本武尊は順調に航海を進めていた。

 

他愛ない会話も交えつつ慎重な面持ちで事に励んでいる一同の元にそれは届いた。

 

「長官!」

 

艦橋に息を切らしながら通信参謀が入って来た。

 

「たった今地球の海軍司令部から平文で通信が!」

 

大石「平文でだと?」

 

「はい!それによりますと、土星沖に敵白色彗星:ガトランティスの大艦隊が出現したと‼︎」

 

「「‼︎」」

 

一同には激震が走った。

 

原「通信参謀、それは本当か⁉︎」

 

「はい、間違いありません。高野総長専用の通信回線でも同じ内容のものが送られて来たので確かだと思います!」

 

シノン「大石さん、急いで土星沖に…!」

 

富森「朝田さん、実はそれが…」

 

アリス「何かあったのですか…?」

 

原「さっきのワープの直後、機関に異常が起きてな。幸い航行に支障が出る程なものじゃないが、直ぐワープとは行きそうにない」

 

リーファ「そ そんな…」

 

キリト「復旧にはどれくらいかかりますか?富森さん」

 

富森「……ワープ用の回路の修理だけなら1時間程…もし取り替えなら半日は掛かります……」

 

リズ「は…半日⁉︎」

 

大石「ここ三ヶ月ぶっ通しで使い続けたからな…」

 

しばらくして機関室から報告が上がる。報告によると回路が取り替えなければならない程損傷しており、復旧には半日を要するとのこと。

 

原「長官…如何しますか……」

 

大石「……ともかく土星沖の状況が知りたい。映像が回せる筈だ」

 

原「綾野君」

 

シリカ「はい!」

 

コンソールを操作して、メインパネルに土星沖の戦闘の様子が写し出される。

 

ユージオ「‼︎…」

 

アリス「これが……この世界の…戦争」

 

目の前の光景は彼女達が見て来たものとはまるでかけ離れていた。

 

無数のカラクルム級が艦橋砲を撃ち、それに対してドレットノード級・アイオワ級・サウスダコダ級が主砲を撃ちまくって互いに正面から殴り合っている。

 

波動砲を発射しようと無防備な姿を曝け出した一隻のドレットノードが敵と衝突して爆発したり、主砲射撃に徹して敵を確実に葬る艦など戦い方は様々であった。

だが艦が足りなくなれば中央に陣取るアンドロメダ級のその背後から続々と増援の巡洋艦・駆逐艦・戦艦群が現れる。

 

戦いを繰り広げるのは艦船だけではなかった。

 

敵の砲火を潜り抜けて至近距離まで肉薄したMSが船体に取り憑き、ビームライフルで艦体を撃ち抜き、サーベルで艦橋を切り落とす。

 

可変MSや対艦装備の機体が距離を詰めてミサイルやバズーカの弾幕を浴びせて次々に葬る。

 

シノン「まるで次元が違う……」

 

一年戦争で誕生したMSによる戦法は一度は波動砲の出現により存在が薄れたかに見えたが、地上における戦力や戦闘機とは違った三次元的な戦闘ができる有利さなどの利点があって主力兵器の座に留まった。

 

 

 

 


 

 

 

バルゼー「なんということだ・・・」

 

参謀が指示を求めるがバルゼーはただモニターを見ているだけだった。無敵を誇った自軍の艦隊が崩壊していく姿を前にバルゼーは何もできていなかった。今まで連戦連勝で無敵を誇ってきたが故に、押し込まれた時にはとても脆かったのだ。

しかし突然モニターの画面が変わりズォーダー大帝が映った。

 

ズォーダー「無様だぞバルゼー。もうよい下がれ」

 

バルゼー「!…はっ」

 

内心悔しさで一杯だったが、ズォーダー大帝の命令とあってはやむを得ず、バルゼーは一礼し艦隊に後退命令を出した。

 

この時、ズォーダー大帝は戦闘状況を白色彗星内から観ていたのだが、圧倒的に有利な戦力を有しているはずのバルゼー艦隊が地球艦隊に苦戦し、挙句の果てには地球連合にいいようにされていき、凄まじい損害を受け、既に戦線の立て直しが不可能なまでにされているのを見て痺れを切らしたのだった。

 

 

 

そして遂にズォーダーは自ら前線に出ることを決意した。

 

 

 

追撃を加えようとする地球艦隊の目の前に巨大な白色彗星が出現した。

 

 

リーガン「なっ…なんだアレは⁉︎」

 

 

後方の戦闘空母艦隊の指揮をとっていたリーガンはスペリオールの艦橋から見える白色彗星を見て思わず司令席から立ち上がった。

 

 

アンドロメダ

 

山南「……MS隊を退がらせろ。全艦波動砲発射態勢へ!これより本艦は拡散波動砲持って彗星内部に潜むガトランティスを殲滅するッ‼︎」

 

艦隊司令の『山南 修』は波動砲を持ってして一気にケリをつけようとした。

彼の命令に合わせてアイオワ級・ドレットノード級・アキレス・アンタレス・アポロノームの姉妹艦達が発射用陣形の構築に入る。

 

補助艦艇も波動防壁を展開すべく前方へと展開しながら出る。

 

サウスダコダ級は万一を考えてMS隊・戦闘空母艦隊と共に後方へと退避し離脱に備えた。

 

アンドロメダ5隻の艦首から重力子スプレッドが発射され敵の弾幕をシャットアウトする。

 

山南「全艦、耐ショック・耐閃光防御!」

 

「発射10秒前 10…9…8…7…6…5…4…3…2…1」

 

山南「ってぇぇぇぇ‼︎」

 

次の瞬間、眩い閃光と共に100隻を超える艦艇から一斉に波動砲が放たれた。さらに重力子スプレッドが展開した壁により一つの巨大な光線となり、回避が遅れたガトランティス艦隊を飲み込み一瞬で消し去りながら白色彗星の中心核に命中した。

 

そして波動砲が中心核に命中したことにより白色彗星は大きな爆発を起こしていた。

 

リーガン「やったか⁉︎」

 

現場の将兵・通信で見守る者達が固唾を呑んで見守る。

永遠に続くかと思われたその爆発が終わった時、内部からそれは現れた。爪状のパーツが檻のように球体を形作り、その大きさは土星より巨大で、檻の中には大小様々な惑星を囚えた漆黒の要塞が姿を現した。

 

 

「なっ……なんだありゃあ⁉︎」

 

「まるで…バケモンじゃねぇか…‼︎」

 

「なんてデカさだよ…おい……!」

 

 

後方に退避していたMS隊のパイロット達が口々に言う。

 

リーガン「これが……白色彗星の全貌……なのか……」

 

流石の名将リーガンといえど武者震いしていた。

 

 

 

日本武尊

 

アスナ「なっ……なんなの…アレ」

 

ようやく絞り出した震える声でアスナが言う。

かつて対峙したガブリエル・PoHが残虐性を持っていたなら、目の前のそれはいい知れぬ恐怖、底知れない闇が渦巻いているように感じた。

 

ユージオ「アレが……敵……」

 

キリト「っ……白色彗星……‼︎」

 

大石「………」

 

都市帝国が少しずつ前進して来たのを見た山南は再度波動砲のチャージを開始、露になった敵の艦隊が攻撃を仕掛けて来るも補助艦艇群の展開した波動防壁で防ぐ。

そして再び波動砲を都市帝国目掛けて放つが、痛くも痒くもないと言いたげなようにそれら全てを無効化させた。

 

シノン「波動砲が……効かない…⁉︎」

 

都市帝国は前進を続ける。

 

リーガン「いかんッ‼︎全艦離脱!ヤマナミ!君も離脱を、早く‼︎」

 

咄嗟の判断でリーガンが各艦に離脱を命じドレットノード級・アイオワ級の大半が離脱に成功するが、アンドロメダは船体の大きさも相まって一歩遅れた。

山南の乗るアンドロメダも都市帝国の発する重力に吸い込まれそうになるも姉妹艦アポロノームが後ろから押した甲斐もあって離脱に成功するが、幾つかの艦艇とともに敵に飲み込まれ沈んでいった。

 

 

 

 


 

 

 

 

通信が終わりパネルがブラックアウトする。

彼らの顔からは生気が薄れ、艦橋内は沈黙が支配する。

 

リズ「あんなの……勝てる訳ない……」

 

リズがようやく絞り出した声に誰かが反応する訳でもない。

 

ふと再び映像が回っている事に気が着いたシリカはタッチパネルを操作して再びメインパネルに映像を流す。

 

有無を言わさず一同は再び視線を向けるとそこにはあの船の姿があった。

 

大石「アレは…⁉︎」

 

キリト「ヤマト……⁈」

 

前進する白色彗星の前にたった一隻で立ちはだかり、波動砲を発射しようとするがそのモーションは若干異なって見えた。

 

キリト「無茶だ…古代さん!」

 

彼の届かない声が艦橋に響く。

 

一方のヤマトはエネルギーをチャージして発射するだけ、というタイミングで何かが事切れたかのようにフッとエネルギーが消失、それどころか操作も失ったかのようにバランスを崩し彗星内部へと吸い込まれて行く。

 

アスナ「そんな……‼︎」

 

キリト「古代さんッ‼︎」

 

力無く吸い込まれていくヤマトを最後に映像はそこで途切れる。

 

キリト「っ……クソぉっ‼︎」

 

何もできない無力感から拳を叩きつけたキリト、拳からは血が滲み出ていた。

 

アスナ「キリトくん……」

 

リーファ「お兄ちゃん……」

 

キリト「……すいません…古代さん……俺達が間に合ってれば……」

 

涙ながらに崩れるキリトを前に大石が立ち上がる。

 

大石「まだだ…」

 

キリト「…!」

 

大石「まだ終わったわけではない…」

 

リズ「まだって……まさか…アイツと戦う気なんですか⁉︎」

 

何かを察したようにリズが立ち上がって言う。

 

大石「それ以外何がある?」

 

リズ「無茶よ‼︎だって見たでしょう⁉︎アレだけの数を出しても何も…!何もできなかったのに!」

 

大石「狼狽えるな‼︎」

 

「「‼︎」」

 

大石「たった今この目で見ただらう…?ヤマトは……彼らが束になっても敵わなかった敵にたった一隻で挑んだ。これがどういう意味か分かるか?彼らとて内心恐ろしかった筈だ。だがそれでも彼らは挑んだ、守る為に……地球を……我々の帰るべき場所を守る為に」

 

「「…!」」

 

その一言で彼らも気づく。

現実から目を背けるのは簡単である。しかしどうしても逃げられないのが現実だ。如何なる脅威が迫ってもヤマトは古代達は挑んだ。守るべきものの為に。帰るべき場所の為に。

 

キリト「……行こう…」

 

立ち上がったキリトがアスナ達を見回して言う。

 

キリト「俺達も行こう。古代さん達の……ヤマトの人達の思いを……魂を無駄にしない為にも……!」

 

ユージオ「……もちろんだよ、キリト!」

 

リーファ「怖くないって言ったら嘘になるけど……あの人達にも出来たんだから、私達にだってできるよ!」

 

シノン「…この船に乗ったときから決めてたわ。最後まで付き合うって」

 

リズ「…しょーがないわね!いいわ行きましょう!」

 

シリカ「わ…私も‼︎」

 

アリス「コダイ殿達ももしかしたら生きているやもしれませんしね。参りましょう!」

 

アスナ「…行きましょう。キリトくん!」

 

キリト「あぁ‼︎」

 

大石「決まりだな…」

 

そう大石は一言呟く。

 

大石「艦長、機関の復旧は?」

 

富森「機関科要員を総動員した甲斐もあって、もう間も無くワープできます」

 

大石「決まりだ!本艦は直ちに、白色彗星との戦いに参戦すべく発進する。目標は太陽系だ!日本武尊発進‼︎」

 

「「了解‼︎」」

 

 

 

メインエンジンに光が灯り火を吹くと日本武尊は前進し始めた。

 

一方の地球圏では戦力の立て直しを図る為の時間稼ぎとして各国は無人戦艦群を火星沖に急行させる。

またBBBを率いる山南修は狂気に駆られたかの如く、鬼神のような立ち回りを見せ敵に一撃を与え、ヤマトを救出する代わりに自艦:アンドロメダ改を失う。

 

 

 

 

 

 





迫る最後の戦い。救出されたヤマトの元へ駆けつける日本武尊、更に縁の力というべきか高杉長官・坂本司令・川崎司令にデスラーまでもが集まる。

第6話 新生・生きるために
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