Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜 作:短号司令官
西暦2207年
地球圏は大きな衝撃を受けていた。それは2年前の2205年地球文明の師匠ともいうべき『イスカンダル』が突如『デザリアム』なる謎の勢力に襲撃を受けた。幸い第65護衛隊の活躍で敵を一掃することはできたが、イスカンダルは少なからぬ被害を受けたのだった。
その次のターゲットが自分らなのでは無いか…そんな不安が地球圏を取り巻いていた。
op曲『crossing field』
第壱話 闇の侵略
西暦2207年
それは突然訪れた。
第十一番惑星沖で領海侵犯をしていたボラー連邦の艦隊に対し、航宙保安庁の巡視船隊が警告を行なっていた最中のことであった。
ボラー連邦艦隊の後方に両軍共補足した事のない反応が現れたのだ。
領海侵犯をしていたボラー連邦は第三の勢力と見做してすぐに攻撃を開始するもそれを覆っていた赤色の光によって攻撃は意味を成さなかった。
そして巡視船隊の辺りに差し掛かった途端光を周囲に放ち彼らを行動不能へと陥れ、太陽系へと侵入していった。
それを見ていたボラー艦隊のヴィルキ・ボローズは
ボローズ「あの光…銀河の中心にあって、宇宙を凍てつかせる魔女の吐息……ウラリアの光…!」
時に西暦2207年 デザリアムは太陽系へと侵攻を開始したのであった
都内のとある喫茶店
雪「えっ⁉︎それじゃあ結城さん。10代後半で結婚したってこと⁉︎」
アスナ「一応VRの中でですけど…」
この日非番のアスナはここ数年で親しくなった森雪と小さな女子会を開いていた。
雪「それでも当時の結婚可能な最低年齢は18歳よ?やるわね和人君…」
アスナ「だからゲームの中での話ですってばぁ!」
雪「うふふw御免なさいね。それでなんて言ってプロポーズされたの?」
アスナ「へ⁈」
女性なら聞きたくなる当然至極のことである。
覚悟はしていたがやはりいざ話すとなると勇気がいるものである。
アスナ「えっ…えっと……」
雪「結城さ〜ん?」
アスナ「わっ分かりました!」
アスナは一つ息を吐くと表情を変えて口を開く。
アスナ「『「22層の南西エリアに、森と湖で囲まれた小さい村があるんだ。二人でそこに引っ越そう。それで…』」
雪「それで……?」
アスナ「『け、結婚しよう…!』ってキリトくん言ってくれたんです…」
雪「なにそれ〜!そんな風に言われたら私もOKしたくなるわ!」
アスナ「///」
アスナは頬を赤らめてテーブルのカフェ・オ・レを飲む。
雪「でも…羨ましいわ。そんな風に自分の好きな人と生まれ変わってもまた一緒ないられるなんて、ロマンチックね」
アスナ「進さんはまだプロポーズは…?」
雪「まだよ。古代くん踏ん切りがつかないところがあるから、でも今は少し落ち着いてきたから」
アスナ「『イスカンダル事変』お二人共その当事者でしたもんね…」
先の一件で、古代はある程度精神的に進み出すことはできたがまだプロポーズとまでは行っていない。
影響はそれだけでは無い。イスカンダルを救うことができたとはいえ独断行動に近いものがあった為今度ばかりは高野も擁護しきれず、やむを得ず第65護衛隊は解体されたのであった。
雪「今は土星沖で修復作業の真っ只中、今度帰ってくる時に私からも話してみようかしら」
アスナ「進さんから切り出すんじゃないんですか?」
雪「そこはタイミングを見てよ」
アスナ「アハハ そうですね」
雪「ところで和人君は?」
アスナ「今は月に居ます。レックスさんと一緒に高杉司令官のところに出向しているんです」
彼女はそう言いながら青空にぼんやりと見える月を眺める。
月面基地
レックス「やれやれそれにしても凄いですな」
高杉「ハハハwまぁなそりゃあ連邦軍時代のものから我々が手を加えた物まであるからな」
高杉はレックス・キリトを連れて基地内を案内していた。
キリト「ここってMSのOS製作から開発まで行えるでしたよね?」
高杉「おぉよく知っておるな、その通りだ。ここは元々『アナハイム・エレクトロニクス』という会社があったが、今では解体され専門の部署が我が軍の監視下に置かれておるという状況だ」
キリト「なんで監視下に?」
高杉「紺碧会の情報によると連中と軍の癒着が腐敗を促す原因になるらしいからな。我々の真の目的は地球圏の独立と全宇宙の安泰だ」
高杉はMSハンガーに並び立つヘビーガンを眺めながら言う。
高杉「国や人々を守るにはどうしても無理がある。綺麗事を並べるのは簡単だがそれだけでできれば軍人など必要ない」
レックス「軍人が本来の目的を見失っては意味がありません。それではただの寄生虫となんら変わりません」
高杉「その通りだ」
それからまたしばらく視察を続けている最中の事だった。
「長官!」
高杉「何事か?」
幕僚の一人が高杉の元へと駆けつけて来た。
「軍令部からです。"本日未明 第十一番惑星沖にてデザリアムの侵攻を確認す"」
「「⁉︎」」
高杉「それは本当か⁉︎」
「はい、軍令部から直接ですので。続きを読みます、"以上の事態により現時刻よりオペレーションDADの発令を宣言す"と…!」
キリト「高杉さん…!」
高杉「来るべきものが来たか……直ちに迎撃態勢を取る。無人艦隊は⁉︎」
「既に予定通り迎撃可能ポイントに到達。後は敵が来るかどうかです…」
オペレーションDAD(Defence・Against・Desalium)
『通称:対デザリアム防衛作戦』の略称を持つこの作戦はphase1〜2が火星沖での波動防壁弾による物理的阻止、そして拡散波動砲によるダメージの試みが行われるもこれは悉くが失敗した。
そして続くphase3では地球の衛星軌道上にある『制限型自立無人防空システム』が再度攻撃を仕掛けるものである。
だがこれもトラブルによって失敗に終わった。
そして日が沈む夕方をバックにデザリアムの巨大要塞は大気圏内へと降下をし、東京湾に着水した。
軍令部司令室
高野「まさかこうも容易く突破されるとは…」
アラームが鳴り響く司令室にて高野はメインスクリーンに映る要塞を見て言う。
高野「直ちに首都防衛隊に出動命令を出せ!敵の兵器を確認したら攻撃を許可する!」
「「はっ!」」
サイア「避難命令も出せ!松代地下避難所に一人でも多く収容させるんだ!」
「了解!」
命令を受けた防衛隊は直ちに出撃し、指定区域の住民は避難行動を開始。旧松代大本営のあった場所に建てられた松代地下避難所に避難を開始された。
月面基地
高杉「敵の降下を……それも首都に……」
やるせなさを胸に抱える高杉の元にレックスとキリトが駆け寄る。
レックス「提督、ガンシップを一機お借りします」
高杉「ガンシップをか?構わんが、なにをする気だ?」
キリト「東京に降りて状況を確認しに行くんです」
高杉「正気か……⁉︎」
キリト「このままここでじっとしているわけにもいきませんので」
高杉「そうか……くれぐれも気をつけてくれよ」
「「はい!」」
時を同じくして、『嘆きの海』で土星の修復作業にあたっていた古代進も銀河に乗艦し地球圏へと到達していた。
人気の無くなった街中には無数の戦闘車輌やMSが乱立し、東京湾に不気味に鎮座する敵の要塞と睨めっこを続けていた。
アスナと雪は同じく非番で都内を散策していた西条未来・シノン・リーファと合流する。
西条「森さん、軍令部との連絡は…?」
雪「一応取れたわ。それにしても不気味ね……」
シノン「降下して来て大分経つわ……なんで何もしてこないの…?」
リーファ「まるで…何かを待ってるみたい……」
アスナ(こんな時キリトくんが居てくれたら……)
首相官邸
官邸の外で護衛にあたっていたコマンダーソーン麾下の部隊は周辺の警戒を行なっていた。
ふと夜空を見上げた一人が違和感を感じファインダーの倍率を上げる。
そこに映ったのは旧ドイツ兵を連想させるヘルメットに黒一色のボディスーツに天使の輪のような降下装置に武装していた。
「敵襲ッ‼︎」
トルーパーが叫んだのと同時に銃を乱射し瞬く間に正面を守備していた部隊がやられる。
生き残ったトルーパーは屋根の下に身を隠し反撃する。
ソーン「総理!」
ドアを勢いよく開けたソーンは大高の元へと駆け寄る。
ソーン「総理、敵の奇襲です!」
大高「そうか来たか。職員の退避は?」
ソーン「現在避難用地下鉄を使って退避中です!総理も早く!」
大高「ならん、最後の一人が避難し終えるまで私はここを一歩も離れん…!」
ソーン「……分かりました。でしたら総理は私が身を挺してでもお守りします!」
そう言いながら彼は背負っていたZ6を構える。
レックス「ここも駄目か……」
美影「軒並み全滅ですね……」
地球に到着したキリト・レックスは羽田空港に降り、同地に不時着した古代・桐生と合流を果たす。攻撃用に待機していたXウィングやYウィングが粉々に破壊されていた。
古代「生存者は無し…か」
キリト「古代さん。雪さんやアスナ達を探しに行きましょう」
古代「そうだな、確か今日は非番で結城君といると言ってたな」
四人は羽田から急いで都内へと向かう。
破壊された車輌やMSの残骸を避けながら、アスナ達は何か情報を掴もうと軍令部へと急いでいた。
西条「もう少しで着きます…!」
西条が皆に声をかけたその時、敵の降下兵が前に立ち塞がった。
咄嗟に身構えるも武器はない。絶対絶命のその時、ブラスターの青い光弾が敵の頭を貫通する。
レックス「お待たせ」
シノン「レックス!」
キリト「アスナ、大丈夫か⁉︎」
アスナ「キリトくん!」
古代「雪!」
雪「古代くん!」
雪とアスナは二人に駆け寄り、アスナはキリトに抱きつく。
古代「雪、怪我は…?」
雪「大丈夫よ、なんとか皆でここまで来れたから」
アスナ「怖かったよ…キリトくん……」
キリト「もう大丈夫だ、アスナ」
リーファ「はーいアスナさん戻ってきてー」
リーファが手を叩きながら戻るように促す。
キリト「シノン、リーファ二人共大丈夫そうだな」
シノン「大丈夫そうって……まぁそうだけど」
リーファ「無事で何よりなのは私達もよ」
安心した一同を見てレックスが聞く。
レックス「ところで お前さん達はここで何を?」
西条「軍令部に行って情報と様子を確認する為に」
美影「それなら、私達もです!」
リーファ「そうと決まれば、行きましょう!」
グレガー「残念だがそれは無理だ」
そこへさらにグレガー・ファイヴス・ロニエ・ユージオ・島・相原・太助・佐渡・林が現れた。
古代「島!」
島「無事だったか、古代!」
ユージオ「キリト!」
キリト「よぉ!ユージオ」
レックス「それで無理ってのは?」
ファイヴス「軍令部はもはやいつ制圧されてもおかしくない状況って訳です」
島「俺たちも高野総長に言われてなんとか脱出した次第ってところだ」
シノン「何…それじゃあ私達八方塞がりってこと…⁉︎」
グレガー「確かにそうだな。だがまだそうとも言い切れん」
「「え?」」
相原「実は、総長が座標を提示したんだ。ここに向えって」
古代「その場所は?」
ファイヴス「イカロス天文台ってとこらしい」
レックス「場所は分かった。でそこまでどうやって向かう?」
林「元65護衛隊の回収命令が出てます。情報によると飛鳥がまだ残ってるみたいなので、それで行けば!」
太助「でも次はその飛鳥までどうやって行くかですよ?」
雪「私に考えがあるわ。着いてきて」
彼女を先導に一同はある場所へと向かう。
代々木公園地下
キリト「まさか公園の地下がこんな風になってるなんて…」
雪「ここには要人脱出用のコスモハウンドがあるの、それを使えばいける筈」
アスナ「なんでそんな事知ってるんですか?」
雪「うーん…秘密♪」
ともあれ、一同は無事脱出用のコスモハウンドに乗り込み無事発進するが一番の問題は宇宙に上がってからだった。
飛鳥が回収艇の待機をしていた最中に敵の襲撃を受けてそれどころでは無かった。
『すまんがもう少し待ってくれ‼︎』
飛鳥艦長の『北野誠也』がそういうのも無理はない。相手は戦艦クラスが3隻に護衛艦クラスが多数と圧倒的なのだ。
北野「右舷前方!来るぞ!」
北野がそう叫んだ瞬間、敵艦を青白い閃光が貫通し爆散させてる。
北野「⁉︎」
市川「右舷後方に新たな艦影!こ…これは‼︎」
レーダーが捉えた艦は4枚の可変翼を有し、白・赤・黄が特徴な馬のような外観を持った連邦軍時代のあの強襲揚陸艦だった。
市川「識別確認、ペガサス級強襲揚陸艦7番艦アルビオンです!」
北野「‼︎」
驚く北野を他所にアルビオンから通信が入る。
『そこの補給母艦、聞こえるか?こちらはアルビオン艦長のシナプスだ』
北野「シナプス大佐!」
シナプス『なんとか間に合ったようだな。目的は言わずとも分かる。そこのコスモハウンドは私が預かる。君達は離脱の用意を!』
北野「分かりました。では大佐、イカロス天文台まで着いて来てください!」
シナプス『任せたまえ!』
正史ならばシナプス大佐はバスク・オムの謀略で死刑にされた筈だが、この世界では執行直前に『デルタスクワッド』によって救出されその後グリプス戦役まで身を隠していたのだ。
またアルビオン自体も連邦軍にはそのままいられた為、政権が連合政府に移行した後、波動エンジンへの換装・武装の更新・新型MSの配備などを行い現在も連合軍で再びシナプス大佐を艦長として働いていた。
話を戻して、古代達を乗せたコスモハウンドを回収したアルビオンは飛鳥と共に宙域を無事に離脱したのだった。
電光石火のスピードで首都を制圧したデザリアム。
彼らの口から何が語られるのか…?
そしてイカロスに辿り着いた古代・キリト達の前にヤマト・日本武尊が再び!
次回 第二話 暁の出撃
ED. 『Fight For Liberty』