Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜 作:短号司令官
西暦2207年
地球を脱し、シリウス星系で「坂本艦隊」と合流し戦力の拡充に成功した旭日艦隊は次なるステージへと進もうとしていた。
日本武尊 長官室
先の戦闘から長距離ワープを経て、丁度敵の本拠地があるとされる暗黒星雲のある方向の中間部に艦隊は差し掛かっていた。
ここにきて大石はある人物を日本武尊へと呼び寄せるのだった。
大石「そろそろ敵との中間地点に差し掛かる。それに当たっていずれ会敵するであろう敵の補給基地との戦闘を前に貴様に頼みたいことがある」
彼が呼び寄せたのは自身の教え子にして紺碧艦隊司令の前原一征であった。
前原「何なりと長官」
大石「前に坂本司令とも語り合ったのだが、中間基地だ。敵にもそれ相応の備えというのがあると予想されるからな」
前原「相手も安易とは攻略させてはくれないでしょうね」
大石「うむ、そこでだ。貴様ら紺碧艦隊と坂本艦隊の二艦隊で敵艦隊を迎撃してくれんか?」
前原「坂本司令には?」
大石「既に話は通してある。といっても発案者は司令だがな」
前原「はっはははw成程、坂本司令も中々の策略家ですな」
軽い打合せの後、前原は自艦であるラ號へと戻った。
それから三日後
次元断層内
ラ號 球場司令場
入江「しかし主力たる戦艦部隊を囮に敵を誘い出すとは、坂本司令も中々やりますな」
前原「発案者ご自身でやるとはな、聞いた時は俺でも驚いたよ」
入江「ですが司令、他艦は亜空間魚雷でいいとして本艦はどのように動くおつもりですか?」
前原「……まぁ、策はあるよ」
意味深な一言を残し彼は品川先任士官に状況を聞く。
前原「先任、あとどれくらいで準備は整う?」
品川「右翼のイ501潜が間も無く」
前原「そうか…よし通信、春藍に打電。"網ハ仕掛ケラレタ"だ」
「はッ!」
通常空間
春藍
「長官、匿名で電文が」
坂本「なんと言ってる?」
「…"網ハ仕掛ケラレタ"……と」
坂本「そうか、分かった。気にせずとも良い」
「は…ですが」
ウォルフ「司令が大丈夫だと言ったら大丈夫だ」
「…分かりました……」
疑問に思う通信手が席に戻るのを待ってウォルフは坂本に話しかける。
ウォルフ「提督、本当に上手くいくでしょうか…?」
坂本「問題ない、確かに連中にも次元潜航の技術はあるが我々程では無い。それに彼らの…前原君の腕は確かだ。きっと上手くいくさ」
坂本が統率する艦隊は全て戦艦と巡洋艦のみで構成されており捕捉した敵中間補給基地の正面へと前進している。
また先程味方の偵察機より敵の防衛艦隊と思しき艦艇が多数出撃したとの報告を受けていた。
坂本「……いよいよか…」
それから程なくして、紺碧艦隊は敵艦隊を捕捉する。
ラ號
「司令、来ました!前方距離二万宇宙キロ、数は戦艦3・空母2・補助艦艇含めて20隻前後と思われます‼︎」
前原は入江副官と相槌を打つと指示を出す。
前原「砲雷長、各艦に通達。作戦開始!」
「はッ!」
果たして亜空間より放たれたG7魚雷を発射。
亜空間をしばらく航行したG7は通常空間へ出るとモーターを停止させる代わりに大量のエネルギー波を宙域一帯に散布する。
外宇宙の勢力にどこまで通用するか分からないが手探りでやってみる事にした。
果たして、散布されたミノフスキー粒子は一時的とはいえ効果を発揮し敵のレーダー・ソナーを無効化させ始めていた。
「敵のソナー音が弱まりました。効果有りです!」
入江「よぅし!水雷長、作戦開始ッ!」
「了解!」
直様、紺碧艦隊各艦は亜空間魚雷を装填し戦闘準備を整える。
前原「砲雷長、こちらもいくぞ」
「お任せを!」
テレサによって生み出されたこのラ號は他の艦艇とは異なり、主砲の50口径49cm四連装砲は亜空間内からの砲撃が可能となっているのだ。
従って、右舷の九九式・百式五連装魚雷発射官と連動して三基12門が旋回する。
前原「攻撃……開始ッ!」
入江「各艦、魚雷斉射!」
彼のその一言と同時に、述べ63発にも及ぶ亜空間魚雷が発射され敵デザリアム艦隊へと疾走していった。
かくいうデザリアム艦隊はと言うと、ようやくレーダー・ソナーの回復ができそうなところだった。そんな矢先、突如として亜空間魚雷が多数炸裂する。護衛艦クラスは簡単に爆ぜ、プレアデス級は船体を三つ又は二つにへし折って轟沈していく。
「司令、敵艦の爆発音を多数確認。敵艦隊は壊滅状態です」
前原「よし、では仕上げといくか……!」
待機していた主砲が残った改プレアデス級に対し亜空間より照準を定める。
前原「一撃で仕留める。主砲全門ってぇぇ!」
号令と共に発射された青白いビームは亜空間を突き破り、通常空間へと抜けると健在だった改プレアデス級の艦橋に一基分・船体に残る二基分が炸裂し、ご自慢の位相変換装甲すら歯が立たないままものの見事に爆沈していった。
この報告は直様後方の坂本艦隊を介して本隊の大石提督率いる攻撃艦隊へと伝えられた。
日本武尊
原「長官、坂本艦隊より入電。"浦島敵艦隊殲滅セリ"」
大石「……良かろう」
それを聞いた大石は不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。
大石「我々はこれより、敵中間補給基地殲滅に出るッ!攻撃隊発艦‼︎」
「「はッ‼︎」」
大石より命を受けた日本武尊航空隊・ヤマト航空隊及び各国の戦闘空母は艦載機・艦載MSを発艦させていった。
先行して航空隊が攻撃を仕掛ける。
第一波攻撃隊
赤松「加藤、成長したお前の実力見せてもらうぞ」
加藤『まぁ見ててください。先輩』
攻撃隊は敵基地の真上からヤマト航空隊、正面低空より赤松隊が突入していく。
沢村「そらいくぜッ‼︎」
コスモタイガーより見舞われたミサイルは敵基地の構造物に次々と命中しレーダー機能の多数を奪った。
山本「やった…!」
その後を追うように、正面より赤松率いるコスモタイガーⅢが次々に突入し外に待機していると思われる敵機を次々と破壊し敵側制空権奪取の確率を下げていく。
だが中央に位置するドームの中には多数のプレアデス級と思われる艦艇が停泊しており、これが発進させられると厄介だ。
加藤『先輩!』
赤松「おぅとも!全機ドーム内に残ってる奴らを叩くぞ!」
両隊が合流し一斉に突入しようとしたその時だった。
流石に敵も馬鹿では無いようでドームのハッチを閉じ始めた。
坂井「いっいかん!全機退避!」
坂井の指示で編隊が乱れ、その隙を突かれて対空砲が浴びせられる。
堕ちた機は無いようだが三割近くが被弾した。
笹井「被弾した機は無理をするな、各自の判断で母艦に帰投しろ!」
「「り…了解」」
岩本『さて…どうします、戦隊長?』
赤松「むぅ……」
距離を取って辺りを見渡す。侵入できそうなハッチやゲートは軒並み閉鎖させられており為す術は無いかに思えたが、一本の溝のようなルートが見えそれを辿るとドーム内へと繋がってる。
加藤『あそこしか侵入路は無さそうっすね』
赤松「そうだな」
その侵入路を使えば進めないこともないだろうが、敵とてそれなりの対策は講じている筈だ。
スターセイバー『何事か?』
そこへ遅れてビークル形態のビクトリーセイバーが到着した。
赤松「これはどうも、勇者さん」
加藤『実はドーム内の発着場に敵がいるんですが、ハッチを閉じられて攻撃できないでいるんです』
スターセイバー「なるほど……侵入路は?」
坂井『あるにはあるんですが、結構な賭けに出ることになりそうで』
スターセイバーは指示された侵入路を見て考えた。
スターセイバー「………分かった。私が囮になってドーム内に突っ込む‼︎」
笹井『はぁ⁉︎』
山本『何を…ちょっ⁉︎』
彼らの制止を聞かず、ビクトリーセイバーはブースターを全開に吹かして正面から敵基地へと突っ込んだ。
『敵の大型機が接近!』
「構わん、撃ち落とせ」
基地外の対空用アルファ砲が赤色の光線を放つ。
光線の雨をものともせずにビクトリーセイバーは果敢に突入する。
スターセイバー「っ‼︎………もらった!」
機体上部の二門の[Vロックキャノン]から高出力レーザーを発射、ドームに直撃と同時に爆発が起き、穴が開くとそこから突入する。
赤松「全機!この隙ドーム内へ侵入する!」
加藤「行くぞぉ‼︎」
コスモタイガー隊は先程の侵入路からドーム内へと侵入を試みる。
赤松「タイトロープを始めるぜぇ‼︎」
赤松機を先頭に同隊の坂井や岩本らが熾烈な対空砲火を潜り抜けて溝の中へと侵入する。下手をするとぶつかりそうな気もするが手練れの彼らには容易なこと。
出口からドーム内へと入り込むと既に加藤達が攻撃を仕掛けておりまさに阿鼻叫喚の様相を呈していた。
山本「あれは…!」
航空隊が視界にとらえたのは[Vロックキャノン][Vロックバルカン][フォトンバルカン][サイコミサイル]と自分の持てる火力の全てを格納庫中に撒き散らして敵艦を破壊し灼熱の業火を作り出すスターセイバーの姿を見た。
加藤「なんて火力だ……」
赤松「俺達も負けてられんなぁ!」
残るミサイルを全て発射して敵艦を次々と破壊していき、ミサイルの残弾が切れたのを見計らって加藤達の侵入した穴から脱出する。
スターセイバー「行ったな…では行くぞッ‼︎」
航空隊の脱出を見届けたスターセイバーは急上昇してドームの天井を突き破って出る。
スターセイバー「トランスフォーム‼︎」
ビクトリーレオと分離し自身は素早くスターセイバーに変形し終える。
そして分離したビクトリーレオはフットパーツと背部パックに分離し、それぞれスターセイバーが装着し、[究極総司令官ビクトリーセイバー]となった。
ビクトリーセイバー「合体ッ‼︎ビクトリーセイバー‼︎」
敵補給基地のほぼ真上に到着すると[Vロックライフル]を手にし、その銃口を真下に向ける。
ビクトリーセイバー「形状からして、動力部の大凡の位置は絞り出した」
彼の高性能照準システムがロックした場所にスコープを合わせて狙いを定める。
ビクトリーセイバー「そこだッ‼︎」
トリガーを引いてライフルから放たれた強力なフォトンレーザーが緑色の閃光を帯びて垂直に落下。
ドームを突き破り、さらにその下の表面装甲も容易く貫通し動力部に直撃する。
直後に火の手が爆発と共に上がり、基地内部は地獄の様相を呈する。
そしてまともな対処ができないまま、中間補給基地は5分と経たない内に爆散し宇宙の塵と化した。
大石「見たか……?」
キリト「はい……凄い破壊力です…」
フォートレス「流石は宇宙最強の勇者だ……!」
艦隊はすぐに艦載機を収容し、次の行動へと移るのだった。
敵中間補給基地を破壊した艦隊は、いよいよ暗黒星雲へ向けての超長距離連続ワープへと入るのだった。
富森「ワープ5秒前!4…3…2…1」
ユージオ「ワープ‼︎」
ワープ時のみ亜光速に達した艦は空間跳躍の為機関の出力を最大にする。
それにより指定された場所であれば、どこへでも行くことが可能となるのだ。
一度ワープから抜けたと思った次の瞬間には再度ワープへ入り、ついに一同が目指す暗黒星雲付近へと辿り着くのだった。
敵中間補給基地の破壊と長距離連続ワープに成功し、遂に敵の本拠地を目の前にした一同。
しかし敵の猛攻は必然的に更に受けることになるのだ。
次回 第漆話 王者の一撃