Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜 作:短号司令官
西暦2208年
デザリアム事件から一年経った地球圏では二つの戦いからの復興に人々は従事していた。
そんな最中、銀河系中心部からあの人物が訪れる。
デスラー来たる 前編
地球歴2208年
銀河系中心部
混沌を極める銀河系中心部にある星が存在した。
その惑星はかつて故郷の危機に晒されたある民族達のルーツ、謂わば真の故郷とも言うべき星だった。
名を『ガルマン星』という
エメラルド色に輝く星で、表面に無数のクレーターが存在する。首都はクレーター内にあり、総統府たるデスラーパレスを中心として広がった都市構造となっている。
総統府
右の額から目を跨ぐようにして右頬にかけて残る一筋の傷跡と、モミアゲと口髭が一体化した特徴的な髭を生やしているほか、頭髪も灰色の髪をオールバックに纏めている人物が一人いた。
彼こそガルマン帝国軍艦隊総司令官『ガル・ディッツ』提督であった。
一人黙々とデスクワークに励む中、部屋のドアが開いてある人物が姿を見せた。
ディッツ「これは早かったな。ドメル将軍」
彼のもとを訪ねて来たのは「宇宙の狼」の異名で敵味方から呼ばれている『エルク・ドメル』であった。
ドメル「戦況報告に参りました、ディッツ提督」
ディッツ「休暇で戻っておるだろうに、まぁ掛けたまえ」
ディッツに促され据え置きのソファに腰掛ける。
ドメル「総統陛下に直接申し上げるつもりだったのですが、外出中と聞きまして」
ディッツ「おぉ…そうか、君は聞いとらんのだったな」
ドメル「…と言いますと?」
ディッツ「総統陛下は現在地球へ訪問中でここにはおらんのだ。君がここに戻る前、それこそ一昨日だったな」
ドメル「なんと……総統とは入れ替わりで帰って来たとは……」
ディッツ「仕方あるまい、君は今の今まで最前線で指揮を取っていたのだからな。報告は私から総統に話しておこう、それでどうなのかね?」
ディッツの質問にドメルは真剣な表情で話し始める。
ドメル「はい、北部・西部は好転の兆しが見え始めました。南部に関してはもう二ヶ月程でカタがつくかと」
ディッツ「ほぅ、やはりボラー連邦の奴ら南部は疎かにしていたか…」
ドメル「ですが、敵の罠かもしれません故警戒を強めるよう南部方面軍には通達しました」
ディッツ「それでいい、それに好転が見えたと言うがやはり……」
ドメル「えぇ 総統が自ら開発に一から携わった
GS 通称:ガミラスーツ
かつて一年戦争にて、宇宙空間に於ける有視界戦闘において、戦闘機以上の圧倒的な優位性を知らしめたモビルスーツの戦果を目の当たりにしたデスラーはこれを自国にも取り入れようとする。
しかし幕僚らからは余り良い反応が無く、彼は思い切って自身と信頼のおける科学者達を集めてガミラス製モビルスーツの開発をスタートさせた。
地球が基礎として作業用ロボットを選定したように、ガルマン帝国ではガミラス時代から使用されている「ガミロイド」を元に開発を進める。
ただどうしても足りない部分に関しては地球圏で廃棄処分待ちだったジオン製MSやティターンズのMSを格安で購入し、これを研究材料とする。
そして開発開始の2199年から6年後の2205年12月に第1号となる『GMS-01 デナン・ゾン』が完成する。
ただデータが不足していた為試験的に量産された幾つかの機体を前線に投入し、活躍ぶりを見てみると地球でいうルウム戦役の時ような光景が広がり将兵達を驚愕させた。
この結果にひとまず満足したデスラーは量産を指示、以後の主力兵器の座を航宙機から「ガミラスーツ」に置くことを念頭に量産を開始。
パイロットも既存の者の内希望する者か次年度の士官候補生からは本兵器を主軸に教育を受けるようにした。
現在のところ、ガルマン軍の訳1/2をこの「GS」が占めるようになりつつある。
対してボラー連邦はそれに対抗できるような兵器や、それを開発できるような物が存在しない為苦戦を強いられるが持ち前の物量で前線を維持しているという有様である。
ディッツ「最初は私もどうかと思ったが、今となってはあの時の総統の判断は正しかったと言っていいだろう」
ドメル「自分も当初はこんな物が役に立つのかと疑問に思いましたが、蓋を開けてみれば大戦果の連続…言葉が出ませんでした」
ディッツ「だが敵の物量も凄まじい、油断は禁物だ」
ドメル「承知しております」
ディッツ「そういえば、以前君が助けた「エトス星帝国」のゴルイ提督から君にお礼のメッセージが…」
ドメル「なんと⁉︎…あの艦隊の指揮はあのゴルイ提督が……」
これより数週間後、エトス星帝国と国交がガルマン帝国との間で締結される事はまだ誰も知らなかった。
太陽系 地球
日本国 首都:東京都
場面は地球へと移り変わる。
官邸の玄関では大高首相の姿があり、自らが誰かを出迎えるような様子で居た。
入り口前に来賓用車両が停まり、車のドアが開く。
黒に赤い裏地のマントを翻し、その下に総統服と黒いブーツを履いたガルマン帝国総統の姿がそこにあった。
大高「遠路遥々よくお越し下さいました。デスラー総統」
デスラー「久しぶりだね、首相。相も変わらず元気そうで安心したよ」
大高「ハッハッハwなんのなんの、総統こそ長旅でさぞご苦労でしょう。さっどうぞ」
大高が先導して進み、その後をデスラーがゆっくりと着いて行く。
二人の会談は総理大臣室で行われた。
デスラー「君には感謝してもしきれんよ首相。3年前は特に」
大高「いえ、困った時は助け合い。当たり前のことです」
3年前の「イスカンダル事変」の直後、ガミラス本星そのものの崩壊は免れたがデザリアムハンマーの影響で星の寿命が加速し半世紀は持つだろうと予測されていたところが後数年にまで短縮した影響で本星に残っていたガミラス人の移民船団の中継地点として地球圏が動いた事があったのだ。
特に大高首相は希望する者は移民権と個々に合った職業の提供まで行い、多くのガミラス人から感謝された。
デスラー自身も自国民を我が子のように思っており、彼らに尽くしてくれた大高首相には強い恩義を感じている。
デスラー「だが奴らが来た時には何も出来ず、我々は静観することしか出来なかった……すまない」
大高「あの一件は仕方ありません。貴国にも事情がありました故、誰も責められません」
デスラー自身、デザリアム事件の際に自身が艦隊を率いて迎撃に向かおうとしたが総統としての役目や対ボラー連邦の対策等で身動きが取れなかったのだ。
デスラー「我々としてもできる限りの事はする。なんなりと言ってくれ」
大高「いえいえ!お気持ちは嬉しいですが、ご無理をさせる訳には行きません」
ガルマン帝国とて余裕がある訳ではない、現在確かに国は戦時特需で潤ってはいるが国民は自国の事で手一杯なのだ。
大高「我々の事は我々の方でなんとか出来ます。ご心配なさらずに」
デスラー「そうか、ありがとう」
それからしばらく両者の間では、ボラー連邦に関する対策の協議や戦況やその他の星間国家に関する話し合いが行われる。
ひと段落が付いた頃、デスラーはある事を聞く。
デスラー「首相 ふと耳にしたのだが、君のところにはどうも
大高「…どこからその話を?」
デスラー「私の甥からの話だ」
デスラーの甥であるランハルト・デスラーことクラウス・キーマンは現在デスラー直属の極秘諜報機関の諜報員として活動しており、地球の他にも様々な惑星や星間国家に潜り込みその情報を直接デスラーに届けている。
デスラー「6年前に古代……ヤマトの艦長と親しくしている人物について調べてみると…その異世界人について行き当たったのだ」
大高「なるほど…確かに存在します。して彼らに何か?」
少々警戒した様子で大高はデスラーに聞く。
デスラー「案ずるな首相、私とて人間だ。この星の文化であるライトノベルとやらを読んでみてな。ふとそんな人間がいれば会ってみたいと……久しく錆びついていた好奇心を掻き立てられたのだよ」
大高「……っははははw なんと総統にそのようなご趣味があったとは」
まさかの回答に唖然とした大高は笑い声を上げる。
大高「つまりは彼らに会いたいと」
デスラー「うむ、可能か?」
大高「恐らくできましょう。それと以前の事件でまた彼らとは別の世界の住人もやって参りました」
デスラー「なに?それは本当か……!」
口角を上げてデスラーもワクワクした様子で聞いてくる。
大高「彼らは現在大石提督の元に身を寄せております。総統はどれくらい滞在するおつもりで?」
デスラー「3〜4日程はいる。だができれば明日にでも会いたい」
大高「分かりました。では連絡を取ってみます」
大高はそのままデスクにある固定電話を取り、大石の元に連絡を取る。
すると二つ返事で了承を得た。
大高「提督は"心よりお待ちしております"と」
デスラー「……ありがとう…」
感極まったような表情でデスラーは大高に礼を述べるのだった。
遂にデスラーがキリト達の元を訪れる。
初めて異星人と文化的な交流を果たすキリト達は果たしてどうなるのか?
そしてサイバトロンはどう反応するのか?
次回 デスラー来たる 後編