Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜   作:短号司令官

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西暦2202年 
青木ヶ原にて恋人:アスナとの思わぬ再開を果たしたキリト。しかしこの樹海には彼女の他に多くの仲間がいる事を知った。


第三話 樹海に消えるのは誰か 後編

 

樹海の中を悠々と進む幾つかの人影があった。

その姿は他のトルーパーとは違った。全身を厳ついアーマーに身を包み背中には多目的ランドセルを背負い、DC-17Mを片手に複雑な地形をした森の中を難なく疾走していた。

 

更にそれに遅れて各所に保護プレートを多く装備し、ポールドロンやカーマをつけた二人のトルーパーが前を走る彼の跡を追っていた。

 

ジェシー「ヘヴィー、グレガーの奴何を見つけたんだ⁉︎」

 

ヘヴィー「そんなの知るかよ!でもアイツの事だ、何かあるのは間違いねぇ!」

 

ARCトルーパーのジェシー・ヘヴィーの両名は先行するクローンコマンドーのグレガーを追ってひたすら走っていた。

というのも、辺りを散策しているとグレガーが突然何かを探知したのか何も言わず走り出した為二人はそれを追っているという訳である。

 

しばらく跡を追っているとグレガーが崖の上からしゃがみ込んで何かを見ている。

 

ジェシー「おい……おい、グレガー…いきなり走り出してどうしたんだ…?」

 

息を切らしながらなんとか追いついた二人はグレガーはと歩み寄る。

 

グレガー「あれを見ろ」

 

そう言って彼が指差した方に目を向けると三人の少女が全身鎧の連中と戦闘を繰り広げている最中であった。

 

ヘヴィー「なんだありゃ…?」

 

ジェシー「グレガー、あんたが走り出したのってアイツらを…?」

 

グレガー「あぁ、感覚的なのとアーマーのセンサーが微弱な反応を捉えてな」

 

ヘヴィー「なるほどね。それでどうする?どっちを助ける?」

 

グレガー「そりゃ決まってんだろ。バインボインのお嬢さんがいる方だ」

 

「「お前……」」

 

 

「全く…キリがないわね……」

 

とベビーピンクのふわふわショートヘアの少女が言う。

 

「こんなところで戦ってる暇ないのに…もぉ……!」

 

「リズさん、気持ちは分かりますけど倒さない事にはどうにもなりませんよ」

 

ツインテールの水色の小さなドラゴンを連れた少女が彼女の名前を言う。

 

リズ「分かってるけど…アスナやアリス達がどうしてるかが気になって……そういうアンタもでしょう、シリカ」

 

シリカ「それは……そうですけど…」

 

「もー喋ってないでちゃんと戦って下さい!」

 

金髪のポニーテールの三人目に言われる。

 

シリカ「分かってますよ、リーファさん」

 

リズ「ごめんごめん」

 

リーファ「お願いしますよ!私だけじゃ厳しいんですよ」

 

リズ「分かったわよ。それじゃあアタシ達三人でコイツらさっさと片付けてアスナ達を探しましょう…!」

 

シリカ「はい…!」

 

リーファ「来ます…!」

 

前方から敵の集団がこっちに向けて走ってくるのが見え、三人は武器を構える。

しかしここで予想外の出来事が起こるなど誰も知るよしは無かった。

 

突然敵の目の前に銀色のボールのようなものが敵の目の前に転がっていく、敵は足を止めてそれを覗き込むと「ピッピッピッ」と音と点滅が早くなったかと思うとそれが爆発し敵の1/4が巻き込まれて死亡した。

 

その光景を目の当たりにしていた三人は何が起きたのか分からず唖然としていた。

 

リーファ「な……なんですか…今の…?」

 

リズ「ば……爆弾……?」

 

困惑する三人の目の前に今度は上から人影が降りて来た。

彼らはそれぞれ白を基調としたアーマーにあれこれと装備を固めているようだが、何より目を引いたのは彼らが銃を手にしているという点だ。

 

「なんだ貴様ら⁉︎」

 

敵騎士の一人が目の前の三人に声を上げて聞く。

 

ジェシー「ん?俺達が誰かって?」

 

グレガー「なんでこれから死ぬ奴に言わなきゃダメなんだ?」

 

明らかに舐めた口調で言っている。騎士達は憤慨して再び向かってくる。

 

ヘヴィー「おーおー戦意旺盛ですこと…!」

 

そう言って彼は改良型Z6回転ブラスター*1を構え、トリガーを引いて強烈なブラスターを浴びせる。

 

敵は切り掛かる遥か手前で次々に蜂の巣にされ倒れていく。

更にはジェシーもDC-15LEを取り出して射撃に加わる。

 

かくいうグレガーはというと先述の二人がリーファ達を守っているのをいいことに自身は敵集団へと単身突っ込んでいった。

 

相手側は一気に袋叩きにしようとするがそれが間違いだった。

 

グレガーはクローンコマンドーであり、普通なら圧倒的に不利な状況でも単身で打ち負かす実力を持っている。

 

襲いかかって来た敵の背後を素早く取ると、相手の首を鈍い音と共に力任せに真横にへし折る。

さらにやって来た別の相手には絞技をかけて一瞬であの世へと送る。

 

DC-17Mは温存しているが多少は力を見せておこうと考え、ホルスターからDC-15sサイドアームブラスターを取り出して撃つ。

 

小型ながら強力なそれは敵の鎧を貫通し胴体に穴を開ける程の威力であった。その分装弾数は多くはないがこの際問題はない、何故なら貫通した光弾がその後方に居た相手までもを貫いていたからだ。

 

流石に敵も戦慄しグレガーと距離を取るが全くの無意味だった。

 

グレガー「さぁ…地獄へ行く準備はできてるか?」

 

DC-17Mも取り出して二丁スタイルで敵に襲いかかると、何かに取り憑かれたかの如く縦横無尽にブラスターを撃ちまくり敵を次々に薙ぎ倒すのだった。

 

リーファ「す……凄い……」

 

リズ「な…なんなのアイツら一体……」

 

敵を一掃し終え、リーファ達の下へ歩み寄る三人に対して彼女達は敵意を感じる事はなかった。

 

ヘヴィー「さて、こんなもんか」

 

ジェシー「一通りはな」

 

グレガー「どうもお嬢さん方、調子はいかが?」

 

リーファ「えっと……大丈夫……かな?」

 

余りにも軽いフットワークで話しかけてくる為三人もどう応じればいいのか分からず困惑する様子だった。

 

ジェシー「まぁいきなりこんな見た目の連中が助けに来たらそりゃ動揺するよな。まずは自己紹介といくか、俺の名前はジェシーだ」

 

ヘヴィー「ヘヴィーだ。501大隊でARCトルーパーをやってる」

 

グレガー「俺はクローンコマンドーのグレガーだ」

 

リーファ「えっとよろしく。ジェシーさん、ヘヴィーさんとグレガーさん。私はリーファ」

 

シリカ「シリカです。この子はピナです」

 

リズ「最後は私か…私はリズベット、リズって呼んでちょうだい」

 

ヘヴィー「よろしく。さて色々聞きたい事はあるが、まずはお前さん達に一つ。キリトって奴知ってるか?」

 

「「「⁉︎」」」

 

余りにも唐突すぎる一言に三人は耳を疑った。

 

リズ「ちょっちょっと待って、アンタ今"キリト"って言った⁉︎」

 

ヘヴィー「あぁ言ったぜ」

 

リーファ「なんでお兄…じゃなくてキリト君の事知ってるんですか⁉︎」

 

ジェシー「そりゃ簡単よ、俺達と同じ部隊に所属してるからだ」

 

シリカ「部隊……?所属………??」

 

衝撃的な事態が連続している余り彼女らの頭の中は混乱している為、三人は一旦説明はこの辺にしようとした。

 

グレガー「詳しい事は後で話すよ、本人も交えて。確認も兼ねてな」

 

ヘヴィー「ともかくこれで、ひと段落ついたな」

 

無事に接触を続けているのはここだけではなかった。

 

 


 

 

 

ファイヴスは一人劣勢に立たされていた。

彼の目の前には西洋の魔法使いのような見た目をした者が三人程おり、相対している形になる。

一方で彼の後ろには飛竜の子を抱えた碧眼の少女が居た。

 

「そこをどけ、その少女と飛竜をこちらに渡せばお前だけは見逃してやる」

 

魔法使いの一人がファイヴスに向かって言い、彼は後ろに居る少女に目をやる。少々怯えているような様子であるが絶対に渡さないという意志を感じる。

 

ファイヴス「誰が渡すか、テメェらみたいな見るからに怪しい奴らによ」

 

「そうか……ならば」

 

相手側ご呪文唱えるような素振りを見せると足元に魔法陣が浮かび上がるのが見えた。

すると魔法陣から触手のようなものが伸びてファイヴスの方へと襲いかかって来た。

 

「避けて!」

 

後ろの少女が叫ぶが彼はその場を動かず、肩に掛けていたWESTAR-M5 ブラスターライフルを素早く取り出しバースト射撃で一瞬にして蹴散らす。

 

「なっなんだ⁉︎」

 

「…⁉︎」

 

彼らにとって未知の武器であると分かったファイヴスはヘルメットの下で不適な笑みを浮かべる。

 

ファイヴス「……お嬢ちゃんはやれねぇが…これはやれるぜ」

 

彼は銃口を向けてそう言い放つとまた攻撃が来ると察した彼らは呪文を詠唱しようとしたが、それが命取りとなった。

詠唱し終える前にブラスターから青白い光弾が撃ち出される。

人体への直撃と同時に炸裂する光弾は一瞬にして彼らの命を奪い去っていく。一人また一人と面白いように倒されていく。

 

それは戦闘というより作業に近い光景を目の当たりにしている少女は自分の目を疑った。

 

そして遂に諦めたのか逃亡を図る者が現れたが、そいつらを見逃す程ファイヴスはお人よしではなかった。

銃身下部にグレネードランチャーを取り付けると逃げ続ける彼らに向けて一発撃ち込む。

一発撃ち込む。

 

直後に爆発と同時に逃亡を図った者は四肢や胴体をバラバラに吹き飛ばされた。

 

ファイヴス「バカな奴らだよ、投降すれば命は助けたかもしれねぇのによ」

 

ブラスターを戻して後ろの少女に目をやると少し怯えている様子でこちらを見ていた。

彼が一歩足を出すと一瞬体をビクつかせる。

警戒していると察したファイヴスはヘルメットを脱いで同じ人間である事を知ってもらおうとする。

 

ファイヴス「怖がらせたな、お嬢ちゃん。大丈夫だ俺も人間だ」

 

少し安心した様子を見せて彼女も口を開く。

 

「た…助けてくれて…ありがとう……ございます」

 

ファイヴス「よかったよ。名前を聞いてなかったな、俺はファイヴスだ、君は…?」

 

「ロニエ・アラベル……整合騎士見習い…です」

 

ロニエと名乗った彼女の自己紹介の中に気になる単語を見つけたファイヴス。

 

ファイヴス「整合騎士……?っていうと、()()()が言ってたやつか…」

 

ロニエ「⁉︎」

 

すると今度はロニエが反応を示してファイヴスに聞いて来た。

 

ロニエ「あ…あの!今“キリト”って言いませんでしたか…?」

 

ファイヴス「?…あぁ言ったけど?」

 

何気無く口に出したつもりだったがファイヴスにはなんのことか分からなかった。

 

ロニエ「やっぱり!先輩を、キリト先輩を知ってるんですね⁉︎」

 

先程とは態度を一変させて彼に言い寄らんばかりに近づく彼女にファイヴスも動揺する。

 

ファイヴス「まっ…待った!待ってくれ、確かに知ってる。ここには今は居ないがちょっと離れたところにいる」

 

ロニエ「先輩…‼︎」

 

それを聞いた彼女は涙を浮かべる。

その様子を見て、関係者だと察したファイヴスは再びヘルメットを被って話しかける。

 

ファイヴス「ロニエだったな、よかったらこれから行くか?」

 

ロニエ「行くって…キリト先輩のところにですか…?」

 

ファイヴス「あぁ、合流するのに時間は掛かるがそれでいいか?」

 

ロニエ「…はい!」

 

「自分が恋したあの人に会える」そう思った彼女はファイヴスの跡を涙を拭いつつ着いて行く。

 

ファイヴス「ところでその抱えてるソイツは?」

 

ロニエ「この子ですか?この子は《月駆》っていう飛竜の子供で私がお世話をしてるんです」

 

ファイヴス「へー……飛竜って何?」

 

ロニエ「えっ⁉︎飛竜は飛竜ですよ…知らないんですか?」

 

ファイヴス「知らんな。あっもしかしてドラゴンって奴か?」

 

ロニエ「……ドラ…ゴン?」

 

ファイヴス「お前さんでいうところのその飛竜って奴だ」

 

ロニエ「はぁ…」

 

異色の会合はまだまだ続くのであった。

 

 

 

*1
このZ6はブラスター本体は大して見た目の変更は無いが、決定的に違うのは側面からベルトが接続され背部に背負った大型弾倉よりエネルギーを供給する仕組みになっている点である。

これは彼の前世の経験が生きており、リシ基地にてZ6を使って善戦するも弾切れを直ぐに起こすという経験から彼が独自に改良した物である。弾薬の問題も以前のものより二倍以上に増したが、重量が20kg近くなってしまい専門の訓練を受けた兵士でなければ扱えない代物になった。





無事に合流を果たす一同。
しかしそんな中、親友ユージオ、彼の傍付きティーゼ、整合騎士アリス・シンセシス・サーティとその妹セルカ、孤高のスナイパーシノン、絶剣ユウキ、そしてユイ達の身に危機が迫る。

次回: 不良分隊(バッド・バッチ)
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