Re.蒼碧の艦隊3199 〜黒の剣士よ永遠に〜   作:短号司令官

9 / 34

西暦2202年
青木ヶ原樹海にて仲間達との再会を果たしたキリト:桐ヶ谷和人。
仲間達との再会に喜ぶ一方で、この世界を語るべく彼の口が開く。


第五話 再出発

 

富士宇宙港

富士鎮守府

 

大石「報告、確かに受けたよ。キャプテン」

 

鎮守府内の長官室にて大石はレックスより先の青木ヶ原での一連の事件の報告を受けていた。

 

大石「やはり君が睨んだ通り、桐ヶ谷君の仲間が居たな」

 

レックス「同時に敵も確認できましたが」

 

大石「それも予想内だ。ご苦労だ」

 

レックス「ありがとうございます」

 

報告の写った画面からスライドさせて今度は一行について話を切り出す。

 

大石「それにしても12人か……中々大勢だな」

 

レックス「自分も聞いた時は驚きましたよ。まさかこんなにいるだなんて」

 

大石「それにしても……」

 

大石はふと画面を見ながらある事に着目する。

 

大石「なぁキャップ、君はこの面子をどう思う?」

 

レックス「どう…と言いますと…?」

 

大石「いやさな…どうも女性の比率がおかしいと思ってな。親友の彼を除いて残りは全て女だ。おかしいと言わざるを得ないよ……」

 

レックス「言われてみると……」

 

今の今までに女性に対してこれといった感情を抱いたことのないレックスにとっては当初は別に気にはしなかったが、大石に言われてみて確かにおかしいと思った。

 

大石「これを見るに…どうも桐ヶ谷君は相当罪作りな男らしいな」

 

レックス「はぁ…」

 

ほくそ笑んで言う大石の言う事の意味をレックスは果たして理解しているのか否か……

 

大石「ところで、その彼らは?」

 

レックス「談話室です。何でもキリトの奴、この世界について話すとか」

 

大石「……まぁ当然だろうな。いきなり右も左も分からない見ず知らずの世界に来てしまったんだ、多少なり説明いるだろう」

 

レックス「我々は行かなくてよろしいのですか?」

 

大石「ありのままを喋っても理解が追いつかんだろう。彼なら上手く説明するさ」

 

 


 

 

談話室

 

アスナ「にゅ…入隊⁉︎」

 

アスナの驚きに満ちた声が談話室に響き渡る。

 

シノン「アンタ…軍に入隊って……何考えてんのよ……」

 

キリト「何もこうもないよ。俺は俺が進もうと思った方向に進んだだけだよ」

 

ユージオ「まぁ…キリトらしい……のかな?」

 

談話室でキリトは自分が居なくなった後のアンダーワールドの事や自身の身の上話をしていた。

 

アリス「それにしてもこの世界は何から何まで驚く事ばかりです…」

 

ティーゼ「神聖術も存在しない世界だなんて信じられませんけど、これが現実なんですね」

 

ロニエ「キリト先輩、そういえばまだこの世界について余り詳しく聞いてないので話してください」

 

リズ「確かに、アンタ聞く限りだと一年近くいるそうね?」

 

キリト「え?あ、あぁまぁな…」

 

シリカ「私も知りたいです」

 

ユイ「パパ話してください!」

 

キリト「分かった、分かったから」(いや…参ったな。アスナ達はともかくユージオ達みたいなUW生まれからしたら、宇宙とか星間国家とか分かるわけないよな……)

 

しばらく考える素振りを見せるキリトにアスナが言い寄る。

 

アスナ「キリトく〜ん?」

 

キリト「分かった!はぁー……簡潔に話すとここは俺やアスナ達が生まれた“リアルワールド”と呼ばれる世界だ」

 

ロニエ「リアルワールド⁉︎」

 

ユージオ「そ…それじゃあキリトやアスナは故郷に帰って来れたって事なのかい…⁉︎」

 

キリト「まぁ待ってくれ、確かにリアルワールドではあるんだが…俺が生まれた時代とはどうも違う見たいでな。俺やアスナがUWに渡ってから、どれくらいかな……大体100年以上先の未来の世界らしいんだ」

 

それを聞いた一同は驚愕した表情を見せる。

 

アリス「未来の……リアルワールド…」

 

リズ「いや……でもちょっと待ちなさいよ…明らかに技術の進みおかしくない…?」

 

キリト「まぁそれはそうかもな……そう言うわけで、リアルワールド出身者はちょっと集まってくれ」

 

彼に言われてアスナ達リアルワールド出身者こと転生組は少し離れた場所に集まる。

 

キリト「これでいいな…」

 

ユウキ「僕達だけ集めてどうしたの?」

 

キリト「ちょっと、皆には個別に言っておかなきゃダメな事があってな。実を言うとこの世界の日本は俺達が転生する前に居た日本じゃないんだ」

 

「「え?」」

 

何を言っているのか分からないと言ったら表情でキリトを見る一同に彼は話し続ける。

 

キリト「この世界に来た時、俺はこの世界が本当に俺の知る世界なのか気になって調べたんだ。そしたら『SAO事件』はおろか『ナーヴギア』すら存在しなかったんだ……」

 

「「……」」

 

シノン「えっと……つまり私たち、全く別の……パラレルワールドの日本に来たって事…?」

 

キリト「あぁ……そうだ」

 

なんと言ったらいいか分からない。帰って来たとも言えるしそうでもないと言えるこの感覚が不思議でならなかった。

 

アスナ「でも……ある意味では里帰りしたって事なのかな……?」

 

キリト「まぁそうだな。日本に帰って来たってだけで言ったらそうだし、ユージオ達には申し訳ないけどこの事は黙っておこう」

 

シノン「それが一番ね。却って混乱させるだけでしょうし」

 

リーファ「それでこの世界はどういう感じなの?」

 

キリト「うーん…一言でいうとSFの要素がかなり強めな世界だな。人類が宇宙に移民とかしてるし、なんなら地球そのものが星間国家になってるしな」

 

シリカ「せ……星間国家…?」

 

ユイ「主に宇宙系SF作品に登場する国家の概念です。この場合の「星」とは恒星を指し、複数の星系にまたがって勢力を持つ国家を示します。なので「恒星間国家」と呼ぶ場合も。その定義上、いずれも大国家であり、物語の主人公たちとは別勢力であることも多いんです」

 

リズ「な…なるほど……」

 

キリト「説明ありがとうな、ユイ」

 

ユイ「親のサポートをするのも娘の役目です!」

 

アスナ「ところでキリトくん。この世界でキリトくんはレックスさんの他にどんな人に会ってるの?」

 

リズ「そうね〜、まっいつもみたいにまた女の子を引っ掛けてるんでしょ?」

 

キリト「さて…今回はどうかな?」

 

ユージオ達にも声を掛けてキリトらは談話室を後にする。

 

 


 

 

一行がやって来たのは[司令室]と札の掛けられた部屋の前へとやって来た。キリトが二、三回ノックをすると中から「入りたまえ」という声がした。

 

キリト「失礼します」

 

扉を開けた先には大石が淹れたてのコーヒーをカップに注いでいる最中であった。

 

大石「おぉ君か、それに揃いも揃って」

 

手に持っていたジャグ・カップを置いて彼らに歩み寄る。

 

キリト「この人は大石蔵良さん。俺が所属する旭日艦隊の司令長官にして元帥だ」

 

大石「大石だ。君達の話は彼から聞いているよ、何れも個性的なメンバーだと聞く。宜しく頼む」

 

笑みを浮かべて大石は敬礼をして見せた。

 

アスナ「げ…元帥…⁉︎」

 

予想だにしない人物の登場に驚きを隠せない一同。

 

ユージオ「元帥って……」

 

ユイ「元帥とは軍隊における階級、または称号。元帥号とも言います。階級を示す場合には大将よりもさらに上位で軍隊における最上級の階級です」

 

アリス「さ…最上級…⁉︎失礼しました、閣下」

 

突然の閣下呼びに一瞬驚くも頭を掻いて大石は言う。

 

大石「いや、そんな畏まる必要はない。元帥といっても名前だけで中身は他の中将とはなんら変わりはしない」

 

リーファ「は…はい」

 

大石「立ち話も難だろう。掛けたまえ、君達コーヒーはいける口だろう?」

 

キリト「あぁユイは…」

 

大石「分かっておるよ。待ってろ」

 

キリト「手伝います」

 

コーヒーを注ぎに向かった二人を見る一同は呆気に取られていた

 

ロニエ「凄い…」

 

ティーゼ「なんだか…あの方にもう引っ張られているような……そんな気がします」

 

シノン「話の主導権……もう握られたわね…」

 

リズ「それにしても元帥ねぇ……」

 

ユウキ「あの人、名前だけだって言ったけどなんだかオーラが凄いよ……」

 

リーファ「確かに…なんだかあの人には真っ向から挑んじゃいけないような…気がします」

 

全員分のコーヒーを注ぎ終わり、一息つきながら話を続ける。

 

大石「さて、何から話したもんか…」

 

ユージオ「えっと…オオイシさんとキリトの関係は…?」

 

大石「ん?そうさな……」

 

キリト「んー…言うなれば、先生と生徒……みたいな感じかな?俺がこの世界で必要と思った知識はあらかた大石さんが教えてくれたし、なんなら武術も叩き込まれたよ」

 

大石「おいおい、叩き込まれたはないだろう?」

 

キリト「あっははw」

 

アスナ「なるほど…キリトくんのあの強さってこの人が元なんだ……」

 

シノン「あの…私からもいいですか?」

 

大石「何かね?」

 

シノン「私達の身柄は今後どうなるんですか…?」

 

大石「ほぉ…」

 

リーファ「シノンさん…!」

 

大石「中々鋭い事を聞いて来たな…どうしてだい?」

 

シノン「私達は今こうして保護という形で居させてもらってますけど、やっぱり私達もキリトみたいに入隊……するべきなのかなって……」

 

彼は真剣な表情でシノンを見つめて、コーヒーを一口飲んで話し出す。

 

大石「それも一つの選択肢だな。だが俺に君らの身柄をどうこうする権利はない」

 

徐に立ち上がって話を続ける。

 

大石「桐ヶ谷君はある特殊な理由と本人の同意の下で俺の下に置いている。だが本来なら軍に入るという選択肢を選ぶ必要も無かった。我々はあくまで道を提示しただけで、どの道に進むかは本人が最終的に決めている」

 

大石は窓辺に寄り外を眺めつつ話を続ける。

 

大石「つまるところ、周りの人間の意見は選択肢にすぎない。強制でもしない限り最後に決めるのは当事者自身の意思だ」

 

彼は首をこちらに向けてこう言った。

 

大石「自分の進退は自分でしか決められん、後悔するしないは二の次だ」

 

「「……」」

 

自分のことは自分でしか決められない、そう言われて改めて考えるということの重要さを彼女らも理解した。

 

アスナ「分かりました。時間を掛けて考えてみます」

 

大石「…うむ、それでいい」

 

 


 

 

後日熟慮と大高・高野両雄との会合の末、彼女らも(キリト)と同じ道を歩む事にした。

 

 

 

結城明日奈:アスナ

船務科訓練生・第7空挺兵団配属。

 

桐ヶ谷直葉:リーファ

先述と同じ。

 

朝田詩乃:シノン

戦術科訓練生:砲術科を希望。

 

紺野木綿季:ユウキ

戦術科訓練生

 

篠崎里香:リズ

技術科訓練生・332師団配属。

 

綾野珪子:シリカ

船務科訓練生・332師団配属、ピナは特例。

 

ロニエ・アラベル/ティーゼ・シュトリーネン

未定なれど日本武尊配属を希望

 

アリス・ツーベルク*1

未定なれど日本武尊配属を希望

 

ユージオ

航海科訓練生。

 

セルカ・ツーベルク

医療科訓練生

 

ユイ

年齢的に訓練生として不可。しかし特例により乗艦は許可。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
シンセシス・サーティでは長すぎるとのことから





新たなる一歩を共に歩み出した一同。しかしそれは地獄への一歩でもあった……

次回:新章 方舟編 第1話 大海原へ(大宇宙へ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。