失恋して彼女を寝取られてしまいましたが、学校一のおひいさまに溺愛されています   作:瓜生史郎

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18話

 俺達は、大きなデパートへと到着する。

 

 ここは、家電量販店の他に食料品や日用品、さらにアパレルショップなど、様々な店舗が入っている。

 

 パソコンパーツ売り場へと向かうと、棚に並ぶさまざまなグラフィックボードを眺めながら、俺は凛華のPCに合いそうなものを探す。

 

「これなんかどうかな? 性能もコスパもいいし、ゲームするには十分だと思うよ」

 

 ひとつのモデルを指差して説明すると、凛華が首をかしげながらその製品のパッケージを手に取った。

 

「ふむふむ、なるほど。じゃあ、それにしようかな。和也くんがおすすめするなら間違いないでしょ!」

 

 俺のアドバイスを素直に受け入れてくれる凛華に、少しだけ胸が温かくなる。

 

「そう言われると、ちょっとプレッシャーだけどね……」

「大丈夫、大丈夫!」

 

 そう言って嬉しそうに、凛華はレジへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事にグラフィックボードを購入し、出口に向かって歩いていると、凛華が急に立ち止まる。

 

「ねえ、せっかくだし、このままデートしない?」

「で、デート!?」

 

 予想外の提案に、思わず声が裏返る。凛華はそんな俺の反応を楽しむかのように、にっこりと笑う。

 

「だって、せっかく大きなデパートまで来たんだよ? グラボ買って帰るだけじゃつまらないでしょ?」

「いや、まあ、それはそうだけど……」

「じゃあ、決まり! ほら、行こ」

 

 凛華に俺の腕を軽く引っ張られて、到着したのはお洒落なアパレルショップだ。

 

 到着したと同時に凛華は、目を輝かせながら、鮮やかなピンクの服を手に持つ。

 

「このブランド、新作出てたんだー。かわいいー!」

「へ、へぇ……」

 

 人混みで賑わうアパレルショップの中、俺は完全に浮いている。

 

 周りを見渡せば、女性たちやカップルが楽しそうに服を選んでいる。対して俺は、陳列棚の端っこで所在なさげに立っているだけ。こんな場所に男一人でいるのが、こんなにも居心地悪いとは思わなかった。

 

 俺には眩しすぎる場所だ……。

 

「でも、さっきグラボ買っちゃったから、1着しか買えないなぁ……」

「え、たっか!」

 

 服についている値札を見ると、俺がいつも着ている服よりも桁が1つ多く、目玉が飛び出るほど驚く。

 

 女の子の服って、こんなに高いんだ……。

 

「和也君、どっちが似合うと思う?」

 

 唖然とする俺をよそに、凛華は楽しそうに二着のワンピースを手にして振り返る。一方は淡いピンク清楚なデザイン、もう一方は鮮やかな赤で大人っぽい雰囲気だ。

 

「えっと……どっちでも似合うんじゃないかな……?」

 

 適当に答えると、凛華は不満げに頬を膨らませた。

 

「それじゃ参考にならないよ。ちゃんと選んで!」

「ご、ごめん……」

「もう!」

 

 頬を膨らませながら、そう言うと彼女は俺の腕を掴み、店の奥にある試着室の前まで強引に連行される。

 

「いてて……」

「今から試着するから、どっちが似合うか決めてね?」

 

 そう言い残し、凛華は試着室に消えていった。

 

 どうしよう。ファッションセンスのない俺が決めて良いんだろうか?

 

「和也君~、準備できたよ。見ててね!」

 

 そんな事を考えていると、元気な声がカーテンの中から響き、俺は思わず背筋を正した。そして、カーテンがサッと開かれる。

 

 現れたのは、淡いベージュのワンピースを身にまとった凛華だった。清楚なデザインで、肩からウエストにかけて優雅にラインが描かれている。学校で見る制服姿とはまた違った、柔らかく女性らしい雰囲気が漂っていた。

 

「どう?」

 

 凛華がくるりと回ってみせると、ふんわりとしたスカートが軽やかに広がる。その動きに目を奪われながら、俺は慌てて口を開いた。

 

「すごく清楚な感じで、似合ってると思う……」

「ふふん、じゃあもう一着着るね」

 

 満足げに笑う凛華は、また試着室に戻っていった。

 

 次に登場したのは、鮮やかな赤のドレスワンピース。ひざ丈で少しタイトなデザインが大人っぽさを引き立てている。普段の凛華とは印象が違い、どこか大人の女性の雰囲気が漂っていた。

 

「これどうかな? ちょっと大人っぽすぎる?」

 

 そう言いながら凛華は少し妖艶な表情をする。普段の彼女からは考えられない表情に、俺の言葉は詰まった。

 

「え、いや……その、大人っぽい服装もすごく似合ってるよ。俺は悪くないと思う」

 

 思わず心の底からそう言葉が漏れた。それを聞いた凛華は、ちょっと驚いたように目を丸くし、それからふわりと笑みを浮かべる。

 

「すごい褒めてくれてる。これにしちゃおうかな?」

「うん、それが良いと思うよ」

「じゃあ、これにするね」

 

 満足そうな表情をして、また試着室の中に戻って行ったの見届けると俺はほっと一息つく。

 

 無事に選び終えたのは良いが、いつの間にか、周りに小さな人だかりができていた。

 

 試着をするだけで、周りの注目を引くとは……。流石おひいさまである。

 

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