失恋して彼女を寝取られてしまいましたが、学校一のおひいさまに溺愛されています   作:瓜生史郎

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4話

カフェを出た俺たちは、駅近くの商店街を歩きながら、ふと目に入ったゲームショップへ吸い寄せられるように足を運んだ。

 

 店内は、カラフルなゲームポスターやソフトで埋め尽くされていて、子供の頃にゲーム屋で胸を躍らせた記憶を呼び覚ます。

 

「うわぁ、すごい……!」

 

 白崎さんが目を輝かせながら店内を見回す。普段の「おひいさま」な姿からは想像もつかない、無邪気な表情だ。俺はその様子に少し驚きつつも、つられて懐かしい気持ちになった。

 

「ここ、いい感じの店だな。最近はネットで買うことが多いけど、こういう場所はやっぱり特別だよな」

「うん! 直接見て触って選ぶのって、ネットじゃ味わえない楽しさがあるよねー」

 

 やはり、何時まで経ってもパッケージを手に取って、味わえるわくわく感はたまらない。

 

 気が付けば時間を忘れて、店内にあるゲームを夢中で漁ってしまっていた。

 

「これ……懐かしい! 和也君、見て!」

 

 振り向いた白崎さんが手にしていたのは、なんとレトロなアクションゲームのパッケージだった。それなりに古いタイトルで、俺でも名前を聞いたことがあるやつだ。

 

「え、白崎さん、これやったことあるのか?」

 

 驚いて聞くと、白崎さんは小さく笑いながらうなずいた。

 

「うん、小さいころにお父さんから借りて、遊んでたの。全然クリアできなかったけど、楽しかったなぁ……」

「じゃあ、今こそリベンジのチャンスだな。買って帰るか?」

 

 俺が冗談交じりに言うと、白崎さんは「そうだね!」と勢いよく頷き、レジに向かって歩き出した。

 

 「わー、これ手に取るだけで当時の思い出がよみがえる……絶対またハマる気がする!」

 

 彼女が楽しげに話す姿に、俺はつい笑みがこぼれる。

 

 白崎さんは「学校のおひいさま」なんて肩書きを気にせず、ただ自分の好きなものに夢中になっている。それが見ていて心地よかった。

 

「そう言えば、和也君は何か買わなかったの?」

「いや、俺は特に……って言いたいところだけど、見てたら少し欲しくなったな」

 

 そう答えると、凛華は得意げに胸を張った。

 

「じゃあ、次は一緒に選ぼうよ! 絶対ぴったりのソフト見つけてあげるから!」

「わかった。次来る機会があったらお願いしようかな……」

「任せて!」

 

 無邪気な笑顔で、白崎さんは胸を叩く。

 

 その無邪気な笑顔に、俺の胸はほんの少し暖かくなっていた。

 

「ねぇ、和也君、次はどこへ行く?」

「うーん……。白崎さんに任せるよ」

 

 そう言うと、白崎さんは急に不満げな表情をする。

 

 まずい、機嫌を損ねさせてしまったのだろうか?

 

 「なんか、私だけ苗字呼びは嫌なんだけど。和也君も私の事凛華って呼んで?」

 

 いやいや、流石に学校のおひいさまを名前呼びするなんて、難易度が高すぎるんですけど……。

 

 ていうか、こんな陰キャの俺がおひいさまの事を名前呼びにするなんて許されるはずが……。

 

 いや、おひいさまに名前で呼んでとお願いされてるんだ、断る理由がない。

 

「じゃ、じゃあ凛華さん……」

「むすー。さん付けやだー! リリイって呼んでるんだから、リアルでも凛華って呼んでほしい!」

「わ、わかったよ! 凛華! これでいい?」

 

 駄々をこねる姿に、敗北した俺は凛華と呼ぶことになったのだった。

 

 なんか今日だけで、すごい急接近してるような気がするの気のせいだろうか?

 

 その後もアニマートへ行って、アニメやゲームのグッズを買ったり、ゲームセンターへ行って、一緒に遊んだりしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 夕方、俺たちは駅前まで戻ってきていた。

 

 今日1日凛華と遊んで、いつの間にか美咲に振られて、沈んでいた気持ちが無くなっていた。

 

 この時間がもっと続けば良いのにと思っていたのに、なんて時の流れは残酷なのだろう……。

 

「今日は楽しかったね」

 

 小さく笑いながら凛華がそう言うと、俺も自然と笑みがこぼれる。

 

「俺も。すごく楽しかった」

 

 そう答えると、凛華はほんの少しだけ驚いたような顔をしてから、優しく微笑んだ。

 

「また、現実でも一緒に遊びたいな」

 

 その言葉に、俺は少しだけ戸惑った。ゲーム内ではなく、現実で――。彼女の瞳は真剣で、その気持ちが嘘じゃないことを教えてくれる。

 

「……うん、そうだね。また遊ぼう」

 

 俺が答えると、凛華は嬉しそうに微笑んで「約束だよ」と言った。

 

 そんな笑顔で約束だよって言うの反則だろ……。

 

 その後、電車の来る時間が近づき、俺たちはそれぞれのホームに向かう。凛華は改札の前で振り返り、大きく手を振った。

 

「またね、和也君!」

「うん、またね、凛華!」

 

 その背中が見えなくなるまで見送った俺は、ふっと息をついて帰路に着くのだった。

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