生存報告がてらのご報告、途中執筆です。
「うふふ。先生、この私が社長としての振舞というのを見せてあげるわ!」
「そうかい。んなら、じっくり見物させてもらおうじゃねえの」
とある商店街、それは日常の一コマ。
燦燦と降り注ぐ太陽の光に不慣れな不摂生の大男と、自信満々な笑みを浮かべる便利屋の社長。この二人が街道を進もうと思えば、その赤のシルエットが並ぶ姿に生徒たちや大人たちは目を逸らすことしかできやしない。何故かって? 決まってる。変にいちゃもん付けられようものなら謎の爆弾が降り注いで歩道が木っ端みじんになっちまうからだ。数度、近隣の店達はその被害者。裏でこっそり算術使いの太ももが根回して弁償しているのは大男には内緒の話だが、何れ身に覚えもなく気にする素振りも見せない請求書の山がいつのまにかベッドになっていることに絶望を感じるだろうさ。
「アル、本当にここであってんのか? ただの雑居ビル。パーティーにしちゃ、随分しけてやがるぜ」
「あら、ビビっているの先生? ふふん、本当の珍獣というのは人目に付かないところで売られているものよ?」
「そもそも珍獣なんてどうして欲しがってるんだ? 既に個性的なのが3人いるだろ」
「わかってないわね先生! 優秀な経営者のお膝にはそれはもう珍しいペットがいるものなの。アウトローでしょう?」
きっと、先日胃に悪いものでも入れたのだろうさ。と、熱弁していた映画の内容を思い出す先生。あれはただの猫だろうがと口が勝手に突っ込みだすのを結び、展開を生徒の自主性に任せる。おっと、言っておくが奴は怠惰なんかじゃないぜ。ただ刺激が欲しいだけさ。ビル破壊するより刺激的なことなんざ世の中そうは無いだろうが、魔界や異世界ほどじゃない。そんな小さな楽しみをくれる生徒に感謝しつつ、お守りという体裁を保ってニヒルに口を曲げるのが好きなだけさ。困ったもんだぜ。
「あったここだわ! この階段を下りた先なの」
「上じゃなくて地下か」
「以前は大きなパーティー会場だったみたいなの。そこを改造してペットショップにしたらしいわ! うふふ、可愛い子がいればいいわね」
「やれやれ、動物の鳴き声かお前の悲鳴か、判別できるように頼むぜ」
「ちょっと、変なこと言わないで頂戴! じゃ、先に進みましょう」
肩を竦ませる男は昨夜の珍獣三人からの言葉を思い出す。
社長が神の父だかなんだかよくわからない映画に触発されて急にペットが欲しいと言い出すもんだから、雑草茶葉がお得意の彼女が、日夜目に隈を据えながら必死にネットの海に潜ったんだと。するとどうだい、見事にあるのツボを突いた謳い文句の店が出てくる出てくる。やれ金運アップだとか、それこそ神の父の写真を無断で使用したポスターだとか……まぁ、沢山だ。
普通に猫を飼えばいいものの、アルはそれだと普通過ぎて可愛がるだけと言い、珍獣に目を付けたって流れ。陰でカヨコが頭痛薬を飲んでたところを雑草茶葉で応援したハルカを尻目に、ムツキは悪戯っ子な微笑みで「アルちゃんのペットなら、顔が三つくらい無いとね!」とか言い出す始末。手に負えなくなったカヨコが先生であるダンテに相談したって訳だ。
「で、そんなたいそうな珍獣がいるってのか?」
「ええそうよ! ハルカの調べによればね、なんとここにはそれは可愛らしい珍獣がいるみたいなの。それだけじゃなくてね……なんとその珍獣、たまに言葉をしゃべるみたいなのよ! すごいでしょ!」
「……他に特徴は?」
「そうね。氷の息を吐いたり、顔が三つあるなんて噂もあったわ!」
コツコツと足音が反響音で響く中、アルは満面の笑みでルンルン気分だ。声色で分かる。
が、とうの先生はというと、それまで出会ってきた珍獣なる者にいくつか心当たりがあった。あったというよりそう忘れるものでもない。記憶の彼方にいることは間違いではないが……バルログと戦うまではたまに使って遊んでたあの武器。まさか、キヴォトスにまで顕現するなんてこた無いだろうと余計な頭を振りほどく。
「出会えたらいいな」
「ええ! 珍獣なんて中々出会えないもの!」
「だな、俺も楽しみだ」