司書補の私の生きる意味   作:ボプ!!!!!!!!!

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過去と復讐

あんな風に大口を叩いたけれど。戦闘内容は防戦一方、それどころか傷が増えていく一方だった。

 

『てやぁぁっ!!』

 

「ぅっ、あっ!??」

 

じゅうううっ、と身が焼ける音。右の横腹が燃える感覚。

 

「はぁ、っ…せぁぁっ!!」

 

『…くっ!?』

 

その感覚を無視して肉薄する。そうして、軽い傷を与えて────── かぁんっ、と弾かれ、今度は右肩を焼かれる。そして、私がまた肉薄。相手の胸を穿つが致死には至らない。

 

『アンタ、気狂ってるんじゃないの…!?』

 

「ぐぅぅっ…!!…確かに、そうかもしれないですね…ふっ!」

 

 

傍から見たら、お互いの与えるダメージは同じに見える。

 

…しかし、こっちは都市怪談になる前、噂程度の時に来たゲストとしか戦っていない時の技量にまで弱体化していて。

 

軽い攻撃から、連続攻撃、攻撃と防御──────全て、火力不足。

 

それに火傷も嵩むときた。じわじわと体力が削られていく。

 

「げほっ、ごほっ…」

 

『ハハッ…アンタ、やっぱり本がないと弱いのね。』

 

また攻撃を避けられて、距離を取られる。私の咳に血が混じっているのを見ると、ルルが笑みを浮かべて。

 

「…確かに、体力とかはあなたに及ばないですけど…ッ!!」

 

『そう。なら、さっさと終わらせてあげる!!』

 

そう言うとルルは突っ込んできた。頭に、熱が昇った状態で。確かに、今の私には防いでもそのまま焼けてしまうだろう。

 

…確かに、火力不足で。今出した手札だけじゃ、勝てるわけがなくて。

 

『マスの仇…死ね!ファイアーバットを喰らえぇぇ!!!』

 

だから、出していない手札が──────特色と調律者を相手にして、少しでも生き残る為に見て、覚えた技が刺さる。

 

──────当然の事だが。特色と調律者の3人と手合わせすると、一瞬で負けた。そのままだと歯が立たないとか、そういうレベルじゃなかった。

 

…だから、瞬殺を無くすために編んだ手段──────E.G.Oの力。ロボトミー時代に私たちが使っていた技を、再現した。

 

攻撃を無視して、正面から向かってくるルルを──────

 

「──────決死の、一生」

 

『ごっ…!?か、ふっ…』

 

右肩から左脇にかけて、両断した。

 

「…頭、冷やせって…私の上司に言われてたでしょう…?」

 

『…クソっ…なんで…』

 

「…私も、あの頃のままじゃいけないって思ったんです。弱いままじゃ、いけないですから。…では、約束なので。力を貸してください。」

 

手を差し出したが、無視される。

 

『…殺せば、いいんじゃない?そしたら、また私を本として自由に使えるじゃない。』

 

ご尤もだ。…でも。

 

「…嫌です。あなたに力を貸してほしいんです。ルルの本じゃなくて、ルルさん、あなたに」

 

『何のつもりよ…勝ち誇ってる訳?』

 

「…1つ、予想を立てたんです」

 

「この世界に、あなたの本がある。…それなら、マスさんの本があるかもしれない」

 

『…マスが──────?』

 

「貴方が、こうやって交流できるなら…マスさんだって、出来るはずです。」

 

「私の目的は、あなた達を殺しても完遂されなかった。…だから、せめてあなた達だけでも──────そう思うのは、傲慢ですか?」

 

ロボトミーの頃。私は平和を望んでいた。身内の平和の為に生きてきた。

 

…だから、身内以外が死んでも何も思わなかったし、私たちじゃなくて良かったとすら思った。…それが間違ってるとは思ってない。

 

…でも。身内が居なくなって、復讐する人間も、取り戻す方法も、無くなって。

 

何も、生きる理由なんて無くなってしまったから。空っぽになってしまったから。

 

「空っぽが、増えて欲しいわけじゃないんです。私みたいな人が、増えて欲しくないんです」

 

そうやって、心の中を話した。

 

『…あの時から変わってないのは、私だけ…かぁ。』

 

少し経って、ルルさんはそう呟いた。

 

 

『分かった…その話、乗ってあげる。…けど。』

 

『アンタがマスを殺したのは変わらない。…吐いた唾を飲んだら殺すから。分かったわね?』

 

こっちを睨む顔は、いつでも見ていてやるという目つきをしていて。

 

「はい。…本当に、ごめんなさい」

 

 

ルルの本 完全解放 完了

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「…。」

 

…後頭部が痛い。起きた時の感想はこれだった。

 

「あ、ヴァンちゃん!!!頭大丈夫?」

 

「…なんか、罵倒されてる気がしなくもないですけど…大丈夫です」

 

罵倒のような言葉を聞いて、思わず真顔になる。

 

「あ、ゴメンね。…えっと。とりあえずヴァンちゃんが倒れてからの事、説明するね?」

 

そのことに気づいた先生はすぐに謝罪してきた。…私が倒れた後、リンさんと手当をしてくれたらしく。頭には包帯が巻かれていた。

 

そして、シャーレの勤務内容とか担当とか当番制とかの話を受けた。

 

「カフェとかは勝手に行ってくれて大丈夫。コンビニもあるし、欲しいものがあったら行ってくれたら買うし。」

 

「…いろいろ、ありがとうございます」

 

「いいのいいの、気にしないで。私がやりたくてやってるんだから。…とりあえず、今日はもう寝ときな?明日から、仕事手伝ってもらえる?」

 

「…そう、ですね。じゃあ、お先に失礼します」

 

「うん、お疲れ様。」

 

そう言って先生と別れる。シャワー室に行ってシャワーを済ませ、仮眠室に着いて。

 

「うわ、すっご…ベッド、柔らか──────」

 

『ねえ。アンタ、私のこと忘れてない?』

 

唐突に、頭の中に声が。ベッドに横になろうとしていた私に精神値抵抗値30のダメージ。

 

「っわ、なんっ…。びっくりした…ルルですか。脅かさないでくださいよ…」

 

『アンタが私に一切触れないから悪い!!』

 

「あ、ハイ…」

 

…実は、普通に本がどこに行ったのか分からなかったから触れなかっただけなのだが。

 

「で、貴方はどこにいるんですか?本とか…」

 

『アンタに統合された、って。多分、自分の意思で本とか出せるんじゃない?』

 

「え?…本当だ、出来た」

 

軽く念じてみると、手元に本がぴょこっと出てくる。…本よ出ろ〜!みたいなのでいいのか…

 

『…何か、自分が製本されてるとしんどいものがあるわね?』

 

「…なんか、本当に…」

 

『申し訳ない、って?…なら、私にもそのベッドの感触触らせてよ』

 

「はい?」

 

突拍子もないことを言うので、思わず変な声が出る。

 

『いいから。ほら、やるわよ』

 

「え?あ、ハイ。」

 

ページがパラパラをめくれる音と共に、私の見た目はルルと同じようになる。

 

「…これで、感触とか分かるんですか?」

 

『あ、感触ある。…本当に柔らかい…気持ちいい…』

 

…えぇ。

 

「え、知らなかったんですか。なんですかそれ」

 

『うるさい。焼くわよ?』

 

「えぇ…?…ま、まあいいや…それじゃあ寝ますか。」

 

少し大きめな枕に頭を預けると、直ぐに眠気が襲ってきて。

 

直ぐに、眠りに落ちた。

 

 

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L社

 

「…先輩。だから、言ったんですよ。コイツ絶対やばいから、作業しちゃ駄目だって…。」

 

「頭、クラクラしますし。ずーっと、頭にあの人がチラついて、正気保つのもしんどいんですから。」

 

「…よし。それじゃあ先輩!私やる事あるんで。先に行ってますね。」

 

「…先輩。すぐは来ないでくださいね?せめて、何十年もたってから来てください。…私達、そんなせっかちじゃないんで。」

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ヴァンちゃんが寝てから数時間。

 

「づっがれだ…」

 

リンちゃんに渡された仕事を悪戦苦闘しながら、締切が近いものを終わらせられた。

 

「…これ、毎日やるのかあ…疲れるなぁ…」

 

ちょっと大変だなぁ、そう思いながら私も仮眠室に向かう。決して、先に着いていたヴァンちゃんの寝顔を拝むためではない。…それだけでは無い。

 

仮眠室に着くと、ヴァンちゃんが手前のベッドで寝ていて、ウキウキでその顔を見に行くと──────

 

「…あれ。こんな服持ってたんだ?」

 

先程と、着ていた服が違った。さっきまでは黒が基調の服を着ていたのに、モコモコとした服に変わって、暖かそうな様子に──────

 

「…ゃ、っ…まって…」

 

「…魘されてる…?」

 

服が関係している、という訳ではなさそうだけれど。

 

「わたしを…置いて、いかないでよ…」

 

「大丈夫だよ、私が居るから──────」

 

「れー、ちぇる…」

 

「──────。」

 

レーチェル。…その人が、ヴァンちゃんのどんな関係なのかは分からないし、彼女の過去に何があったのかは分からないけれど。

 

「大丈夫、大丈夫だよ…」

 

どうか、ここではヴァンちゃんが安全に過ごせますように。そう、心から祈った。

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「はっ…はぁっ…はぁ…ほんと…目覚め、最悪…」

 

寝汗が酷い。それに、動悸や呼吸がおかしい。

 

「…はぁ…ふうっ…」

 

少し時間をかけて落ち着ける。

 

そうしてしばらく経ち。ある程度呼吸が落ち着いたので、

 

「…シャワー、行こ…」

 

むくりと起き上がり、ベッドから降りて──────

 

「…先生?」

 

私のベッドの横で、先生が寝ていた。…ちなみに、横とは床である。

 

「…仕事疲れたのかな…?寝かしておこうかな」

 

とりあえず隣のベッドに寝かせておいて、そのままシャワー室に向かう。

 

『………はぁぁ…。』

 

向かう途中で、どこからともなくため息が聞こえた。

 

「あ、ルル。おはようございます。…元気ないですね?」

 

今起きたような感じのルルにそうやって私が聞くと、「誰のせいだと思ってんのよ…」と言われて、なんのことかを聞き返す。

 

『…アンタの夢。あまりにも酷すぎて私も目覚め悪いんだけど…』

 

「…見たんですか?」

 

『見たわよ。何、アレ?…ねじれ?ヴァン、アンタ何者よ?』

 

ちょっと待って欲しい、質問が多すぎる。そう言って、シャワー室で服を脱ぎながら説明をする。

 

「私は、L社のエージェントでした。仕事内容は、アレを世話することでエンケファリンを稼ぐことです。…毎日人が死ぬので、結構ブラックなんですよ…」

 

『ブラックとかそういうレベルじゃないけど…それで?あの翼みたいなのが生えた化け物みたいなのは?』

 

「…アレは…あのようなものを全てまとめて、幻想体って言います。ねじれと似たようなものなんですけど、アレは死なないので厄介なんですよね…。」

 

『…え、アレ死なないの?アンタの後輩が止めてたような──────。』

 

「…はい。あの後、何事も無かったかのように収容室に戻ってました。」

 

『…犬死じゃない…何よそれ…──────あっっつぅ!???何すんのよ!!』

 

何をする、って。普通にシャワーを浴びただけなのだけれど。…まあ、予想よりなかなか熱くてビックリしたが──────

 

「…あ。ルルの本装備したままでしたね?」

 

『私も忘れてた…ッ!!!!』

 

…とまあ、こんな感じで話していたらいつの間にかその話は流された。

 

…助かった、とも思った。まだ私も、完全に立ち直れている訳では無いから。

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「背中、痛…」

 

……ヴァンちゃんが魘されているのをどうにかしようとして、いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。

 

「…あれ…ベッド?」

 

ベッドに寝かされていることに気づいて、慌てて飛び起きると、隣にヴァンちゃんの姿は無くなっていた。

 

「…もう起きたんだ…」

 

私も早く起きないとと思い、ベッドから出る。

 

「…あれ?…いない…」

 

歯磨きしながら色々なところを探したけれど、どこにもいない。

外行ってるのかな…と思いつつ、一応居ないと思うけれど、屋上に行ってみると──────

 

「…せぇぁっ!!」

 

昨日来ていた服のまま、バットを振り回している。勢いが強いからか、こちらにも少し熱気が伝わってくる。

 

「…ふうっ…大体、こんぐらいですか…

お疲れ様です、ルル──────」

 

「ヴァンちゃん?」

 

「ひゃいっ!??…あぁ、せ、先生。おはようございます…あっ!?」

 

びくりと驚いたヴァンちゃんの服装が、元の服に戻る。

 

「えっ…?」

 

「…い、今のは見なかったことに……」

 

…まさか…!!??

 

「ヴァンちゃん、変身できるの!!!?」

 

「…はぁ?」

「変身はロマンだよね!!分かる!!大丈夫、誰にも言わないから!!」

 

 

「…はぁぁ。…まあ、そういうことにしといてくれると…」

 

私が大興奮している間に、ものすごいジト目をしたヴァンちゃんは、そう呟いたのだったとさ。

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司書補 ヴァン

 

【挿絵表示】

 

 




上の挿絵はヴァンの挿絵です。

E.G.Oは持っている時のみ使い方が分かります。なので、手放すと使い方が分からなくなってしまうはず。…なら、何故ヴァンは壊れゆく甲冑のE.G.Oを再現できたのか。

正解は、決死の一生は彼女が持っていたE.G.Oではなかったから。

その持ち主は、今後彼女の夢で出てくるでしょう。

次回からアビドス編です。筆が乗ったので早めの投稿ですが、これ以降は本当に遅くなってしまうはず…首を長くしてお待ちください。
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