異界冒険譚   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第115話『望まない決着(おわり)

「結果発表~!!」

 

 俺は酷く沈み込んだ気持ちのまま、ジーナちゃんの声を聞いていた。

 祈り。

 今俺は神に祈っている。

 

 どうか、ココちゃんと桜が俺よりも稼いでいますようにと。

 ただ、ひたすらに祈っていた。

 

「じゃあ、じゃあ! 順番に言っていこう! まずは、ジーナちゃん! ジーナちゃんはね! すっごいよー! なななな、なんと! 5610枚だー!」

「おー」

「すごーい」

「えへへ」

 

 ジーナちゃんの頑張りに拍手をしながら、俺は悔しさを噛みしめる。

 次だ。とにかく次に賭けるしかない。

 

 俺はジーナちゃんが次に呼ぼうとしている子、フィオナちゃんとリリィちゃんへ視線を向けた。

 

「えーっと、私は、100枚です! いやー恥ずかしい! こんな筈じゃなかったんだけどなー!」

「フィオナは無理に増やそうとし過ぎ、私は1200枚」

「リリィは冒険しな過ぎなんだよー。ぜーんぶ堅実に賭けてさー」

「その方が勝てるからね」

「くぅ、何も言えない!」

 

 フィオナちゃんには絶対に賭け事をさせない様にしようと心に誓いつつ、駄目だったかという気持ちで今度は桜とココちゃんへ視線を向けた。

 頼む。神よ。

 何とかしてくれ! 神!

 

「じゃあ、次は私たちだよね」

「……ごくり」

「発表しますー! ココちゃん桜チームは! なんと! 1万枚です!」

「おー! すごーい! ココちゃん! サクラちゃん! 天才!」

「にへへ」

「えへへ」

「あぁ、本当に凄いな。二人の優勝だ。おめでとう!」

「そうですね。本当に素晴らしい事です」

 

 俺はとりあえずこのまま流してしまおうと拍手をしながら二人を賞賛する。

 良い。

 このまま優勝は二人で良い。

 

 何故かミクちゃんも自分の枚数を公開しないで拍手してるけど、良いのだ。

 これで良いのだ!

 

「あれ? リョウさんとミクちゃん様のコイン数聞いてないよね?」

「そういえば」

「フィオナちゃん。大丈夫だから。聞かなくても大丈夫」

「えー。それはズルいなー。私だって公開したのに!」

「いや、ほら。色々あるんだよ」

「もう! 100コインだからって恥ずかしがってるの? 大丈夫。私だって100コインなんだから!」

 

 フィオナちゃんは俺たちに笑顔で迫ってくると両手を俺に向けた。

 見せろ。という事だろう。

 現状最下位であるフィオナちゃんは、仲間が欲しいのか必死に手を伸ばしている。

 

 しかし、駄目なんだ。

 見れば君も……!

 

「私も、お兄ちゃんのコイン。知りたいな」

「……しょうがないね」

 

 俺は大人しく籠をフィオナちゃんに手渡した。

 

「もう。最初からそうやっていれば良いのに……100コイン仲間同士、仲良くしましょーって? あれ?」

「どうしたのフィオナちゃん」

「いや、なんか桁数がおかしくて。え? いくつ? コレ」

「13万7200コインだね」

「13万!?」

「なんでまた!? そんな!」

「いや、こう凄い難しいギャンブルがやってみたくなってね。それで当たってこんな感じに」

「えー!? お兄ちゃんすごーい! ココちゃん! お兄ちゃん、すっごいいっぱいコイン持ってるよ! 私たちよりも!」

「すごい!」

 

 はしゃぐココちゃんと桜が抱き着いてきて、俺は乾いた笑みを浮かべた。

 喜んでくれるのは嬉しいが、何とも言えない!

 俺が見たかった未来は、桜とココちゃんが大勝利する未来であったのだ。

 

「ねぇ、リリィ」

「なぁに?」

「私、気づいちゃったんだけど。リョウさんが隠していた理由を考えると、ミクちゃん様も」

「たぶん、その予想は当たってると思うよ」

「くっ! で、でも! まだ、可能性は消えてないから」

 

 そして、フィオナちゃんはおそらく更なる地獄へと手を伸ばした。

 

 そう。おそらくフィオナちゃんの想像は正しい。

 俺は微妙な顔で籠をフィオナちゃんに渡しているミクちゃんを見ながら天を仰いだ。

 

「どきどき」

「気になるね。ココちゃん」

「うん……! お兄ちゃんとどっちが上かな」

 

「あー……!」

 

 フィオナちゃんは籠を持ったまま気絶し、地面に倒れる前にリリィちゃんが支える。

 そして、落ちていた籠を拾いながらその数字を読み上げるのだった。

 

「200万」

「にひゃっ!? い、インチキ!? なんかインチキしたんじゃないの!?」

「えぇ、インチキをしましたよ。ジーナさん。私は未来視の力を持ってますからね。この様なギャンブルは容易いモノです」

「うわー! ズルっこ―!」

「禁止はされていませんでしたからね」

「わー凄いね。ココちゃん。優勝はミクちゃんだよ」

「すごい! ゆうしょう!」

「いやいや。流石に、私は反則負けで良いですよ。優勝はリョウさんでー」

「いや、俺も別に頑張ってないから、優勝は桜とココちゃんでー」

「もー! 二人とも! ズルしないの! 優勝はミクちゃん! 準優勝はお兄ちゃん! それで良いでしょ!」

「「……はい」」

 

 俺はミクちゃんと同時に頭を下げて、桜の意向に従った。

 という訳で、準優勝となった俺は、次回こそと心に炎を宿すのだった。

 

 そんなこんなでギャンブルゲームも終わり、現実世界へ戻ってきた俺たちは夕食を食べ、風呂に入り、そのまま早めに眠り始めた。

 

 翌日。

 朝早く起きた俺たちは昼ご飯の準備と飲み物の準備をして、『人生ゲーム』へと挑む。

 昨晩寝る前に、次のゲームをどうするかという話し合いを行ったのだが、それで決まったのが人生ゲームであったのだ。

 

 だからこそ俺たちは、人生ゲームの注意書きにあった様に、準備を入念に行って、ゲームへと挑む事にした。

 

 そして、全ての準備が終わり、俺たちはいよいよ長いと噂のゲーム。『人生ゲーム』へと挑むのだった。

 他のゲームと同じ様に、中に入った魔導具を取り出して、テーブルの上で起動させる。

 次の瞬間、俺たちはいつも通り光に包まれ、気が付けば暗闇の様な空間に漂っていた。

 

「ここは……?」

「よく来ましたね」

「あぁ、これはどうも」

「ここは始まりの世界」

「始まりの世界?」

「そう。世界がまだ暗闇に包まれていた頃の世界。ここから世界に光が生まれ、人々は自らの胸に秘めた希望を目指し歩き始めた」

「なるほど」

「ここには、遥かな過去から、現在に続く全てが記録されています。あなたはこの場所で好きな人生を歩む事が出来ます。あなたはどの世界を望みますか?」

「えーっと、どの世界っていうのは良く分からないんですけど。一緒に遊んでいる他の子と同じ世界が良いです」

「ふふ。分かりました。あなた達はとても仲が良いみたいですね」

「まぁ、家族ですからね」

「家族ですか。それは素晴らしい。では同じ街で生まれ、同じ時を生きる事が出来る様にしましょう」

「あー! 申し訳ないです!」

「なにか?」

「いや、俺だけ五年くらい早く生まれたいんですけど、出来ますか?」

「可能ですよ」

「なら、それでお願いします。俺、お兄ちゃんなんで」

「ふふ。分かりました。では、お兄さん。あなただけ10年ほど早く生まれる事としましょう。では、善き人生を……!」

 

 特に説明らしい説明もないまま、俺は暗闇の世界に投げ出された。

 そして、少しの衝撃を受けた後、目を覚ますと……赤ん坊になっていた……!

 んなバカな!

 

「んや! な!」

「あらあら元気な子」

 

 母と思われる人に微笑まれながら俺はベッドの上で暴れ、この状況どうにかならんのかと心の中で叫ぶ。

 

『では少年期まで意識を飛ばしましょう』

 

 ベッドの上で暴れていると、先ほど会った女神様の声が聞こえ、俺は気が付けば木の枝を一本持って、どこかの家の庭に立っているのだった。

 なるほど。便利な物だ。

 

「しかし、それでも随分と小さいな」

 

 俺は子供になった手足を振り回し、ひとまず稼働状態を確認する。

 そして、問題ない事を確認して天にお礼を言うのだった。

 

「ありがとうございます女神様」

『私の事はアメリアと。また何かあれば呼んでください』

 

 アメリア様ね。と心に書き記しながら、俺はひとまずこの世界を堪能する事にするのだった。

 

「まずは街の探索だな!」

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