異界冒険譚   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第116話『第二の人生を歩む(あそぶ)

 人生ゲームを始めて、数年の月日が経った。

 とは言っても、そこまで濃い日常は過ごしていない。

 訓練すると決めたら訓練した事になっているだけだ。

 

 まぁそれでも訓練した記憶はあるのだから、何か特殊な力が使われているのだろう。

 体に悪くなければ良いのだけれど。その辺りは上手い事出来ているらしい。

 アメリア様曰く。

 

 という訳で、俺は桜たちが生まれるまで毎日、神刀を振るう訓練をして過ごしていた。

 一応、この世界では好きな様に体を弄れるらしいので、元の世界では魔力の無い俺でも魔術師になれたり、何なら魔法使いにもなれるらしい。

 だが、まぁ、慣れてるし。

 何かあった時対応出来るし、という事で神刀の訓練をしているという訳だ。

 

 しかし。

 しかしだ。

 当然それだけじゃない。

 

 そう。現実世界では魔力の無かった俺だが、この世界では念願の魔力を手に入れたのだ。

 故に!!

 

「炎よ!」

 

 俺は掛け声と共に持っていた剣を燃やし、それを振るう。

 名付けて!

 

 えー、名付けて。

 名付けて……。

 んー、どうしようかな。

 

「とりあえずファイアーソードとかで良いか。炎の剣とかの方が格好いいかな」

 

 悩む。

 俺はとりあえず剣の炎を消し、地面に剣を突き刺してから、考える。

 イマイチだ。

 正直炎の剣は直接的過ぎる。

 

 もっと良い名前があるのでは無いだろうか。

 

「火炎、爆炎、炎王剣……なんか違うんだよなぁ」

 

 俺は腕を組みながら悩み続けたが、良い案が浮かばないまま空を見上げた。

 そして、草を踏みながら近づいてくる二つの気配に俺は視線をそちらへ向ける。

 

 立っていたのは、まだ幼い桜とココちゃんだ。

 二人は俺の妹という設定でこの世界に来ている。

 が……それは現実世界と同じだ。何も違わない。

 

 だから、面白くないんじゃないかと聞いたんだが、二人はこれが良いと言って笑うのだった。

 まぁ、二人がそれで良いのならそれが一番なのだけれども。

 

「お兄ちゃん! 今日も特訓?」

「そうだよ」

「じゃあ、私も特訓しよ!」

「ココも」

 

 二人は水の魔術と風の魔術を互いにぶつけ合って、遊び始めた。

 雪合戦みたいな物だろうか。

 

 しかし、最初はちょっとした水、そよ風くらいの威力だった二人の魔術も今では暴風と鉄砲水だ。

 正直危ないから別の特訓方法で遊んで欲しいのだが、楽しそうな顔をしている二人には何も言えない。

 

 そして、十分に遊んでから二人は休憩と俺の近くで座り込むのだった。

 俺はそんな二人の頭を撫でながら、これからどうしたものかと考える。

 

「二人はこれから何をやりたい?」

「お兄ちゃんのお嫁さん!」

「いや、兄妹で結婚は出来ないんだよ。ってそうか。血は繋がって無いから出来はするのか」

「拾われた子だからね!」

「それは嬉しそうに言う言葉では無いとお兄ちゃんは思うけど……まぁ、いいや。もしかしたらそういう未来もあるかもね」

「大丈夫! 未来は待つものじゃない! 自分で得るものだよ! 手に入れる!」

「え……さくらお姉ちゃん、お兄ちゃんと結婚するの……? そしたら、ココ、ひとりぼっち」

「ダイジョーブ! 二人でお嫁さんやろう? ココちゃん」

「いいの?」

「いいの! 私がそう決めたから! ね! お兄ちゃん」

 

 言外に、こんな小さい子を泣かせるのかという様な目で見てきた桜に、俺はしょうがないなと呟きながら頷くのだった。

 まぁ、ゲームだしな。

 

「って、そうじゃなくて。やりたい仕事とか、行ってみたい場所とかそういう奴だよ」

「あー。そういう奴かぁー」

「はい!」

「お。ココちゃん。どんな夢かな?」

「ココ! 探検隊がやりたいです!」

「うん。じゃあ決まりだね。俺達は探検隊をやろう」

「さんせーい!」

 

 桜の賛成も得て、俺とココちゃん桜の三人は探検隊をやる事にした。

 が、非常に残念な話だが、探検隊という職業は無い。

 その為、俺達は冒険者になって色々な場所へ行く事にした。

 

 だからまずは冒険者登録をしようと思ったのだが……。

 

「……あらぁーん。いらっしゃぁーい」

「何やってるの。ジーナちゃん」

「受付のお姉さん! 格好良いでしょ!」

「まぁ、そうね」

 

 俺は何とも言えない感想を胸の奥に秘めながら頷く。

 ジーナちゃんが格好いいと思えば、格好いいという事で良いだろう。

 格好良いのだ……!

 

「でー? リョウ君は何しに来たの?」

「冒険者の登録に来たんだよ。俺と桜とココちゃんのね」

「そうなの? じゃあ、とーろく! はい、おわりー」

「……こんな簡単で大丈夫?」

「大丈夫だよ。ほら。やり方書いてあるでしょ?」

「……確かに」

 

 俺は頷きながら、まぁゲームだし。こんな物かと納得する。

 面倒な処理とかをリアルにやってもしょうがないしね。

 このゲームはあくまで今までの人生とは別の人生を体験できるってゲームだし。

 

「じゃ。無事冒険者になったし、俺達は冒険に行ってくるよ」

「えー」

「どうしたの」

「ジーナちゃん。受付飽きちゃった! ジーナちゃんも冒険者になって冒険するー! 一緒にいこー!」

 

 そんな簡単に職務を放棄して良いのか。

 と一瞬考えたが、まぁゲームだしな。

 思うままに、自由に遊べば良いと思うワケだ。

 

「さて。色々あったけど、ひとまず俺と桜とココちゃんとジーナちゃんでチームを組んだワケだが、どうするね。これから」

「はい! ココ、依頼を受けたいです!」

「依頼か。まぁそうだね。ひとまず依頼を受けるで良いか」

 

 桜やジーナちゃんも異論はないという事で俺たちは依頼を確認しに行った。

 現実とは違うが、色々な依頼があり、初級から中級、上級まで……。

 

「リョウ君、リョウ君! これにしよ! ドラゴン退治!」

「ドラゴン退治ぃ~?」

 

 俺はジーナちゃんから依頼書を受け取り、それを見る。

 

「えー。この依頼は冒険者の最終依頼となります。この依頼が達成された時点で冒険者の方はゲームクリアとなります。って! コレ終わったらゲーム終わっちゃうよ!?」

「そうなの?」

「それは困るよ! 私、まだお兄ちゃんと結婚してない!」

「ココも、探検してない」

「うーん。うーん。困ったねー」

 

 ジーナちゃんは悩み、考え、ハッとした顔をしてから空に向かって叫んだ。

 

「ゲームがクリアしても、続けたいよー!」

 

 いやいや。

 流石にルールは守らないと駄目だろうと俺は考え、ジーナちゃんに諦める様に言おうとしたのだが……。

 

『いいですよー』

 

 天から返って来た緩い了承により、俺達はドラゴンを倒してもゲームを続けることが出来る様になるのだった。

 ま、まぁ、ゲームだからね。

 ゲームの中くらい自由じゃないとね。

 

「じゃあこれで決まりだね! いざいざードラゴン退治にレッツらゴー!」

「ごー!」

「ゴー!」

 

 元気よく手を振り上げるジーナちゃんと桜とココちゃんに、俺はしょうがないかと溜息を零して、天に拳を突き上げるのだった。

 まぁ、俺自身戦ってみたかった気持ちもあるし。ちょうど良いと言えばちょうど良いだろう。

 

 という訳で俺達は早速ドラゴン退治へと向かうのだった。

 

「ちょーっと待って下さい! 話を進めるのが早いですよ!」

「あ。おチビちゃん。居たんだ」

「居たんだ。じゃありません! 貴女とは隣同士の家だったでしょう!? ジーナさん!」

「ジーナちゃんおぼえてなーい」

「もう! いい加減な事を言って!」

「へへーん」

「とにかく!! 私も冒険者になるので、一緒にドラゴン退治をしますよ! 良いですね!? リョウさん!」

「俺は構わないよ」

 

 いつもの様に喧嘩をしているジーナちゃんとミクちゃんを見ながら、どうやらわだかまりは減った様だなと俺は安心する。

 ゲームの中とは言え、同じ時間を過ごしたお陰かもしれない。

 

 という訳で、俺達は早速ドラゴンという最難関の魔物を倒す為にとある国へと向かうのだった。

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