戦いとはいつの世も非情である。
一度始めてしまった戦争が、次から次へと争いを生み、結果として多くの国を巻き込んだ大戦争へと発展してしまった。
そして……。
「リョウさん! ジーナさん! お二人をこの世界における『災害』と認識します!」
「はぁ」
「ふーん」
ミクちゃんがある日突然宣戦布告してきた為、圧倒的な兵力で叩き潰したり。
「リョウさん! こ、ここ、怖いですけど! 私、騎士として! 戦います!」
「あー、うん。いや、別に俺は戦う気は無いんだけど」
「勝負です!」
「……しょうがないか」
何故か国が攻められていると勘違いしたフィオナちゃんと一騎打ちをする事になったり。
「フィオナの仇」
「言い逃れは出来そうにないね」
「諦めて下さい」
「分かったよ」
魔術師としてのリリィちゃんがフィオナちゃんの敵討ちをしに来たり。
「い、いじめる……?」
「いじめないよ! 平和的に我が国に取り込みます!」
「うんうん」
「平和とは?」
「……良かった」
農業と畜産ばかりで軍事力を一切強化してこなかったココちゃんの国を吸収したり。
「私は負けないよ! お兄ちゃん!」
「た、戦う気なのか……! 桜!」
「当然だよ! そして、敗北した私はお兄ちゃんにあんなことやこんなことをされちゃうんだ!」
「しないよ?」
「さぁ、いくよ! お兄ちゃん!!」
桜が全世界の9割以上を支配している我が国に攻め込んできた為、上手く交わしたりした。
そして、ゲームは遂に終わりを迎えるのだった。
かなり長く遊んでいた様な気もするが、時間にすればそこまででも無かったようだ。
「ん。終わったか」
俺は、ゲームが終了した事で、戻ってきたリビングで一人呟いた。
途中まではゆったりな感じであったが、最後の方はかなり急展開だったなと思い返しつつ、小さく息を吐く。
国を成長させている間はゆったりとした時間が流れているが、いざ戦争が始まると、そこまでの総決算とばかりに一気に物事が進んで終わるのがこのゲームの特徴の様だ。
まぁ、次回やる時は、細かく争いとか貿易とかをして、上手くコントロール出来ると良いかもしれない。
「あー!」
「っ! どうした。桜」
「お、終わっちゃった……! 私とお兄ちゃんのラブラブ生活は?」
「無いね」
「ならここで続きしよ! まだ間に合うよ!」
「もうゲームは終わったからね。おしまいだよ」
よほどショックだったのか両手を床について項垂れている桜を……そのままに俺は台所へと向かった。
まぁまぁ長時間ゲームを続けていた為、お腹が減ったためだ。
とりあえず全員分の飲み物用意しつつ、フィオナちゃん達が作っておいてくれた焼き鳥サンドを順番に温めてゆく。
「あ! ごめんなさい! 準備して貰っちゃって」
「気にしないで。みんな疲れてるだろうから、向こうで待っててよ」
「そういう訳にはいかないよ!」
「ん-。じゃあこっちの続きを頼めるかな。俺は飲み物とか、もう温め終わった焼き鳥サンドとか運ぶからさ」
「はーい! 私にお任せ!」
フィオナちゃんが応援に来てくれたため、俺は後を任せ飲み物やご飯を運ぶ事にした。
しかし。
「ココ、お手伝いする」
「私も」
「そう? ありがとうね。ココちゃん。リリィちゃん」
ココちゃんとリリィちゃんが手伝いに来てくれた為、俺は大した荷物も持たずにリビングへ戻る事になったのだった。
リビングでは、既にゲームの片づけが終わっており、桜やジーナちゃんやミクちゃんが椅子に座りながらゲームの感想などを話している。
「お待たせ―」
「あ、お兄ちゃん。こっちはもう片付けたよ」
「そっか。偉い偉い」
「えへへー」
褒めて褒めてと駆け寄ってきた桜の頭を撫でて、褒めた後、俺はテーブルに飲み物を置き、そのまま窓の方へ向かった。
ずっと閉めてあったカーテンを開くと、外にはまだ白い壁。
どうやらまだまだ冬は終わっていないらしい。
「どんな感じですか?」
「んー。まだまだ雪が降り積もっている感じですね」
「そうなのですね。この雪はいつ頃消えるのでしょうか」
「さぁ……俺もセオストへ来たのは今年が初めてなので」
「スタンロイツの雪はまだまだ当分は消えないと思うよ」
「そうなんだ」
「うん。だって、そろそろ今年が終わるくらいの時期でしょー? なら、今ちょうど真ん中くらいなんじゃないかなー」
「それは中々長いね」
「冒険者組合から冬ごもりが終わる頃合いって聞いてないの?」
「正確な日程とかは聞いてないかな。ただ雪が解けて、外を出歩ける様になったらまた冒険者組合を開くって言ってたよ」
「ふーん。ノンビリしてるんだねぇ」
「確かにな」
桜の言葉に頷きながらカーテンを閉めて、映写機の電源を入れる。
いくつかのチャンネルを回していると、ふとよく見慣れた番組が映った。
「お。まだ放送してるんだね」
「知ってる番組?」
「あぁ。前からちょくちょく見てるんだ」
「……出てる子が可愛いから?」
「違うよ。セオストを上空から映してる映像が多いから」
「ふーん」
少しも信じていない様な顔で映像を見つめる桜に、何とも困ったものだと思いながら俺は映像に視線を移した。
『先日降り止んだ雪ですが、どうやら近年としては最大の量らしく、セオストはほぼ白に埋め尽くされている様な形です』
『わー。真っ白だねぇ』
『例年通りであれば、ここから少しずつ雪が解けていく事になるのですが、今年は雪も多いため、春が来るのはまだまだ遠そうですね』
『冬ごもりも長引きそうー』
『では、ここで! いつもの事だけどみんなに注意だよ! もし冬ごもり用の物資が無くなっちゃったら、緊急連絡先に連絡してね! セオストの備蓄から売ってくれるよ!』
『私も前に使ったけど、すぐに届くし、ちょっと割高だけど命には代えられないからね』
「へぇ。そんなのもあるんだねぇ」
「まぁ、私たちが使う事は無さそうな感じですけどねー。夏くらいまで大丈夫じゃないかな」
「そっか。フィオナちゃん達のお陰だね」
「いえいえ。これも全部魔物を狩ってきてくれたリョウさん達のお陰ですよ」
なんて、フィオナちゃんと言い合いながら笑い合い、俺は映写機の映像に再び視線を戻した。
何か情報があるのなら欲しいと思ったためだ。
そしてすぐに、まぁまぁ重要な情報が流れる。
『そういえばご存じですか? 西側諸国では、ちょうど来週の今日! 年越しのお祭りを行うみたいですよ』
『あらー。素敵ですねー。私も一度くらい行ってみたーい』
『セオストの住民が西側の年越し祭りを見る為には、冬ごもりの前に西側に行かないとね?』
『しかも年越しが終わっても、冬ごもりは終わってないからね。家にも帰れないおまけつき!』
『そんなおまけイヤー!』
『なので、セオストの人は大人しく冬ごもりをしながら年越しをご家族や仲間、恋人と楽しんでください!』
『私たちも楽しむよー!』
『では、今日の放送はこのくらいですかね』
『また来年も、私たちのチャンネルをよろしくねー!』
『来年はどんな年になるかなぁー』
『何か新しい事をしたいって考えてるよ』
『例えば?』
『英雄を探せ! とか』
『ほうほう。それはどんな企画ですかな?』
『高ランク冒険者さんにインタビューして、ゲストとして呼ぶとか……』
とりあえずセオストの話は終わったと、俺は映写機の映像を消して、今仕入れたばかりの話を持ち、みんなに視線を送る。
「どうやら今週で今年も終わりらしいよ」
「ねー。じゃあ来週は新年かぁー」
「ちょうど良いですし。私たちも何かパーティでもやりますか?」
「うん。良いかもね」
という訳で、全員が頷いた為、俺たちは年越しのパーティをする事となった。
まぁ、家の中だし、あんまり派手な事は出来ないけど。