異界冒険譚   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第128話『心ばかり(かぞくへ)の贈り物』

 フィオナちゃんのケーキに、桜とリリィちゃんのクッキーをトッピングした神の食事を食べ終わった俺は、ゆっくりしているみんなにプレゼントを渡す事にした。

 

「じゃあ、そろそろ俺のプレゼントを用意するね」

「え?」

「えぇー!? リョウさんもプレゼントを用意してたんですか!?」

「まぁ、流石に貰いっぱなしは申し訳ないよ」

 

 という訳で、俺は昨日の夜リビングに隠しておいた袋を持ってきて、包装された小箱を全員に渡した。

 分かりやすい様に包装の色で誰に渡すか決めておいて良かった。

 

「これ、開けても良いの?」

「勿論だよ。是非開けてみて」

「うん!」

 

 桜は丁寧に包装を開けると、中から美しく彩られた木箱を取り出して、開く。

 そして、目を見開いた。

 

「きれい……!」

 

 箱の中には購入した時と同じ、透き通る様な美しい宝石の様な水晶が加工されて作られたペンダントが入っていた。

 無論ただのペンダントではない。

 

「これは……魔導具ですね?」

「あー。ホントだ―。魔術が刻まれてる。見えにくいけど!」

「おそらくは、見た目を損なわない為でしょう。職人の技ですね」

 

 既にこれがただのペンダントではないと気づいたミクちゃん、ジーナちゃんによる考察が始まっていたが、俺はひとまず両手を上げ降参してから、魔導具の説明を始めた。

 

「あー。お二人さん。そこからは俺が説明しても良いかな。一応」

「あ、これは申し訳ございません。職業柄、魔導具を解析してしまう癖がありまして」

「ぷぇー。言い訳ばっかりねー」

「今のは言い訳ではありません! 説明をしたんです!」

「ハイハイ」

 

 ちょっとしたキッカケで始まってしまったミクちゃんとジーナちゃんの喧嘩を流しつつ、俺は気になっているであろう他の子達に魔導具の説明をした。

 結構重要なアイテムだから、大事にして欲しいと思う。

 

「このペンダントなんだけど、ジーナちゃんとミクちゃんの推察通り、魔導具なんだ。効果としては持ち主の安全確認が出来る」

「安全確認?」

「そう。ここにあるペンダントは全て繋がっていて、誰かの身に危険が起きたら、ペンダントが教えてくれるんだ」

「へー。便利」

「お兄ちゃんのペンダントもあるの?」

「あぁ、あるよ」

 

 俺は袋から黒い水晶で作られたペンダントを取り出し、それをテーブルの上に置く。

 

「これが俺の」

 

 みんなは俺のペンダントを見てから自分のペンダントへと視線を移す。

 桜は桃色。

 ココちゃんは緑色。

 フィオナちゃんは白色。

 リリィちゃんは青色。

 ミクちゃんは赤色。

 ジーナちゃんは黄色だ。

 

 何となくイメージした色で贈ったが……正直この辺りのセンスは何とも言えない為、深くは語るまい。

 あくまで俺のイメージだからな。

 

「リョウくん!」

「はい。なんでしょうか。ジーナちゃん」

「コレ、改造しても良い?」

 

 まぁ、ここまでの流れを考えれば正直予想出来た流れである。

 ハードルとしてはミクちゃんの許可証よりも低いしな。

 

「ちょっとジーナさん! 失礼ですよ!」

「えー? 便利にしようって話してるのに」

「貴女には人の心が無いのですか!? この美しい水晶を丁寧に加工した職人と、リョウさんの気持ちが」

「うーん。えい!」

「あー!?」

 

 ジーナちゃんはミクちゃんのペンダントを奪い取ると、それにおそらくは魔術を刻み込んだと思われる。

 先ほどまでは、何も模様が無かったペンダントの表面に、美しい絵の様な文様が現れたからだ。

 

「私のペンダントに、なんてことをするんですか!?」

「えー? 別にセンスが悪いって訳じゃ無いんだから良いでしょー?」

「よくありません! 送り主の許可もなく! この様な!」

「ハイハイ。許可を取れば良いんでしょー? リョウくん。改造したよ」

「あぁ、みたいだね」

「はい」

「それのどこが許可ですか!?」

 

 ミクちゃんの怒りももっともであるが、それはそれとして、どういう改造をしたのかは気になった。

 模様も別におかしくはないし。より美しいデザインになった様にも思う。

 

「ジーナちゃん。追加したのはどういう効果?」

「えーっとねー。位置情報が共有できる様になったのとー。あとはー、誰かのペンダントの場所に転移出来る様に座標が他のペンダントから追えるようになったの!」

「それは大変結構ですが、転移魔術はそんな簡単に使用できる魔術ではありませんよ。この場ではおそらく私とジーナさんしか使えないでしょう」

「別にジーナちゃんとおチビちゃんが使えるんだから、それで良いじゃん。最悪の時はジーナちゃん達が助けに行けるし、ジーナちゃんたちがピンチになっても、誰かのペンダントの場所に転移すれば良いんだから」

「……確かに」

「えー。こんな簡単な事にも気づけないのぉー? それでも偉い人なんですかー?」

「む! 良いじゃ無いですか! パッと出て来なくても! そういう日もあるんですっ!」

「ソウデスネー」

「キー!」

 

 本日何度目か分からないジーナちゃんとミクちゃんの争いを放置して、俺はみんなに視線を向けた。

 正直、自分のセンスには自信が無いから、変な物を送っていないかと気になった為だ。

 

「どうかな?」

「うん! 嬉しいよ! お兄ちゃん」

「それは良かった」

 

 桜が真っ先に嬉しいと言ってくれ、俺はひとまず胸をなでおろす。

 それから。

 

「ココも、うれしい。ありがとう、お兄ちゃん」

「あぁ、ありがとう。ココちゃん」

「ん」

「じゃあ、無くさない様に首から下げようか。あんまり重くないし、付けてる方がココちゃんも安心でしょ?」

「うん」

 

 桜は自分の首にペンダントを付けてから、ココちゃんにもペンダントを付けてあげていた。

 実に喜ばしい光景だ。

 首から下げたペンダントを互いに見せ合っている姿など、涙が出てきそうである。

 

「リョウさん。私からも、ありがとうございます。大切にしますね」

「私からも。ありがとうございます」

「フィオナちゃん。リリィちゃん。ありがとう。嬉しいよ」

 

 フィオナちゃんとリリィちゃんは既に首からペンダントを下げていて、微笑みながら礼を言ってくれる。

 何ともありがたい事である。

 優しい子ばかりで嬉しい限りだ。

 

「あー! ほら! おチビちゃんが変な事言ってくるから、みんなペンダント付けちゃったじゃない」

「まだ許可は貰ってないでしょう!」

「ぶー! めんどくさいなー! みんな! ジーナちゃんの魔術付いてる方が便利だよねー?」

 

 このままじゃどうにもならんか、と俺はジーナちゃんの言葉に同意し、他の子たちにも視線を向ける。

 ミクちゃん含め、俺が良いなら良いという子ばかりな様で、ジーナちゃんに追加の魔術を刻んでもらうのだった。

 

 ドタバタと最後まで騒がしかったが、プレゼントの交換も終わり、これで今年やり残した事は全て終わった様だ。

 俺はそろそろ良い時間かな、と映写機を付けて、世間の様子を確認する事にした。

 

『今年もいよいよ終わりの時が迫ってきました。今年も多くの人がべべリア聖国の大教会へと訪れ、アメリア様へ祈りを捧げています』

 

 映写機に映された映像では、大通りを埋め尽くす様な人がその場に跪いてアメリア様へと祈りを捧げている様だった。

 前の世界では神社だったが、この世界ではアメリア様が彼らの信じる神様なのだろう。

 色々と違いがある世界だが、こういう所は似ている様だ。

 

 なんて思いながら、俺もフィオナちゃんやミクちゃんの様にアメリア様へ祈りを捧げるフリでもしようかと思ったが、ふと映写機を睨みつけるジーナちゃんを見てしまい、踏みとどまる。

 

 まぁ、色々あるもんだ。

 俺はいつか波乱が起きるのではないか、なんて考えながら天を仰ぐのだった。

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