異界冒険譚   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第131話『僕らの超大国(わるいくに)

 『国家運営大戦略』を始め、ゲーム内では既に十年ほどの月日が流れていた。

 現実でも数日が経過しており、家と孤児院を往復している様な状態だ。

 一応後からでも参加出来るし、フィオナちゃんとリリィちゃん、ミクちゃんも誘ってみたが、三人は他にやりたい事があるからとゲームには参加しない様だった。

 

 そんなワケで、俺はジーナちゃん、桜、ココちゃんと共に孤児院の子供達と遊んでいた訳だが。

 ゲーム内時間で十年が経った今日、この頃。

 俺とジーナちゃんは遂にシステムが作り出した国を全て吸収する事に成功した。

 

 無論、これからの事を考えて、俺達の悪評はこれでもか!

 というくらいバラまいたし、敵役として問題が無いようにしっかりとやっている。

 今日はその成果がどれくらい出ているかをジーナちゃんに確認して貰ったのだが……

 

「ただいまー。国の内部見て来たよー」

「おー。ありがと。どうだった?」

「時が来れば反乱するぜ! みたいな感じだった」

「良い感じだね。後はみんなが俺たちに宣戦布告するまで良い感じに悪い王様やろうか」

「おっけー」

 

 ひとまず目標としては合格ラインになっている様で、俺はホッと一息吐くのだった。

 後は時が来るまでノンビリ悪の王様をやっていれば良いだけである。

 

 反乱が起こらない様にだけ、定期的に締め上げる必要はあるけれども。

 

「じゃ、今日の仕事はこれで終わりだね。後は自由に遊んでていいよ」

「ほーい」

 

 ジーナちゃんは軽い返事をしてからふわふわと空中に浮いたまま俺の周囲を漂い始めた。

 まぁ、自由にしていいよ。なんて言われても困るか。

 なんて考えながら、俺はジーナちゃんと共に趣味の鍛錬を行うべく、鍛錬場へと向かうのだった。

 

 が、修練場へとたどり着く前に玉座の間を出た瞬間、外で待ち構えていた男に話しかけられた。

 我が国の騎士団長殿である。

 こんな悪の王である俺やジーナちゃんに付き従ってくれる人格者だ。

 

「陛下」

「あぁ」

「本日も修練場へ?」

「そうだね」

「ではお供させていただきます」

「あー、うん。よろしく」

 

 俺は酷く真面目な顔で頭を下げる男に微妙な返事をしながら、再び歩き始めた。

 

 しかし、何とも言えない気持ちである。

 彼の気持ちは分かるんだけど、世間の評判では悪の王だからね。俺。

 

 確かに、騎士団で不当な扱いを受けていたから色々と手は貸したけど、それだけなんだよな。

 騎士団長という地位まで這い上がって来たのは彼自身の実力だ。

 だというのに、俺に対して強い信頼を持っている。

 

 俺も戦士だし、気持ちは分からなくもないけれど、正義の人で居ても良いんだぞ。

 という気持ちにもなる。

 まぁそんな事を言っても、私の正義は陛下と共に居る事。なんていいそうだしなぁ。

 俺なら言う。

 

 こういうタイプの人間は本当に厄介だ。

 世界の正義や悪より、己の魂に従って正義と悪を決めるから。

 覚悟が揺れないんだよな。

 

 ま、でも悪の王様が悪い魔法使いと悪い騎士を従えているというのは、まぁそれらしくて良いかとも思うのだった。

 

 それに、彼は指揮能力というよりも、戦闘能力で騎士団長になった男なので、非常に強いのだ。

 修練の相手としてこれ以上の相手は居ないだろう。

 

 という訳で、俺は今日も今日とて訓練を行い、子供の体で限界だと感じる所まで鍛え続けた。

 

「本日は、このくらいでしょうか」

「あぁ、今日も助かったよ」

「いえ。自分に出来る事はこれくらいですからね」

「それが、俺にとっては一番助かるという話さ」

「……そうですか」

 

 どこか遠い空を見ながら呟く騎士団長を見上げながら俺は草むらの上で寝転がったまま小さく息を吐いた。

 吹き抜ける風が心地いい。

 空を泳いでいるジーナちゃんもどこか楽しそうだ。

 

「陛下は」

「んー?」

「陛下はこれから、どうなさるおつもりですか?」

「まぁ、そうだなぁ……特にコレといった目標は無いな」

「……」

 

 俺は自分は草むらの上に大の字で寝転んだまま目を閉じて体を休ませる。

 

「次はどの国へと向かいますか?」

「次はもう無いな。侵略は終わりだ」

「終わり、ですか」

「不満そうだな?」

「はい。未だ陛下に対して不敬な考えを持っている者は多く居ます。国内にも、国外にも」

「だろうな」

「であれば!」

「だからこそだ。分からんか?」

「……?」

 

 俺は半身を起こし、騎士団長に笑いかけた。

 これから起こす事はしっかりと伝えておいた方が良いと思ったからだ。

 

「騎士団長。これからな、世界は二つに分裂する事となる」

「二つ、ですか」

「そうだ。我々と、その他の国の連合国だ」

「……!」

「彼らは強大であり、我々はこの戦いで敗北するだろう」

「なっ! 陛下が、まさか!? ジーナ殿もいらっしゃるというのに!」

「関係ないさ。俺たちは初めから敗北する為にここに居るワケだからな」

「な、にを?」

「なぁ、騎士団長。どうすれば世界は平和になると思う? この多くの国が存在する世界で、どうすれば人は誰かと手を繋げるだろうか」

「……陛下は世界が一つになる為の犠牲になろうとしているのですか?」

「それもまた、一つの選択という話だ。もしかしたら俺たちが勝ってしまい、世界は悪の王に支配されてしまうかもしれないからな」

「陛下」

「ん?」

「何故、陛下が自らを悪と呼ぶのか、ようやくその理由が分かった様な気がします」

「そうか」

「であれば、私も悪の騎士として、陛下と共に最後の時まで共にありましょう」

「君も、随分と悪趣味だな」

「陛下の護衛騎士ですからね」

 

 チラリと騎士団長を見ながら零した言葉に、騎士団長は笑いながら応えた。

 ジーナちゃんもふわふわと浮きながら笑う。

 

 何となく、悪い人たちの絆が強くなった気がした!

 

「あー! またこちらにいらしたのですね! リョウ様!」

「ん?」

 

 そして、騎士団長やジーナちゃんとまったりした時間を過ごしていた俺は、遠くから聞こえてきた声に顔をそちらへ向ける。

 まぁ、向けなくても声から誰が来ているかは想像が出来ている訳だが……。

 

「リョウ様。探しました! お部屋にお邪魔しますと言いましたのに」

「あー、うん。まぁ、鍛錬も大事だからさ」

「それはそうですが、私との交流も大事だとは思いませんか……?」

「そうだね?」

「そうです!」

 

 相変わらず元気な子だな、と思いながら俺は立ち上がり人質として攫ってきたはずの少女、サラに笑いかけた。

 うーん。

 しかし、人質として連れてきたはずなのに、何故こんなにも懐かれているのか。

 

(人質として扱ってないからじゃない?)

(心の中を読んで話しかけてくるのは止めてね。ジーナちゃん)

(でも、こっちの方が便利じゃん?)

(それは、まぁ、そうだね)

(それとー。人質の子達がリョウ君に懐いてるのってすっごい簡単な話でー。リョウ君がひたすら甘やかしてるからでしょ。サクラちゃんとかココちゃんにするみたいに)

(う)

(そりゃ懐くよ。悪いけど強い王様が人質って言って自分を連れて行ったくせに、何もしないどころかお姫様扱いで大切にされてるんだから)

(……失敗したのか。俺は)

(そうだね)

 

 俺はジーナちゃんの言葉に何も言えず、小さく息を吐いた。

 そんな俺の反応に、サラちゃんはオロオロキョロキョロとし始める。

 

「だ、大丈夫ですか!? まさかどこかお怪我でも!? もしや! 病気!?」

「大丈夫。俺は健康だよ」

「分からないではないですか! 見えないだけで! 何か大変な事になているかも!」

 

 それから俺はサラちゃんに引っ張られ自室へと戻る事になり……。

 自室で待っていたのはサラちゃんだけではなく、各国のお姫様も居たため、非常に厄介な事になったのだった。

 

 ここから修正するのは大変そうだが、それでも俺は悪の王としてやるぞー!!

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