異界冒険譚   作:とーふ@毎日なんか書いてる

160 / 436
第160話『新しいお家(たのしみ)

 モモちゃんとリンちゃんが家に来てから数日が経った。

 二人が家に来た事で桜と色々あったり、偶然図書館に行っていたミクちゃんが帰って来た時にひと騒動あったりしたが、まぁ何だかんだと仲良く楽しくやっていた。

 

 俺は相談なく家に連れて来たという事で色々とお説教されてしまったが、今後は気を付けるという事でひとまず解決した。

 と、思われる。

 解決していて欲しいと思っている。

 

 そして……。

 

「いよいよ家の改築も終わるね」

「そうだねえ。思ったよりも長かった様な。短かった様な」

「うん……!」

「まぁ、ココちゃんは大分待ち遠しい感じだったから、こんなくらいで終わって良かったよ」

 

 俺はワクワクとした気持ちを隠しきれないという様な顔で、家の外から三階部分を見上げるココちゃんを見て、ホッと息を吐く。

 そして、三階からはしごで降りて来た職人さんに声を掛けるのだった。

 

「どんな感じでしょう」

「おう。もう繋げられるぜ。部分解除のやり方を教えるから、玄関に入れてくれや」

「はい」

 

 俺は期待に溢れたココちゃんの視線を背中に受けながら、玄関で職人さんに言われるまま設定を行った。

 一応、指定された場所以外は入れないという証明の為に職人さんは手を玄関の中に伸ばし、見えない壁にぶつかるというアピールをしてくれる。

 

「これで問題なしだ。作業は半日くらいで終わるからな。後は中から確認しててくれ」

「分かりました」

 

 職人さんと軽くやりとりをして、俺は外に居たココちゃんを呼び、二階へと上がっていく。

 そして、椅子と小さな机を持ってきて本を何冊かテーブルの上に置くのだった。

 

 しかし、そんな俺の横でココちゃんも自分用の小さな椅子を持ってきていた。

 

「ココちゃん? ここで待ってなくても大丈夫だよ?」

「ううん。見ていたいの」

「そっか。じゃあ一緒に見てようか」

「うん」

 

 ココちゃんは今日まで一生懸命書いていたノートを丁寧にテーブルの上に置くと、復習をする様に一冊ずつ見直していた。

 そして見直しをしながらも工事の方へと意識を向ける。

 

 それから。

 俺たちが二階に来てからそれほどしないで、天井に人一人通れるくらいの穴が開き、職人さんが数名降りてきて機材の準備などを始め、今は天井に穴をあけ、階段を作る作業をしていた。

 

 いや、階段自体は既に完成している為、それを設置する作業という所だろうか。

 先ほど見せてもらったが、ミニチュアの階段が用意されているからそれを指定の場所に置いて、大きくするらしい。

 ただし、適当にやっても危ないから、しっかりと固定する作業が必須なのだ。

 

 そんなこんなで俺は本を読む事も忘れて、完成してゆく階段を見続けてしまうのだった。

 職人技というのは凄いもんだ。

 

「おう。待たせたな。完成したぜ」

「「おー!」」

 

 俺はココちゃんと共に感動の拍手を職人さんへ送り、出来上がった階段を色々な角度から見るのだった。

 完璧だ。

 完璧すぎるくらい完璧な階段であった。

 

「おいおい。階段はそれくらいで良いだろう。上の階が本命なんだぞ」

「あ、そうでしたね。これは失礼」

「はやく、いこう」

 

 気持ちが走り出しているココちゃんは階段へと足を乗せ上の階へと上ってゆく。

 落ちない様にすぐ後ろについてゆくが、ココちゃんはしっかりと手すりを持ちながら歩いているだめ、心配は不要であった。

 

 そして、まずは三階へと上がり部屋を順番に見て回る。

 

「ここは基本的に2階と同じだな。寝室と、一階と同じ広さの風呂、と小さめの風呂が一つ」

「おぉ、ありがたい。助かりますよ」

「しかし、風呂の多い家だな? 各部屋にもシャワーはあるんだが、それにしても風呂が多い。いや、部屋も多いんだが」

「まぁ、何だかんだ人がよく来る家ですからね。部屋が多くて困る事は無いかなと」

「そりゃいいが。あの小さい風呂は何用だよ」

「それは俺用ですよ。ウチは女性方が多いんでね。一人でゆっくりと入れる場所が欲しくて」

「なるほど。色々あるんだなぁ」

 

 シミジミと語る職人さんに苦笑を返しながら、もう気持ちは上の階に向かっているココちゃんについて、俺たちも四階へと上がっていった。

 ここの階は、特にこだわって色々お願いした階だから、ジックリと見て回りたいものだ。

 

「おー、すごい」

「うん。そうだね。想像以上だ」

 

 俺は四階に広がる運動施設を見ながらココちゃんと頷く。

 前に冒険者組合の施設で見た物とほぼ変わらない、様々な運動器具が設置された空間は、なんだか心をワクワクとさせる様だ。

 今から何か使って運動したくなってしまう程である。

 

「しかし、助かりました。なんか別の業者さんまで繋げてもらったのは申し訳なかったです」

「いいよ。俺らもこの辺は詳しくなかったからな。色々勉強できて良かったぜ」

「そう言って貰えると助かります」

 

「ね、ね。リョウお兄ちゃん。何かやってみても良い?」

「もう使っても大丈夫ですか?」

「あぁ。好きに使ってみてくれ」

「うん!」

 

 ココちゃんは職人さんに頭を下げて、近くの運動器具の場所へ走って行った。

 遊んでみたいのは走る運動器具で、スイッチを入れる事で足場が動き走り続けないと後ろに流れて行ってしまうものだ。

 

 ココちゃんはひとまずその上に乗って動く足場を楽しんでいたのだが、少ししてから俺の所に戻ってきて服を引っ張る。

 

「ね、リョウお兄ちゃん。アレは、どうやって使うの?」

「あぁ、アレは動く足場の上で歩いたり走ったりするんだよ。後ろに流れているから、逆方向に足場と同じ速さで走ればずっと走っていられるって事だね」

「あ、そうなんだ」

 

 ココちゃんは分かった! と手を挙げてからまた足場の上に乗り、歩き始めた。

 それから少しずつ速度を早くしていって、動く足場の上で走り続ける。

 

 かなりの速度で走れるらしく、ココちゃんは短い間隔で息を吐きながら走り続けていた。

 俺はそんなココちゃんの運動を見ながら、器具の設置方法や、運び方などを職人さんに教わるのだった。

 

「そこの転移装置はよ。外にも繋げられる仕様でな。今は冒険者組合の荷物受け取り所って場所に繋げてある。ただ、例によって向こうからこっちに入る事は出来ない。出来るのはお前さんが許可した物だけだ」

「なるほど」

「設置に関してだが、そこまで難しくはない。ほれ、器具の一個一個に接続コードがついてるだろ? コイツを差して、ここに置けば完了だ。接続コードを差さないと動かないから、そこは気を付けろよ」

「結構簡単なんですね」

「まぁ時代はどんどん便利になってるからな。とにかく簡単に便利にしないと物も売れないのさ」

「業者さんも大変ですねぇ」

「しょうがねぇよ」

 

 職人さんと話をしていると、一通り遊び終わったのか、荒い呼吸をしながら楽しそうに笑っているココちゃんが帰ってきた。

 ココちゃんは基本的に家に居るし、気が向いた時には遊んでもらいたいと思う。

 

「んで、一番お前さんがこだわってた」

「あぁ。プールですね」

「ぷーる?」

「そう。水の中で遊べる場所だよ」

「んー?」

「まぁ、そう言われても良く分からないよね。実際に見てみようか。プールはもう入っても?」

「無論、何も問題ない。自由に見てくれ」

「分かりました。じゃあココちゃん、一緒に見てみようか」

 

 不思議そうにしているココちゃんに答えたが、イマイチ理解はしていない様で。

 なら一緒に見てみようかと俺は職人さんに確認し、プールがある壁の向こう側へと向かうべく部屋の端にある扉へと向かった。

 

 プールは四階の約三分の二を使っており、しかも空間拡張という謎の技術を使っている様で、普通よりも相当広い空間があると予想できる。

 遊ぶ為の物も色々と用意したし、今年の冬ごもりはここで遊ぶのも良いかもな。なんて俺は考えてプールがある空間へ繋がる扉に手をかけるのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。