異界冒険譚   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第78話『決死の(ひっしなリョウの)食料確保作戦』

 冒険者組合での話し合いも終わり、俺は俺の役割をこなす事になったのだが……。

 

「しかし冒険者組は食料の確保ですか」

「まぁ妥当な割り振りだろう。秋の頃ってのは食料も高いからな。皆、冬の備蓄分は出したくないだろうし。余計な分は取りに行く方が良いだろうぜ」

「そう言われるとそうですね」

「あぁ。という訳で暇してそうな連中を連れて狩りに行くかい」

「えぇ」

 

 なんてアレクシスさんと話しながら軽い気分で森へ行く事が決まったのだが、冒険者のメンバーを集めるのは中々大変だった。

 何故なら、秋の森は魔物が凶暴化する為、近づきたくない人が多かったからだ。

 

「何とも情けねぇ話だとは思わんか? 普段は怖いもの知らずだなんだと言っている連中が、秋の頃合いは森に入りたくないなんて言うとはな!」

「しょうがないですよ。俺達だけで行きましょう」

「ちっ、荷物持ちなんかやりたくねぇが、行く奴がいないんじゃ仕方ないか」

「たまには良いと思いますよ。そういう労働も」

「へいへい。分かってるからヴィルみたいな説教は辞めてくれ。リョウ」

 

 アレクシスさんは両手を上げて降参のポーズをしてから、笑う。

 そんなアレクシスさんに再度仕方ないと繰り返してから俺は受付へと向かおうとした。

 

 俺達以外のメンバーが集まらない以上、俺とヴィルヘルムさんとアレクシスさんで狩りに行くと伝える為に。

 しかし、受付の前に予想外な人物がおり、俺とアレクシスさんは驚きで足を止めてしまうのだった。

 

「オーロ! 瞬!」

「おう。アレク。久しぶりだな」

「人手が必要だと聞いてな。来た」

「そうか! 二人が居るならだいぶ余裕が出来そうだな」

「言っておくが、荷物持ちはしないぞ」

「そこは平等だろうがよ」

「年上はいたわれよ。若造」

 

 オーロさんとアレクシスさんは互いに拳をぶつけ合いながら笑い合い、俺は瞬さんに向かって軽く頭を下げて挨拶をする。

 

「お久しぶりです」

「あぁ。あれからどうだ?」

「体は問題なし。刀も問題なしです」

「そうか。それは良かった」

 

 瞬さんは数こそ少ないが、確かな言葉を俺に向けながら頷く。

 その対応はそこまで親しみを感じる物では無かったが、それでも俺は嬉しさを感じるのだった。

 

 俺と同じ刀を使う人で、俺よりも強い人。

 目標とも違うかもしれないが、何となく気になる人だ。

 

「そう言えば、今回はセオストで祭りをやると聞いたが、それは奉刀祭とは違うのか?」

「奉刀祭、ですか?」

「ほら、あれだ。ヤマト中の人間が集まって十二の神刀に相応しい人間を選ぶ戦いの祭りだ」

「そういう祭りじゃないですね。大人も子供も食べて遊んで、飲んで笑って。みたいな企画です」

「宴の様な物か。なるほど把握した。それならば食料も大量にいるな」

「はい」

 

 素晴らしい速さで祭りを理解した瞬さんに頷きながら、俺はオーロさんとアレクシスさんの方へ視線を向ける。

 

「出発はいつ頃にしますか?」

「獲物の受け入れ準備でヴィルが工場の方に行ってるからな。それが終わってからだ」

「なるほど。じゃあこっちも依頼準備しちゃいますか。人も揃いましたし」

「あー。そうだな。いつでも出られるようにはしておくか」

 

 俺はアレクシスさんとの会話の流れで、そのまま受付の方へと向かい依頼の準備を始めた。

 既にセオスト家からの依頼という事で、冒険者組合で依頼は発行されている。

 後はそれを受注するだけなのだが……。

 

「あのー。リョウさん」

「はい?」

「大変申し訳ないのですが……こちらの依頼を許可する事は出来ません」

「え」

「なんでだ? ランクの制限は無いだろう? 俺やヴィルが居るなら冒険者のランクも問題ない筈だ」

「はい。確かにランクは問題ないです。ただ……」

「ただ?」

「人数の最低数に達していないのです。この依頼は最低8人の依頼となってますが……皆さんは5人となってますから」

「だー! そういう事か! 面倒な制限つけてんなぁ! ったく!」

「運ぶ食料の量が量ですからね。この制限も仕方ないかと思います」

「……そう言われると何も言えねぇな。仕方ない。もう少し人を探すか」

「申し訳ございません。いやいや。構わんよ。設定したのはオリビアじゃないしな」

 

 という訳で、俺たちは更なる追加要員を探す事になったのだが。

 俺は一つの迷いとぶつかる事になる。

 

「うーん」

「どうした。リョウ」

「いえ。後三人なら、ちょうど良い子達が居るんですが」

「子……? あぁ、ホワイトリリィか。まぁ、荷物運びがメインなら良いんじゃねぇか?」

「いや、それはどうですかね?」

「なんだ? 何か心配ごとでもあるのか?」

「……ホワイトリリィを連れてゆくという事は、桜も連れていくって事じゃないですか」

「あー、まぁー。そうなる可能性は高いだろうな」

「危ないでしょう?」

「……」

「流石に魔物が狂暴化している場所に連れて行くのはどうかと思いまして」

「おい、リョウ」

「なんです?」

「お前はまだ、そんな事を言っているのか」

「そんな事、と言われましても」

「サクラは冒険者になったんだろう? ならこれから先も危険な事は起こりえるだろうが」

「そこは俺が守りますから」

「なら今回も守れ」

「う」

「同じ事だろうが」

「それは、そうですが」

「それに、またどうせ同じ事は起きるぞ。その時にも同じ様に文句を言うのか」

「はい!」

「元気よく返事をするな。ったく。とにかくだ。これだけ探して良い奴も見つからないからな。今は一人でも惜しい。残りのメンバーはホワイトリリィで決まりだ」

「いや、そこは桜たちに確認を取ってからにしましょう」

「無駄に抵抗する奴だな……」

 

 何といわれようが、俺は桜の兄として抵抗する!

 桜を危険な目に遭わせるワケにはいかないのだ!!

 

「お。ちょうど良い所に」

「ちょうど良い所? どうしたんですか? アレクシスさん」

「ホワイトリリィに依頼だ。とは言っても危険な依頼だから、ムリにとは言わないが」

「私たちに依頼ですかー!? やりますやりますっ!」

「おーそうかそうか。フィオナは元気だな。そっちの二人は?」

「私はフィオナがやるならやる」

「……お兄ちゃんも同じ依頼をやるの?」

「当然だ。そうでなければ声なんか掛けねぇよ」

「なら、やる」

「よし。良い返事だ」

 

 俺は……! 守る。桜、危険から、守る……。

 おれは……!

 

「という訳だ。メンバーも決定した事だし。お前も覚悟を決めろ。リョウ」

「いや、俺は反対ですよ」

「やかましい! おい。サクラ。コイツを説得しろ」

「……お兄ちゃん」

「なんだ。お兄ちゃんは桜が危ない所に行くのは反対なんだ」

「ねぇ知ってる?」

「ん? 何がだ?」

「イエローチキンって、捕まえてすぐに解体して焼くのが一番おいしいんだって」

「そうなのか。桜は物知りだな」

「私、食べてみたいな」

「……分かった。お兄ちゃんが捕まえてすぐに持ってくるから」

「私、その場で食べてみたいの。運んで来たら手続きとかで、一番おいしい時間は過ぎちゃうもの」

「……なら生け捕りにして来よう」

「生きたままの魔物をセオスト内に入れるのは特別な許可が居るぞ。そして妹に食べさせる為。なんて理由じゃ許可はおりん」

「ぐっ……! なら、なら! 別の時期にしよう。安全な時期に」

「私、すぐに食べたいの」

「ぐ」

「ね? お兄ちゃん。お願い」

「……分かった」

 

 俺は桜のお願いを拒絶する事が出来ず、桜が食べたいというイエローチキンを狩る為に、森へ行く事になったのである。

 桜と共に!

 

「桜。俺は必ず桜を守るからな。そして極上のイエローチキンを捕獲する!」

「捕まえるのはイエローチキンだけじゃねぇからな! 忘れんなよ! リョウ!」

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