本編の主人公……というか、解説視点の“西門九郎(さいもんくろう)”君と、腐れ縁の同僚、“フリードリヒ=ヴァンヒルト”登場となります。
零細派遣業の事務所って、登録してる社員が集合する事想定してないから狭いんですよねぇ。
おれはしょーもない考え事を振り払い、ペンキの粉と赤錆がふいた看板に、後藤人材派遣事務所と記された小汚いビルに入った。
仕事の時間だ。
二回の事務所もやはり薄汚れている。
別にごみが落ちている訳じゃないが、経年劣化で染み付いた汚れがもう落ちないのだ。
手前においてある接客用のソファセットは部屋ほど汚れては居ない。
しかし、その上に伸びたヨレヨレのガイジンのせいで台無しだ。
ぐおぐおとうるさいイビキが実に不快だが、起こすともっと不快になりそうなので放っておく。
奥の所長用のデスクは空で、他には誰も居ない。
(俺が一番乗りか)
ま、この寝こけている奴を除けばだが、こいつは昨日飲み歩いてから、その足でここに転がり込んでそのままなのに違いない。
暇なので、俺は応接セットのテーブルの上に、持ってきたキャリングケースを置き、鍵で開けた。
中の緩衝材に埋まっている銃達を取り出し、軽く調子を見る。
トリガープルの重さを見るのに撃鉄を起こした瞬間、向かいのソファのぐおぐおがぴたりと止まった。
「ん~、オハヨウ……もう朝デスか、ぼく、ちょー、眠いデスよ」
相変わらず特定の音には異常な程反応がいい奴だ。
「クロウがそんな事をしてるって事は仕事デスか」
「ああ、又どっかに遺跡が湧いたとか、何からしいが」
世界にはよく分からん奴等というか、生き物や、いつ出来たか分からん遺跡も沢山あるが、ツイて無いと、突然身近に遺跡が湧く事がある。
昨日まで何の変哲も無かった地下室だの、倉庫、悲惨な話だと家全体が、怪しげなダンジョンや建設物に変わり果てたという話がある。
実は元からそこにあったとか、空間がくっついちまったとか理由はいくつかあるが、重要なのはそこから化け物や、大戦中行方不明になった兵隊さん達が殺る気満々で湧いてきたりする事だ。
茶の間で風呂上りの一杯をやりながら寛いでる時、猛り狂った梟熊だの完全武装のゴブリン兵団だのが押入れから這い出してきたら目も当てられない。
警察を呼ぶか?
まぁ、運がよければ、警察の浮動遺跡対策班が駆けつけてくれるかも知れない。
多分……
『外から何か引っかく音がする……窓枠に、手、手がッ!』
と、まぁ、それ位逼迫した状態なら多分大丈夫だろう。
だが、彼らは忙しい。
そもそも、まともに遺跡に対処出来る様なノウハウがある様な警官等、それなりの規模の街にしか居ないものだ。
ついでに言えば、もし間に合う様に到着しても、せいぜい現場を封鎖して立ち退きを勧告されるのが関の山だ。
じゃあ、宇宙軍に泣きついてみるか?
まぁ、湧いた遺跡に遺産扱いされるようなものがあれば実際それも悪くは無いかも知れない。
連中は有能だ。
だが奴らは限度ってものをを知らない。
湧いたものによっては“念の為”あんたの大事なおうちを随行の軌道クルーザーからフェイザーカノンで遺跡ごとぶっとばすかも知れない。
そうなったら、家にかけた災害保険がそんな災難をカヴァーしているか確認に走るしか無いだろう。
もっとも、保険証書が残っていればの話だが。
遺産に関しちゃ治外法権の宇宙軍相手じゃ、国なんて指一本動かしちゃくれない。
じゃあ、誰に頼ればいい?
あんたが小金持ちで、格別な伝がある訳でもないなら、迷うことは無い。
手近のISDS(International Special skill person Dispatch Society:国際特殊技能者派遣協会)に電話して、協会のエージェントを待てばいい。
彼(もしくは彼女)があんたの注文と現場の状況を見て、最善の特殊技能保持者を手配してくれる。
後は安全なところでスペシャリストの仕事が終わるのを待てばいい。
協会に登録してる様な連中の仕事は綺麗でスマート、そしてクライアントの利益最優先、実に素晴らしい!
そんな金は無い、どうしたらいいんだ?
そうか、毎度ありがとうございます。
あんたみたいな人が俺達のクライアントだ。
電話一本参上、委細相談、迅速派遣、よろづ揉め事解決承ります。
昔なら冒険者って名乗るゴロツキの溜まり場になってるきったない盛り場まで足を運ぶ羽目になっていたんだからそれだけでもツイてる。
まぁ、今だってまともな派遣業者に頼まなきゃ、ヤクザまがいのチンピラを掴まされる事もあるが、そういうのがイヤだったら、お友達にお勧めの派遣事務所が無いか聞いてみるのがいい。
口コミは馬鹿に出来ないぜ。
なに?そんな事相談できる知り合いも居ない……って。
うーん、まぁ、その、なんだ……何でも一度は試してみるもんだぜ。
まぁ、短めですが、短い分日に二回投稿される様セッティングしておこうと思ってます。
過去、妖魔夜行ネタや、ガンダムネタで書いていた拙作についても個人サイトが吹き飛んで消えてしまっているので、こちらで公表するのもいいでしょうし。
需要は……まぁ、わからんですが。