イタコ系配信者温魂うつすの配信 作:温玉丼
『どうも……イタコ系配信者の温魂うつすです。生配信は初めてですかね。今日はよろしくお願いします!』
《コメント欄》
・よろ〜
・あれ?何げにガワ初披露?
・何言ってんだよ自己紹介の時に超美麗3Dボディ披露してただろ
・やっぱりこう見ると無いな
・何が?
・ほら、アレだよ夢と希望
・あ、
・巫女さんとは違うのか
・何か数珠が凄いな
『無い?うーん良く分からないので後でマネージャーさんに聞いときますね!』
アンパ●マンは愛と勇気だから違うし……何の話だろう。それよりも私の話を先にさせてもらおう。
『今回はタイトル通り、イタコを辞めるって話ですね。本当は、ある日を境目に段々イタコ要素を減らして昔を知ってる人達が温魂うつすは昔はイタコだったんじゃよって感じが理想なんですけどね』
《コメント欄》
・それで良いじゃん
・理想の幕引き
・それじゃダメなの?
予想通りのコメント達に私は溜息をつく。気分はポンコツな部下を持った名探偵の気分だ、それじゃダメなんだよワトソン君。良いかい?
メールを開き、配信用のパソコンへと表示させる。これを見れば分かってくれる筈だ。
《コメント欄》
・ん?
・これは……
『次の"イタコ"としての温魂うつすの企画です。おかしいよ!私はあの企画がバズったらもうイタコとしての仕事はやらなくて良いって聞いたからやったのに……』
《コメント欄》
・スパチャした人やメンバーに入った人の中で亡くなった身内を降ろすって言うの良いな
・デジタルイタコじゃん
・良いのかな、こう言うの
・怒られそうではあるけど本職だから良いのか?
『そうですよね?そうっ!!本職の人を馬鹿にする様な行動はいけないですし、私はイタコを名乗ってるだけの自称霊能力者ですし!まぁ、確かに?家柄とかが由緒正しくはありますが、だからこそ伝統を守らなきゃならないですよね。秘密とか形式とかあるから無闇に配信とかはねぇ……いやぁ残念だなーw悔しいけどすみませんマネージャー』
これは勝ったと確信していた。良い流れが来て、こうして私は"仕方無く"!ニートに戻る事になる。数ヶ月の猶予はあるだろうからこれで私はダラダラと堕落した日々を過ごせるそう思っていたのに。
《コメント欄》
《温玉トッピング》ご両親には許可を取っています。特にお母様は『イタコは条件が中々厳しくて後継者がいないからどんな形でも時代に合わせて存在して欲しいと言われました』
《温玉トッピング》つまり、うつすさんがイタコを辞めると言う事はご両親の意向を無視して悲しませると言う事ですのでその事を肝に銘じておいてください。
・あーあ
・ま、まぁバズってるからさ?良かったじゃん
・ド ン マ イ
『グァァァァァァァ!!お母さんはズルじゃん!私とマネージャーの問題じゃない?それは違うじゃん。と言うか普通に辞めて良いって言ったじゃん』
《コメント欄》
《温玉トッピング》辞めて良いとは言ってないですよ。大丈夫って言っただけで、はいともいいえとも言ってません。これからもよろしくお願いしますね!
・流石イカれた配信者達のマネージャー。口が上手い
・円満だなヨシッ!
・急に叫ぶな
・悪霊になった?
『可愛いガワでゲーム配信とかしてたら簡単にお金稼げてチヤホヤされると思ってこの業界入ったのに!』
《コメント欄》
・素質あるよ
・少女よ、この世界には簡単なお金の稼ぎ方は無いんだ。脱法しない限りね
・ユニパラ入社おめでとう
・88888888
『……老後に安心して生きられるお金を稼いだら、絶対辞めてやる!』
そう私は軽やかに宣言してその場を後にした。その時の私は知らなかったのだ。
収益化と言う高過ぎる壁、そしてそれに対する対価。
過去に戻れるなら私に言いたい。恥も外聞も捨てて、普通の会社で会社員として働けと。楽しようとしないで、汗水流して労働をしろと。