イタコ系配信者温魂うつすの配信 作:温玉丼
『ハイ、オンタマー。オンタマウツスデース』
「はい。それではやって逝きましょー!」
『……』
「無言で否定して駄目ですよ?大丈夫ですって!出るって言われるトンネルへ行く訳でも、名所へ行く訳でも無いんですから!
近いよ、物理的に近すぎる。確かに好きだけど目の前にある物を見てしまうと肯定しずらい。
『まぁ、オタクと言う程詳しくは無いですが。ゲームは好きですよ、人並みに』
「ですよね〜知ってました!って事で今回はホラーゲーム『SAD●KO』をやって頂きます!」
『拒否権は?』
「無いです!あ、いや実際はコンプラ的にありますけど。出来れば、うつすさんが少しやりたい感じを出しつつ良い感じのプロレスをしてなぁなぁな流れになるのが良いですね」
『やりたくは無いですね』
ゲームとか関係無く、ホラーが苦手だって言ってるじゃん。しかもタイトル時に来そうだし絶対にやりたく無いんだけど。
『逆にやらないって方向性は無いですか?』
「無いですねーそんなもん」
『そんなもんなんだ』
「いーじゃないですか!この配信がバズって切り抜きして貰えばうつすさんにもお金が入るし!私達は可愛い女の子の悲鳴や涙、泣いた顔でぐしゃぐしゃになった面を見て聞いて。生きる気力を貰える!この苦しい現代社会に生きるサラリーマン達にとってのオアシスなんですようつすさんは!」
何言ってんのこの人……。って言うか私達?私達って言った?つまりこのマネージャーは、可愛い女の子の可哀想な所を見て喜ぶ変態さんって事?思えば今回も前回も、私が考えた企画を全部面白くないバズらないで切り捨てたのってそう言う事?自分の要望を通す為って事?
「あ、ジト目。どうしたんですか?うつすさん。何でも言って下さい!出来ることならしますから!」
『私の幸せな配信活動の為に、今すぐマネージャーの座を退いて下さい』
「な、何でですか?気が狂ったんですか⁉︎」
『多分それはマネージャーさんの方ですね。いや、元からか』
《コメント欄》
・おんたまー
・おんー
・今来たらマネージャーが仕事の危機に立たされてて草
・可哀想。うつすが
・サラッと毒吐いて敬語無くなるおんたま好き
・マネージャーのテンション高えな
いや、本当だよねー。そうそう、その通り。マネさんが悪いよマネさんが。分かる分かる。
『ほら、コメントもこんなマネージャーさんは辞めさせた方が良いってコメントで溢れてますし。マネージャーさん短い間でしたが、沢山お世話になりました。有難う御座いました』
「やっと見れた最初の笑顔が退職の時ってマジですか?と言うかそんなコメント無いですよ。全部エアコメでしょ?」
『ヤダナーゼンブナガレチャッタダケデスヨー』
「いや、私は全コメント追ってスパムとかは退けてるんでそんな事は無いです」
『チッ』
「投げキッス助かるー」
『言う前から納得しないでくださいね』
チラッと時計を見るとまだ十分しか経っていなかった。どうやらこの雑談で配信枠を埋めるには無理な様だ。そんな私の心を読み取ったのか。
「さて、舌も喉も温まった所でゲーム実況と行きますか!」
死の宣告が私の耳に届いてしまった。