エヴァン、アレクサ、ジェイクの3人は、レガリアが唸り声をあげ、サイレンとルプスが彼らを取り囲ませようとする瞬間、視界を遮る煙の中をかいくぐりながら一斉に飛び出した。
ゼノモーフの巣内部とはいえ、未覚醒の幼体が流れ弾で傷つけられてはいけないと考えているのかサイレン達の攻撃は鈍く、どちらかといえば隙を窺うような行動が多い。
加減されているうちにと人間達は必死に繭の生存者を探し始めた。壁や天井にねばねばと絡みついた繭がいくつも連なり、救出できる可能性を期待してた直後、そばのフェイスハガーの死骸を見て諦める。焦りながらも奥へと進む。
動き回るうち、不注意で腰ほどの高さのラグビーボールに躓き手をつくアレクサ。即座に獲物を感知したエッグがフェイスハガーを撃ち出したが、一瞬早くジェイクが銃口を向けていた。
「気を付けろ!」
そして、ついに気を失っているメラニーの頭部を見つけ出した。しかし近づいてみると繭の側には無残にもエイリアンの幼体が寄生している形跡が見て取れる。顔をしかめながらエヴァンがアレクサを振り返ると、彼女の目には悲しみと無力感が漂っていた。
「もう…間に合わなかった」
アレクサが声を絞り出す。
エヴァンも目をそらし、ゆっくりと顔を横に振った。
「時間がない…!追いつかれる前にここを出ないと」
その言葉を聞き、ジェイクが即座にメラニーの胸を寄生体ごと撃ち抜いた。そして後方の状況を確認すると、目を見開いて叫んだ。
「おい、レガリアがこっちに来るぞ!早く逃げろ!!」
レガリアの唸り声が一層大きくなっている。逆に先ほどまで3人を追っていたはずのサイレンたちはどこかに消えていた。ちぎれた卵管を半ば引きずり、自身が構築させたはずの粘液塊を邪魔そうに払いのけながら進もうとしているレガリアは、まだ孵化前の繭にすら注意を払う様子を見せていなかった。目の前の人間達に対してもよく見れば同様の反応だ。
巻き込まれては堪らないとエヴァンたちは一目散に駆け出し、息を切らせながら壁の向こうへと身を隠す。サイレンとルプスの足音もあちこちから聞こえてきて、あちらこちらの出口から次々に飛び出しているようだった。
「一体何が起こっている…?」
ジェイクが焦りながらも言った。
「やつらが恐れるものなんてそうないだろう。俺たちですらないとしたら…」
「でもクイーンは群れのリーダーなのよ。脅かす者なんて」
アレクサの言葉を聞きながら、エヴァンは意を決し、周囲を見渡しながら短い休息の間に脱出経路を必死に探す。
「外に通じる出口があるはずだ。考えるのは後で良い」