ティタンの睨む先、崩れた壁の向こうからそれでもレガリアは姿を現した。もはや尾はかろうじて地に引き摺らずにいるだけの状態で、常に床を血液が溶かし続けている。四肢がしっかりと踏み締めていられるのは奇跡と言えるほどだった。
突起が何本か折れてなくなり、それでもたてがみの形状を維持する頭部を見せつけ唸り声を上げるレガリア。対するティタンも決着に備え身構える。
一瞬の静寂。
瀕死のレガリアは荒い息を一つ吐き、最後の力を振り絞ってティタンに向かって突進した。彼女の傍らには、唯一の生き残りであった最後のルプスが獰猛な唸り声を上げながら一緒に並ぶ。
ティタンは傷を負いながらも、その巨体を揺るがせて構えていた。瞬間、ルプスがティタンの横腹を狙って襲いかかり、その隙にレガリアが牙を向ける。しかし、ティタンはその巨体を反転させ、ルプスを一蹴し、レガリアに重厚な前脚を叩きつけた。レガリアは力なく倒れ込み、最後の抵抗として尾をしならせてティタンの脚に刃を刻もうとしたが、ティタンはそれすらも振り払い、牙を振り下ろしてレガリアを完全に抑え込んだのだった。
静寂が訪れる中、ティタンは荒い息をつきながらその場に立ち、無力化されたレガリアの上で勝利を静かに示していた。――だがあまりにも多くのエイリアンが傷つき、大柄な生物たちが暴れ回ったことは目に見えぬ場所にまで大小無数の傷を与えていた。エイリアンの皮膚にはなんの効果のないとしてもその血液の酸性はあらゆる物質を腐食させる。
ふと一歩を踏み出した瞬間、地面が不気味な音を立てて崩れ始めたのだった。鋼鉄の床は悲鳴を上げるかのようにひび割れ、ティタンの巨体を支えるには限界に達していた。
ティタンは叫ぶ間もなくその下へと滑り落ちていく。巨体が落下する勢いで周囲の天井や壁も次々と崩れ、巨大な設備が穴へ落下していく。ティタンは咆哮を上げて抵抗しようとするが、重力には逆らえず深く深く落ちていった。
そして、落下の先に待ち受けていたのは、突き出した鋭利な金属や残骸の一部だった。ティタンの巨体がその鋭い突起に突き刺さり、もがくうちにさらに深く貫かれる。その上に次々瓦礫が降り注いだ。
最初の一撃である鉄芯はすぐに自身の血で溶かし取り除けても、その後次々と落下する瓦礫の衝撃は防ぎようがなかった。ティタンの咆哮が次第に弱まっていき、地上で崩壊が落ち着いたときには地下の巨体は静かに横たわり動かなくなっていた。