エヴァンはまず動物園のエントランスに向かう。ドーム型の施設の前は不気味な静寂に包まれており、かつての賑わいを物語る看板やポスターがところどころ破れ汚れ、無事な部分も気のせいか色褪せているように見える。
「妙だな…」
エヴァンは呟きながら、入り口の自動ドアに近づく。しかし、ドアは閉じたままで、本来なら反応するセンサーも動いていないようだ。周囲を見渡しても、施設内は真っ暗で、遠くで何かが壊れるような音がわずかに聞こえる。
「これ、思った以上にすさまじく嫌な予感がするぞ」
エヴァンは少し戸惑いながら、端末を取り出してセキュリティシステムの状態を確認するが、全てがオフラインになっていることに気づく。
「セキュリティも電力も完全にダウンしてる…一体何が起こったんだ?」
しかたなく懐中電灯を取り出し、ドアの横にある緊急ハッチを手動で開け、施設内に入る。そこはかつては明るく清潔だった通路だが、今は薄暗く、散乱したガラスや倒れた看板が不気味に響く。一部は黒い粘液のような物でぬれているようだ。エヴァンは慎重に進みながら、施設の中で何が起こったのかを探ろうと考えた。
「この動物園で、この数日で何かが変わってしまった、か…」
静けさの中で、彼は施設の奥深くから聞こえてくる奇妙な物音に耳を傾ける。
そうして薄暗い廊下を進む中で、同僚たちになるはずだった面々──アレクサ・グリーン、ジェイク・トーマス、メラニー・チェン、そしてヴィクター・サンダースとようやく合流することができた。全員が緊張に満ちた表情をしており、状況は想像以上に深刻であることがひしひしと伝わってくる。
「そこに誰かいるのか?」
「誰? 本社の人?」
返事が返ってきた。女性の声だ。彼女は疲れた顔で姿を現す。その後ろには、さらに3人の男女が警戒しながら銃を握り続いていた。
「ようやく新しい生き残りと合流できたか…」
ジェイクが低く呟きながら、周囲を見回す。
「この場所、すべてが狂ってる。動物達が…何か他のものになっている」
エヴァンは困惑した表情を浮かべながら尋ねる。
「セキュリティはどうしているんだ?」
「全システムダウンだ」
ヴィクターが答える。
「電力もほぼ落ちてるし、原因はわからない。何かが制御装置に干渉したんだろう。あちこちがやつらの巣窟になっているからな…」
「とにかく、この場所はもう安全じゃない。何かが…」
メラニーが不安そうに言いかけた瞬間、不気味な叫び声が響き渡る。
【タス、ケテ!】