進みながら、エヴァンは彼らと情報を交換した。まずは今すぐ脱出しない理由について。
「早くここを出るべきじゃないのか?もっとでかいのが大勢出たら終わりだぞ」
「そうなんだが…今すぐ脱出しない理由は、この件が終わればまず施設が完全に閉鎖されるだろうからだ。もしここから出れば、何が起こったのか報告しないといけない。さもないと生きて帰れたとしても上に将来を閉ざされかねない」
ヴィクターは冷静に話す。
「くそっ!連中が何者かなんて気にしてる場合かよ!」
とエヴァンが叫ぶ。
「ああ、そうね。一体どこから湧いてきたんだか……。だが選択肢は有ってないようなものよ。生還して結果死ぬまで無職、ともいかないわ」
アレクサは不安げに呟く。
「……そして2つ目の理由だが、さっきの化け物だけじゃない。他にも生存者がいる可能性が否定できない」
ジェイクが続ける。
「この動物園は何かおかしい……。この一日だけで行方不明になった仲間も何人もいる。が、逆に言えば連中の棲み家まで行けば息のある奴が残っているかもしれん。できるならば助けてやりたい」
一方でエヴァンが話したのは、彼が乗ってきた船についての話だった。一人で動かせるような小型船ではあったが何人かを乗せる余裕はある。最悪これに乗ればこの施設を離れることもできるはずだった。
「そりゃ安心だわ。で、これからするの?」
メラニーが尋ねる。
「決まってるでしょ」
アレクサが答える。
「さっきのような化け物に見つからないようにしなきゃいけないけど……」
「……なあ、あんたらの仲間はどこにいるんだ?それと目当てのデータは?」
とエヴァン。
「仲間は……わからないな。データは地下2階のはずだ」
ヴィクターが答えた瞬間だった。突然天井の照明が激しく点滅し、不気味な機械音が響き渡る。そして次の瞬間不気味な遠吠えが轟いた。
「…行くぞ」
施設の施設の中枢へ向かうため、エヴァンたちは廊下を静かに進む。薄暗い通路の壁にはひび割れたモニターが並び、かつての動物園の賑わいを思わせる映像が断片的に映し出されている。しかし、そこに映る今の動物園は、まるで悪夢のように変わり果てていた。
「あと少しで中枢だ…急ぐぞ。」ジェイクが後ろを振り返りながら、低い声で全員に指示を出す。
エヴァン、アレクサ、メラニー、ヴィクターはそれに続き、足音をできる限り抑えて進んでいたが、施設全体に張り詰める緊張感が彼らを包み込む。
「こんなに静かなのは逆に嫌な感じだわ…」
メラニーが呟く。