サファリエリアはかつて、多くの動物たちが自由に歩き回っていた広大なエリアだった。しかし、今は鬱蒼とした雰囲気の粘液が植物を覆い、視界を遮る異様かつ不快なジャングルと化している。比較的樹木が少ない道路付近では壊れた観光バスの残骸があちこちに転がり、かつての賑やかさは見る影もない。
「気をつけろ。さっきも言っていたが、ここはどこから何が出てくるかわからん。」
ジェイクが緊張した声で全員に警告した。
「もっとも奴らが外に出ていたことからして元々よりは数を減らしてるかもしれんが…」
エヴァンたちは慎重に進んでいたが、突然、茂みの中から異様な気配が漂い始めた。次の瞬間、黒い枝のようなものが持ち上がったかと思うと、その下の大きく開いた口から粘液をしたたらせながら黒い獣が飛び出してきた。それは鹿型エイリアン――クルスコルヌだった。元は観賞用だった立派な角は今では武器としての異形に変化させ、容赦なくこちらの肉をえぐろうと突進してくる。
「避けろ!」
エヴァンが叫んだ瞬間、クルスコルヌはその巨大な角をエヴァンに向けて突き出した。しかし彼の体は後ろに倒れ込んだためにそこにはなく、前足の間に滑り込んでいた。その勢いに圧倒されそうになる。クルスコルヌは執拗に追撃しようとするが、そのときには顎の下に銃口が突きつけられていた。
銃声が連続して響き、クルスコルヌの前半身が浮き上がった。間一髪、その隙間を転がって退避した次の瞬間、強酸の体液と共に体躯が倒れ伏した。
「…やばかった…!」
「メラニー、後ろ!」
その時、アレクサが叫ぶ声が聞こえた。エイリアンの尾がメラニーに素早く巻きつき、締め付けている。彼女は苦しげに息を吸い、必死にもがくが、エイリアンの力に抗うことができない。
茂みの中から現れていたのは、長い体を持つヘビ型エイリアン――ヴェノスだ。長く伸びた体を巧みに使い、メラニー締め上げようとしている。
「やめろ!」
ジェイクはヴェノスに向かって走り寄り、なんとか尾を引き離そうとするが、強烈な力にはどうにもならない。かといって全身に巻き付いている上に頭同士が近いために、返り血がかかる可能性から銃も使いようがなかった。
「なんとかしろ!」
「やっている!」
エヴァンが叫び、メラニーを解放するべく必死に殴っているが、人間が素手でいくら殴ろうとそんなものが通じるわけもなかった。
ついにはヴェノスエイリアンの牙がメラニーの肩に突き刺さり、意識を失った彼女と共に草の中へと瞬く間に消えていったのだった。
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