一行は傷つき疲れ果てながらも、サファリエリアを抜け、ついに中枢管理施設へと続く廊下にたどり着いた。そこは、動物たちが飼育されていた収容エリアのはずだった。しかし、今やその面影はなく、床から天井まで粘液がべっとりと張り付き、不気味な光が点滅するだけの異様な光景が広がっている。
壁や天井には、異様な粘液が滴り落ち、機械設備も破壊されている。至る所に蜘蛛の巣のような黒い繭が固定され、それが作り出す異様な雰囲気に、場違いな静寂が漂っていた。廊下の端では、細長い管が床を這い、かすかな明滅が不気味に照らす。
エヴァンは呻きながら壁に寄りかかり、ふと目の前にある奇妙な物体に目を留めた。それは、それほど大型ではない小動物たちの姿だった――だが、彼らはただの死体ではない。まるで巨大な蜘蛛の巣に捕まったかのように、全身が粘液で覆われ、繭のように絡め取られていた。ウサギ、オオカミ、ヤマアラシ、コヨーテ、そして鳥たちまで、かつての動物たちの姿が歪んで見える。
アレクサが息を呑んだ。
「これは…彼らは、まだ生きているの?」
動物たちのかすかな呼吸音が響き渡る。しかし、次の瞬間、繭の内部、肉の奥でで何かが動き始めた。
「気をつけろ…何かがいる!いや、ここは奴らの巣だ!」
ジェイクが叫んだが、その言葉が終わる前に、繭の一つが大きく膨らんだかと思うと、バキッという音と共に内側から破裂した。中から飛び出したのはチェストバスターと呼ばれるエイリアンの幼体。宿主の面影をすでにみせる異形の生物だった。小型だが非常に凶暴な生き物だ。
一行が構える間もなく、次々と他の繭からも同様の生物が骨ごと突き破って飛び出してくる。まず、ヤマアラシから生まれたクイントバスター。その背中には毒針に似た棘が5本生えており、一行に向かって突撃してくる。棘は折れやすいようで、アレクサの肩に先端が食い込み残った。彼女は小さく叫びながらふらつく。どうやら毒があったようだ。
近寄る暇もない。次に飛び出したのは、ウサギ型のラピドスバスター。素早い動きで床を這い、牙をむき出しにしてエヴァンの足元に食らいつく。蹴り飛ばしてどうにか追い払うも、続いてルプスバスターが飛びかかってくる。
「撃て!」
ジェイクが指示し、アレクサとエヴァンが手にした武器で応戦する。しかし、数が多すぎる。繭から次々と生まれるチェストバスターたちの襲撃は止まらない。オウム型のヴォクスバスターが空中を飛びはねながら、爪でアレクサの肩を引っ掻こうとする。