深夜寄道録イッセー   作:グレン×グレン

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 ハイスクールD×D二次創作を書き続けて十年以上。

 これは、それをより優れたものにするための実験作である……!


銭湯

 

 転生悪魔……それは、当たり外れがある意味でとても大きい人生の選択肢。

 

 種の存続の為、他種族を自分達と同じ悪魔に変えることで生存を試みる悪魔……。もしなれば、成果次第で中級から上級……果ては最上級となり成り上がることも可能……! できれば、勝ち組大確定……!

 

 だが、上手い話には裏がある。厳密には、裏をなくしたくても作られる悪夢……!

 

 血統と既得権益を欲する大王派を中心とする、老害バーゲンセール……! そんなところの眷属になれば、もはや奴隷……!

 

 だが、そんな者達ほど権力がある魔境……それが、悪魔が住まう冥界の闇……! 必然、そうでない者達の眷属になっても邪魔が入る……出世、超大変……!

 

 だが、そんな世界に異例極まりない男が現れた。

 

 赤龍帝、兵藤一誠。超リベラルかつ慈愛あふれるリアス・グレモリーの眷属。そして、悪魔になって半年そこらで……昇格……異例のスピード……!

 

 最も才能がない赤龍帝とされながら、前人未到の進化……! まさにイレギュラー……!

 

 そんな才能の無さは、彼の悪魔としての活動にも上げられる。

 

 欲望を持つ者にチラシを渡し、以来の結果に応じた対価をもらう悪魔稼業。このチラシ……転移の道具にもなっている……。

 

 だが……彼は転移できない……! 悪魔なら子供でもある魔力でできる……すなわち……子供以下……!

 

 だがめげずに、自転車で依頼人のところに向かう兵藤一誠……! 人柄もあって、人気はある……お得意様もいる……!

 

 結果……転移できるようになってもチャリ来訪……! 転移で来ると……これじゃない感爆発によるもの……。もはやそれをウリにする始末……!

 

 だが、それすなわち……移動時間と移動ルートの存在……!

 

 転移ではできない贅沢……そう、寄り道ができる……!

 

 これは……寄り道というプチ贅沢をしながら頑張る男……兵藤一誠の物語……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜、日本関東の地方都市駒王町。

 

 日本の政府や神話体系にも話が通っている状態で、長らく上級悪魔が裏の管理をする土地になっている……!

 

 今の管理者はリアス・グレモリー。悪魔の名門上級悪魔、元72二柱の一つであるグレモリーの本家次期当主……!

 

 彼女を主とする兵藤一誠は、今日もまた仕事を終えてチャリで帰還していた……!

 

 だが、自転車で駆ける兵藤一誠には疲れが見えた。

 

 それもそのはず、彼はとても苦しい依頼を受けた。

 

 何故かお得意様に奇人変人が多い兵藤一誠。常日頃から魔法少女の格好をする巨漢や、全身鎧武者で身を包み古プレートメイルを愛用する彼氏を持つ女子大生など、奇人にはとても慣れている。

 

 だが、だからこそ奇人に対してスルーする能力が若干かけている。本日は「BSS(僕が先に好きだったのに)を経験したいから幼馴染に告白せず恋愛相談をしていたのに、相手がガチホモで俺に惚れていたんです」などという、ハーレムを作りたい彼からすれば発狂物のお悩み相談をされた。

 

 最終的に「俺もホモ同人にされているんです」という方向性で話を誘導し「一度真剣に腹を割って話すべき」として、見届け人となって幼馴染と男を踏まえた話し合いをして、乱闘になりかけるもとりあえず穏便な形でギリギリ済んだ。

 

 おかげでとても疲れている。報酬としては市場に出せば好事家が十倍以上の値段を払ってでも欲しがるBSS系作品の初期購入者限定特典で話がついたが本当に疲れた。

 

 ハーレムを作りたいを原動力とし、モテる男に嫉妬したり大切な女の子にほかの彼氏ができそうになるのが悪夢になる兵藤一誠。彼にとって、好きな女の子を他の男にとられたいなどというジャンルはエロゲーの世界にしかない。現実にしたがる奴など異星人レベルのイレギュラーだった……!

 

 その疲労はとても重い。更に帰った後、これをいちいち説明しなければならないので、更に疲れることが確定している。

 

 その気持ちが、彼に一つの決意を抱かせる。

 

 ……よし、ちょっと休憩しよう!

 

 深夜……兵藤一誠……寄り道開始……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 自転車を漕いで道を逸れて着いたのは……銭湯……!

 

 銭湯、それは一家庭に風呂場が一つはついて当然の今の時代において、衰退気味の商店……! だが、メリットもまた数多い……!

 

 とにかくでかい風呂桶、風呂掃除の手間いらず。銭湯によっては代わり湯やサウナなどもあり、こればっかりは庶民では私的に用意するのも大変……!

 

 だが、兵藤一誠にとってこの銭湯のメリットは別にある……!

 

 何故なら、リアス・グレモリーやその眷属仲間達の多くと同居しているイッセーは、家が大改装……!

 

 地上五階、地下三階の大豪邸……! 地下の一階層はほぼほぼ巨大浴場……サウナもある……!

 

 でかい風呂もサウナも、普通に入れる。その上でイッセーが銭湯に入る理由は大きく分けて二つ……! その一つは……!

 

「女の子と一緒に入らない風呂もいいもんだよなぁ」

 

 全世界のモテない男が一致団結して討伐軍となりかねない理由……! だが、イッセーにとっては切実……!

 

 何故なら兵藤一誠、彼はモテ街道真っ盛り……! しかも、奇人率多し……!

 

 お風呂に入ろうとすれば、取り合いになることも珍しくない。またラッキースケベを覚醒させたこの男、こっそり一人で入ってもたまたまエンカウント! むしろそこを狙って迫りくる女子も多し……!

 

 ある意味男のロマンの体現。だが、男にだってプライベートは欲しい……! そういう意味だと、風呂場のプライベートがマイナス級……致命的……!

 

 また女子比率が多すぎるので、男同士の空間があまりになさすぎる……! 女所帯、男は時折肩身が狭い……!

 

 だが、銭湯は男湯と女湯が沸かれている。すなわち、男だらけのノンケ専門癒しタイム……!

 

「久しぶりっす。手ぶらセットお願いします」

 

「あいよ! イッセー君も十日ぐらいぶりだねー」

 

 もはや顔なじみの店員と軽く言葉を交わし、手ぶらセット注文。

 

 手ぶらセット。銭湯とかでたまにある、文字通り風呂用の道具がいらないセット。タオル・石鹸・シャンプー・リンスが一式揃ったセット料金……!

 

 更にサウナにおいてはバスタオル込みのセットもあるが、イッセーはそこは選ばない。

 

 何故なら屋にでかいサウナがある……! そこまで長居する気もないので、今回は入る理由も特になし……!

 

 銭湯は場所によっては深夜でも入れる。またこの銭湯は異形や異能もご用達であり、それもあって営業時間が夜遅くまである。更にイッセーは異形では有名人で、この地の管理人に使えてもいる。なので学生服でも顔パスOK……!

 

 むしろイッセー、何度か既に通っているのでほぼ常連……! 尚更顔パス……!

 

「ふぃ~。この時間帯は人が少ないから、ゆったりできそうだな」

 

 脱衣室でそう言いながら、イッセーは服を脱いでロッカーにしまって鍵をかける。

 

 全裸で女子の目を気にせずに風呂に入る。これがたまにしかできないのだから、切実な贅沢である。

 

 そして人間と比べて数が少ない異形ご用達である以上、時間帯もあってお客さんは少ない。

 

 だからこそゆったりとした気分で、イッセーはまずシャワーコーナーでお湯を浴びる。

 

 スイッチを押して流れる一定時間のシャワー。熱めのお湯が疲れを溶かし、そのまま汗ごと流していく……!

 

 第一段階終了、リフレッシュ……!

 

 そしてイッセーは洗い場に向かい、石鹸を泡立てて顔を洗う。

 

 気分が爽快したらまずはシャンプー。しっかり頭皮をマッサージしながら洗ってから、それを流してリンスを付けたら石鹸をタオルで泡立てる。

 

 風呂に浸かる前に汚れはしっかり落とす。仕事疲れをお湯に一気に入って癒したい……だが、それは公衆浴場ではマナー違反……!

 

「……ふぅ~、さっぱりした―」

 

 兵藤一誠、洗浄終了。

 

 エロが絡むと暴走するし、コンプライアンス的に世代が古い男。だが、そうでない時は割と良識も順法精神もある男。難儀……圧倒的難儀……!

 

 すっかり綺麗になった体でまずはいるのは、大浴槽。

 

 流石に何人か入っているが、しかし足を伸ばして浮かべるレベル。

 

 家の大浴場もこれぐらいはイける……! だが、ここだからこそ一切のイレギュラーなくできることもある……!

 

「あ~……」

 

 そう、女子のいないお風呂……!

 

 もてない男が軍団を結成して襲い掛かるだろう贅沢な悩み……! だが、改めて言うが時折切実……!

 

 例えるなら、毎日毎日カレーばかり食べている状況。大半の者は、たまにはチャーハンや卵ドンなどの代わり映えが欲しくなる……! そんな、持つ者だからこその悩み……!

 

「よ、赤龍帝! 仕事帰りかい?」

 

「そうなんですよ。ハーレム願望の俺からするとさっぱり理解できない相談で、ちょっとドンビキしたっていうかねぇ」

 

「人間って数が多いからなぁ。この街、変な奴も多いからなぁ?」

 

 同じく使っている男の異形達……! 彼らと語り合いながらのお風呂……!

 

 異性に囲まれている状態では得られない栄養……! イッセー、心がリフレッシュ……!

 

 そして男達が湯上りした頃に、場所を移動。

 

「……ぅひぃ……~!」

 

 次はマッサージバス! ジェット水流が背中や脹脛をほぐす……ほぐしまくる……!

 

 長距離チャリ移動で凝ったからだが……解れていく……!

 

 イッセー、疲労……回復……!

 

 そして兵藤一誠、最後のシメ……!

 

 手すりを使って安全を確保。そして上った個所にはサウナの扉。

 

 だが、兵藤一誠これをスルー……!

 

 先も言ったが、彼の家にはでかいサウナがある。男同士のサウナにも味があるが、追加料金が必須……!

 

 別に払っても問題ないが……今日は家では絶対にできないお風呂優先……! 故に、その先こそが本命……!

 

 たどり着いたドアを開き、兵藤一誠……本命突入……!

 

 そこにあるのは銭湯としては小さめの浴槽。だが、その空気は湯気が少なくちょっと寒い。

 

 それもそのはず。天を見上げれば……そこは月と星が出迎えている……露天風呂……!

 

 露天風呂がある戦闘は多くはない。裏を返せば、存在はする。

 

 ここは駒王町で唯一、露天風呂がある銭湯……!

 

 家のお風呂は地下にあるので、露天風呂は当然ナッシング……! すなわち、こればっかりは外で入る必要がアリ……!

 

 そして夜空を見ながら兵藤一誠、露天風呂タイム……!

 

「……あ~……いい湯だな……」

 

 十分間ほどまったり露天風呂タイム……満喫完了……!

 

 その後湯上りの体で、待合室まで戻ったイッセーはフルーツ牛乳とマッサージチェアーで最後のリラックス……!

 

「いい湯だったっす! じゃ、帰りまーす」

 

 リフレッシュも終わり帰ろうとした時、ふと視線が天井近くに。

 

 そこにはサイン色紙があり、しかし普通の人間では電子機器を使っても認識できない仕様に合った。

 

 だが問題はそこではない。あった文字を見て、イッセーは目を見開く。

 

「……あの、あの色紙にディハウザー・ベリアルって書いてるんだけど……?」

 

 ディハウザー・ベリアル。イッセーの主であるリアスと同じ、元72柱の家であるベリアル家の出身。

 

 そして悪魔独自の競技、転生悪魔を率いた王同士が競い合うレーティングゲーム不動のトップ……超、有名人……!

 

 それは悪魔社会の大谷某……! もはや世界的名プレイヤー……!

 

「そうなんですよ。実は何年か前に一度だけ来てくださいましてね? サインは恐縮して頼めなかったんだけど、相手が自分から書いてくれたんです」

 

 思い出しても恐縮なのか、ちょっとどぎまぎしている店員……。

 

 それを見て、イッセーは意を決した。

 

「なぁ、色紙とサインペンある?」

 

 イッセー、サイン記入……!

 

 この男、割と有名……! いや、特撮ヒーローのモデルとなっており、印税収入でグレモリー家が潤うほど……!

 

 必然、サインを強請られることもあり。きちんと経験もあり練習もしている……!

 

 そしてイッセーはサインを核と、にやりと笑う。

 

「よければ隣に置いといてくれません?」

 

「え、それはありがたいぐらいですけど……いいんですかい?」

 

 兵藤一誠、冥界の英雄であり若手悪魔のホープ……だが、所詮は若手悪魔……!

 

 あらゆる意味で上に立つディハウザーの隣にサインを置くなど恐れ多いかもしれない。というより、頼まれても泣いて断るような天井の人物……!

 

 だが、だからこそイッセーはそれを選ぶ……!

 

「リアスの夢の為にも、俺達はあの人と渡り合えないといけないからさ。ま、願掛けの一つってことで」

 

 これは一種の挑戦状で決意表明……!

 

 そう、「俺達は必ず、サインが並び立つぐらいになる」という、決意の証……!

 

 そんな挑戦状をこっそりした為、イッセーは銭湯を出ると自転車にまたがる。

 

「じゃ、俺も頑張って勝負が挑めるぐらいにリアスを盛り立てないとな!」

 

 いろんな意味で気合十分。英気を養ったイッセー、再び自転車全力疾走……!

 

 兵藤一誠、悪魔稼業続行中……!




 ここ最近、たまに銭湯に入ってリフレッシュすることがありますね。

 母方の祖父母が温泉街出身なので、天然温泉のスーパー銭湯には一度行ってみたいです。というよりこの年末年始で一回行く予定だったり……!
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