クソボケのことが大大大好きな生徒達   作:あば茶

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前編です


聖女、悪魔二堕ツ(マリー)

 

 

 

『あの~、ここで悩みを聞いてくれるって噂を聞いたんですけど……それってトリニティ外の人間でも大丈夫ですかね……?』

 

 

ここだけの話、伊落マリーには恋人がいる……とは言ったが、シスターフッドの生徒や彼女と親しい生徒は全員その事を察している

 

 

『その、実は上司に黙ってある危険な仕事をこなしたせいで大怪我してしまいまして……そのせいで上司がかんっかんに怒っちゃって……』

 

『俺としてはその人を巻き込みたくないから黙ってた訳で、今でも〝巻き込まなくてよかった〟って思ってるんです。でも……』

 

 

出会った場所は懺悔室内、懺悔室と言っても本来の懺悔室と同じようなお堅いイメージのある部屋ではなく、互いに顔を隠しながらお悩み相談ができるというだけの緩い空間ではあるが

 

その声の主はその日から何度かマリーの元を通う事になり、いつしかマリー自身もその声で吉報を告げられる事に喜びを見出だしていた

 

 

『あ、お久しぶりです……え?あの後ですか?えっと……今度は別の問題が……』

 

『その、例の件以来上司が俺に仕事をさせてくれなくなってしまって……』

 

『ありがとうございます、シスターさん!お陰で上司と仲直りできました!……まあ、途中で想定外のアクシデントも起きましたけど……』

 

 

元より他者を思い遣れる優しさを持つマリー、彼女は相談主が喜ぶ度に彼女自身も我が事の様に喜び、そんな彼女に心を惹かれてか相談主も悩み事の相談以外にも時折雑談の様な会話を混ぜるようになるくらいには心を許していた

 

そんな日々を続けていくうちにマリーは〝次はいつ会えるのか〟と無意識に考え、その度に〝これでは彼が悩みを抱えて来るのを望んでいるみたいではないか〟と自身を咎めるようになった

 

相談に来ないという事は悩みが解決したという事、ならばそれでいいではないか。その後の経過等は気になるがそこまで踏み込むのは一シスターでしかない自分の役目では無いだろうと己の立場を弁えた

 

きっとあの男性は今も元気にどこかで日常を送っているはずだと──────彼が来なくなったのが空が赤く染まったあの日以降でなければ心の底からそう思えただろう

 

 

『……何事も無ければいいのですが』

 

 

勝手に不謹慎な想像をしてしまうのは失礼だろうと理解はしているものの、それでも最悪の事態が頭を過ってしまうマリー

 

あの日の戦いで生徒の中から死傷者が出たという話はマリーが知る限りでは存在しない……が、それはあくまでシスターフッドという一組織が得られる情報内での話

 

キヴォトス全域を巻き込む規模の大事件、誰も知らぬ場所で誰かがひっそりと、その可能性も無きにしも非ず

 

 

『きゃっ……』

 

『うお──』

 

 

そんなモヤモヤしたものを胸のうちに抱え、俯きながら歩いているマリー、そのせいか道端で人とぶつかりそうになってしまう

 

しかし相手の方は反射神経が良すぎたのかぶつかる直前で咄嗟に身体を半身にし、マリーだけが地面に倒れ込んでしまいそうになる

 

 

『──っとぉ、セーフ……大丈夫ですか?』

 

『……え?』

 

 

しかしマリーの腹を支えて咄嗟に事故を防いだのもまた男で、彼はマリーの顔に見覚えがあったのか見た際に一瞬だけ驚いた顔をしたが即座に怪我は無いかと身体の心配の

 

だが、肝心のマリーの方はというとそれに答える余裕など無かった。何故なら───

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの!上司の方とは……その後どうですか……?』

 

 

───男の声が、自身の求めていた声と全く同じだったのだから

 

 

 

 

 

 

 

そこからは特に変わった話もなく感動の再会を果たした二人は懺悔室で会っていた頃とは違い、外で互いの顔をしっかり見合わせながら会うようになったとか

 

やがて二人の仲は深まっていき、特に相談事がなくとも二人で会う約束をして談笑したり何処かへ遠出したりする仲まで進展し、そして───マリーの告白が、クソボケと称される彼の心を見事にぶち破った

 

とはいえ恋仲になっても二人のやる事は特に変わらず、強いて変化した点を上げるなら二人並んで歩いてる時や座っている時に肩と肩がくっつくようになった事と、二人で出掛ける際の呼び方が〝デート〟に変わったぐらいか

 

後は想いを伝えあったり、互いに抱き締め合って愛情を確かめたり、恋人らしく手を繋いだりと、それ以上の行動は一切していない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、一切していないのである

 

 

エ駄死も、それどころかキスすらも

 

 

お泊まりはした事がある、なんなら同じベッドで寝たこともあるし、その際に酒泉本人は隠しきっているつもりだったが酒泉のマイティーストライクフリーダムが密かにディスラプターの起動準備をしているのを察しもした

 

───が、そこは流石我等が性女……聖女。そういった知識に弱い彼女は恥じらいが勝ってしまい、どうしても承認お誘いをする事が出来なかった

 

キスに関しても同じであり、大好きな彼と接吻したいという年頃の女の子らしい感情は持っていてもそれを口にする事が出来なかった

 

かと言って別に性知識に対して悪感情を持っている訳でもなく、むしろこのぐらいの歳なら可笑しくない話だと理解も示している

 

……だからこそ自分の恥じらいのせいで酒泉に〝我慢〟を強いてしまっている事に罪悪感を抱いてしまい、そんなマリーを気遣ってか自分からは一切そういう行為を求めないように心掛けている酒泉を見て更に罪悪感が深まっている

 

誤解の無いように補足しておくとマリー側はあくまで自分から言い出すのが恥ずかしいだけであり、決して酒泉と〝そういう事〟をしたくない訳ではない

 

いっそ酒泉の理性がよわよわで向こうからキスやそれ以上の行為を無理矢理してくるのであればマリーとしても何時でもバッチコイなのだが……残念?な事に彼の理性は強すぎた

 

絶対にマリーを傷付けたくないというその一心はマリーを更に惚れさせると同時にマリーの心を抉っていた

 

 

『こ、このままではいけません……!』

 

 

現状打破の為、彼女は恥を忍んで他者から助言を貰う事にした

 

特に〝そういった知識〟に詳しそうな者を頼り、その結果────

 

 

 

 

 

 

「つまりこういう事ですね!?大好きな彼に即落ちマリーしちゃった伊落マリーちゃんは彼と会った瞬間にさっさと出落ちマリーで不埒マリーしたいと!!!そういう事ですよね!!!?!??」

 

「こ、声が大きいですハナコさん!それとそんな事は一言も言ってませんから!?」

 

 

無人となった聖堂内

 

恋ばなを前にした乙女フラワーが目をキラッキラにしながらマリーに詰め寄った

 

 

「ええ、ええ、分かっています……要するにマリーちゃんは面倒な過程を飛ばしてえちちマリーしたいのですよね♡」

 

「えちっ……で、ですから私はちょっと勇気を出す方法が知りたいだけで───」

 

「お尻でシタい!?!!?」

 

「違います!!!〝知りたい〟です!!!」

 

 

マリーからの珍しい相談を受けたせいか乙女な感情と普段通りの感情が入り交じりテンションがおかしくなっているハナコ、彼女はマリーの手を両手で包むと興奮した様な笑みを浮かべながら強く握った

 

 

「大丈夫です、私にお任せください。先ずは次のデートで着ていく服を選びましょう。その後、愛しの彼ととっても〝仲良し〟になれる道具を幾つかお渡ししますから♡」

 

「ど、道具……ですか?」

 

 

相談役を間違えたかと珍しく他者を疑ってしまったマリー、その疑いはめちゃくちゃ正しかった

 

何故ならこの後彼女に手渡された道具は〝振動する謎の棒〟〝ぬるぬる滑る謎の液体〟〝あまり熱くない蝋燭〟〝めっちゃキツく縛れる縄〟〝ツイスターゲーム〟〝ピンク色の液体が入ったハートマークの容器(効果不明)〟等、ろくな物が入っていなかったのだから

 

 




皆さん長らくお待たせしました、お待たせしすぎたのかもしれません

非力な私を許してくれ……(白き盾)
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