クソボケのことが大大大好きな生徒達   作:あば茶

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一気に時間が跳びます


ウサギだったりウサギじゃなかったりする女(ミヤコその3)

 

 

 

「先輩、先輩、起きてください」

 

「ん……」

 

「こんな所で寝たら風邪を引いてしまいますよ」

 

「……月雪?」

 

「おはよう……いえ、おそようございます、先輩」

 

 

若干の肌寒さを感じながらゆったり眼を開くと可憐な顔立ちをした白髪の少女の微笑む顔が、そしてその背景に日が暮れ始めたオレンジがかった空が見えた

 

空の色や彼女の発言から自分が公園のベンチで居眠りしていた事実に今更気付き、同時に今日やるべき事や明日の予定が無い事に安堵した

 

 

「……弛んでるな、俺」

 

「いえ、先輩はむしろ今まで働いてきた分お休みした方がいいです。漸く一息つける状況に生ったのですから」

 

 

一息……ああ、そうだな

 

 

「────俺達、成し遂げたんだよな」

 

「はい」

 

 

月雪に全てを打ち明けてから数ヶ月、俺達の戦いは一先ずの区切りを迎えていた

 

出会った瞬間から何故か既にバッチバチだった清澄と月雪、連日こっそり公園を抜け出すミヤコの跡を追ってきたせいで合流してしまった残りのRABBIT小隊、当然の如く詰められる俺、何故かエントリーしてきた清澄に並ぶ大問題児の狐坂、ヴァルキューレや連邦生徒会に潜入して汚職の証拠を入手した俺達

 

何故か〝俺の全裸を見たから〟という理由でミヤコに思いっきり引っ張られた防衛室長のアホ毛、早期解決した事で原作より罪の軽くなったFOX小隊、立ち去る前に防衛室長のアホ毛を引っ張っていった清澄、立ち去る前に防衛室長のアホ毛を引っこ抜いていった狐坂

 

色々あった、なんか後半は防衛室長がボコボコにされてるだけな気もするがとにかく本当に色々あった

 

なんかパーティーメンバーが全員優秀すぎて一切ピンチが訪れることなく、目的を達成した時は〝もっと早く頼っとけばよかった〟と軽く後悔してしまう程にあっさり終わったけど……むしろ味方同士のバチバチを抑える方が大変だったな、アイツらなんで喧嘩しそうになってたんだ?特に月雪と二大問題児

 

……まあ、ともかくこれで目先の戦いは終わりを迎えた。残る戦いはSRT復興と、それとそこそこ余裕も出来たし先生が一番危なそうなエデン条約に────

 

 

「……ぴょんこの方はまだまだ起きそうにありませんね」

 

「ぴょんこ?……あ、そういえば」

 

 

スライドショーの様に記憶を辿っていると膝元だけやけに暖かい事に気付き視線を下げてみる、すると俺の膝の上で目を閉じてスヤスヤしているぴょんこの愛らしい姿が

 

そうだ、思い出した。なんとなーくベンチに座りながら猫の癒し系動画見てたら急にぴょんこが膝に飛び乗ってきて、退かすのも悪いしそのままぼーっとしてたらウトウトしてきて……

 

 

「どうやら先輩の膝の寝心地は相当良いみたいですね」

 

「そうかぁ?野郎の膝だぞ?」

 

「もしかしたらぴょんこにとって先輩の膝元は安心できる場所なのかもしれませんね」

 

 

女の子からの膝枕ならともかく、鍛え抜かれた野郎のかったいかったい膝枕なんざ何処の誰に需要があるというのか

 

……って思ったけど人間なんて眠気が限界を迎えると何処でも寝られる様な生き物だし、案外ぴょんこもそんな感じで俺の膝を借りてるだけなのかもしれない

 

 

「────ところでだ、月雪……一つ気になる事があるんだが」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「お前なんか近くね?」

 

「……?」

 

「いや〝?〟じゃなくて」

 

 

俺の隣に腰掛ける月雪、その距離はお互いの膝と膝がピッタリくっつく程近かった

 

野宿生活しているとは思えない程ふわりとした髪の毛も、おそらくフラワー系な石鹸の香りも、全てゼロ距離で強制的に感じさせられている

 

「そうでしょうか、信頼し合っている者同士なら当然の距離感だと思いますが」

 

「いやこれはもうただのパートナーとかそういうレベルじゃない距離感だろ」

 

「つまり別の意味でのパートナーならこの距離感でも構わない……と、では〝パートナー〟として末永くよろしくお願いします、先輩」

 

「は?別の意味?」

 

「大丈夫です、先輩がこの手の話題に疎いという事は承知の上ですので……先輩が理解できるようになるまで待ってあげます」

 

「お、おう……?」

 

「でも、あまり待たせすぎないでくださいね?…………私自身、どこまで抑えられるか分からないので」

 

 

こてん、と頭を俺の肩に預けてくる月雪。言動とは正反対にその顔は穏やかそうに笑っていた

 

 

「膝にウサギ、肩にもウサギか……なあ月雪、これ動いちゃ駄目なやつか?そろそろ膝がキツくなってきそうなんだけど」

 

「駄目です、先輩の肩は私専用の枕なので」

 

「ですが俺は枕ではないので」

 

「枕です、私がそう判断しました」

 

「勘弁してくれ、このままだと石枕になっちまう」

 

 

身体を傾けてそっと肩を解放しようとすれば、月雪はすすすっとより距離を詰めて頭を乗せ直してくる

 

しかも先程以上の力で頭を押し付けてくる、その勢いは〝すりすり〟というより〝ぐりぐり〟に近かった

 

 

「……分かりました、ではぴょんこだけでも移動させましょう」

 

 

眠ったままのぴょんこを抱え、軍用テント内まで運ぶ月雪

 

ぴょんこに申し訳ないと思いつつ、長時間座りっぱだった腰が痛まないように立ち上がろうとし───直後、再び膝に体重が掛かる

 

 

「……月雪、お前何してんだ?」

 

「はい?ただ座っただけですが?」

 

 

座った……うん、確かにただ座っただけだな

 

俺の膝の上に、正面向いて、御丁寧に正座で

 

 

「……いや、おかしいだろ」

 

「?」

 

「お前そうやって〝?〟浮かべて首傾げればなんでも誤魔化せると思ってるだろ」

 

 

そんなあざと可愛い挙動をしても俺には通用しな駄目だ距離が近すぎて威力が倍増してやがる

 

 

「酒泉先輩。私、先輩よりおっきくなってしまいました」

 

「そりゃ俺の膝に乗ってるからな────っておい、そこまでしていいとは言ってないぞ」

 

「私は言いました、先輩は私の枕だと」

 

「これじゃ抱き枕だろ」

 

 

首筋や服越しの背中に感じる人肌の熱、いつの間にか月雪が両手を俺の背に回していた

 

離れてくれと目で訴えても月雪は一歩も動こうとはせず、むしろ身体の力を抜いて全身を俺に預けたかと思えば逆にじっと見つめ返して〝あれ〟を求めてきた

 

……分かったよ

 

 

「んっ……」

 

 

頭に手を乗せ、雪の様に白くて綺麗な髪を崩さないようにそっと動かす

 

すると月雪は本物のウサギの様に目を細めながら頬を赤く染め、俺の肩にもたれ掛かる様に顔を乗せてきた

 

 

「ほらよ、これでいいか?」

 

「やです、ぴょんこを乗せてたぶんもいっぱいなでてください」

 

「……全く、いつの間にこんな甘えん坊になったんだか」

 

「うさぎはひとなつっこいんです」

 

 

とろーんと蕩けた様な表情で撫でろと要求してくる月雪、心なしか発する言葉が全てひらがなで聞こえてくる

 

あの月雪がここまで素直になるなんてなーと昔の姿を思い浮かべ────

 

 

「……ん?待てよ?お前、もしかして俺がぴょんこに膝枕してたからやきもち焼いたのか?」

 

「……こういう時だけ鋭くなる先輩は嫌いです。嘘です、やっぱり好きです」

 

「合ってるのか……てか訂正はえーな」

 

「……もう二度と先輩に〝嫌い〟だなんて言いたくないですから」

 

 

か細く囁かれる声と共に強くなる月雪からの抱擁、俺としてはちょっと噛みついてくる方が付き合いやすくて好きなんだけどな

 

でも……そういう事だったのか、会う度に月雪が素直になっていった理由は

 

 

「おーサンキュー、俺もお前みたいに素直な後輩は好きだぞー……でも、こうして異性でベッタリし過ぎるのは良くない事だからちょっとは抑えような?」

 

「嫌です、私を寂しがらせた先輩への罰です」

 

おおう、罰にして随分可愛らしいような……てか───

 

 

「月雪ー?ウサギは寂しくても死なないんじゃなかったかー?」

 

「……私はウサギではないので」

 

「さっき〝うさぎはひとなつっこいんです〟とか言ってただろ、都合良すぎるぞ」

 

「うるさいです、細かいことを気にする先輩は……好きです」

 

「もう何でもありじゃねえかその構文、何言っても〝好きです〟に繋げられるだろ」

 

「はい、だって全部大好きですから。カッコいいところもカッコ悪いところも、弱気なところも強気なところも」

 

「……ん゛ん゛」

 

 

ド直球な感情をぶつけられ、思わず一瞬悶えてしまった

 

前に月雪自身が俺の事を〝尊敬してる〟って言ってくれたし、多分〝好きです〟の意味も恋愛とか関係無しの尊敬の念の類いなんだろうけども

 

でも、抱きつかれながらこんな事を言われると変な誤解をしそうに……誤解だよな?誤解でいいんだよな?

 

恋愛感情である可能性など万に一つも有り得ないと理解しつつ、誤解ではない可能性も過って悶々していると月雪がくすっと笑って耳元まで顔を近づけてきた

 

 

「もしかして以前言った事を忘れてしまったんですか?……いいですか、先輩────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────私は、先輩の事が大好きです」

 

 

 

……五分五分と言ったところか(ダディ並感)

 

 

 





ちなみに公園に来ていた理由は兎小隊の様子を見にきたからです、つまりガッツリイチャイチャシーンを目撃されています

それとこの二人はまだ付き合っていません
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