クソボケのことが大大大好きな生徒達   作:あば茶

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オラトリオクリア後から急に始まるラブコメディ(スバル)

 

 

 

「みてみて酒泉!先生が作ってくれた予習テスト80点取ったよ!」

 

「わ、私も!英語だけちょっと点数低かったけど……」

 

「お?早速勉強した成果が出てるなー」

 

「でしょ?……だ、だからさ……前みたいに……ほら……」

 

「わ、私も……」

 

「私は全体的に点数低かったけど……で、でもこれから頑張るから!だ、だから……〝あれ〟……してほしいな」

 

「え?あれ?数十分前にやったばかりなんだけど……」

 

「……だ、駄目か?」

 

「……しゃーないな……良ぉお~~~~~しッ!よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし !」

 

「「「きゃー!!!」」」

 

 

アリウスの生徒達の頭をとにかくめちゃくちゃに撫で回すと、彼女達はわーわーきゃーきゃー悲鳴をあげながらも笑顔で頭をより近付けてきた

 

気分的には妹が沢山増えた感じ……いや、中には俺より年上の人もいるんだけどね?まあ人生経験はこっちの方が上って事で一つどうか

 

 

(……これがちょっと前とかなら〝ゲヘナの生徒がアリウスの生徒の頭を痛め付けている〟とかで大問題になってたんだろうなぁ)

 

 

アリウス分校、それはトリニティによって歴史の裏側へと追いやられた学園

 

俺は昔この学園の生徒達を調印式襲撃の〝加害者〟としてしか見ていなかった……少し角度を変えて考えてみれば彼女達もまたゲヘナやトリニティの〝被害者〟であるというのに

 

 

「酒泉、この問題の解き方はこれで合っていますか?」

「ん?どれどれ……おお!正解です!流石、覚えが早いですね梯さん」

「ありがとうございます……でも、無理に煽てなくて結構ですよ」

 

 

 

 

「…………」

 

 

彼女達は生まれた時から〝そう〟だった

 

自分達の先祖が過去に何をしたのか、誰に何をされたのか、真実を伝えられることなく、ただ〝アリウスはゲヘナやトリニティを憎むべき〟という根付いた風習の下で育てられてきた

 

その憎悪を利用してアリウスを支配したのがベアトリーチェという存在、奴の手によってアリウスの生徒達は大多数が兵士としての生き方を余儀なくされた

 

……人を殺す為の、兵としての

 

 

「別に煽ててなんかいませんって、やっぱ皆の先輩だけあって梯さんが一番成長早いですよ」

「そうだろそうだろ!」

「当然だよ!私達のスバル先輩なんだもん!」

「スバル先輩ならはーばーど?学園ってところも楽勝だもん!」

「……貴方が余計な事を言ったせいで無駄にハードルを上げられてしまったのですが?」

「え!?これ俺が悪いの!?素直に褒めただけなのに!?」

「……ふふっ、冗談ですよ」

「な、なんだ……よかった……」

 

 

 

 

「……酒泉」

 

 

 

俺はそれを知った上で彼女達を敵視していた、実際にその環境を目にした訳でもないのに〝どうしてベアトリーチェに立ち向かわないんだ〟とか〝どうして外の人間を信じて救いを求めない〟とか無責任な事を考えながら

 

今は少しだけ違う、人殺しは悪い事という俺の価値観は変わらないしそれを実行に移そうとしたアリウスが悪いという考えも変わってはいない

 

でも、その選択をせざるを得なかった、それだけの事情はあった……というのももう十二分に理解できている

 

 

「……それより、私も問題を解いたのですが……私にはしないんですか?〝あれ〟を」

「はは、またまたご冗談を────」

「…………」

「……え?本気?」

「さあ……分からなければ、貴方の好きな方に受け取ってもいいのですよ?」

「分かりました、じゃあ撫でますね」

「えっ」

 

 

 

 

 

「酒泉」

 

 

故に俺は一方的に怒りやらをぶつけてしまった罪悪感から、可能な限りの範疇で彼女達の支援をする事にした……例えば今みたいに勉強を教えるとか

 

先生程上手く教えられる訳ではないが、一応高校一年生は二週目だからな、その範囲内であればそこそこ分かりやすく説明できるだろう

 

……なんか、この言い方だと俺が入学していきなり留年したみたいになるな

 

 

「そーれ、なでなでー」

「なっ……や、やめっ……正気ですか!?」

「梯スバルは撫でられたい、私がそう判断した」

「ほ、本気で捉える人がいますか!?」

「いるさ!ここに一人な!」

「こ、この……いい加減に手を……止め……とめ……ふぁ……ふぁぁ……」

「わぁ……スバル先輩気持ち良さそう……」

「見たことない顔してる……」

 

 

ともかく、アリウスはこれから一つの学園として生まれ変わる

 

過去の怨念に囚われた地としてではなく、トリニティが切り離した闇としてでもなく

 

他の学園同様、多くの生徒が笑って過ごせるありふれた場所として

 

 

「いいなぁ……」

「マ、マイアぁ……この男の愛撫を羨ましがってはいけません……これは非常に危険なぁ……ふあぁ……」

「わ、私も……私もスバル先輩撫でたいです!」

「そ、そっちですか!?」

「それなら私だって!」

「私も!(緊急同調)」

「よーし、それなら皆で梯さんをなでなでしてやるか!〝アリウスを守ってくれてありがとう〟って感謝を込めながら!」

「「「おー!!!」」」

「み、皆さん……この男の口車に乗せられては……!」

「けけっ!人をからかおうとするからそうなるんだよぉ!」

 

 

スタートダッシュにはちょっと遅れてしまったけどまだまだこれから、彼女達の青春は今からでも十分取り戻せる────

 

 

「酒泉!」

 

「うおっ!?ビックリしたぁ……どうしたんですか?錠前さん」

 

「急に大声を出さないでください、この子達が驚いてしまうでしょう」

 

「す、すまな────いや、それよりもだな……一ついいか?」

 

「ん?なんすか?」

 

「その……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────さっきからスバルと距離感が近すぎないか……?」

 

「?……ああ、これっすか?」

 

 

成る程、錠前さんの指摘は一理ある

 

現に俺と梯さんは一つの勉強机に対して椅子を二つ用意してピッチリくっついているのだから

 

「急に叫んで周囲を驚かせたと思えばそんな下らない事ですか……難題が出題される度に解き方を彼の席まで聞きに行くのは効率が悪いでしょう?ですから、私はこうして最初から彼と席を共用しているだけです」

 

「……だ、だがそれだと不公平ではないか?他にもマンツーマンで指導を受けたがっている生徒もいるだろうし……」

 

「教員役なら彼以外に五人もいるでしょう?先生に加え貴女達アリウススクワッドが……ほら、30人クラスにしては十分すぎるじゃないですか」

 

「し、しかしだな……」

 

「こんな些細な事、気にするまでもないでしょう……一体何をそこまで危惧しているのやら」

 

「わ、私にも分からない……だ、だが……妙に胸がざわつくんだ……!」

 

「はぁ……?」

 

 

梯さんに正面から論破された錠前さんは頭を抱えて苦しそうな呻き声を上げる

 

今日の錠前さんは様子がおかしいなと思いながら声を掛けようとするも、その直後に複数の視線が鋭く突き刺さるのを感じた

 

そして視線が飛んできた方へ振り向いてみれば……秤さん達が何やらこそこそ話していた

 

 

「見て、サッちゃんが珍しくスバル先輩に押されてるよ」

 

「わ、私なんて甘やかされポジションをマイアちゃんに取られちゃいました……きっとこのまま酒泉さんの視界の隅っこからフェードアウトしていく定めなんですね……えへへ……」

 

「…………」

 

「ミサキは何も言わないの?いつもの調子なら〝ヒヨリは甘やかされポジションじゃなくて厚かましポジションでしょ〟ってツッコミの一つでも入れそうなものだけど」

 

「も、もしかして姫ちゃんってずっと私にそんなイメージ抱いてたんですか……?」

 

「……そうだね、確かにちょっと甘やかしすぎかもね」

 

「……ミサキ?」

 

「いつもは釣った魚に餌を与えないくせに……スバル先輩にだけ……あの人にだけ、あの人にだけ、あの人にだけ、あの人にだけ、あの人にだけ、あの人にだけ、あの人にだけ」

 

「ミ、ミサキさんが壊れちゃいました……」

 

「どうしよう、いっそ私も壊れちゃおうかな。これから毎日酒泉のおうちの庭にクロユリ埋めにいくね」

 

 

よく分からんけどハイライトの消えた目でこっちを睨みながらぶつぶつと何かを呟く戒野さん、なんか笑顔が怖い秤さん、いつも通り泣いているツチナガスクジラ

 

見てるか白洲さんよ、今日もアリウススクワッドは元気だぞ

 

……そっかぁ、もうこの人達も監視役の許可も必要無く白州さんに会いに行けるかぁ

 

そう考えるとなんか……こう……感慨深いもんがあるなぁ

 

 

「せ、先生!先生の意見はどうだ!?教員が一人に付きっきりになるのはなんか……こう……ズルいだろう!」

 

「語彙力がヴァニってるよサオリ……まあ、私は良いと思うよ?他の子達は私達でサポートしてあげればいいし、それにスバルも楽しそうだしね」

 

「べ、別に楽しくなど────きゃあああああっ!?」

 

 

先生の言葉に反論しようと一瞬だけ腕を伸ばす梯さん、しかし無情にもすぐ様他の生徒達のナデナデ攻撃に飲まれて姿を眩ましてしまった

 

まさかエデン条約編の続きがこんなほのぼのした光景になるなんてなぁ……前世あの頃の俺に言っても信じられないだろうよ

 

 

「わた、しは……ただ!質問しようとした時に先生役の方が全員他の子達の相手をしていたから!しょう……消去法……でっ……もういいです!ナデナデはもういいですから!」

 

「平和だなぁ……」

 

「聞いてますか!?折川酒泉!確かに貴方には感謝していますが本当にそれだけであって決して特別な感情を抱いている訳では……もう本当に大丈夫ですから!十分撫でてもらえましたからぁ!」

 

「うんうん、それもまたアイカツだね……ん?」

 

 

梯さんの言葉を適当に聞き流しながら一人勝手に頷いていると、突如頭部に人肌の感触が

 

なんぞやと思いながら目を開くと、なんと二人の生徒が俺の頭に手を置いて撫でていた

 

 

「……あの、なんで俺も?」

 

「……お礼」

 

「勉強教えてくれたから!」

 

 

金髪ショート髪の生徒が素っ気なくしながら、金髪ツインテの子が素直に笑いながら

 

二人のアリウスの生徒がゲヘナの俺の頭を撫でてくれた、その事実を前に俺は───

 

 

「……ごめん」

 

「わっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

 

無意識の内に二人を抱き締めていた

 

そのごめんは〝助けるのが遅れて〟なのか〝理不尽な怒りをぶつけて〟なのか……恐らく両方の意味が込められた無意識の〝ごめん〟なのだろう

 

もう二度とアリウスを恨んだりなんかしない、これからはアリウスの敵を潰す事を俺の目標にしよう

 

この両目、この両腕両足、この命に代えても守らねば……無作法というもの……

 

 

「梯さん」

 

「な、なんですか!?そろそろこの子達を止め────」

 

「俺、絶対に梯さん達のこと幸せにするから」

 

 

この後めちゃくちゃ脛を蹴られた、先生も止めてくれなかった

 

なんでや!!!

 

 

 





なんかアリウス見てると自分達の歴史を何も知らないのに人間から憎悪を向けられてきたデズナラク様が思い浮かんできます
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