クソボケのことが大大大好きな生徒達   作:あば茶

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このルー✕は解■■れ●い##ん


???

 

 

 

 

「なんだ、その眼は」

 

 

ただ一人

 

血が、鉄が、焦げの匂いが、地獄の様な光景が広がる地に両の脚で立っている男がいた

 

神に頭を垂れるがの如く周囲が倒れ伏している中、ただ一人の男だけが

 

 

「その者の様に箱の力を使いこなしている訳でもないなければ、王女の様な全てを組み換える力も無い」

 

「だというのに、今この場で私と同じ目線で立っているのは汝だけだ」

 

「もう一度問う────その眼はなんだ」

 

 

男は問いに答えない、代わりと言わんばかりに目を細めて吐き捨てた

 

 

「今すぐ小銭数えの仕事に戻るってんなら見逃してやるよ、クソAI」

 

「───不快だ」

 

背後、上空、地中、瓦礫の中、遠隔兵器による光線があらゆる視覚外から男に矛先を向ける

 

無警戒且つ無防備な状態からでは回避不能な一撃、それを複数発も

 

神は次の瞬間には自らの光が男の心の臓を貫いているであろう事を確信すると瞬き一つし、最早視界に収める必要すらなくなったか弱き存在に全兵装を放ち───ナイフが一本、眼前に振り下ろされた

 

 

「……馬鹿な」

 

 

それは本来なら有り得ない出来事

 

今頃男の肉体は滅びている筈だった、その身体で一撃を与えるには数メートルという距離ですら遠すぎた、彼女の自動迎撃システムは全て万全の状態で稼働していた

 

それが───たった一度の瞬きの間に、全て踏み越えられた

 

 

「貴様は、何なのだ」

 

 

先程の勝敗は一瞬で決した、神の圧勝という形で

 

それから大して時間も経っていない、だというのにたった数分の間にこの男に何があったのか

 

男の眼が他者より優れている事はデータとして認知していた、先程まではそのデータに狂いなどなかった

 

だとすれば隠し球か、或いは───この短時間で神の予測を越える速度で成長を遂げている事になる

 

 

「まさか、と同じ域に届こうというのか」

 

「この世界の異物が、唯一の〝偶然〟そのものである汝が、ただ生きているだけの屍ごときが」

 

この場において全ての生殺与奪の権を彼女は握っている

 

一瞬で全員を膝まずかせる事も、意識を強制的に覚醒させて苦しめる事も、そこで伏している〝大人〟を起こし、意識を残したまま大切な教え子を自らの手で始末させる事も

 

 

「一つ撤回する。私は先程〝全てを受け入れろ〟と命じた、すれば命は保証すると」

 

「ただ、その命を除いては────汝は管理するには危険すぎる」

 

 

全てが可能、正に全能、そんな状況下で神の本能は────直に男の命を奪えと警笛を鳴らしていた

 

この眼を放っておく訳にはいかない、ここで逃せば間違いなく自らを超えるだろうと

 

 

(否、有り得ない。この程度の存在に恐怖を感じているなど────)

 

「あんた、さっき生きる意味がどうとか俺達に聞いてきたよな」

 

「……この状況下で問答か、どうやら立場が────」

 

「てめぇじゃねえ」

 

「……何?」

 

「俺は〝そいつ〟と話してんだ、部外者はすっこんでろ」

 

 

 

不意に、男が語りかける

 

神がその不敬な態度に皺を寄せるも、男は神に対して語りかけている訳ではない

 

 

「今度は俺から聞かせてもらうぞ───あんた、今は何の為に生きてんだ?」

 

「……は?」

 

「人類を管理だか苦しみから救うだか知んねーけど、それなりに大層な目的を持ってた筈じゃねえか。もしそうじゃなかったとしても、少なくとも────あの妹達を泣かせる為に生まれてきた訳じゃねえだろ」

 

その眼は神を見ているようで

 

 

「さっさと戻ってこい、そんでさっさと抱き締めにいってやれ……マルクト」

 

 

その奥の───別の何かを見ていた

 

「……無駄だ、汝が何を問おうと器の意識が目覚める事はない」

 

「じゃあまずはてめぇの意識が消えるくらいボコしてから復活させる方法を考えるとするか」

 

「それも不可能だ、何故なら汝の生はここで終わりを迎えるからだ」

 

「そうか、だったらてめぇの予測能力と俺の予測能力……どっちが上か比べてみようじゃねえか」

 

 

互いに一歩踏み込めば鼻先が当たってもおかしくない距離感、一切の物怖じを見せないまま男は背後の者達に視線を向けた

 

調月リオ、明星ヒマリ、飛鳥馬トキ、和泉元エイミ

 

才羽モモイ、才羽ミドリ、花岡ユズ、天童アリス

 

この日、肉体という新たな命を得たケイ

 

ここまで自分達を導いてきてくれた先生

 

 

「アイン、ソフ、オウル」

 

 

そして───三人の、守るべき子供

 

 

「お前らがさっき何をやろうとしてたのかは知らねえけどこれは俺の戦いだ、余計な手を出すなよ」

 

「……一応聞くけど、勝てる見込みはあるの?」

 

「ある、俺は強い」

 

「なんですかその頭の悪い根拠は……まあ、ここまで来たら〝なるようになれ〟で行きましょうかね」

 

「お姉様を傷物にしたら許さないからね」

 

「キチンと責任取ってもらいますよ!」

 

「ごめんそれは無理」

 

「「無責任な男だ!」」

 

「仕方無いだろ!?やっぱどうしても傷は付けちゃうって!」

 

「……あ、あの!」

 

「ん?」

 

 

目の前に神がいるにも関わらず普段と何ら変わらない態度でやり取りをする男、その背中に少女の縋る様な視線がぶつけられる

 

今すぐお姉様の下に駆け寄りたい、しかしそれを行えば間違いなくこの後の戦いで足手まといになってしまう事を自覚して、声を震わせながらその場で叫んだ

 

 

「わ、わたし……まだ、まだお姉様としたい事が沢山あります!また撫でてもらいたいですし、またおままごとも一緒にやりたいです!だから……だ、だから────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いします!お姉様を救ってください!」

 

「────任せろ」

 

 

仲間と、ガキと、お姉様と、あとついでに世界も

 

全てを救う事に対する不安感は、不思議と男の中にはなかった

 

 

(だって、分かるんだ)

 

 

こうしている間にも少しずつ力が漲ってくるのが、自分自身が研ぎ澄まされていくのが

 

あの日と同じ状態に───アトラ・ハシースでもう一人の砂狼シロコと戦った時と同じ状態に近付いている事が

 

あの時と同じで120%以上の力を引き出して────

 

 

(否)

 

 

通常時の実力もあの頃と比べて遥かに成長している

 

肉体も、技術も、眼も、全てが成長した今、あの領域に至る事ができれば

 

 

「来いよ自販機────神を名乗るなら新五百円玉に対応してから名乗りやがれ!!!」

 

 

────300%の自分で戦える、そんな予感が彼の中にはあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして我は傷物にされたので約束通り酒泉に責任を取ってもらったのです」

 

「ん、勝手に家族を増やすなんてどういうつもりなの」

 

《理解、酒泉さんは髪が白ければ誰でも良いのですね》

 

「お、俺はそんなつもりなかったんだぞ!?でもそしたらあのガキ共がマルクトに変な知恵吹き込みやがって……!」

 

「お姉様を傷付けておいて後は知らんぷりなんて許されるわけないよねー……あ、ご飯おかわりー」

 

「ほんとですよ、しかもお姉様という尊い存在がいながらこんな本を隠し持つなんて」ペラペラ

 

「き、貴様ぁ!?どこでそれを!?」

 

「クローゼット内の靴下ケースの裏側に隠されていましたよ?人間らしい浅はかな考えですね!ぷぷっ!」

 

「うわー、さいてー……」

 

「ぐ、く……ぐぉおおおおっ……!俺のスペースが……金銭面はミレニアムから出てるから問題ないとしても、このままだと俺のプライベートゾーンが……!」

 

「あ、あの……お兄様……」

 

「ん?な、なんだ……?」

 

「あ、後で一緒に……このルンバちゃんの修理を……」

 

「……お前だけが癒しだよ」ナデナデ

 

「えへへ……」

 






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