クソボケのことが大大大好きな生徒達   作:あば茶

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本編川「なにあの連邦生徒会長……知らん……怖……」


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チャイムを合図に授業終了の合図をし、日直の生徒がBDの映像を止める

 

時刻は11:50、前世も今世も昼飯前の四時限目が一番キツい……と個人的には思う

 

 

「やっほクソボケ、今日も弁当?」

「クソボケじゃねえ、それと人様の机にケツ乗せてんじゃねえぞ」

「そうそう、机が悲鳴あげてるよ?」

「〝たすけてくれ~〟だってさー」

「全員表に出なさい、まとめてぶっ飛ばしてあげるから」

「おうそれは机を乗っ取られた俺の台詞だわ、さっさと退け」

「嫌でーす、そんな態度じゃ退いてあげませーん」

 

 

机にランチマットを敷こうとした矢先、クラスメイトの一人が俺の許可なく机に座って来やがった

 

そしてそれを皮切りに仲のいい連中が何人かこちらにつるんできた、どうやら平和な昼は送れなさそうだ

 

とりあえずこのケツを目の前から退かさなければ……しかし男の俺が触れるとセクハラ扱いされるし────ん?

 

 

「やっと昼飯だな、酒泉」

「……前から言ってるけど後ろから急に抱きついてくるのやめろ、俺だって男だからな?」

「知るか、構え」

 

 

ぬっ、と後ろから腕が生えてきたかと思えば、一人の女子生徒が座っている俺の上から覆い被さるように抱きついていた

 

何がとは言わないがコイツデカいからそういうの本当にやめてほしい、ちなみに身長の話ではない

 

 

「さっさと弁当開けろ、そしておかずを私に食わせろ」

「そうしたいのは山々なんだけどこの「ケツデカ」女が邪魔でな……ちょっと待て、誰だ今言葉挟んだのは」

「ふーん、酒泉って私のお尻そういう目で見てたのね」

「うわ~、最低~」

「獣じゃん、森に帰りなよ」

「三人グルで冤罪掛けられたら勝ち目無いんですけど……」

 

 

声の聞こえた方向的に間違いなく〝最低~〟とか言ってる能天気腹黒女が台詞を挟んだんだろうけど、残念ながら物的証拠が無いので逮捕する事はできそうにない

 

 

「まだか酒泉、白米まで用意してきたのにお預けは酷いぞ、構え」

「おかずを分け与えられる事前提で学校に来てんじゃねえぞ……そうだな、机からコイツ退かしてくれたら弁当も置けるんだけどな」

「よし任せろ、全力で突進してやる」

「粉々にされたくないから退くわ」

 

 

交渉成立、断じて脅しではない

 

漸く平穏を取り戻した俺のテリトリー、そこにランチマットを置くと何故か他の連中まで椅子を持ってきて昼食を置こうとしてきやがる

 

 

「人のランチマットを勝手に使うな、てか狭いから散れよ」

「まあまあ、そうケチケチしないでさ~」

「どうせ洗うんだからいいじゃん」

「てか酒泉が移動すればいいじゃん」

「ここ俺の席だからな?」

「酒泉の席ってことはつまり……私達の席ってことになるんじゃない?」

「素人質問で恐縮なのですが今のはどういう意味でしょうか、本当に理解できません」

 

どういう理屈だよ、あれか?ジャイアン理論か?

 

しかしこのままうだうだ言っててもただ昼飯の時間を無駄にしてしまうだけなので〝机周り汚すなよ〟とだけ伝えてからスクールバッグの中から弁当箱を……

 

 

「……あれ?」

「どうした酒泉、まだか、チーズ入りのミートボールはまだか」

「ちょっと待ってろって、確か……」

 

 

お、あった!……ちげぇ、これペンケースだ

 

んでこっちは財布でこっちは携帯食、こっちは弾薬でこっちはペロペロキャンディーで……

 

 

「…………」

「ありゃ、もしかして忘れちゃった?」

「……そうなのか、酒泉」

「……多分」

 

 

朝の行動を思い出し、そこから記憶を辿ってどこに弁当を置いていたか探し始める

 

確か朝起きて弁当作って冷蔵庫に入れて、その後全員分の朝食を作って……皆を起こして皆で頂きますして……んで出掛ける時に……

 

 

「あー……」

 

 

しまった、冷蔵庫から出してな────

 

 

「私を騙したなぁ!?」

「むひょいっ!?」

「お前のおかずをを楽しみにしていたのに!こっちはお礼にクッキーだって作ってきてやったのに!」

「あ、弁当は無いけどそれは欲し───むあああああああああっ!?」

 

 

両の頬を全力で引っ張られ、なんとも間抜けな面へと変貌してしまう

 

それをケラケラと笑う周囲の女子(笑)共に怒りを抱きながら、なんとかかまちょちゃんの頬引っ張り攻撃から抜け出す

 

 

「いててててっ……わ、悪かったって!今から売店行ってついでに好きなもん買ってやるから!それで許せ!」

「駄目だ、お前が作った物じゃないと認めん、あとついでに次の休日で一日中私を構わないと許さん」

「わ、分かった!そうしよう!なんならその日弁当も作ってきてやるから!」

「……本当か?嘘じゃないな?」

「勿論!」

「……いいだろう、もし約束破ったらゲヘナバカマコトの角をへし折ってそれを煎じたやつ飲ませるからな」

「ひっ……あ、ああ!それでいい!絶対に約束は守るからな!」

「……えへへ……手作り弁当かぁ」

 

 

いくつも約束を交わして漸く納得してくれたのか、目の前の構ってちゃんは頬をゆるゆるにしながら攻撃を止めてくれた

 

「それじゃ四人分の弁当頼んだわよ」

「私お肉多めで」

「私はスパゲッティ敷いといてほしいなー」

「酒泉、こいつらの戯れ言は聞かなくていいからな」

「おう」

「ああっ!?いけないんだー!そういうの差別っていうのよ!」

「特定個人ばかり構うなー!」

「そーだそーだー、私達も甘やかせー」

「お前らが日頃から俺の席を占拠したりしなけりゃもう少し優しくしてやれんだがな」

「うおw」

「冗談ですやんw」

「ちょちょちょwwwそんな必死ならんでもwww」

「過去一殺意湧いたわ」

 

最近流行りの冷笑系とやらか、こいつらは冗談でやってるって一目で分かるけど、本気で冷笑してる奴等は俺の目からすれば〝合唱コンクールの練習で真面目にやらない奴〟にしか見えん

 

俺も昔はよく女子側に回って〝ちょっと男子~!真面目にやりなよ~!〟って注意したもんだ、いつの時代も必死に物事に取り組んだり本気で挑戦できる奴の方がカッコイイに決まってるよなぁ!?

 

 

「……歌いてぇ」

「どしたん急に」

「放課後カラオケ行くー?」

「あ、それいいかも」

「またカラオケバトルやるぞ酒泉、私が勝ったら構え、私が負けたら構わせてやる」

「あんたそれ賭け成立すると思ってんの?」

「?」

「駄目だこの子……早くなんとかしないと……」

「ざんねんでした~♡お仕事なので一緒に遊べませ~ん♡」

「オスガキがよぉ……!!」

「俺だって歌いたかった!!!」

「本気で悔しがってんじゃん」

 

久しぶりに全力で声を上げたかったのだが、お仕事をサボる訳にもいかないので皆と遊ぶのはまた別の機会だな

 

……そうだ、家族を連れてカラオケに行くのも悪くなさそうだな。ついでにゲーセンとか色々寄って、アイツらに世界を知ってもらうのも────

 

 

「ねえねえ、あの人誰だろうね」

「さあ?少なくとも校内で見た事はないけど……他校の生徒じゃない?」

「校門辺りでキョロキョロしてたけどやっぱ声掛けてやった方がよかったかな」

「でも凄い美人さんだったねー」

「ね、なんていうか……ファンタジー映画に出てくる皇女様みたい」

「肌とかめっちゃ綺麗だったよね」

 

 

「……おん?」

「急に窓なんか覗き込んでどうしたの?そんなに美人が気になるの?」

「むっ……おい酒泉、私の方が可愛いぞ、構え」

「違うって、ちょっと気になっただけだ……どれどれ?」

 

 

外で体育の授業を終えた生徒達が戻ってくる時、足音ついでに雑談が耳に入ってきた

 

特段気にする内容でも無いが……もし他校の生徒がゲヘナに用があるのに内部に入るのを恐れているのだとしたら可哀想だなと

 

……どうせ売店行くつもりだし、ついでに声でも掛けてやるか

 

 

「確か校門辺りって……ありゃ、もういないや」

 

 

まあ、帰ったのか中に入ったのかは知らんけど自分で解決したなら……「あの……酒泉君?ちょっといい?」

 

 

「……ん?なんだ?」

「その、酒泉君宛にお客さん来てるんだけど……」

 

 

あまり話した事のないクラスメイトが自分から声を掛けてきたので珍しく思っていると、その子が教室の入り口を指差して振り向いた

 

そこに立っていたのは白いロングスカート、レディースの白いファッションサンダル、薄水色のフリルブラウスを着用している色白肌の美しい───

 

 

「……ん?」

 

 

いや、ていうかこの人……

 

 

「酒泉の席はどちらに……あ」

 

 

……マルクトじゃね?皆で買った服着てるマルクトじゃね?

 

 

「探しましたよ酒泉、電話が繋がらなかったので学校にも居なければどうしようかと……」

「え?……あ、ああ、悪い……授業中はマナーモードにしてるからそのせいだわ……」

 

 

教室中の生徒達から視線を集めている事に気付かず一息吐いて胸を撫で下ろすマルクト、なんなら廊下を歩いていた生徒までもが立ち止まって彼女に視線を向けている

 

やはりその美貌がどうしても焼きついてしまうのか大半の生徒は頬を赤くして呆けている

 

 

「って、それよりマルクト……どうして学校まで来たんだ?何か緊急の要件でも?」

「はい、緊急です」

「……皆に何かあったのか」

「いえ、酒泉の身に大変な事が」

「……ん?」

 

 

マルクトが頷いたので一瞬ピリピリした空気を纏いかけてしまったが、その後に続いた言葉に困惑して首を傾げてしまった

 

するとマルクトは俺が買い物用に使っているエコバッグの中から風呂敷に包まれた弁当箱を取り出し、それを俺の席まで持ってきてくれて

 

 

「酒泉がお弁当を忘れてしまいました」

「……」

「……」

「……え?それだけ?」

「はい、そうですが」

「いや、緊急の要件っていうからもっと大変な事が起きたのかと……」

「何を言うのですか、家族が腹を空かせてしまう事以上に緊急な要件など有りはしません」

「ははっ、なんだそりゃ……でも、ありがとな」

 

冗談なのか真面目なのか、マルクトの性格上今の台詞は恐らく後者のつもりで放ったのだろう

 

こうして弁当を届けに来てくれたマルクトはそのまま帰る……事なく、教室全体をぐるりと見渡した

 

 

「……ここが日頃から酒泉が通っている教室なのですね」

「……なあマルクト、一応聞いておくがアイン達は連れてきてないよな?」

「安心してください、皆さんには自宅で待機してもらってますので」

「そっか、なら良かった……実力的に問題無いと思うけど、マルクトも帰る際は変な輩に絡まれないように注意しろよ?」

「はい、ご心配いただきありがとうございます」

 

 

今日はシロコさん〝アビドスに行く〟とか言ってたし代わりにマルクトが弁当を届けに来てくれたのだろう、自分の不注意のせいでこんな荒れ果てた世紀末シティに足を踏み入れさせてしまって申し訳ない

 

ここはマルクトと正反対な煩くて野蛮なモヒカンが多数生息しているからな……家族が危険な目に遇わぬよう常に気を配らねば

 

 

「……やっぱ校門前まで送ってくよ、心配無いとは思うけど一応な」

「…………」

「……マルクト?どうした?」

「あ……いえ、大した事ではないのですが……我の知らぬ酒泉の姿を中々新鮮で、これをしっかり記録しておこうかと思いまして」

「そ、そうか……?」

 

 

人に囲まれながら堂々も此方だけを見つめてきたので何事かと思ったがそういう事か、言われてみればマルクト達にはオリカワ(がっこうのすがた)のリージョンフォームはまだ見せた事がなかったな

 

制服姿とかは帰ってきた時に幾らでも見てるだろうけど、こうして学校で姿勢を崩してジャージを腰マントにしながら駄弁ってる姿とかを見るのは初めてだろう

 

 

「可能なら勉強中の姿やお仕事中の姿なども視界に収めておきたかったのですが……」

「そんな気になるもんか?」

「ええ、我は酒泉の事であればどんな事でも知りたいのです」

「……おう」

 

 

たった二文字、それしか返せなかった

 

人目が大量にあるというのにこんな堂々と〝貴方を知りたい〟と告げられるのは……流石にちょっと照れ臭いというか……

 

いかんマズイ、このまま教室に残ってると周りの奴等にからかいの材料にされてしまうかもしれん、そうなる前に……

 

 

「じゃあ、そろそろ行こうk「ちょっと待ったああああああ!!!」……ほら来た」

「マルクトさん!もし良ければ一緒にご飯食べない!?」

「そうそう!授業再開するまでは外部の人も居て平気だと思うし!」

「いえ、我の昼食は家に用意されていますので……」

「そっかー、マルクトさんの知らない〝学校での酒泉の様子〟とか教えてあげたかったんだけど残念だなー」

「……!」

「それに私達も色々聞きたい事があるしさ……だから、ね?」

「キー!!!」

 

 

呆けていた筈の三人が突然意識を取り戻したかも思えばそのままマルクトを取り囲んでわーわー騒ぎ始め、俺の隣ではかまちょが鷹のポーズをしながら何故かマルクトを威嚇していた

 

おいおいおい家族の許可なく何を勝手な事を……さてはお前ら、ある事ない事吹き込むつもりだな?そうやってマルクトを洗脳するつもりか!

 

 

「マルクト、こいつらの言葉は半分鳴き声みたいなもんだから聞かなくてもいいぞ」

「そうですね……では御言葉に甘えて御一緒させていただいてもよろしいでしょうか」

「よし良い子だ、それでいいんだよそれで───ゑ?」

「よしキタ!ほら席詰めろクソボケ!」

「椅子とテーブル持ってくるねー」

「ふしゅううううううう……!」

「アンタはいつまで威嚇してんのよ、クソボケの腕ミシミシ鳴ってるから抱きつくのやめてあげなさい」

 

誰も俺の事など眼中にないのか、待てと言っても一切返事を聞こうとせず各々マルクトの為に席を作り始めた

 

マルクトもマルクトでどうした頷いちまったんだ、そんなに俺の事が知りたいのかという疑問と共に腕の痛みが───ん?腕?

 

 

「……ぐああああああああっ!?俺の腕があああああああああっ!?」

 

「気付くのおっそ」

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

────────

 

 

 

──────

 

 

 

 

「へえー!じゃあマルクトさんって妹が三人もいるんですねー!」

「ええ、皆とても良い子ですよ」

「いいなー、私にはお姉ちゃんしかいないからちょっと羨ましいなー」

「まあ、貴女にも姉妹が?」

「うん、通ってる学園は違うけどねー」

「私も双子の妹が別の学園にいるけどあんま会えないのよねぇ」

「ああ、確か……ゲットワイルド学園だっけ?」

「モンスターハンターワイルズ学園じゃなかったけー?」

「ワイルドハント芸術学院よ!……向こうの校風的に気軽に出掛けられないみたいでね、ちゃんとやれてるか心配なのに中々会いにいけないのよ」

「あーあ、別の学園にしちゃうからー」

「だってぇ……その手の道に進みたいって言うからぁ……」

「貴女の様な心優しい姉に想われるなんて、その妹様はとても幸せですね」

「マ、マルクトさん……!」

 

 

初対面だというのに気まずくなる様な空気など一切醸し出さず、遠慮なしに次々とマルクトに質問を投げ掛ける騒がしい学友達

 

〝おーん!〟と泣きながら感極まってマルクトに抱きつくその姿は人懐っこいを通り越して馴れ馴れしいと感じてしまい、そこから更に一周回って感心すら覚えてしまう

 

「───でさあ、その時の酒泉の顔がこれで……」

「自販機のラインナップからメロンミルクが失くなっただけでこんなシナシナになっちゃうなんてねー」

「おや、顔が萎んでますね……ふふっ」

「ねー?面白いでしょー?」

「そんでこっちの顔がチョコミントアイスを急に横から奪われた時の顔で────」

 

 

気が付けば身の上話から俺の話へ、女子の話題の移り変わりというのは相変わらず早いもんだ

 

ていうかマルクトに変な写真ばっか見せるなよ?学校での俺のイメージをそれで固められちゃ困るからな

 

 

「成る程……ありがとうございます、どれも見た事の無い表情ばかりで新鮮でした。それにしても皆さんは随分と沢山酒泉の写真をお持ちなのですね」

「……い、いやー偶々ねー?」

「そ、そうそう!面白い顔してる時とか〝これからかいの材料に出来そうだなー〟って思ってさ?」

「そ、それより今度はマルクトさんの話が聞きたいんだけど!」

「我の……ですか?」

「ほら、酒泉が弁当忘れていったのを知ってるって事は同じ家に居たって事でしょ?だ、だからさ……二人ともそんな親密な関係なのかなーって」

「そうですね、確かに我と酒泉は同じ屋根の下で生活を共にしていますが、どんな関係かと問われれば……」

 

 

不都合な発言を誤魔化すかの様に話を変えてきたが俺は聞き逃さなかったぞ、俺をからかう為の材料をどうのこうの話していたのを

 

だからマルクトもそこまで真剣に悩まなくていいぞ、適当にあしらってやれ

 

 

「〝家族〟……でしょうか」

 

「「「────ひょ?」」」

 

しかしマルクトは律儀な性格らしく正直に答えると、先程まで盛り上がっていた三人組は急に体を硬直させて一言溢した

 

なんだこの虫野郎共

 

 

「へ……へーそうなんだー家族なんだー、それでマルクトさんはお姉さん?それとも妹?」

「我は……(まだ決まっていないので)そのどちらでもありませんね」

「……じゃ、じゃあどのポジションなの?もしかして……お、奥さんとか!?」

「ま、まさかそんな!?マルクトさんの方は分からないけど酒泉の年齢じゃまだ結婚はできないでしょ!?」

「勿論です、我と酒泉の間に婚姻関係はありません」

「そ、そうよね……流石に───」

「ですが、以前買い物に出掛けた際〝恋人〟として店の方に紹介された事があるのでそれが一番近いでしょうか?」

「「「───え゛」」」

「……は?」

「チョマテヨ」

 

 

確かにそんな事をした覚えがあるけど、あれは一時の気の迷いというか……いや気の迷いであんな事するのは勿論最低な事なんだけどね!?

 

でもあれはアイスの魅力に逆らえなかったというか俺がアイスの魅力に勝てる訳ないのですが不可抗力と言いますか───何の痛みっ!?

 

 

「て、てめぇ……急に脇腹つねりやがって……!」

「……おいクソボケ、聞いてないぞ」

「な、何がだよ……くそっ、結構本気でやりやがったな……!」

「お前に彼女が出来た事だ、何で私に黙ってた」

「そ、それはほら……アイスクリームに釣られただけで……」

「はあ?アイス?もしかしてアイス作ってやるから付き合えって言われたのか?ふざけんな私のクッキーの方が美味いだろうが」

「いやそれは本当にその通りなんだけど何も本気で付き合おうとした訳じゃなくてな?服屋で服を買ったらアイスのクーポン券貰えるって聞いたから恋人のフリしてカップル引きされてるペアルックを買って服もアイスも安く手に入れようという超天才的な頭脳プレイを実行しただけで………」

「……は?じゃあなんだ、つまりは演技だったって訳か?」

「イエス!イエス!イエス!」

 

 

自分でもよくもまあこんなスラスラと言い訳が出てきたもんだと思ったが、このままだとクラス中にとんでもない誤解が広まりそうな気がするのでファインプレーだ俺の舌

 

 

「な、なんだ……脅かさないでよ!要するに糖分の為だけに女性と恋人関係になろうとした酒泉が最低ってだけの話だったんだね!」

「よかった~酒泉がただ屑なだけで……」

「本当よ……ただのカスで安心したわ……」

「半分は当たっている、耳が痛い」

「無条件ダメージ半減やめてね」

 

 

俺が最低で屑でカスなのは認めるが、どうしてコイツらはそれで喜べるんだ?

 

あれか、解釈一致って奴か?イメージ通りで安心したと?コイツら普段から俺の事をどう思ってるんだふざけんな

 

 

「……ふふん、マルクトと言ったか小娘」

「見た感じアンタより年上に見えるけど……」

「酒泉と恋人になれなくてさぞ残念だったろう、しかしそう落ち込む事はない。全ては私が魅力的すぎるのがいけないのだから」

「コイツ急に調子乗り出したわね」

「このクソボケは私の作るクッキーが大好きだし私を構うのが大好きだし私のおっぱいも大好きだしとにかく私のことが大好きすぎるんだ、だからその他大勢がこいつと付き合えないのも無理はない、そもそもこいつは私のものだしな」

「全部否定するつもりはないけど別にお前の物になった覚えはないぞ、あくまで友達としての範疇で好きってだけだからな」

「その子のおっぱいが大好きって事になるけどそこは否定しないんだー」

「当たり前だろ、こいつはお前らみたいなAAAより私みたいなSSSを構うのが好きなんだからな」

「殺すねー」

「処すか」

「賛成」

 

 

ぐあー!と悲鳴をあげながら三人からもみくちゃにされる構ってちゃん、尚今までの経験や本人の性格的に後から必ず復讐するだろうから最終的に地に伏せる事になるのはこの三人の方だろう

 

それと自分の名誉の為に言っておくが俺は別にこいつのおっぱいが好きな訳じゃない、というか女性の胸部に興味を示した事なんて一瞬足りとも……一瞬足りとも…………うん、この話は止めにしよう、きっと誰も幸せにはならない

 

 

「さてマルクト、教室でスマブラやってるこのアホ共は放っておいて教室を出よう、そろそろ昼休みも終わるし校門前まで送ってくよ」

「…………」

「マルクト?」

「あ、いえ……はい、分かりました」

 

 

どこか呆けている様に見えるマルクトに再度声を掛けると一瞬遅れて返事をくれた

 

 

「オラァ!持たざる者共が勝てると思うなぁ!!」

 

「「「ぬわーーっっ!!」」」

 

 

……さてはカロリー高めな馬鹿共に囲まれたせいで胃もたれしてしまったか

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

────────

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

「酒泉は個性的な方々に囲まれて生活しているのですね」

「……アイツらも悪い奴等じゃないんだ、許してやってくれ」

「?はい、それは存じておりますが」

「あ、そう?」

 

 

なんだ、てっきり褒められる部分が一つもなかったから〝個性的な方々〟って言葉でオブラートに包んだのかと……

 

絡まれまくった事を特段気にしてる様子もないしマルクトからの印象的には〝愉快な奴等〟って感じか、騒がしいのが嫌いとかそういうのが無くて良かった

 

 

「酒泉は皆さんとは古い付き合いなのでしょうか」

「いや、アイツらは入学してから出会った奴等だよ。他のクラスに何人か中学の時からの友達も居るけど……それがどうかしたか?」

「いえ、皆さんは酒泉の事をよく理解していらっしゃる様子でしたので……我は、それが羨ましいです」

 

 

あーあれか、俺を知りたいって言ってたしそれ絡みか

 

……改めて意識するとなんかまたこっ恥ずかしくなってきたな

 

 

「まあ、アイツらとはマルクトより長い付き合いだし当然っちゃ当然だろ……んな心配しなくても互いの事はこれから知っていけばいいんだって、今日明日すぐ会えなくなる訳でもないんだからさ」

「……酒泉も我の事が知りたいのですか?」

「そりゃあな、何が好きとか何が嫌いとか、どんな事が得意とかどんな事をしたいとか」

 

 

勿論、マルクトだけじゃなくてアイン達もだけど

 

各々の性格だってまだ完全には捉えられてないし、シロコさんが勝手に俺の服を持ち帰ろうとする生態だって未だに完全には解明できていない

 

プラナもいつか肉体を得る日が来れば今と大幅に生活ルーティンが変わるだろうしな

 

 

「だからさ、これからもマルクトのこと沢山教えてくれよ、俺も自分のこと沢山マルクトに教えるからさ」

「……では、早速一つだけお訊ねしても?」

「おう、スリーサイズ以外なら何でも答えてやるよ」

 

 

なんて野郎の口から聞きたくないランキング堂々の一位の言葉を冗談っぽく吐くも、マルクトはそれをスルーしてじっと目を合わせてきた

 

おいおい、これじゃ俺がスベったみたいだろ?ははは!……はいすみません、真面目に答えます

 

 

「先程、ご友人の方が酒泉の事を〝私の物だ〟と仰っていましたが……あれは本当ですか?」

「んな訳無いって、アイツちょっと承認欲求強めというか……構ってちゃんなところあるからな、だから特に理由もなく張り合ってくる事があるってだけだ」

「……では、先程のは冗談だと?」

「そゆこと、別にアイツの物になった覚えはねーよ……てかアイツに限らず誰の物でもねーけど」

 

 

そもそも自分の人権を誰かに渡した覚えもないしな、特定個人に支配されるってのはあんま好きじゃないし

 

あ、でも空崎さんに支配されるのは中々悪くな───いかんいかん、最近思考回路が天雨さん変態染みてきたな

 

変な事を口走らないように気を付けないと────

 

 

「我の物でもないのですか?」

「……え?」

「いえ、なんでも」

 

 

一瞬可笑しな事を言ったかと思えば、マルクトはそれ以上言葉を綴る事もなく口を閉ざしてしまった

 

彼女なりの冗談なのか、はたまた本気なのか、どちらなのか分からないが言った本人がそこまで気にしてなさそうなのを見るに恐らく前者か

 

……冗談を言ってくれるくらい打ち解けてきた、これはそういう事でいいのだろうか

 

 

「さて、見送りはこの辺りまででいいだろ。さっきも言ったが、変な連中に絡まれないように気をつけて───」

「酒泉」

「ん?」

「我は……いえ、何でもありません」

「おいおい、途中で止めるなよ、逆に気になってくるだろ?」

「気にしないでください、個の自由意思を奪うなどあってはならない事ですから……我は、人間社会の中でそれを学びました」

「……?」

 

 

〝では、後程〟……そう言い残して校門を通っていくマルクト

 

彼女は結局何を伝えたかったのか、帰宅してからこの時の事を再び訊ねてみても教えてもらえなかったので真相は分からず終いだった

 

ただ一つ確かに言える事があるとすれば、あの校門の前でマルクトは───ほんの一瞬、表情が珍しく険しいものに変わっていた事くらいか

 

 

 







突如現れた新キャラクター・連邦生徒会長(仮)!

怪しく微笑む彼女のその目的とは……!?


酒泉「行きますよ先生!七神さん!どんなキャラクターなのか知りませんがアイツをやっつけますよ!」
リン「ええ、どんなストーリーなのかまだ判明していませんが今の内に出る杭を打っておきましょう」
先生「うん!よく分かんないけどいつも通り酒泉が堕としてくれたらそれでいいや!」

連邦生徒会長(仮)「さあ掛かってきなさい!これから自分がどんな悪事を働くのか分からないしなんならシンプルに味方だったというパターンもあり得ますけどとりあえず全員潰してあげますよ!れーんぽっぽっぽ!!」


酒リ先「うおおおおおおおおおっ!!!」


次回、クソボケ大勝利!希望の未来へレディ・ゴー!
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