「……」
「酒泉?いくら私が美少女すぎるからってそんなにジロジロ見られると……」
「違います、腕を見てただけです」
治ってよかった、彼女の右腕を見るとその一心で埋め尽くされた
黄昏などという訳の分からん存在にいつまでも恋人の身体を虐げられたままじゃあまりにも胸糞悪すぎる
「そ、そんな……美腕に見惚れてたなんて……」
「実はミレニアムの方に姉妹いたりしません?」
ナグサさんと同じく清楚系美少女を自称する女性が向こうにも存在するので思わず身内か何かかと思ってしまった……いや、他者から見てもどっちも美少女だけどさぁ
……今考えてみれば黄昏による侵食が解決するまで病弱要素まで被っていたのか、女性の体型に触れるのは失礼かもだがどっちもスレンダー系でもあるし
んで、どっちも組織のリーダーポジションだろ?明確な相違点た言えばこっちは自己肯定感低いところか───も゛っ゛
「ひゅうになにひやはるんれふ」
「……何となく、他の子のこと考えてる気がして」
急に口の中にぶちこまれる二本の焼き鳥、種類は王道を往くタレのねぎま
串を口に突っ込むんじゃな…あ…ねぎま美味し……ってそうじゃなくて、喉奥に当たったら危ないr……でも美味し……
「……まさか他の女の子の所に行こうとしてる訳じゃないよね?」
「んぐっ……違います、ちょっと知人の顔を浮かべてただけです」
「本当?……よかった、私って可愛い以外に取り柄がないから飽きられちゃったのかと……」
あまりにも容姿に自信がありすぎる発言、しかし表情は本気で不安そうになっており、その瞳はうるうると潤わされている
……自己肯定感高いのか低いのか分からんな、そこまで言うならいっそ〝私が美少女すぎるから折川酒泉が他の女に靡く事はない〟くらい思ってくれよ
「恋人に飽きるとかないでしょ、それともナグサさんは俺のこと〝女を玩具扱いする男〟とでも思ってるんですか?」
「……そ、そういうことしたいの……?」
「おう顔赤らめてんじゃねえぞ」
本人が色白すぎて少し顔を赤らめるだけでもハッキリと照れているのが分かってしまう、ただ余裕が有るのか無いのかだけが分からない
ポジティブとネガティブの間を常に反復横飛びしている様な性格をしているこの人だが、これでも決める時はキッチリ決めてくれる人ではある……筈
「……でも、私は酒泉がそういう事をしたいなら受け入れるよ」
「いや、俺は別にそういうつもりで言った訳じゃ───」
「わ、私……辛い事に直面するとすぐ泣きそうになるし、責に耐えられないとすぐ逃げ出しちゃうし、百花繚乱の長としてもまだまだ至らない部分だらけだけど……」
「あの、だから───」
「でも、そんな私の傍にずっと居てくれるならどんな事だって────」
「────うるせえな、アンタちょっと黙ってろ」
「きゃっ……」
その先の言葉を遮り、ナグサさんの背に両手を回す
こんだけ細いと簡単に全身を抱き締められるな、ちゃんと食ってるのか心配になってきたぞ
……ついさっきまで焼き鳥食ってたしその心配は必要無いか
「しゅ、酒泉……?私、何か怒らせる様な事しちゃった……?」
「した、めちゃくちゃ怒ってる」
「っ……ご、ごめんなさい……駄目なところはちゃんと治すから、だから何がいけなかったのか教えてくれる……?」
「俺の愛情が舐められてるってところ」
「……え?」
なんだその困惑した様なキョトン顔は、首を傾げたいのはこっちだっての
「さっきから好き放題言ってくれやがって……まさか本気で俺が離れていくと思ってんじゃないでしょうねぇ?」
「え、えっと……」
「いいですか、こちとらアンタの弱っちいところ全部知ってるんすよ、それを踏まえた上で好きになってんですからそれが別れる理由にはならないっすよ……それともなんすか?俺なんかとは別れたいんすか?ああそうでしたかそれなら仕方ないっすね」
「っ、違う!!……けど……でも、さっきも言ったけど私には取り柄が……」
普段の声量からは考えられないくらい大きな声で否定するナグサさん、しかしその直後には既に表情に翳りが出てきていた
勝手に一人で思い詰めて、そんで泣き出しそうになって、七稜さんとの決闘を経てメンタルも成長したかと思えば、こういう部分だけは相変わらずならしい
「取り柄がなくちゃその人の事を好きになっちゃいけないのかよ……つーかそれ以前に!アンタ!取り柄だらけだろうが!」
「そ、そんな……私なんて……」
「泣きたいくらい辛い事に直面しても立ち向かうところとか!逃げ出してしまうくらい重い責任をまた背負う事になるって分かってても結局戻ってきてくれるところとか!自分は組織のリーダーには相応しくないって思っていながらそこで諦めず精進しようとするところとか!」
「いたっ……いっ……痛いっ!?」
逃げられぬよう更に強く抱き締めてから至近距離で軽い頭突きを何度か食らわせると、ナグサさんは少しだけ赤くなった額のまま涙目で睨んできた
ざまあみろ、そのマイナス方向に凝り固まった考えもこれで少しは柔らかくなるだろう
「アンタは気付いてないだろうけどこっちはアンタの良いとこ数え切れないくらい把握してるんですよ、素人は黙っててください」
「ひ、酷い……私自身の事なのに……」
「あとアンタよく〝容姿くらいしか取り柄がない〟みたいな事言いますけどね……アンタが可愛いことなんて初めて出会った時から分かり切ってる事ですからね、何べんも主張しなくとも十分見惚れてますよ」
「……褒められてる、の?」
「怒ってます」
そうだ、俺は怒っている
ナグサさんは(容姿以外)自分に自信が持てない、そんな事は鼻水をべっちゃり服に擦り付けられて泣き縋られたあの日からとっくに承知済みだ
それでもと、だとしてもと吠えながら怪異に立ち向かったあの姿は俺が心揺さぶられるのに十分過ぎた
「しゅ、酒泉……ちょっと強く抱き締めすぎかも……」
「さっき〝怒ってる〟って言ったじゃないすか、これは罰です」
「……罰なら仕方ないね」
「そうだ、だからアンタは黙って俺に幸せにされてりゃいいんだ」
「……うん」
ナグサさんが一言だけ呟くと、彼女の両手も俺の背へと回された
流石は百花繚乱を率いるだけあってか、その細身からは考えられない程に抱き締めてくる力が強かった
「……ねえ、酒泉」
「……なんすか」
「私も酒泉を幸せにしたいな」
「……」
「……んっ」
呼び掛けに応じるとナグサさんは俺の胸元から少しだけ顔を話し、上目遣いで見つめてきたかと思えばその目を閉じた
身体が密着しているせいか恋人の心音がダイレクトに伝わり、そのまま伝染したかの様に此方の心音までトクントクンと高鳴ってきた
何を求めている……そんな野暮な事は聞かない
その口から告げられるまで一切彼女の気持ちに気付く事のなかった俺でも、ここまでされたら何をしてほしいのか簡単に理解できる
「……ナグサさん」
彼女の両肩にそっと手を置き、顔を近付ける
一ミリ、また一ミリと顔同士が近付く度に心音が喧しくなる、しかしその音すら今の俺達には聞こえていなかった
何故なら、今の俺達の頭には相手の唇を貪る事しかなかったから────
「で?ここ飲食店なんだけどアンタ達焼き鳥じゃなくてお互いを食べにきたの?」
「「……あっ」」
圧を感じる声色、心底冷めた目と表情
目の前の作戦参謀に冷静に訊ねられ、漸く俺達は正気に戻った
──────────
────────
──────
「ここが個室でよかった……」
「ま、まあ……その……青春も程々にな?」
「でもとっても素敵でしたわ!まるで〝らぶこめ漫画〟に出てくる主人公様とヒロイン様みたいでしたの~!」
「そう?ただ周りが見えていないだけじゃないの?特にそこのクソボケ」
見てる側も恥ずかしくなってしまったのか不破さんが顔を赤らめながら、乙女心を刺激されたのか勘解由小路さんが目を輝かせながら、そして何故か俺を指差しながら桐生さんが視線を送ってきた
どうして桐生さんだけ不機嫌そうなのだろうか、さては何か怒らせるような真似でもしてしまったのだろうか……このまま電子レンジに顔面突っ込まされて〝温めよろしくぅ!〟されないのを祈るばかりだ
……そっちの桐生ちゃんではないか
「キキョウ、許してあげて。酒泉はただ私の可愛さに夢中になりすぎて視野が狭くなってただけだから……」
「鼻水さん、そろそろねぎま焼けますよ」
「私の名前は鼻水じゃない」
自分で焼くタイプの焼き鳥屋、実は来るの初めてだったり
焼き鳥って屋台でも居酒屋でも既に焼き終えてる状態で出てくるのが大半だからちょっと新鮮な感じがするな
「ところで……今日は俺まで一緒しちゃって本当によかったんですか?」
「ん?何が?」
「だって今日は百花繚乱の皆さんで水着を買いに行く予定なんでしょう?そこに部外者の俺が入るってのもなんか……」
「部外者だなんてとんでもありません!酒泉さんは百鬼夜行の為に身を粉にして共に戦ってくれた、謂わば身共の〝大恩人〟ですわ!」
「そうそう!それに〝同じ釜の飯を食った仲〟って言うし今更気にする事でもないだろ!」
不破さんが言っているのはあの宿での件だろうか……怪異にヘビ女にクソガキと、今思えばあの空間敵だらけじゃねえけ
特にあのクソガキ、ファーストコンタクトがあまりにも最悪過ぎたせいで一緒に居て気が気じゃなかったからな
近くに先生も居たのに折川酒泉君の人生上映会なんか始めようとしやがってよぉ……咄嗟に自分の腕にナイフぶっ刺して正気に戻ってなかったらどうなっていた事やら
二次創作では鉄板の〝もし○○の人生を登場人物全員で視聴したら〟系のネタ、あれやられた側はシャレにならんな……公開するならせめて〝折川酒泉の激カッコいいシーン集〟とかにしてほしい
今〝そんなシーン無いだろ〟とか思った奴、全員就寝中こむら返りに襲われる呪いをかけたからな
「て言っても、酒泉にも声を掛けるか最初に提案したのはキキョウなんだけどな」
「え?そりゃなんつーか……意外っすね」
この人俺への当たりが妙に強い時あるからな、特に俺がナグサさんと二人で居る時なんかめっちゃ睨まれるし
出会った当初はそこまでだった筈なのに、俺が百花繚乱の皆と仲良くなっていくと反対に桐生さんにだけ嫌われていったような気がする
……なんてのは、本当にただの勘違いだったのかもしれないな
「別にそこまで意外でもないでしょう?好きな人に水着を見てもらいたいって気持ちはあるだろうし」
「キキョウ!?お、お前まさか人の恋人を……!」
「あ、あ、あわわわわわ……!?しゅ、修羅場ですの!?」
「はぁ……そうじゃなくてこの子の事よ」
慌てふためく二人とは反対に冷静に答える桐生さん、その視線はナグサさんの方に向けられていた
するとそれに気付いたナグサさんは心底嬉しそうに顔をパアッと光らせた、ただでさえ色白なんだからこれ以上発光しないでほしい
「ありがとう、キキョウは恋愛の作戦参謀でもあったんだね」
「そんな役職に就いた覚えないんだけど?……別に、恋人の水着を恋人が選ぶなんて当たり前の事でしょ」
「キキョウさん……ありがとうございます」
「だから大層な事はしてないって、そもそも恋人のあんたがこういうイベントに同伴しないでどうするの?」
それはそうなのだが、付き合いというのには恋愛的な意味とは別に〝友達付き合い〟というのもありまして
そこに俺が介入するのもなんか気が引けてしまうので付き合う上でその辺りの線引きはしっかりしておこうと思っていたのだが……どうやら百花繚乱の者は皆器が大きかったらしい
「じゃあ、今日は酒泉に水着を選んでもらおっかな」
「そっすね、一緒に海に行く事はできませんけど、せめて事前準備くらいは恋人として手伝いますよ」
「うん、おねが……え?」
さて、どんな色が似合うか
〝やはり白系統がしっくり来るか〟と一通り頭の中でナグサさんの水着姿をイメージしてから心の中で呟く
しかし俺個人の意見を優先する訳にもいかないので本人からもどんな色が好きか訊ねようと横を向くと、何故かナグサさんは焼き鳥の串を持ったまま固まっていた
……なんぞ?
「しゅ、酒泉……海来ないの……?」
「ん?だってナグサさん達が海に行くの丁度来週だろ?俺その日仕事だし」
「……あんたそれ、どうしてもっと早く言わなかったの」
「いや、来週のスケジュール全部ナグサさんに伝えている筈だけど」
デートできる日等を予め把握しておく為に互いにある程度のスケジュールは教え合っている筈なんだけどな……
俺はてっきり行けない事を承知の上でショッピングに誘われたのかと
「えっと……つまり、ナグサ先輩がど忘れしてたって事か……?」
「酒泉さんは一緒には行けないのですね……残念ですわ……」
「……ナグサ?」
「ち、違うの……忘れてた訳じゃなくて……ただ、私が行くなら酒泉も来るかなって思って……」
どうしてこの人は当然の事の様に俺がナグサさんにベッタリなこと前提で話しているのだろうか
予定のドタキャンとかが起きないよう互いにほぼ確実に休める日を決めておこうねと、そういう理由もあって毎月モモトークでスケジュールを送ってたんだけどな
「う、嘘……酒泉、さっき約束してくれたのに……や、やだ……私から離れないで……」
「なんでそんなシリアス顔になってんすか、ただナグサさんがミスっただけの話でしょう?」
「日焼け止めを塗ってもらうイベントとか、泳げないフリして二人きりで泳ぐ練習するイベントとか、色々用意してたのに……!」
「少なくとも練習イベントだけは今後一切訪れなくなりましたね」
すげぇなこの人、本人の目の前で平然と嘘吐こうとした事を暴露したよ
一生の別れとかではないのだからそんな涙目にならなくてもいいのに、これだからナグサちゃあんは……
「……どうしても一緒に来てほしいなら集合場所をゲヘナ付近の海とかにすれば?それなら少しは遊べる時間も増えるでしょう?」
「あーいや、実はその日はトリニティの方で仕事があるんすよねぇ……ティーパーティーのプライベートビーチでうちの問題児が暴れようとしてるってタレコミがありまして、ちょいと向こうさんと連携して警戒高めておかないといけないんすよ」
「ティーパーティー……ていう事はあの人のところに行くんだ……」
「あの人?」
「ほら、私の真似してるあの……ナギサっていう人の……」
「もしかして名前だけ聞いて物真似判定してるんじゃないでしょうね?」
なんて失礼な事を言うんだこの人は、少なくとも桐藤さんは泣いて鼻水垂らす事があったとしても人の服でそれを拭いたりはしないぞ
あと自分から美少女とか言ったりもしない、被ってる要素といえば組織のリーダーである事と〝おもしれー女〟枠である事ぐらいだろ
「でも、人間は誰かの代わりに成ろうとしても自分自身である事からは逃れられない……だから、ナギサじゃナグサにはなれない」
「そもそも成ろうともしてないと思いますよ」
「それに、あっちはナ〝ギ〟サだけどこっちはその一つ上のナ〝グ〟サだから……私には勝てない」
「ガギグゲゴ順だとギよりグの方が後なんですから、そう考えたら向こうの方が強いのでは?」
「違う、こういう称号的なのは後の方が強い、だから〝ゴ〟の方が上」
「グロンギかな?」
ゴ・ナグサ・ダの理論ではどうやら文字にも序列というものが存在するらしい
それならきっとわをんの〝ン〟は最強クラスなんだろうな……あれ?つまり二次創作でよく〝ん〟を使うキャラクターにされてたシロコさんって最強なのでは?
なんてこった、あの人はン・シロコ・ゼバだったのか、あんな化物に襲われる銀行が気の毒でならない
「……!それならいい考えがある、集合場所をそのプライベートビーチにしよう」
「ちょっと何言ってるか分かんないすけど要するにトリニティに喧嘩売るってことでいいんすかね?」
プライベートの意味全く理解してないだろこの人、一般開放されてる海とは訳が違うというのに
……まあ、一般開放されたとしてもあそこのビーチは一生使わんけどな
温泉開発部の件を話した際に聖園さんから〝ゲヘナ生の起こした問題なんだから風紀委員である酒泉君がビーチまで直接止めにくるべきじゃないの?〟ってなーぜーか!!!俺に直接言ってきやがったからな
あのゴリラの縄張りで遊ぼうとすればきっと貸しを百個くらい付けられるに違いない、そうでなくともビーチでゴリラの水着姿なんぞ目撃したらゲロを吐く事になりそうだし
ともかく、俺は絶対仕事以外であのビーチには行かん
「まあ、という訳で海はまた別の機会に───」
「……きたんだ……」
「ん?ナグサさん、今何か───」
「やっは゛り……わだしに飽きたん゛だぁ……」
「───はぁ!?」
小声でボソッと何かを呟いたかと思えば、急に涙をポロポロと溢し出すナグサさん
この人こんなメンタルよわよわだったか?……そんな疑問を察した様に桐生さんが〝何とかしろ〟と目で訴えてきた
「早く何とかしなさい……その子、あんたが支えてくれたお陰でメンタル回復したけど、代わりに少しでもあんたが〝離れるかも〟って思うとすぐメンタルが壊れそうになるくらい脆くなっちゃったんだから」
「な、なんすかその特性!?今初めて聞きましたけど!?」
「今初めて教えたんだから当然でしょう?……見て分かる通りこの男は危険だから、二人も青春中毒とアルコール依存症にならないように気を付けなさい」
「あ、ああ……酒を飲める年齢になっても覚えておくよ……」
「お酒!駄目!絶対!ですわ!」
「なんで俺が悪者みたいになってんです?」
「いいからさっさと慰めてあげなさい、こんな調子じゃ外には出られないでしょう?あんたにはさっさと私達の水着選びを手伝ってもらわなくちゃいけないんだから」
「あーはいはい、分かりましたよー……え?ナグサさんの分だけじゃないの?」
「何?文句あるの?どうせ日頃から女と戯れてるんだから水着の一つや二つ見慣れてるんでしょう?」
「ハジキ向け合うってのが戯れならそうなりますけど……」
戯れと書いて〝シバきあい〟と読む、デート場所と書いて〝戦場〟と読む、ハーレムと書いて〝問題児集団〟と読む
男子学生のそこの君、もしキヴォトスに転生する機会があれば是非ゲヘナに来て風紀委員会に入ってみてくれ、毎日沢山の女の子とイチャイチャできるぞ!
あ、女の子と一緒に鉛弾も飛び込んできてくれるけど文句はないよな……まあ、俺だったらそんなイチャイチャは御免だけどな。そもそも恋人がいるからそんな気にもならんし
つーわけでその恋人をさっさと慰めようか
「ほら、ハンカチ貸すから顔拭いてください……さっきも言いましたけど〝飽きる〟なんて事が理由で別れるなんて絶対に有り得ないんですから」
「う゛ぅ……でもぉ゛……」
「だーもう!いつまでも落ち込んでんすか!俺がこんな可愛い人に飽きる様な贅沢者な訳ないでしょう!?」
「私が可愛いのは分かり切ってる事だから慰めにはならないもん……」
「なんだこいつぅ~!?」
ナグサ「そんな……酒泉が……酒泉がトリニティに行くなんて……しかも相手は本編で個別ルート持ちなんて……!」
ナギサ「ふふふ……そう怯えないでください、私から手を出すつもりはありませんから。しかし、彼の方から〝その気〟になってしまった場合はその限りでは───」
ナグサ「わ、私なんてまだ酒泉と〝コスプレエ駄死〟ぐらいしかできてないのに……」
ナギサ「────ほえ?」パリン
ナギサ「……あ、あの……ご冗談ですよね……?」
ナグサ「え?う、ううん……だって恋人だしそれくらいは……」
ナギサ「───」パリパリパリパリパリン
アヤメ「こっちは寝たきりだっていうのに毎晩耳元で近況報告してくるしその流れで昨夜どんなプレイをしたのかも細かく伝えてくるアンタの事が大嫌いだった」