黄金の不沈艦を宇宙戦艦もびっくりの高性能ガンダムにする話(誤植あり) 作:もがな
トレセン学園のトレーナーの敷居は非常に高い。
どのぐらい高いのか、と問われると様々な答えが返ってくる。
ーー曰く、一時の情熱や野心だけでどうにかなる難易度ではない。
ーー曰く、国立の難関大学を受験するほうがまだマシ。
ーー曰く、公認会計士の資格を一発合格するレベル。
重賞の舞台でキラキラと輝くウマ娘を支える、といった人間として非常にやりがいのある仕事。
自分の愛バとトゥウィンクルシリーズで共に夢を追う。
世間一般ではそのような謳い文句で燦然と輝く職業という認識である。
しかし、その裏で多くの中央トレーナー志望が夢半ばで諦めるほど、非常に高いハードルがある。
ウマ娘という人間の枠に当てはまらない強靭な、かつ繊細な身体構造への理解。
大勢が鎬を削るレースにおいて他者より完成された身体を作るためのトレーニング方法。
ウマ娘がレースにて最大限力を発揮するためのメンタルケア。
そして、ウマ娘との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力。
それらを高水準で習得し、膨大な母数の多い候補者の中でも特に優秀な者が、
ようやくトレセン学園にて夢を追うための切符を得ることが出来る。
それほど中央トレーナーの称号は名誉なものである。
「・・・ちょっと頑張ればいけるとか軽く考えていたのが間違いだったかぁ」
そしてここに、現実を叩きつけられ凹んでいる負け犬が私です。
いや、ハードルが高いのも理解していたしそのために専門知識を頭に叩き込んではいたのだ。
ちょーっと試験には関係ない、フォーム改善効果のある骨盤矯正方法や疲労をゴッソリ減らす栄養ドリンクレシピの開発や脚質に合わせたオリジナルトレーニング理論の研究やウマソウルが及ぼすウマ娘への身体的成長への関与に関する論文の執筆など、自分の趣味に走りすぎたことは認める。
ほんの少しだが。
しかし、他の志願者と比較してうぬぼれがあったのは認めざるを得ない。
転生したからには好きなウマ娘とうまぴょい(言葉通りの意味)して楽しく生きていこう、なんて甘い考えがあったのは事実なのだから。
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そう、俺はウマ娘がいる世界に転生した。
転生したきっかけなんてのは特に思い当たらなかった。
最後の記憶といえば、一番の推しだったエイシンフラッシュでURAファイナルズを優勝し、「これで俺もいっぱしのトレーナーだぜひゃっほい!!」などとSNSに投稿して、満ち足りた気分で眠りに落ちたくらいであり、特に理由もなく気づけば転生していた。
そして、俺には転生した特典なのか、ウマ娘の脚質を瞬時に判別できる感覚があった。
気づいたのは転生して小学校に上がる直前だった。テレビ中継で見ていた皐月賞にて、6着と振るわなかったウマ娘に「この娘は長距離なら勝てそうだよなぁ」と漠然とした感想を持ったのだが、その後の菊花賞にてその娘が一番人気をまくって一着となったことがきっかけだった。
それから様々なレースを観戦し、概ねその予想は間違えることはなかったことで確信に至り、その時点でトレーナーを将来の目標と定めた。
また、俺の実家がトレーナーとして名門であり、トレーナーを志すうえで環境が良かったことも背中を押した。
教材は実家に山のようにあり、ウマ娘やレースに関する知識は親戚のトレーナーの手伝いをすることで多分に得られた。
当時は、俺がトレーナーになることは運命だ!と心の底から思っていた。
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「その結果が、試験に落第してだらだらとフリーターしている現実なんだよなぁ」
現在、周囲に人の少ない運動公園で独りうなだれながら現実逃避していた。
受かると確信していただけに反動も大きく、気力が湧いてこない。
親戚からも落ちこぼれ扱いされ、実家の居心地が悪くなり一人暮らしを始め。
バイトのシフト後に気分転換としてこうして意味もなく外の空気を吸っていた。
「同期で合格したやつも担当持って楽しそうだよなぁ」
ウマッターを開くと「メイクデビューにむけて特訓中!」なるメッセージと共に快活な笑顔を浮かべたウマ娘と同期の写真が表示される。
自分の担当を持つ同期への羨ましさと、現状燻ってままいる自身への不甲斐なさで胸が締め付けられそうになる。
「いっそのことブロックしてやろうか」なんて八つ当たりにもならない感情も芽生えてくる。
「いっそ地方トレーナーに妥協するか、中央より試験の難易度は楽だろうし・・・」
トレーナーとしてはウマ娘と関わっていたい気持ちはまだあるのか、ふつふつと妥協案が浮かんでくるが、正気になって首を横に振る。
そんな中途半端な気持ちで地方でトレーナーを続けたところで結果は決まっているようなもの。
何より、ウマ娘がそんな志の自分に本気で信頼してくれるとは思えない。
トレーナーとして失格もいいところだとかぶりを振る。
結局、転生して能力や環境に恵まれたところで自分にはトレーナーとしての才能はなかったんだ。
そう思い、下を向いてため息をついた。
その瞬間。
バキッ!!
「っ痛ったあああ!?!?」
突然後頭部を鈍い痛みが襲った。
思わず頭を押さえてうずくまると、転々と野球ボールが転がっていくのが見える。
自分に危害を加えた凶器を確認し、元凶は誰だと後方を確認するために振り返る。
近所の悪ガキだろうと勝手に思い文句の一つでも言ってやろうとしたが。
「いやー悪ぃ悪ぃ、ジャイロフォークの練習だー!ってハガネ投法でぶん投げたらよ、
うっかりサンデーライジングになっちまって目ん玉飛び出ちゃったぜ!」
「何やってくれてんだ!危うく三途の川が見えるとこr・・・・・・」
振り向いた瞬間、想像していた人物と性別も種族も違っていて、一瞬ぽかんとしてしまった。
ハガネ投法はなんだとか、サンデーライジングなる変化球は存在しないだとか、そのようなしょうもない疑問を一瞬で忘れてしまった。
「・・・?どうしたよ大将、痛みで脳みそカラッカラに干からびたか?」
そこには小学生くらいの背丈をした、一人の葦毛のウマ娘がいた。
続きは気が向いたら書きます。
数ある作品から稚作を見つけ読んでくれた方、ありがとうございました。