勇者のオカン   作:ガンダムラザーニャ

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本作は、ある作品との合同とさせていただきます。

また、投稿は不定期更新となりますが、どうぞ温かい目で見守ってくだされば幸いです。


出会い

「…っ」

 

何やら、全身各所にダメージアラートが鳴っている。

 

動けないわけではないが、何かしらのダメージを負ったようだ。

 

目を開けば、打ちっぱなしのコンクリートに四方を囲まれた空間。そのどれもが埃で汚れており、人間の仕様の形跡は見られない。有り体に言って、廃墟のようだ。

 

だが、同時に機械じみた場所だった。

 

天井が無く、陽の光が差す。そしてその光は、中央の椅子のような物に注がれていた。

 

そこには、異様に長い黒髪を垂らし、一糸纏わぬ少女の姿が。

 

そんな少女に、緑の差し色が入った猫耳ヘッドフォンをつけた少女が次々と服を着せていく。

 

その後ろには、双子であろうか、同じ顔をした少女と、そしてスーツ姿にタブレットを持った男がいた。

 

そこで、俺は思い出した。

 

彼らを、この世界のを、俺は知っている。

 

ブルーアーカイブ。

 

かなり楽しませてくれたソシャゲの1つ。

 

ガチャの渋さにアロナを呪った事数知れず、しかしそれでも、キャラクターデザインとシナリオの素晴らしさに感動させられたものだ。

 

そして同時に、俺は倒れた自分の体を瞬時に把握した。

 

俺のこの身体は、人間のそれじゃない。

 

人間の視界には有り得ない、無数の数値や解析結果、ダメージ箇所等が表示されている。人間の姿をしたロボットなのだろう。

 

傷ついた体は治っていく。

 

視界に映る表示を確認する限り、体内の修復用ナノマシンが直してるのだろう。

 

僅かに指を動かす。

 

彼らは彼女のことで夢中になって、俺に気づいていないようだ。丁度良い、俺の存在を少し調べてみよう。

 

内部データは、多くが破損しているようだ。

 

しかし、節々に護衛や教育に必要なデータの一部が残っている。Al-1S、つまりアリスのボディーガードにして、教育係として造られた存在、といったところか。

 

体内のダメージデータから、損傷の原因を特定・・・弾丸、それもアリスの側の2人、モモイとミドリの銃によるものらしい。

 

アリスに近付く3人を敵と判断し、攻撃を仕掛け、そして返り討ち・・・こんな所だろう。

 

それに使用したと思しき刀とその鞘が、足元に転がっていた。

 

他に何か無いか。

 

先生達に気取られぬようそっと懐をまさぐると、何かがある。取り出してみれば、滅亡迅雷フォースライザーと、スティングスコーピオンプログライズキーだった。

 

…大分体が直ってきた。

 

動いても問題無いだろう。

 

力を入れ、立ち上がる。

 

そこで漸く彼らが俺に気付いた。

 

「うわっ!?も、もう起きちゃったよ!?」

 

「どうしよう、今はこの子を放ってはおけないし」

 

「待って、何か様子が変だ」

 

双子は揃って俺を警戒し、対して先生は俺の様子を観察している。

 

問答無用でさえ無ければ、やり用はある。だから俺は両手を挙げ、膝をついた。

 

「…今の俺に敵意はない」

 

「うっそだー!さっき刀で私達に襲い掛かって来たじゃん!」

 

「それに関しては・・・済まなかった。

 

先程の俺は意識が混濁していた。

 

俺はAL-1S、その子の護衛だからな。不明存在を近付ける訳には行かなかった。

 

今し方覚醒して、少々行動を観察させて貰った。

 

その子への敵意は無いと判断し、敵対条件から除外する」

 

「そ、そうなの?」

 

「ああ、君達を害する理由は無い。

 

…ただ、一つ頼みがある」

 

「な、何?」

 

「そこにいる彼女を連れて行くのなら、俺も連れて行ってくれ」

 

「え?」

 

俺は、彼女を指さした。

 

ついさっきまで一糸纏わぬ姿だった彼女は、双子の子たちと同じ制服で肌を隠している。

 

「俺はその子の護衛と言ったが、正確にはそれに加えて教育係としても製造された。いわば保護者だ。

 

その俺が、彼女から離れる訳にはいかん」

 

「……どうする?」

 

「う~ん……ついさっき襲われたから、すぐに信用出来るって訳じゃないし、かと言って今の言葉も嘘とは思えないし・・・先生はどうする?」

 

「…そうだね」

 

モモイに問われ、先生は少し考える。そして決心したように一度頷き、口を開いた。

 

「わかった、一緒に行こう」

 

「感謝する」

 

「うぇぇ!?先生、この人も連れて行くの!?」

 

「うん。それにさっき彼が私たちを襲ったのだって、彼女を守るためだったんでしょ?」

 

「あ、そういえば……」

 

「だから、君の言う事も信用して良いと思うし、私達のことを敵と思っていないなら、着いて来て欲しいかな。

 

モモイとミドリはどう思う?」

 

「うーん、まだ信用できないけど、先生の言うことなら……」

 

「うん、信用していいのかも」

 

モモイとミドリは警戒しつつ、俺の同行を認めた。

 

すると、何処からか機械音声が聞こえて来る。

 

『状態変化、及び接触許可対象を感知、休眠状態を解除します』

 

「えっ、今、音が」

 

「どこから」

 

「恐らく彼女からだ」

 

そうして、彼女は目を開いた。

 

その水晶のような澄んだ瞳で、俺達を見ている。

 

「…」

 

「あ、起きた」

 

「…」

 

彼女は不思議そうに見渡す。

 

「…状況把握、難航。

 

会話を試みます、説明をお願いできますか?」

 

「えっ、せせ、説明!?何の事!?」

 

「説明して欲しいのはこっち!あなたは誰で、ここはどこなの!?」

 

モモイとミドリは困惑していた。

 

俺はともかく、3人からすれば彼女が一体何者か、そしてここがどこなのか、それは気になる所だろう。

 

「…本機の自我、記憶、目的が全て喪失状態にあります。

 

本機からは質問に答えることはできません」

 

「じゃああなたは?あなたならこの子の事、知ってるんでしょ」

 

と、モモイが俺に話を振ってきた。

 

確かに俺は彼女が何者か知っているが、それを答えるべきではないな。

 

「それに関しては、申し訳無いが俺の記憶も欠落している。

 

あるのは、彼女を護り、教導するという使命だけだ。彼女について、何も分からない」

 

「え~!?じゃあ結局何もわかんないの!?」

 

「あぁ、だが様子を見る限り、敵対の意思は無いのは確かだ」

 

「そ、そうなの?」

 

「肯定。接触許可対象と遭遇時、本機の敵対思想は発動しません」

 

不安な表情のミドリに、彼女は敵対の意思は無い事を告げる。

 

「うわ、すごい!このキヴォトスにはロボットの市民はたくさんいるけど、こんなに私たちに似てるロボットは初めて!」

 

「うーん、先生、どうしますか?」

 

と、ミドリは先生に意見を聞いた。

 

「そうだね。

 

ねぇ、君の言う接触許可対象の意味を、教えてくれる?」

 

「回答不可、本機の深層意識における第一反応が発生したものと推定します」

 

「深層、意識?」

 

「うーん…工場の地下に、ほぼ裸の女の子、記憶喪失、そしてその女の子を守るボディーガード…もといガーディアン。

 

ふふっ、良い事思いついちゃった♪」

 

「今の言葉の羅列からは、嫌な事しか思い浮かばないんだけど…」

 

「良いから良いから!早いところこの人とこの子を連れてここから出よう?ほら、あなたも」

 

「あぁ」

 

俺たちはここから離れることにした。

 

だが。

 

「えぇっ!?何これ!?」

 

工場の外に出ると、武装したロボット達に囲まれていた。

 

「ど、どうしよう、私たち、囲まれちゃった!?私、さっきのでもう弾が殆ど無いよぉ!」

 

「私も、もう・・・先生!どうしますか!?」

 

「くっ、万事休すか・・・」

 

3人は彼女を囲いながら困惑していた。

 

そんな中でも先生はタブレットを出して、この状況をどうにか打破しようと考えるが・・・奴らはそんなことお構い無しに銃を撃ってくる。

 

俺は彼女たちの前に立ち、弾道を予測。飛んで来る弾丸を刀で弾き、斬り払った。

 

「うわっ、マジぃ?弾丸を弾いちゃったよ…」

 

「それに襲って来た時とは違って、すごく良い動きしてる…」

 

「当然だ。俺はそのようにプログラムされ、建造されているからな」

 

意識が混濁してた時は、余程酷い動きだったらしい。まぁ、そんな事は良いだろう。

 

「貴様らは、俺の保護対象に銃を向け、発砲した。

 

脅威存在と認定、排除執行・・・滅ぼす」

 

俺は刀を構えて、ロボットを睨みつける。

 

「待ってよ、私たちだって戦うんだから!」

 

「悪いが、こればかりは譲れない。

 

何、先ほどの詫びと、晒した無様の雪ぎも兼ねてな」

 

刀を袖で拭い、納刀。懐からフォースライザーと、プログライズキーを取り出した。

 

フォースライザーを腰に当てると、ベルトとして腰に巻き付く。

 

 

 

【フォース!ライザー!】

 

 

 

スコーピオンキーを持った手を水平に伸ばし、ライズスターターを押し込んで起動。

 

【ポイズン・・・!】

 

「変身」

 

フォースライザーにキーをセット。

 

けたたましいアラートと共にサソリのライダモデルが出現し、ロボット達を威嚇しながら、俺の周りを走り回る。

 

フォースライザーのジャッキを引けば、セットされたプログライズキーがこじ開けられ、データの抽出が開始された。

 

 

 

【フォースライズ!スティングスコーピオン!】

 

 

 

サソリのライダモデルが俺の腹を尻尾の針で突き刺し、そのまま裏返るように俺に絡み付いて全身を覆う。

 

 

 

【Break Down…!】

 

 

 

そのフレームが弾け飛び、装甲に変質。

 

飛び散ろうとするそれらを黒いリストレントケーブルが無理やり縛り付け、全身の気密スーツに圧着。

 

仮面ライダー滅に変身する。

 

バイタルゾーンを集中防御する左右非対称の局所装甲、サソリのハサミを模したバイザーの隙間から覗く眼光、左腕から伸びる毒針を模したアシッドアナライズが特徴だ。

 

「変身した!?」

 

「うおぉぉ!何それ、かっこいいじゃん!」

 

「お前たちは下がっていろ」

 

モモイたちを下がらせ、ロボット達を前に構える。

 

奴らの照準は俺に合わせられ、発砲。

 

俺はバトルセンサーと高次演算で弾道を見切り、アシッドアナライズを伸ばして全て弾いた。

 

そしてリロードの隙を突いて踏み込み、一番近いロボットを殴打。更に隣にいたロボットの胸部を踏み付けるように蹴り飛ばす。

 

【アタッシュアロー!アローライズ!】

 

量子領域からアタッシュアローを取り出し、弓に変形。リムに搭載された高周波切断刃で切り裂き、トリガーを引き絞って貫通矢を撃ち放つ。

 

仲間が破壊され、俺の脅威度を上方修正したのだろう。奴らのヘイトが、完全に俺に集中した。

 

「ふん」

 

【チャージライズ!フルチャージ!】

 

アローを一度アタッシュに戻し、再度展開。エネルギーチャージを行い、狙いを定める。

 

【カバンシュート!】

 

引き絞ったトリガーを解放。放たれた圧縮エネルギーの矢は空中で分裂し、ロボット達の身体を削り取るように粉砕した。

 

敵を一気に減らし、生き残りを斬りつけ、破壊を重ねる。

 

最後に生き残ったロボットは巨大な盾を構えながら銃を向けて来るが、この俺を相手に死角を増やすのは悪手だ。

 

フォースライザーのジャッキを押し込み、エネルギーをチャージ。

 

「亡き者となれ」

 

 

 

【スティング!ディストピア!】

 

 

 

再びジャッキを引いて展開すると、アシッドアナライズが伸びて右足に絡み付く。

 

盾の影、射線の死角にステップで潜り込み、シールドを掻い潜るように膝を曲げた後ろ回し蹴りを突き刺した。

 

 

 

【スティング!ディストピア!】

 

 

 

合成した侵食毒が装甲を腐食し、注入したエネルギーが動力部に到達。

 

内部誘爆を引き起こし、炎上する鉄屑へと成り下がった。

 

「ふぅ……」

 

フォースライザーを外し、変身を解除する。

 

「す、すごいじゃん!」

 

「俺はそうプログラムされているからな、当然だ」

 

「え~?それにしては凄くない?あの結構手強かったロボットを、一瞬で倒しちゃうんだもん」

 

「そういえば、あなたの名前は?」

 

ミドリが俺に質問してきた。

 

これなら答えても問題は無いだろう。

 

「俺の名は滅だ」

 

「ほろび?何か物騒な名前じゃん!ねっ、ミドリ」

 

「うーん、確かにちょっと物騒…これからあなたも私達と来るってなると」

 

「そうか、まぁそうだな」

 

滅は文字通り、衰退と死滅を指す。

 

あまりいい意味では使われないのだろう。

 

なら、ここは少し名前を変えてみるか。

 

「…マホロビ」

 

「え?」

 

「マホロビだ、それが俺の名前だ。

 

これで少しマシになっただろう」

 

「うーん、何か変わったような変わってないような」

 

「でもマホロビってなんかかっこいいじゃん! 私は良いと思うよ!」

 

「……まぁ良いんじゃないかな?」

 

どうやらモモイは気に入ってくれたようだ。

 

ミドリも少し納得してないようだが、それでも受け入れてくれたらしい。

 

「じゃあ、一緒に行こうか、マホロビ」

 

先生が手を差し伸べる。

 

俺はその手を取った。

 

「あぁ」

 

こうして俺は先生たちの新たな仲間としてAL-1Sを護衛しながら、この廃墟から出るのであった。

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