これが戦艦レ級! 悪魔の力よ!!   作:ウィルキンソンタンサン

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あっかん1年放置してたらオデュッセイアのイベント来たらしい
はいおわりおわり、閉廷! 解散!


No.4

 

 

 

 

 

 

 

波によって船体が大きく揺らぎ、無尽にロール、ピッチングする。

自身の立っている場所が上へと上るその瞬間に、慣性を利用して垂直カタパルトの様に使い大きく跳躍。

 

上空からヘルメット団のそれぞれの配置を大まかに確認し、着地までの間的確にARの弾薬を撃ち込んでいく。

 

「───っいや痛ァ! ちょっぶち飛ばすぞマジでおい!!」

 

まぁしかし。

遮蔽の無い上空ではヘルメット団からの銃弾も当たりたい放題なのだが、そんなことは想定済み。体を捻って重心をずらし、腰を中心としてくの字に曲げる。下半身と上半身それぞれ独立させるイメージで、それぞれ回転させて体を反転。

猫の空中捻りと同じ原理で身体を動かし、銃弾を避ける。

 

……縦回転と横回転同時にするとなんか、こう、頭が変になる。グリンって。

 

「着地させるな、旋回して海に落とせ!」

 

「んお、そうくるか」

 

船体を高速旋回させて着地地点を奪おうという魂胆か。だーがしかし、そんな事ウチらがさせる訳がないんだなこれが。

 

重力に引っ張られ落下する最中、にんまりと笑みを浮かべる。

それと同時に旋回方向へ水面へ砲が着弾。大きな水飛沫が上がり、船体がぐらりと揺れた。

 

大きな波に持ち上げられ私へ1番甲板が近付いたタイミングで着地し、滑り台のように傾いた甲板をそのまま滑り落ちながらヘルメット団達の足元を撃ち抜く。

 

ちょうど壁面を地面替わりに静止したタイミングで、ホバークラフトの空力によって船体が軽く飛び上がった。

 

「あっは──! いいねぇ、楽しいねぇ!!」

 

だっぱーん、と着水。その衝撃でゴムまりの様に跳ねるヘルメット団達。

 

「……まぁ、これで分かったでしょ? あんたらに逃げ場は無いよ。少しでも動こうとしたら、ウチらの艦砲が飛んでくるかんね。」

 

銃のロックを外して弾倉を取り、連結したもう1つの弾倉をはめ込む。

なるへそ、これでリロードの時間を大幅に短縮できるのね。

 

「このままだと転覆する!その前に──」

 

「……転覆ぅ? あんたら、なんか勘違いしてるみたいだから言っとくけどさぁ」

 

波に揉まれてフラフラになりながらも突っ込んでくるヘルメット団の1人の懐へ、船体の揺れを利用し半歩で潜り込み腹へ掌底を叩き込む。

揺れによる位置エネルギーが加算された分勢い良く吹き飛び、操舵室らしき場所の窓を突き破っていった。いたそ。

 

これ幸いと風通しの良くなった窓を潜って中へ這入るとそこには、ヘルメットを取り顔を青くし口元を抑えながらも、それでも果敢に操作盤へしがみつく乗組員達。

 

正しく満身創痍。

戦闘要員は既に全て倒れ伏し、もはや負け確だと言うのにも関わらず、操作盤の上へ立つ私を睨み付けている。

 

その様相に、思わず肩を竦めた。

 

「あんねぇ……私らがあんたらを撃たない理由ってさ、別にそういう決まりがあるからとかじゃないのよ。」

 

「…………」

 

「分かる? シンプルな善意なの、善意。ホバークラフト(こいつ)無くなったらあんたら困るでしょ? 私らだって好き好んで人の住処奪いたい訳じゃないからさぁ、だから撃たないの。」

 

けれどね、と言葉を紡ぐ。

 

「───それはまだ、"おあそび"で済ませられるまで。あんたら無法者なんてどうなろうが知ったこっちゃないってのが本音だからね、これ以上やんちゃするようなら……沈めるよ。」

 

耳に装着していたはずの無線は何故か無い。あの珍生物め、捨てやがったな。

……ま、チームワークが命の海上で長らく共にしてきた仲間達だ。もはや言葉は不要、何となく雰囲気で察してくれるさ。

……だよね?

 

「今のはイージス駆逐艦……分かりやすく言えば、1番小さい艦の連装砲。さて、次は何が来るかな? 巡洋艦の魚雷かな? 戦艦の主砲斉射? それとも──オデュッセイアが誇る艦上爆撃機?」

 

先程までの騒音が嘘のように静まり、外の波の音だけが聞こえる。

 

「……うっ」

 

「え?」

 

唐突に、乗組員の1人が嗚咽したかと思うと、びちゃびちゃと水音が聞こえてきた。

 

「おっ、あっ!? ちょいちょいちょい、大丈夫!?」

 

どうやら船酔いらしい。海上のヘルメット団の癖に? 軟弱者が!

操作盤から降り、倒れ伏したヘルメット団の1人の背中を撫でる。

 

「……うぅ……な、んで……うぇっ」

 

「なんて言ってるか分からん!とりま外出るから───」

 

誰か手を貸せ。その言葉は、振り返って目に映った景色を前にして喉から出ることは無かった。

 

 

 

「うえぇぇ……」

 

「うぼ……ぐ……」

 

 

 

びちゃびちゃ。

びちゃびちゃびちゃ。

 

 

「───も……

 

 

 

 

もらいゲロッッ!?!!?」

 

 

全員尽く吐いてる件。

おいおいおいおい勘弁してくれ嘘だろマジで!?

 

ふざけんなよ、おいちょっといやまぁそれなりには揺れたけどさ!

ねぇもうちょっと辛抱というか三半規管鍛えろと言うかいや臭っ!? ちょっと臭いんすけど勘弁してよてかなんか既視感あるなこの光景いや違くてマジで一旦吐くのやめろマジでホントもーーーー!!!!

 

「なん、でっ……おま、え、……はっ! うっ……」

 

なんやぁ!

なンか用か!

 

「こんな、ゆれてっ! よわなうえぇぇぇ」

 

「何、なんだって!? ……あぁ、なんで酔わないのかって言ったの」

 

まぁ、確かに。軽く飛ぶ程度には揺れたし、普通は酔うのか。

でもねぇ、私オデュッセイアぞ? この程度で酔ってたらやってられませんわ。訓練くらいするっての。

 

……あ、既視感の正体分かった。私が高一の時にやったその訓練だわ。

 

北部地点に漁船で行った現地研修……あれはやばかった。

手の感覚が無くなるくらい極寒の海の上での漁ですよ。

 

四六時中休みなく上下左右入れ替わる位にバカクソ揺れる船内に外進の奴はゲーゲー吐きまくって、内部進学組も最終的に吐いて地獄と化した───。

 

思い出すだけで最悪な研修だったなぁ、あれ。

高波にさらわれてマジ無理だし、寝て無さすぎてすぐ喧嘩するし、しょうもないイタズラ始めるし、大漁だともうハンパなく喜んじゃうし。

 

ひとまず大きなため息を1つ。その後ゆっくりとした足取りで操舵室から外に出て、新鮮な空気を吸う。

もう1隻はどうしたろうかと見回すと、なんとしっぽを巻いて逃げていっておりました。ざこ。

 

「あ゙ぁ─────終わったかな。」

 

船団に向けて手を振り、ついでに信号弾を射出。もう足がいたいいたいなので迎えに来てもらいます。

 

「私こんな距離飛んだの? すごいじゃん……」

 

制御権を取り戻してから沈黙を貫いている内なる化け物の力も大きいでしょうが、ここまで飛んだのはあくまでもベースとなる私の脚力の賜物。ドン引きです。

 

さて、じゃあ後は戻って被害状況の確認と修理と二度と歯向かわないようヘルメット団の締め上げと………。通常運行に戻るには少し時間がかかりそうですな。

はーだる。

 

と、余裕綽々に背伸びをしながら甲板を歩いていると足元から何か人工的な振動を感じ取った。波の揺れでは無い、細やかな───

 

「おいおい嘘でしょ……!」

 

端まで駆け寄り、柵から身を乗り出して確認すると船団に向けて複数の棒状の影が水中から突き進んでいるのが見て取れた。その影が何なのかは考えなくとも分かる。

 

「─────ッ!」

 

咄嗟に後ろを振り返ると、船内の操作コンソールに人影。ヘルメットを外しているそいつは私に向けて悪どい笑みを見せ、そのまま崩れ落ちた。

 

「があ゙ぁ゙ゴミが死ねやガイキチが! どこまで他人に迷惑かけるんだよクソッタレの社不共!」

 

どうするんだ、迎撃できるか? パッと見た感じステルス型に見た目が似ていた。そういえば闇マーケットに高性能のステルス魚雷が複数流通したなんて情報を出航前に聞いた気がする。

 

見えた数は4つ、もしかすればもう少しあるかもしれない。無線で知らせる事はレ級(バカ)のせいで出来ないし、跳んでいこうにももう無理。足首を捻ったのが効いているし乳酸が溜まっててもう何もしたくない。

 

だが、ここで見ている事も出来ない。最近の魚雷は1本で大型の艦船を沈める破壊力がある。陣形的に母艦がやられることは無いが、それでも甚大な被害を被るだろう。

何よりそこまでされたならもう戦争だ。ありとあらゆるヘルメット団は我らオデュッセイアの明確な敵となる。

 

それはいくらなんでも面倒だ。陸のヘルメット団はとばっちりもいい所だし、学園間の領土問題にも発展する。

何とかするしかないんだ。今、私が!

 

トン、と軽くジャンプして柵の上に飛び乗る。潮風でスカートがはためき、セーラー服のスカーフが今の私の思考状態の様にビタンビタンと胸の上でのたうち回る。

 

ふう、と1つ息をする。

 

「……レ級ちゃんよ」

 

応答は無い。べらんめぇ、いじけてやがるのか? 化け物の癖になっさけないやつだ。

 

「もう1回勝負しない? この身体の制御権を賭けて」

 

前髪をかきあげる。潮のせいでベタついているが、こんなのいちいち気にしていたらキリが無い。嘘、やっぱ気にする。傷んじゃう。いやもう傷んでるか。

 

「だんまりさん? さっき負けちゃったからって怖気付いてんの?」

 

魚雷が船団の元までたどり着くのに後どれくらいか。いずれにせよ猶予はあまり残っていない。

今私が頼れるのはこの内なる化け物だけ。応答してくれないならとても面倒な事になってしまう。

 

そんな焦燥はおくびにも出さず、落ち着いて言葉を紡ぐ。

 

「ならいいよ? ずっとそうやって隅っこで体操座りでもしてればいいさ。戦艦なんて称号ぼくには荷が重いですって宣言してね。これからは駆逐艦……いや、その更にさらに下のコルベットと呼んでくださいってね」

 

まだ応答は無い。

さぁヒリついてきた、いよいよにっちもさっちも付かなくなるぞ。

 

「コルベットレ級……ふふ、かわいくって意外とお似合いの名前じゃない? あんたって態度の割には、ちっちゃな見た目通り弱っちいもんね!」

 

その言葉を言い切ったその瞬間────ようやく、待ち望んだ結果が現れた。

 

『…………オイ』

 

「………ッ! ───これ、はっこれは……ッ! コルベットレ級ちゃんじゃん………!」

 

身体全体に襲いかかる重圧。赤黒い瘴気に身を包まれ、徐々にレ級に侵食され始める。

肌は白く染まっていき、手先は傷ひとつ無い細くしなやかに変化し爪は鋭く尖っていく。

 

「なぁーに…? 黒いマニキュアまで、しちゃっ……て! おしゃまさんだ、ねッ!」

 

『今スグその不快なクチを閉じロ。』

 

骨格から無理やり身体を作り替えられる。人間の身体から化け物の身体へと、ゆっくりと痛みを伴って。

 

けれど、屈しない。

ここで意識を失えば、この身体はレ級の物になる。次こそは戻って来られるか分からない。

 

最初はレ級が油断してたから。2度目は痛みで意識が逸れたから。

なら、もう次は無いだろう。ここまで煽られて同じ過ちを犯すようなスカポンタンなのならば100年語られる存在にはならない。

 

「あ、はぁ……───いい、ねッ! 非日常だ!」

 

イメージしろ。

無限に水が湧き出る釜の蓋を必死に閉じて────……でも、少しだけちょろちょろと出る様に。吹き出させてはダメだ。絶妙なラインで、吹きこぼれない程度の具合で丁度よく!

 

「うぐ、ぐ……が、ぁあ…………!!」

 

『グ…! この、大人しく乗っ取られろ! クソニンゲンが!』

 

「黙っとけやクソバケモン……! 大人しく……ッ人間様に利用されろ!」

 

目の前がグラりと歪む。汗が滝のように流れ、真っ直ぐ立つ事すら危うい。だからこそ私はこの柵の上に立ったんだ。不安定な場所に立っているからこそ意識を保てる。思考を続けられる。

 

『が、ググァアア、アア……! ナンデダ、何故乗ッ取れナイ!』

 

制御権の取っ組み合い、正面衝突のぶちかまし。化け物のプライドと、人間の維持。

傍から見れば一人で滝汗流して凄い音を立てながら身体を変態させている、多分軍とか呼んだ方がいい状況─────しかして、今後のキヴォトスの情勢を左右させるその激闘。それを制したのは……。

 

 

「─────ったり前よ、海の女舐めんな」

 

 

ビカ、と空まで覆い隠す様な赤い光が一瞬点滅する。と思えば、音を置き去りにする速度で何かがホバークラフトから飛び立った。

 

白かったはずの上着は真っ黒に染まり、黒かったはずの髪は真っ白に染まっている。日焼けをして小麦色だった肌は病的なまでの白さで、顔には目に垂直に2本の赤い線が走り双眸からは赤い瘴気が噴出していた。

 

蛇のような顔面が付いた尾は、無かった。

 

「ッあっは─────!!!」

 

その顔に浮かぶのはいっそ狂気的なまでの、笑み。元の人格ならばここまで破顔することは絶対に無いだろうと言える程の。

けれど、だからといって彼女が乗っ取られたという訳では無かった。

 

「見つけたぞ魚雷、えー……やっべどうやって破壊すんのか考えてなかった。えーとうーんと艦に戻って伝える暇は絶対無いよな〜?」

 

放たれる言葉は理性に溢れたもの。

レ級の能力のみを抽出する。そのイカれているとしか考えられない賭けは、夜灯守レイキの完全勝利だったのだ。

 

 

ぐるぐると頭が回る。脳内麻薬がドバドバで1秒が1分くらいに感じられる現時点で考えられるこの魚雷をぶち壊して差し上げる方法は────ゼロ!

終わったか。終わったな。

 

いやまぁ待て。れーちゃんのやっていた事を思い出そう。そうあれは初めて出会ってバトった時の記憶。主砲と副砲からなる砲撃、アスファルトの下を潜航する魚雷、尾っぽの噛みつき…………。

 

今の私に出来ない道理は無いだろ! 無いよな? あるかな。いや、無い!

 

銃の形にした右手を私よりも遅い速度で潜航する魚雷群に向け、同時にイメージする。思い浮かべるは、あの主砲!

 

「なんとかなれ─────ッ!!!」

 

そう一心に念じると、どうだろう。

ピンと差し向けた手の横に、あの尻尾の頭部に付いていた主砲が音もなく出現した。と思えば、爆音を響かせながら砲撃を放ったのだ。

 

大きな水飛沫を上げる海面。それと殆ど同時に、大きな爆発が水面下で複数回起きた。

 

魚雷を処理した、そう私が認識すると同時に背中を何かに打ち付ける感覚を覚える。その一瞬の突っかかりは直ぐに無くなり、代わりに硬い地面に倒れ込むようにして数回後転をして不時着を果たした。

 

恐らくはこちらの艦艇の転落防止の柵に後ろ向きで飛び込んだのだろう。あぁ、あのまま海に落ちていたらどうなっていたことやら。浮かぶことしか出来ないなぁ。

 

脳内麻薬が切れた為か、そうぼんやりと大の字で寝転びながら思考する。

背中は痛むし、右足は痛いと言うよりもはや熱い。

 

乗組員達が私に駆け寄り何か声を掛けているが、耳の中で爆音が反響していて上手く聞き取れない。

そういえば見た目はどうなっているんだと一瞬ビクリとするが、視界に映る範囲で見るととっくに元に戻っているらしかった。無意識的に蓋を閉めたのだろう。ナイス私。

 

そんなこんなで、夜灯守レイキさんの活躍によりヘルメット団の襲撃は"あの野郎次会ったら潰す"程度の認識で終わり全面戦争は免れた。

 

そしてまた英雄的行動を果たした後、医療班の診断により私は────

 

 

「えげつい骨折すね、お前船降りろ」

 

「ゑ?」

 

 

 

船団から降ろされ、私は学園都市の陸上へと足を踏み入れる羽目になったのだった。

 




ダンダダンにハマっていた時にこれを思いついていたのでレ級変身形態はダンダダンリスペクトしてます。顔の赤いラインとか。
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