気高き白百合   作:ヤギ魚

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明けましておめでとうございます。
NieRのアニメ見返してましたがやっぱり推しキャラ達が亡くなってくの辛いですね




2話 家族の証

覚束ない足取りで暫く歩いた後に何かがリリィに向かって音を出しながらやってきた。

辺りを見渡しても誰も見えなかったが、音の出どころ探るとどうやらそれは空から聞こえていたようだ。

空から聞こえた音は彼女がよく見知った2人の人物であった。

 

「リリィさん!大丈夫ですか!?」

 

見知った人物が彼女の目に映る。

まるで大きなブリキの玩具を思わせる見た目をした機械の肉体を持ち、一挙一動から機械音を鳴らしながら此方に近づいてくる。

 

彼の名は「パスカル」

嘗ては戦場で同型機と共にアンドロイドを相手に戦っていたが、ある時に後の村の御神体となる球体と接触し、その後の戦場で味方の死に慣れていくことに恐怖を感じたことから戦いを放棄し、同じような考えを持った機械生命体たちからなる村の長を務めている。

争いを嫌う平和主義でリリィのレジスタンスにとって友好的な交易相手であった。

 

「リリィ!」

 

もう一人の彼女の名は「A2」

4年前のカアラ山のサーバー破壊作戦。通称「真珠湾降下作戦」においてローズ達レジスタンスと共に戦った旧型ヨルハ部隊の隊長だった人物であり、彼女にとっては掛け替えのない大切な仲間であった。

リリィはサーバー破壊作戦の際に自分一人を残して全員戦死したものと思っていたが彼女が生きていた事にはとても喜んでいた。

 

「大丈夫なのか!?何があったんだ?」

「近づくな!」

「ッ!?」

 

A2とパスカルがリリィに駆けつけてきたが彼女は声を張り上げて二人を制止する。

 

「私は論理ウイルスに感染した。もう治療手段はない」

「そんな…」

 

A2とパスカルは絶句した。二人ともリリィが汚染されたことを受け入れられないでいた。

A2は背後に控えている随行支援ユニットのポッド042に振り向いたがポッド042もリリィの言う通り汚染深度が深く論理ウイルスワクチンを用いても治療する事が出来ないのを理解しているのか口煩い彼も何も言わずただ黙って見ているのみである。

 

「リリィさん、汚染経路は一体どこから…」

「…保護した村の子供達からだ」

 

その言葉を聞いた瞬間にパスカルの頭は一瞬真っ白になる。

 

―――なぜ、どうしてこんな事に?

―――子供達がこの惨劇を引き起こした?

 

そんな言葉を頭で浮かべつつ肝心の子供達の安全が気がかりなパスカルはリリィに問い詰める

 

「リリィさん!子供達は今どこにいるのですか!?」

「…奥のコンテナにいる」

「A2さん!」

「ああ…ここは任せてお前は行け」

 

酷く取り乱しながらも子供達がまだいる事に安堵しながらもA2に後を任せパスカルはコンテナの方に飛び立っていった。

パスカルが飛び立った後にはリリィとA2が残される。ポッドは何も喋ることが出来ず事の成り行きを見守る事しか出来なかった。

今この瞬間この場にはかつての戦友二人だけの空間となった。

 

リリィはとうとう体が限界を迎えたのか膝を突く。

 

「リリィ!」

「二号!」

 

リリィの身を案じてA2が駆け寄るがリリィは声を上げてA2の足を止めさせた。倒れないようにライフルを支えにしているが、それでもウイルスは容赦なく彼女の身体を蝕んでいく。

本来であれば自分の部下達のように直ぐに理性を失い暴走して襲い掛かっていた筈であったが、彼女は4年前の真珠湾降下作戦の際に論理ウイルスに一度感染したが旧ヨルハ部隊の二号達の懸命な措置によってウイルスを除去してもらった過去があった為に抗体が僅かに出来ていたのである。

 

「頼む…抑えが効かなくなる前に、早く...」

 

しかし抗体が出来ていたとはいえもう限界であり、最早自分の意志で体を動かす事が殆ど出来なくなっていた。このままでは自我を失いA2を襲うのは明白である。

もう私一人ではこの掃討作戦を…自分に課した最後の任務を完遂する事はできない。

そう判断したリリィはA2に介錯を頼んだ。

 

「……」

 

リリィに介錯を頼まれたA2は何も喋らない。彼女は目の前の大切な仲間を殺さなければならない状況を受け入れられないでいた。そしてこう考えていた。

 

―――何故自分はもっと早くに彼女の救援に駆けつける事が出来なかったのか…

―――もっと早く彼女の元に向かえば助ける事ができたのではないのか?

 

A2は後悔する。

今でも彼女を救う手立てはないのか?他に方法はないのか?

そのような思いが頭を埋め尽く、しかしどれだけ考えても目の前にいる彼女を救う方法はなかった。

あの頃は二十一号がいたから助けられたが今はもういない。この間にも彼女は苦しみ続けいずれは自我を失い獣のような存在に成り下がるだろう。

 

そしてA2は決意する。

彼女を苦しみから解放しようと…

そう思ったA2はリリィに近づいた。そして―――

 

「フリージア、ローズが最後に私に付けてくれた名前だ」

 

A2はローズから付けられた名前をリリィに伝えた。

かつてカアラ山のサーバー室の最深部で機械生命体の概念人格によって操られた四号達から身を挺して庇ってくれたローズが四号達に家族の証である名前を与えたいたのだ。その際にA2はフリージアという名を与えられていた。

 

「…私たち家族になれたんだね」

 

A2がローズ隊長から与えられた名前を聞いたリリィは笑みを浮かべる。

4年前に家族だったローズ達と戦友だったA2達が生きていた頃にリリィはローズが言っていたことを思い出す

 

『名前は家族の証。そして、家族がいる事が私達の生きる意味となる』

 

リリィは心で感じ取れた。

A2とは仲間という関係を超えた家族という存在になれたのだと、例えどれだけ離れてもどれだけ遠くにいても心で繋がり続ける。死という別れを迎えたとしてもその思いは何処までも繋がっているのだと。

 

A2はリリィからライフルを手に取ると銃口を彼女に向ける。

真珠湾降下作戦でウイルスに感染したリリィを撃とうとしたローズ達の銃口からA2は身を挺して庇い救った。しかし、皮肉な事に今はそのA2がローズから託された形見のライフルを持ちその銃口をリリィに向けていた。

 

どうやらリーダーとしての役目を終える時が来たらしい。

A2の手が僅かに震えているのがリリィには見えた。私を撃つ事への罪悪感や私を救う事が出来なかった事を悔いているのだろう事が彼女には読み取れた。リリィは彼女の仲間を思う気持ちとその優しさを知っている。だからこそ彼女が今抱いてる気持ちも分かってしまう。

 

「ありがとう、フリージア」

 

だからこそリリィは笑顔を向け感謝の言葉を告げる。

 

私が私を保ったままウイルスによる苦しみから解放してくれる事を…

私を撃つ事への罪悪感を抱かせないようにと…

私に家族の証である名前を教えてくれた事への感謝を…

 

「…ッ!」

 

A2は歯を食いしばり撃つ決心を決める。

そして引き金に指を置きそれを引く。

銃口が光り、大きな轟音が鳴り彼女の額を撃ち抜いた

 

(フリージア、あとは任せるね)

 

撃たれたというのに不思議と痛みはなかった。

身体から力が抜けていくのが感じる。これが死というものなのだろう

それでも彼女は自身の人生に悔いはなかった。ローズ達やフリージア達と出会えた事、レジスタンスの皆の事、そして生きてきた上でこれまで作り上げた楽しい思い出を思い返しながら地に倒れその目で空を見上げる。

 

(ああ…こんなにも世界が綺麗だったなんて、気付かなかったな)

 

(皆……今、いくね)

 

その言葉を最後に彼女は瞼を閉じる。彼女の戦争は終わりを告げた。

彼女の眠ったその顔はとても穏やかな表情であった。

 

そして、彼女が最期に見た空は雲一つなく澄み渡る青空でその日差しはいつもより暖かいものだった。

 




NieRのアニメ見て思ったんですが、サーバー施設のエレベーターホールで複数の四足歩行のボス機械生命体を相手に二十一号を抱えながらライフル一丁で全機体討ち取ってたアネモネさん下手したらヨルハより強いのでは?
というかA2達と出会う前に12万以上の機械生命体のボス機体をたったの7人で返り討ちにしてたりとローズ部隊があまりにも強すぎる。多分彼女たちの前世はテルモピュライの戦いに参戦したスパルタ兵なのかもしれない
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