やっぱり筋肉が一番
英雄の生まれる都市 「オラリオ」
かつて栄華を誇ったこの都市は今では闇に包まれ、外を出歩くのも危険だ。
「闇派閥」と呼ばれる者たちは「最強派閥」の消滅とともに勢いを増し、現在のオラリオでは対処しきれていない。
しかし、そんなオラリオでも正義を成さんをする者たちは闇派閥との熾烈な戦いを繰り広げていた。
これは、「正義」の物語
────────ではない
正義だ悪だのどうでも良い!必要なのは一点の曇りもない「勝利」だ!
圧倒的な「力」が、「暴力」がこの世界を救うのだ!
これは、「筋肉」の物語
田舎の村の少年である俺「アルケイデス」は同じく村の少女「ベル」のことが好きだ。
俺は生まれた時に母を、さらに病気で父を亡くし、天涯孤独の身だった。そんな俺に話しかけてきたのがベルであった。
白い髪、赤い瞳、誰にでも分け隔てなく接する優しさ。様々な理由があるが、とにかく俺はベルのことが好きなのだ。
そんな俺だが、ベルと同じくらい好きなものがある。それは「筋肉」だ。最初はベルの爺さんに聞いた「筋肉のある男はモテる」というどうしようもない理由からだったが、今ではただ筋肉の素晴らしさに魅了され、さらなる高みを目指している。
農業の合間に筋トレをする日々が続き、少年が6歳になった頃。
「そういえば、ベルに家族って他にいるのか?」
そう聞いたのは身長165c、体重73kgという大人顔負けの体格をした少年アルケイデス。
「どうした急に」
答えたのは老人。少年に「筋肉のある男はモテる」という思想を刷り込み、筋肉の指導者であるベルの祖父である。
「いや、両親がいないのは知ってるけど、親戚とか居るのかなって」
「おるにはおるぞ。だが、今どこに居るかは知らん。そもそも奴も病弱で、生きているかもわからん。」
過去を思い出すように老人は言う。
「どんな人なんだ?」
好きな女の子の血縁。心優しい彼女の親戚はどのような人なのだろうか。
「女王のような女じゃった。ベルの母親の姉じゃったが、性格は真逆。まさに絶対の女王という感じでブイブイ言わせよった。しかも、超がつくほど美人じゃ。わしなんて何度も胸に手を突っ込もうとして返り討ちにあったわい。」
「ベルにおんなじことしたら殺すぞ」
あれはマジの目だったと老人は語る。
「でもまあどこにいるのかわからないんじゃしょうがないか」
少し、結構、かなり残念そうにしている少年を見て何か思うところがあったのだろうか。老人は黙り込み何かを考えている。