英雄の都市 オラリオ
オラリオはダンジョンの『蓋』としての機能を持った都市である。
1000年前に『最強の英雄』が『隻眼の黒竜』を追い払い、神々が降り立った場所。
神ウラノスはダンジョンの活動を抑制するための『祈祷』を行っており、ギルドや『愚者』を使ってダンジョンの問題を解決している。
「次の方!」
「はい」
「出身と名前、職業、目的、『神の恩恵』について教えてください」
「田舎の村から来ました。アルケイデスです。農業をしていて、何か参考になるものがないか探しに来ました。『神の恩恵』はありません」
「······真実のようですね。オラリオへようこそ!」
「さて、ウラノスに挨拶しに行くかな。
にしても······」
オラリオに入る為の検問、ザルくね?
普通に俺が疑われずに入れたぞ。俺が暴れたらどうするんだ。
「······まあいいか」
どうせもうオラリオに来ることはないだろう。『隻眼の黒竜』を倒すのが俺の仕事であってダンジョンの攻略は別だ。
「冒険者さん、お腹空いてませんか?」
町娘が声をかけてくる。
「お前······。そうだな。腹減った」
娘は嬉しそうに、
「そんなあなたに、ピッタリのお店があるんです!」
「うまいな。マジでうまい。正直少しくらい忖度してやろうと思っていたが、マジでうまい」
さすが料理屋といったところか。店は綺麗、料理はうまい、店員は強い。
「おら!うちの店で喧嘩すんじゃないよ!」
マジで強い。今まで会った中ではアルフィアやエピメテウス、あの黒い戦士の次くらいか?
まあ強さとやりたいことが合致しないこともよくあることだ。気にしないでいいだろう。
「ふう、食った。よし、会計を」
「あいよ!ざっと300万ヴァリスだね」
「············」
「いらっしゃいませ!」
金が足りなかったので仕事して返すことになった。最初から躓いてしまったが、金を持っていなかった俺が悪いからやるしかない。
「似合ってますよアルさん!その調子です!」
「これ3番のテーブルに。あ、皿洗っておきますね。お会計13万ヴァリスです」
「にゃーの目がおかしくなったにゃ!?あの筋肉、なんか増えてるにゃ!?」
「ぶ、分身?魔法か何かなんじゃ」
「お疲れ!あんた結構やるじゃないか」
「まあ体が資本なんで、これくらいは」
「じゃあ明日も頼むよ」
「······明日?」
「なんだい。これくらいであんたのツケは返せないよ。あと一月くらいは働かないと」
「············」
「··················あ?なんだいこれ」
朝『豊穣の女主人』に入るとそこには大量の魔石やモンスターの素材があった。そして────
────勝手に居なくなってすいません。これで払います。
という書き置きがあった。
「·······まったく、バカ息子が」