人工迷宮クノッソス
そこは『地獄』になっていた。
「い、嫌だ!死にたく───」
「く、来るな!やめ───」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんな───」
逃げたもの。立ち向かったもの。命乞いをしたもの。全て、死んだ。
被害者は皆『闇派閥』に属する者たち。
加害者は、『英雄』と呼ばれる人型の『死』。
「おーおー、凄いね君。強さもそうだけど、その心がすごい。よくもまあ自分と同じ『人』を簡単に殺せるね。『こっち』の方が向いてるんじゃない?」
『死』の神が嘯く。
「お前が、タナトスか」
「その通り!まさか眷族皆殺しにされるどころか、クノッソスをぶち壊すとは。とんでもないね」
「御託はいい。お前のような不安要素を残していたら安心してベルと暮らせない。ここで始末する」
「へえ。出来ると思ってるのかい?下界の子供が?」
『死』の神が『神威』を解放する。
「無駄だ」
『英雄』は屈さない。筋肉はこの程度に負けない。
「驚いた!『神威』にまで逆らえるのか!」
『死』の神は笑い───
「───決めた。君という『英雄』が『死』を乗り越えるなら、僕は満足できる!」
ダンジョンが、『哭く』
それは黒い、人型の『骨』だった。ダンジョンの用意した『神へのカウンター』。この程度であれば『英雄』によって討伐されるだろう。
しかし───
「さあ、『試練』だ!『死』を乗り越えてみろ、『英雄』!」
『死』の神は、『骨』に吸収された。
『それ』は、地上にまで届いた。
「なんや?まさか『神の力』か?どこのバカが───。いや、なんで『継続』しとるんや!?『送還』されてないんか!?」
「神ウラノス、これは───」
「『祈祷』が届かなくなった。間違いない」
「───驚いた。モンスターが神を取り込むと『神の力』が使えるのか」
自分に向かって放たれた呪詛を『避けた』男は、冷静に分析する。
この呪詛は自分でも危険だと、理解しているのだ。
「呪詛に当たったら良くて行動不能、悪ければ即死か?俺に放ったのが最大出力ならいいんだが、絶対違うな。
あの纏っている黒い霧は呪詛か?迂闊に触れるわけにはいかないだろうな」
モンスターは未だ『神の力』に慣れていない。戦うなら早くがいいだろう。
しかし、当たれば死の呪詛を撒き散らし、その身に『死』を纏う『怪物』が相手である。
流石の『英雄』も、分が悪く───
「───ハッ!『試練』の素材集めとゴミ掃除くらいのつもりだったが、面白くなってきたな!」
──しかし、不敵な笑みを浮かべた。