筋肉の化身   作:アーっr

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『英雄』の裏切り


『隻眼の黒竜』

 

 

 下界の終末を預言しよう!

 

 嗚呼、かの『黒き終末』が全てを滅ぼす!

 それは雲より高く、空よりも大きく、そして何よりも強い!

 『精霊の嵐』による封印をものともせず、『終末』は自らを解き放つ!

 神々の策略も、人々の努力も、この『竜』には届かない!

 全てはただ、滅ぼされるのみ───

 

 「雄々々々々々――――圧々々々々々々々――――ッッッ!!」

 

 否!否!それは違う!

 神々の策略は無意味だっただろう!

 人々の努力は無駄だっただろう!

 しかし、全てを覆す『英雄』がここにいる!

 

 

 飛来した。天変地異の如き力が『竜』に叩き込まれる。

 圧倒的な体格差。

 技術で埋められる差ではない。

 千倍?二千倍?もっとかもしれない。

 

 

 だからこそ、『英雄』の打撃は効いたのだ。

 筋肉とは力である。力とは速さである。速さとは筋肉である。数多の理、道理を踏み均して蹴散らした『英雄』は、その筋肉で『竜』を殴った。

 技を超えた圧倒的な【力】が、『竜』に届いた。

 

 「──────」

 

 『竜』が思わず揺らぐ。しかし、その巨体からは想像もできないほど早く『飛んだ』。

 これがかの『最強派閥』が敗北した理由。すなわち『空』である。

 大地をゆく人々では物理的に届かない。『竜』に勝つためには、『空』へ進まなければならない。

 『英雄』に翼はなく───

 

 「フン!」

 

 しかし、『英雄』は空を征く。圧倒的筋力。物理法則を超越する【力】がそれを為す。

 『英雄』は『竜』に届き───

 

 「──────」

 

 『竜』の尾が、『英雄』を打ち上げた。『竜』は己に近づく不届きものを許さない。

 

 「――ガッ……ッ、グ……」

 

 息ができない。あまりの衝撃に意識が彼方に飛ぶ。

 空を裂き、星の外にまで飛び出し───

 

 「──────」

 

 『竜』は、追い討ちをかけるように力を溜める。

 それは『竜』の最大火力。

 地面に放たれれば『下界が滅びる』一撃。

 爪、牙、翼、尾。

 それは竜が持ち得る特性。

 その中で最も有名な【力】。

 

 「──────」

 

 『竜の吐息』が、放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天上の神々は慄いた。

 それは、『光』だった。

 風を裂き、空を裂き、次元を裂いた。

 たった一人の『英雄』に向けられたそれは天界にすら届いたのだ。

 これこそが『終末』。神々すら超える真正の怪物である。

 

 

 

 

 生きている。 

 『竜』は一つしかない目で見た。

 『吐息』を避けたのだ。直撃を避けたのだ。しかし、それでも。

 『英雄』はもはや虫の息である。瀕死のまま大地に打ち付けられた『英雄』を見下す。

 

 

 

 

 

 

 

 「       」

 

 意思を、感じる。

 誰かが、「負けるな」と言っている。

 この大地の全てが、あの『蛇』が、手を貸している。

 しょうがない。己の筋肉のみで勝ちたかったが、負けるわけにもいかない。

 筋肉を裏切ってでも、勝たなければ。

 

 

 

 

 

 

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