筋肉の化身   作:アーっr

30 / 81
裏切っても、それがなくなったわけではない。


筋肉の化身

 

 

 『英雄』が立ち上がる。

 『天上の神焔』が立ち上る。

 『霊薬実』が『英雄』を癒す。

 『怪物』の残滓が『英雄』に混ざる。

 そして、その全てを───

 

 「◾️◾️◾️───!!」

 

 筋肉の力に変え、空を飛ぶ。

 

 「──────」

 

 再び『竜』が尾で迎撃し───

 

 「グォォオオ――ッ!」

 

 筋肉がそれを受け止める。

 『筋肉』は『竜』に乗り、翼の付け根を握る。

 

 「アアアァァァァ噫亜嗚痾翹婀堊!!!」

 

 翼を、むしりとる。

 

 「────」

 

 『竜』が地に落ちる。

 あまりの巨体に大地が揺れる。

 

 「────────!」

 

 『竜』がやり返すようにタックルを繰り出す。

 数千mある巨体が繰り出すタックルは、山すら消し飛ぶ────

 

 「――――ウゥゥウオオオオォォォォォッッッ!!」

 

 しかし、『筋肉』が受け止める。

 『竜』と『筋肉』が拮抗し、そして。

 

 「がァァアァ嗚呼亜阿猗婀亞――!」

 

 『筋肉』が『竜』を投げ飛ばす。

 

 「──────」

 

 『竜』は考える。もはや【力】では勝てない。

 この『筋肉』には効かない。

 己の全てを持って打破しなければならない。

 故に、答えは決まっていた。

 

 

 

 

 

 「──────」

 

 ああ、『光』が放たれる。

 下界を滅ぼすに足る一撃が、地上に。

 

 「       」

 

 『竜』は限界だ。先の一撃は千年以上貯めていたからこそ出来たもの。

 この一撃は、生命力を攻撃に回している。

 『筋肉』は下界最高の頭脳で看破した。

 

 「クハッ……」

 

 《獣》は笑う。圧倒的な力に。

 『狩人』は笑う。今までの努力に。

 『英雄』は笑う。これまでの出会いに。

 『筋肉』は笑う。唯一の勝機に。

 

 「────────」

 

 『光』が放たれる。

 それに合わせて、『筋肉』は持つもの全てを解き放つ。

 『天上の神焔』、『霊薬実』、『怪物』の残滓、今まで培ってきた技術、そして『筋肉』。命すらも。

 今までの全てを、投げつける。

 

 「雄々々々々々――――圧々々々々々々々――――ッッッ!!」

 

 次元すら切り裂く『光』が、たった一人の人間に押し留められている。

 数秒。永遠に続くかのような数秒ののち、『光』は止まった。

 

 人間は死んだ。『光』を前に、全てを投げ出して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「      」

 

 『筋肉』が動く。『竜』を掴む。

 

 「────────!」

 

 『竜』は抵抗する。山脈の如き巨体を揺らし、ぶつけ、潰す。

 それでも、『筋肉』は力を緩めない。

 

 「◾️◾️◾️◾️ーーーー!!!」

 

 吼えたのは、どちらだったか。

 

 『筋肉』は『竜』の首を絞める。

 しかし、このままでは足りない。すでに死した『筋肉』では勝てない。

 

 

 

 

 

 

 

 「帰ってきて」

 

 「待ってるから。信じてるから。だから、帰ってきて」

 

 

 

 

 

 

 

 「·····オ」

 

 「·····オオオ」

 

 「オオオオオ」

 

 「オオオオオオォォォォォォッ!」

 

 「────オオオオオオォォォォォォ!」

 

 「俺も、お前のことが────!」

 

 『英雄』が息を吹き返す。生気が漲る。『筋肉』に力が入る。そして────

 

 「好きだぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。